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【第3話】
5人の漫画家たち
[018]
草木も眠る丑三つ時。天より遣わされし玉兎は黄金の暗闇をその身に纏いながら、地を掛ける。時を超え、空間を超え、駆け抜ける。
眼前に映るは建造物。兎は地を跳ね、そこへと赴く。新たなる5人の魔女を求めて。
[019]
文房社――それは、多数のジャンルの漫画を出版する大手出版社の一つ。数々の漫画家がその門を叩き、何人もの漫画家が挫折の道を歩んだ。
それは言うなれば修羅の門――というのは些か言い過ぎではあるが、しかしクリエイターというものは如何なる職種であれ、必ず壁にぶつかるもので、それを壊せるかどうかが成功の第一歩となる。出版社とは言わばそれだ。壁は強固である程、それを打ち破った後の成功はより確約される。故に、修羅であるべきなのだ。阻む側も、壊す側も。
閑話休題。
そんな文房社であるが、勿論新人育成にも余念は無い。文房社の近くにはとある建物がある。『女子まんが家寮』である。
女子まんが家寮は、その名が全てを示す通り、漫画家達が同じ寮で生活し、互いに影響を与え、高め合い、さらなる飛躍を遂げることを目的とした女子寮である。
3階建てで、部屋は2階と3階にある。2階には101、102、103号室が、3階には201、202、203号室があり、全部で6部屋ある。
これは、そんな女子まんが家寮で起きた話。それこそ漫画染みた、フィクション的な話だが、しかし彼女達にとっては、どうしようも無いほどにノンフィクションな出来事だ。
[020]
――『ボツです』
102号室。そこでは今、1人の少女が失意のどん底に落ちていた。
「あぁぁぁぁ……もう……ダメです……やっぱり私漫画家向いてないんです……うわあぁぁぁん!!」
桃色の髪を三つ編みにした少女――いや、童女? この寮は基本的に年齢に制限はあんまり無い。親の許可さえあれば、誰でも住める。故に、小学生でも入ろうと思えば入ることが出来るのだ――それは置いといて(彼女は高校生である)。
部屋の片隅で三角座りをして、蹲る少女。彼女の名前は【萌田薫子】。ペンネームは『かおす』。四コマ漫画家である。
「そんな事ないよー! かおすちゃんは頑張ってるよっ! 今回はたまたま残念だっただけで……漫画家向いてないなんて言っちゃダメー!!」
薫子の頭を撫でつつ慰めるのは、同じく102号室の同居人、【恋塚小夢】。彼女もまた漫画家で、少女漫画家。ペンネームは『恋スル小夢』。黄色の髪をサイドテールに纏めている。
「いえ……ひっく、慰めなんて良いんです……ひっく、小夢ちゃんのような方が、こんな私なんかを慰めて下さるなんて……ひくっ、畏れ多い……」
「ダメー! ネガティブ思考ダメだよー! かおすちゃんはまだまだ発展途上なんだから、これからきっと良くなるよっ! ヒット作ばんばん出せるよ!」
「でもっ……うぅぅ……まだファンレター全然貰えていませんし……新しく来ましたけどやっぱりお母さんからだったですしっ……えぐっ」
「うっ……それは……」
「うわあぁぁぁん!! この先きっと私生き残れません〜!!」
「そ、そんな先の心配まで!? うっ……な、なんか私も……将来に不安感じてきた……うわあぁぁぁ!!」
ネガティブは感染する。小夢は非常に感受性豊かな少女であり、これがマイナスに働いた。
「「うわあぁぁぁん!!」」
泣き叫ぶ2人。当然その大声は外界の誰にも聞こえないわけもなく。
「どうしたの!? 何があったの!?」
「ボツ食らった?」
扉が開いて、入って来たのは2人の少女。
1人は黒髪ロングヘアーで、吊り目気味な少女。名前は【色川琉姫】。TL漫画家で、ペンネームは『爆
「絶対に言わせないわー!!」
琉姫は叫んだ。
「るっきーまでどうしたの」
「はっ!? ううん、なんでも無いわ!」
「? 変なの」
もう1人は蒼色のショートヘアを持つ少女。口数が割と少なめな彼女は、【勝木翼】。少女でありながら少年漫画家であり、ペンネームは『ウイング・V』。
彼女達2人は101号室の住人であり、新入居者である薫子と小夢の世話係である。世話係とは言え、実際のところ同年代なのだが。
「漫画家……向いてない……」
「将来……生き残れない……」
「ボツ食らったのね」
「だろうね」
瞬時に状況を把握した2人。もう慣れっこである。
