【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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幕開けの合図

「ぷはー……」

 

一誠は技に耐えられず柄だけになってしまった木場がくれた剣を手にして皆のところに戻る。

 

「お前ら大丈夫か?」

 

もっと怪我がひどいはずの一誠は自分よりレイナーレとアーシアのことを心配する。ここまでいけば立派なものだ。

 

「終わったみたいね」

 

そこに来たのはリアス先輩と姫島先輩だ。

 

「そっちは……大丈夫そうですね」

「ええ、それより貴方の神器(セイクリットギア)……」

「え?ああ……なんか急に形が変わったんですよ」

「成程ね……それは龍の手(トウワイス・クリティカル)じゃなかったみたいだわ」

『え?』

 

全員が一誠の神器(セイクリットギア)をみた。

 

「それは赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)……所有者の能力を10秒毎に倍化させていく……しかも制限なしによ?」

「確か使いこなせば神すらも打倒すると言われてる神滅具(ロンギヌス)の一角でしたわね?」

 

母親が天に覇を掲げて今度は神様を倒せる武器か……親子で天とか神に喧嘩売ってばかりだ。

 

「まあ俺にはろくな使い道はないですね」

 

力が倍化しても普通なら使い道がない。それならアーシア治癒の方が使い道がある。

 

「でも一誠君に剣術の素養がしっかりあったのには僕も驚いたよ。咄嗟だったからね」

「母さんに習ってたんだ」

「武術は母親直伝なんですか?」

「ああ、剣術の他にも拳法だろ?弓術だろ?馬術とか長刀だろ?料理と歌も習ったし……」

 

いったいどんな完璧超人お母様か皆は見てみたかった。まあ実際はいろんな母親から習っただけなのだが……すると、

 

「あ……がぁ……」

「フリード……」

 

一誠はフリードを睨み付ける。

 

「へ、へへ……」

 

するとフリードはライトセイバーを地面に捨てた……次の瞬間、

 

『ぐっ!』

 

辺りを包む閃光……一瞬目眩ましを喰らったがすぐに捕捉して追った。フリードは窓に足を掛けていた。

 

「決めたぜ……北郷一誠……お前は俺が殺す……絶対殺してやる……」

「やれるもんならやってみるよ……何度来たって返り討ちだ」

 

フリードは愉悦の表情を浮かべて消えた……

 

「……さて、アーシアはこれからどうするんだ?」

「はぅ……教会も追い出されましたし……どうしましょう……」

「…………ならうちに来るか?」

「え?」

「部屋余ってるしな……」

 

実際一誠が自分で借りてる部屋は広いのでベットを買い足せばアーシアを住まわせるには問題ない。問題があるとすれば一誠の女性恐怖症だが……まあそこは根性で何とかしよう。

 

「アフターケアもしっかりとだ」

「……ありがとうございます!」

 

アーシアはお辞儀した。

 

「あとは学校かな……」

「ならうちの駒王学園が良いんじゃないかしら。その方が一誠もフォローがしやすいでしょう?レイナーレと一緒に転校させましょう」

「私もぉ!?」

 

レイナーレが驚愕したが一誠は、

 

「確かに家に置いてもテレビばっかりみてる仕事をしない専業主婦のおばさんじゃねぇか」

「ただのニート……」

「がはぁ……」

 

レイナーレは小猫の追撃で傷を負った……精神的にだけどさ。

 

「まあその辺は明日で良いわ。一誠は今日は帰りなさい」

「じゃあそうします」

 

一誠はアーシアを連れて帰ろうとし……止まった。

 

「何してんだ?レイナーレ」

「あ……うん……でも……」

 

このままで良いのだろうか……なあなあで一緒に帰って良いのだろうか……

 

「……俺ってバカらしいんだ」

「へ?」

 

突然の一誠の言動に首を傾げたレイナーレ……だが一誠は続けた。

 

「だから何も覚えてないんだ。それで良いだろ?これからに期待するぜ」

「一誠……」

 

レイナーレは頷くと一誠のあとをついていく。

 

「じゃあ失礼します」

 

一誠は一礼すると二人を連れて教会を出ていった。

 

「それにしてもすごい人間がいるものね」

 

リアス先輩が言うと皆は苦笑いした。本当に彼が人間なのか問いたくなるような戦闘能力……そしてあのジゴロさ……

 

