私には気になる人がいます。
始めて出会った時はただ目が腐った変な人程度でした。
性格はひねくれてるし、ぼっちでいつも独りだし、MAXコーヒーを好む甘党だし、キモイくらいシスコンだし。
嫌われてるのに慣れてるからって、平気で自分を犠牲にする。
そんな変な先輩だけど、不器用で本当は優しい人。なんだかんだ、困ってる人を見捨てられないお人好しな先輩。
「先輩、せーんぱい!ほら、生徒会の仕事手伝ってくださいよー!可愛い後輩が頼んでるんですよー?」
「はいはい、あざといあざとい」
「むー、なんですかそれ」
先輩だけが知っている。本当の自分を。
先輩だからこそ、さらけ出せるんですよ?
だって、先輩がいけないんです。あの時のあの言葉。
私も欲しくなってしまった【本物】という言葉。
偽りの自分でも、偽りの周りでも無い【本物】
先輩もきっとそんな本物が欲しかったんだ。だから、勇気を出して告白をしようと思った。
葉山先輩。私が好きだった人。告白してフラれた憧れの先輩。
周りには可愛子ぶってたけど、本当に好きだった。だから、フラれた時は泣いてしまった。
でも、今はフラれて良かったと思う。そりゃ、フラれたときは物凄くショックでした。
フラれた後の帰りの電車で、先輩と二人きりになった時、私は自分の本当の気持ちをやっと理解出来た。
葉山先輩に振られたことで同情を得られるとか、まだ諦めてません!とか強がってみたけど、結局先輩の前で泣いて・・・・・だから、つい言ってしまった。
「責任、とってくださいね?」
って。い、今思うと結構恥ずかしいセリフですよね!?自分でもかなりあざとかったかなーって思ってしまいましたよ!?し、しかも先輩の耳元で!
まあ、結局?先輩は鈍感だからなんとも思ってませんけどねー。雪ノ下先輩や由比ケ浜先輩が一緒にいるのに何の恋愛も無いから不思議ではないんですけど、なんかムカつきます。
その後、私は先輩の前では葉山先輩に未練があるように振舞って、先輩に口説かれた(先輩にそのつもりは一切無いとわかってますが)時は、以前と違って【まだちょっと】とか【もう何回か重ねてから】と言って見ましたが、全然気が付きませんね。朴念仁め。
でも最近、元々先輩に気がある由比ケ浜先輩は兎も角、雪ノ下先輩も先輩に気がある素振りをしてるんですよね。実際、あの三人は距離が近いですし、お互いに必要としている様なので気が気じゃありません。いいなぁ。
正直、あの人達が本気になったら今は勝てる気がしません。はぁ、私ももっと早く出会ってればなぁ。
だからこそ、ここ最近はちょっとボディタッチを多くしてみたり、本気を混ぜた演技の告白をしてみたり、自信作のチョコを食べさせてみたり、二人きりになる為に生徒会の仕事に引っ張ったりとやってるんですけどねぇ・・・・・・普通、ここまでしたら気が付きません?鈍い、鈍すぎますよ先輩。
「ねえ先輩、お願いがあるんですけどー」
「またかよ。んで、なんだ?」
「明日、デートして下さい!」
「は?なんで俺が?んなもん葉山に頼めよ」
「いいじゃないですか!葉山先輩の予行練習になりますし」
あ、またやってしまった。本当はそんな気はないのに。
結局この時は断られてデートに誘えませんでした。
その後、生徒会の仕事と偽って無理やり誘い出しました。まあ、また言い訳をやってしまって、葉山先輩のデートコースを考えるという約束を持ち出してしまいました。
先輩、もしかして本当に私がまだ葉山先輩を好きって思ってるのかな?
ねえ先輩、気がついてください。私が本当に好きな人は別にいるんですよ?
早く気づいてくれないと、私本気で落としにかかりますよ?女の子は本気になったら怖いんですから。
だから、振り向いてくださいね。先輩・・・・・
ども、ゼルガーです
なんとなく、八色を書いてみたかったんです。
八幡の台詞はいっさなく、全ていろはすで書きました。
今回は短編なので続編は無いです。
読者の希望次第では、ちゃんとした八幡といろはの恋愛は書いてみたいなーとは思いますね
ではまた
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