以下、慰めパート、薫子サイド。
「かおすちゃん、顔を上げて」
「あ……るきさん……すいません、こんなゴミみたいなお見苦しい姿を見せて……」
「大丈夫、気にしないで。よく見てる姿だから。かおすちゃん、またボツだったのね」
「はい……もう、私漫画家向いてないのではないでしょうか? この間評価されたのだって、私が担当してなかった背景とかだけだったですし……私の……存在価値……」
「駄目よかおすちゃん! 弱気になってはいけないわ! 弱気なかおすちゃんは本当可愛いけれど、あんまり弱気になりすぎると、本当に心も体も衰弱しちゃうわよ!」
「るきさん……」
「かおすちゃん? かおすちゃんはなんでこの寮に入れてもらえたの?」
「なんででしょうか……私みたいな……」
「成長性を期待されてでしょう!? しっかりして!? 忘れないでかおすちゃん!」
「あ、ああ、そうでした。成長性……」
「そう、成長性――かおすちゃん。かおすちゃんは立派な向上心を持っているわ。編集さんが貴女に期待したのも、その向上心よ。つまり貴女は、今、現在進行形で、しっかりと編集さんの期待に応えているということなの」
「期待に……応えられているでしょうか?」
「勿論よ! だってかおすちゃん可愛い、違う、着実に成長しているもの! 最初に比べるとストーリーも面白くなってきたし、キャラも可愛くなってるわ! ばっちり、応えられているのよ!!」
「る、琉姫さん! ……はい、私は間違ってました……漫画家に向いてないと思うのは、少々早過ぎたようです……これからも、精進し続けます!」
「ええ、頑張って!」
「アドバイスありがとうございます! やっぱり琉姫さんは憧れの先輩ですっ!!」
「そんな! 憧れだなんて……! かおすちゃんは私にとって可愛い可愛い後輩だもの、これくらい当然よ!!」
「琉姫さ〜ん!!」
「かおすちゃ〜ん!!」
見事復活し、抱き合う2人。身長差が凄まじい……が、ある一点だけは、一切の差が無い。どこか? それは勿論、m
「やめなさいよー!!」
……一方こちらは小夢サイド。
「小夢」
「ひ、ひゃいっ!!? 翼ちゃん!? 居たんですか!?」
「気づいてなかったの」
「すいません……」
「…………」
「えっと……その、やっぱりこう、先の事を考えると、ちょっと心配になってきた、といいますか……」
「小夢」
「ひゃいっ!?」
「……別に先のことなんて見なくていいんだよ。今を頑張っていれば先も良くなるし、今頑張らなければこの先良いことない、ってだけのこと……見るのは今だけでいい」
「つ、翼ちゃん……」
「小夢は今頑張ってる? それともだらけてる?」
「ご、ごめんなさい〜! この間原稿の事ほったらかしにしてお菓子パーティーしてましたぁー!!」
「土下座しなくてもいい……」
「で、でも……」
「小夢は最初にここに来た時よりも、ずっと成長してるよ。つまりそれは頑張っている証拠……故に、お前はそのままやり続ければ良い……お前の未来は明るいぞ」
「翼さん……! はい! 未来のこととか心配するのやめます! アドバイスありがとうございます!!」
「だが、原稿をほったらかしにしたというのは戴けないな」
「うっ」
「罰だ。お前は今週、一切の甘味を摂取することを禁ずる――天より下るエネルギーはお前にとって大切なものかもしれないが、それによってお前がだらけるのであれば、それは排除すべき堕天使の如き大敵だ……」
「えっ、ちょ、そ――そんな――ちょ――翼ちゃん――ゆ、猶予を――」
「ふ……己の欲求を抑え切れぬようでは、お前は暗黒街道を突き進むのみだ……故にコントロールするのだ、お前自身を!」
「――――」
「あれ?」
小夢は失神。翼の言う事に間違いはないが、小夢にとってお菓子は生命線、断つことは命の危機にさえ直結するのだ。
「そこまでじゃないもん!!」
「あ、起きた」
……まあ、今日は土曜日。今日一日我慢すれば、すぐにでも食べれるようになるというのは秘密である。
[021]
「いつもいつも御迷惑をおかけするばかりで……申し訳ありません」
復活した薫子と小夢――だが、薫子のネガティブなところはそういう、気分によるものでは無く生来の性格である。
「いいのよ! 何も問題ないわ! ブルーなかおすちゃん本当可愛いもの! いつもの数倍は色っぽいの!」
「琉、琉姫ちゃん……かおすちゃんをそんな目で見てたの……!?」