「彼なら眷族にしてもよろしいんじゃないかしら?」

「無理よ朱乃。駒が足りないわ」

「ポーンなら大丈夫じゃなんですか?」

 

駒を用いた転生には制限がない訳じゃない。才能などのポテンシャルによっては駒を複数個使う場合があるのだ。

 

クイーン一個にルーク、ナイト、ビジョップが二つずつとポーンが八つ……だが、

 

「一誠が腹を貫かれたときに転生をしてみようと思ったの」

 

大怪我だったしそっちの方が助かる可能性が高かった。純粋な生命力と回復能力に頼るよりずっと良い……のだが、

 

「ポーン全てでも足りなかったわ」

『ええ!?』

 

それは桁外れのポテンシャルと言うことだ……確かに神滅具(ロンギヌス)神器(セイクリットギア)……そしてあの素の状態での強さ……まあポーン全てでも足りなくて普通かもしれない。

 

「全く……規格外の人間手やつかもしれないわね」

 

リアス先輩の言葉に皆は確かに……っ笑った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなやり取りがあった次の日……一誠はオカルト研究部に来ていた。無論内容はアーシアとレイナーレのことだ。

 

「あら一誠。速かったわね」

「ええ、家訓でしてね」

 

そういうとリアスは笑いながら入ってきて座る。

 

「じゃあ早速だけどアーシアとレイナーレは貴方のクラスに転校させるわ。フォローはお願いね?」

「いやぁ、何から何までありがとうございます」

「良いのよ。それでお腹は?」

「アーシアの聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)治癒ですぐに治りました」

「すごい回復ね……ねえ一誠。アーシアを私にくれない?」

「アーシアが良いと言うなら仕方ないですけどねぇ……」

 

一誠も転生のことは聞いているため意味はわかってる。

 

「……冗談よ。アーシアは貴方に懐いているものね」

「そうですかね……」

 

一誠には良くわからない。

 

「でも貴方の部屋は凄い状況ね。元シスターに堕天使、そして人間じゃない自称人間」

「いや、俺は普通の人間ですけど?」

 

なぜ自分はあくまであるリアス先輩からまで自称人間扱いなんだろうか……

 

「でも気を付けておくことね。堕天使であるレイナーレには裏切り者として追っ手が来るかもしれない……その辺は覚悟しておきなさい」

「望むところですよ」

 

一誠は不適な笑みを浮かべた。リアス先輩は知らないがこういう笑みは父曰く母に良く似た笑みらしい。

 

「ま、当分は平和な生活をしたいもんですね」

「そうね。平和は良いことだわ」

 

それを聞いて一誠は立ち上がった。

 

「じゃあ俺は……」

「ああちょっと待ちなさい。お代を取ってなかったわ」

「お代?」

「そう。祐斗と小猫のレンタル料」

 

ビキィ!っと一誠は固まった。

 

「え?」

「悪魔から何の代償もなしに力を貸すと思うの?」

 

確かにリアス先輩の言う通りだ。一誠は身構える。まさか命とか?莫大な富とか?魂食われちゃう?……等と考えていたらリアス先輩が笑った。

 

「冗談よ冗談。ただお願いするだけよ」

「お願い?」

「そう、これから何かあるときに力を貸してほしいの。別に悪魔同士の戦いに出ろとかそういうことは言わないわ」

「まあそれなら……」

 

そういうと三枚のオカルト研究部にへの入部届けを渡された。

 

「レイナーレとアーシアも誘ってちょうだい」

「分かりました」

 

一誠はバックにそれをしまうと今度こそ退室することにした。

 

「ではこれを書いて明日だしに来ます」

「ええ、またね一誠」

 

一誠は頷くと一礼してから退室した……

 

 

だが後に知ることになる……これは序章……これから始まる戦いに巻き込まれる謂わば合図だったのだと……このときの一誠は知らなかったし……その時重要だったのは今夜の夕飯だった。

 

(今日は肉かなぁ)

 

だが家に帰るとレイナーレが作ったポイズンクッキングが鎮座していてアーシアの回復能力お世話になってしまい、レイナーレには料理を教えないと自分の身が持たない事を一誠は気づいたのは余談であった……




終わりました~これで原作一巻目終了です。

とりあえずレイナーレとアーシアは一誠ハーレム城に入場されました。

次章はあの鳥野郎も登場!別に当て馬役なだけですよ……といかないかもしれません。と言うわけでお楽しみに~

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