「あっ」
失言。
「る、るきちゃん……! やっぱり琉姫ちゃんって、私たちのことをそんな風に……!」
「流石は琉姫さん……どんな時でもいやらしい……!」
「やめてー! そんな目で見ないでー!! 私はいやらしくなんてない、普通の女の子よー!!」
「るっきーが普通……?」
「つーちゃんまで何なのよ!?」
「だって、あんなエロ「やめてって言ってるでしょうがー!!?」
――色川琉姫、彼女は本来、可愛いもの好きの少女であり、可愛い動物ものの漫画を描きたかった。しかし動物の絵は下手で、唯一上手かったのは人間の絵だけであった。
だが、そんな彼女に転機が訪れる。その人物絵が評価され、青年誌に連載を載せるまでにレベルアップしたのだ。彼女の描く女性は例外無く色っぽく、端的に言ってしまえばエロい。
最初は勿論抵抗があった。自分が望む漫画とはあまりにもかけ離れたTL漫画を描く羽目になったのだから、当然のことだ。しかしそんな彼女にファンレターが届く。そう、自分の作品を楽しんでくれている方は居るのだ。それに気付いた琉姫は今日に至るまで、TL漫画を描き続けている。
因みにTLとはティーンズラブの略であり、少女漫画的な絵柄と人物設定でありながら、成人向け漫画のような、具体的かつ直接的な性的表現が物語の中で展開される少女向けの商業漫画のことである。いとも簡単に身も蓋もなく端的に分かりやすく言えば、エロm
「やめてよぉーーー!!!!」
目に涙を浮かべ、叫ぶ琉姫。割り切ったものの、まだ抵抗があるのだ。そして可愛い動物漫画にも未練がまだまだある。
「もう、なんなの!? 寄ってたかってなんなの!? そんなに私いやらしい!? 嘘よ! いやらしさの欠片も無いでしょう!? 私胸無いし!! 頑張ってAレベルだし!! 何がいやらしいのよ!?」
「雰囲気が……」
「疲れてる時の喋り方とかー」
「描いてる漫画が」
「うわあああああああ!!!!」
決壊した琉姫。
「ただ可愛いもの好きなだけなのに……それだけの普通な女の子なのにぃ……」
「普通の女の子がエロ漫画描く?」
「〜〜〜〜!! 言ったわね!? 遂に言い切ったわね!? ここまで声被せるとかしてなんとか封じて来たのに、遂に言ったわね!!?」
「少なくてもるっきーは普通じゃないよ」
「琉姫さんは私の憧れです! そういういやらしい面も含めて!!」
「琉姫ちゃんは普通では無いよねー」
「もう何の怨みがあるの!?」
「日頃の行い……」
「艶めかしい……」
「存在そのもの……」
「何やっても誤解される運命なの私!?」
反論しようともし切れない、ああ、私本当になんでこんな漫画描いているんだろう、と琉姫が思ったその時である。
ピンポーン、とインターホンが鳴った。
[022]
〈side Kaoruko〉
「誰でしょう? 寮母さんでしょうか?」
「寮母さんだったらインターホンじゃなくて、ノックだと思うわよ」
「……案外、フーラ先輩かも」
【風浦すず】。私たちより一つ上の先輩で、ホラ―漫画家。ホラー漫画を描いているだけあって、本人もちょっと見た目は怖いのですが、とてもいい人です。
「私見てくるー」
そう言うと、小夢ちゃんはドアを開けました。こういう時は、いつも小夢ちゃんに頼りっきりで……どうにかしたいと思っているのですが、知らない人と目が合うと……いつもどもってしまうのです。
ああ……私なんて……。
…………。
……おや?
……小夢ちゃんの声が聞こえなくなりました――あれ?
「小夢ちゃん? 誰だったの?」
琉姫さんが呼び掛けます。
…………。
…………。
…………。
……返答がありません。
「どうしたのかしら……?」
「何かあったのか? ……見てくる」
「あ、ちょっ……つーちゃん、気を付けて!」
「ああ」
流石翼さん……臆することなくドアを開けました。凄いです。かっこいい!
それに引き換え私ときたら……臆病、弱虫、かっこ悪い……うう……。
…………。
……おや?
……つ、翼さんの声が聞こえなくなりました――えっ?
「つ、つーちゃん? どうしたの?」
琉姫さんが呼び掛けます。
…………。
…………。
…………。
……返答が、ありません……?
「あ、あわわ、あわわわ――」
「お、お、落ち着いて、か、かおすちゃん!」
な、何が起こってるのでしょう!? ドアを開けて外に出た2人が、どこかに、行った――消えた――?
「る、るきさん、そ、外で何が」
「わ、わからないわ、と、兎に角外に出るのは危険かもしれないわ! な、何も無いと思うけれど、りょ、寮母さんに連絡を――」
琉姫さんは携帯を取り出しました。寮母さんに電話を掛けるのでしょうか。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……る、るきさん?」
琉姫さんが携帯画面を見つめたまま、動きません。
「ど、どうしたんですか?」
「…………圏外」
「えっ」
「ここ――け、圏外になってる」
その言葉を理解するのに、1分近い時間を、要してしまいました。
[023]
「待って、待って、待って待って待って待って――待って――」
「る、るきさん! わ、私の携帯も圏外で、つ、繋がりません!」
「なんで――なんでよ――わ、わけわかんないわ!? 2人の声は聞こえないし、ここ圏外!? いつから圏外になったの!?」
「わ、わかりません! 何が何だか理解できません!!」
「わ、私もよっ!! つ、つまり何? ずっとこの部屋の中に居ろってこと……? うそでしょ……?」
琉姫は頭を抱えた。
「何よそれ……2人が帰ってこないのは悪戯ってことで無理矢理帳尻合わせられたのに、圏外って……どう帳尻合わせればいいの……」
「りょ、寮の電話使ってみます!」
薫子はボタンを押し、電話を掛けた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ど、どう……?」
「つ、通じません」
「えっ……」
耳に当てた受話器からは、電波が届かない旨を伝える電子音声が流れている。
「……駄目です」
「…………」
「…………」
沈黙した2人。そして――
「「いやあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」」
泣き叫ぶ薫子と琉姫。
「嫌ぁ!! 嫌よ!! 死にたくない!! 死にたくないわ!!」
「ま、まままままままだし、死んじゃうと、き、きききききき決まったわk、訳でででわわわわ」
「絶対嫌よぉ!! どうぶつさんの漫画連載出来るまで、私は死にたくない!!!」
「あ、あわわわわわわわ」
「どうすればいいのよーーー!!!? ここで静かに餓死するのを待ってなきゃ駄目なのーーー!!!?」
「あわわわ――――」
狂乱の2人。極限状態には至っていないが、しかし極度の緊張状態が発生しているのもまた事実。
「い、いや待って! まだよ! が、餓死するって言っても、ほら、小夢ちゃんのお菓子が――」
無かった。
「「」」
何処を探しても無かった――食べ物に類するものは何処にも無かったのだ。
「「」」
ピンポーン。
「「ひぃっ!!?」」
ピンポーン。ピンポーン。
「あ……あ……」
「嫌……嫌ぁ……」
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
「あ……」
「いやぁ……」
ピンポーン。ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、
ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ――――
「「」」
恐怖は極限に達した。2人の顔は死人のように蒼白、白目を剥き、しめやかに失禁した。
…………。
…………。
…………。
…………。
……ピタリと、音が止んだ。
「――――」
「…………」
…………。
…………。
…………。
…………ギィ。
「「ひっ!!?」」
扉が開いた。
「あ――――」
「ひっ――――」
再び恐怖が襲い来る。扉の向こうに何が居るのか、何があったのか、分からない。
扉が完全に開ききった。
「――――え?」
「――――あれ?」
扉の向こうに居たのは――ただの小さな、金色の兎一匹だけであった。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「「…………ふふっ」」
扉の向こうから、何か得体の知れない化物か恐ろしい形相の男が現れると思っていた少女たちにとって、小さな可愛い兎が現れるとは予想外のことであった。
少しだけ緊張がほぐれた2人。2人は笑みを零した。
しかし。
「ふふっ――――ひぃぃっ!!!?!?」
兎は一瞬で闇に包まれると、視認不可能なレベルのスピードで2人に接近、薫子のすぐ隣にいた琉姫を、呑み込んだ。
[024]
〈side Kaoruko〉
るきさん、え?
え?
るきさ、え?
はい?
何が起こったのですか?
兎さんが居て、兎さんが闇に包まれて、突進して来て、るきさんが呑み込まれた、え?
……え?
「ひ――ひっ――」
目の前にあるのは、紛れも無く、闇としか形容出来ないもの――な、なんで。
なんで、こんなことに――。
「――――」
こ、声が出ません、だ、出そうとしても、だ、だめ、で、出ません、
「――――」
や、闇が近づいてきました――に、逃げなきゃ――あ、足が、動かない――体全体が、金縛りにでもあったかのように、動きません――
「――――」
や、闇が目と、鼻の先、まで、きて、あ
「――――」
――――――――。
――――――。
――――。
――。
[025]
仕事を終えた黄金の兎だった闇は、部屋を出て行った。全てを覆い隠すように、隠蔽するかのように、ドアを閉め、鍵を掛けた。
闇は空に浮かび、そして、宵闇にその姿さえも隠すようにして、消えた。
やっと全員揃いました!(まだ何人か居るけど) 取り敢えず、part.0は今回を以って終了とさせて頂きます。
新たな4人組『こみっくがーるず』勢は、果たしてどのような活躍を見せるのか? ハードルをあまり上げず、期待はちょっとだけでお願いします。
あと、R-18タグは消させて頂きました。このタグが付いている他の方のお話を読むと、どうも18禁の定義を読み違えていたようで……感想でのご意見もありましたが、付けるとしても、そういった描写が出てきてから付けることにします。ころころと考えの変わるダメ作者で、申し訳ございません。