【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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悪魔との会遇

「おいレイナーレ。起きろ。朝だぞ~」

 

一誠が部屋にあった棒でレイナーレをつついて起こす。

 

「……ねぇ、仮にも女を起こすときのその起こし方はどうなのよ……」

「うっせ……俺はもう学校にいくからな。帰るときは鍵は閉めてポストに入れて行ってくれよ」

 

そういいながら一誠は靴を履く。だが、

 

「行く先なんかないわよ……」

「…………」

 

本来なら一誠を殺して仲間の元に行ったのに返り討ちにあった手前顔を出せるわけがない。

 

「……そう言えばティッシュと醤油と生姜が無くなりそうなんだよなぁ」

 

突然一誠は呟いた。

 

「……は?」

「だから買っておいてくれると助かるんだけどなぁ……そしたら今夜はしょうが焼き食えるんだけどなぁ……お前も一緒に」

「っ!」

 

一誠の言葉の意味がレイナーレも理解できた。遠回しに行く所がないならここに居たら?と言っているのだ。

 

「あんたもう少し素直に言えないわけ?」

「察しろ」

 

一誠がそういうとレイナーレは少し気が楽になった気がした。

 

「分かった買ってきておくわ」

「あ、これ費用な」

 

と、財布からお金を出して一誠はレイナーレに渡す。

 

「さていくか……行ってくるな」

「あ、うん……行ってらっしゃい」

 

そう言ってレイナーレは一誠を見送った……何か胸が暖かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイナーレは近くの商店街等で買い物を済ませ適当にテレビを見て時間を潰した。すると夕方に一誠は帰ってきた。一誠は部活をやっていないので帰宅部だ。まあ一誠が運動系の部活をやったらそれだけで反則になりそうな人間だし文化部系も器用なのであっという間に成績を残して飽きそうなので部活はしていない。

 

「ただいま」

「…………お帰り」

 

そんなやり取りをしてから一誠は調理に取りかかる。相変わらず手際が良いしあっと言う間に作っていく。しかも異様に旨そうだ。

 

「上手なのね」

「料理は母さん達から習ったんだ」

 

母さん達……と言う言葉に一瞬首をかしげたが父親も料理するんだと勝手にレイナーレは納得した。

 

「皿だしとくわね」

「おう」

 

そう言ってレイナーレは皿を出そうとして何かこのまま馴染んでしまわないだろうか……と考え頭を振るう。あくまでこれは隙を……そう!異種返しできる隙を探ってるだけだ!

 

(そう、あくまでそうなのよ!)

「おーい皿まだか?」

「あ、はい」

 

と必死に自分に言い訳しながらレイナーレは皿を渡した……しょうが焼きは凄くおいしかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やべ」

 

食後……一誠は呟いた。

 

「どうしたのよ」

「歯みがき粉なくなってたの忘れてた」

 

そう言って一誠は軽くジャケットを羽織った。

 

「近くに深夜までやってるスーパーがあるから行ってくる」

「コンビニじゃダメなの?」

「スーパーの方が5円安い」

「ケチね」

「5円を笑うものは5円に泣くんだよ」

 

そう言いつつ靴を履くとレイナーレも靴を履いた。

 

「私もいくわ。どうせ暇だし」

「えぇ……」

「何で嫌そうなのよ」

 

女と一緒に歩くとか一誠にとっては拷問以外の何物でもない。だがレイナーレはそんなことを知らないのでズイっと寄ってきた。

 

「なにか問題でも?」

「い、いや!なにも!」

 

一誠が壁に激突するほど勢いよく下がった。とは言えそんな広い玄関じゃないのであまり意味はない。

 

「あんた……もしかしてホモ?」

 

女の自分が近づくと距離をとるのはレイナーレも気付いていた。これでも顔立ちにはそこそこ自信がある。なので最初は女慣れしてないのかと思ったがそれにしては怖がってる感じだ。

 

「んなわけあるかぁ!」

 

だがそれには流石に一誠がキレた。

 

「俺は女性恐怖症なだけだぁ!!」

 

一誠の悲痛な叫びにレイナーレは一瞬ポカーンとした後……

 

「ぷふ……アハハハハハハ!!!!!!!!」

 

腹を抱えて笑いだした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女性恐怖症……ぷふ!」

「あんだよ……」

 

レイナーレはスーパーに向かう道中でも笑っていた。

 

「あんだけバカみたいに強くて女が怖いってなによそれ」

「色々あんだよ!」

 

一誠は吠えた。こっちだって辛いんだよ!

 

「通りで女っ毛がないはずよねぇ。でもだったら何で女が多い駒王学園に通ってるのよ」

「父さんと母さん達がショック療法を与えれば良いんじゃね?みたいになって強制的に受けさせられたんだ。しかも落ちたらどうなるかわかるわね?とか言うんだぜ?逆らえるか!」

 

フン!っと鼻を鳴らして一誠はそっぽ向いた。

 

「何か人間みたいね――っ!」

「人間だ!――っ!」

 

一誠がそう叫んだ瞬間二人の第六感が何かを告げた。

二人が見たのはもう使われてない古い工場……

 

「成程……この気配は恐らくはぐれ悪魔だわ」

「はぐれ悪魔?」

 

聞いたことがない言葉に一誠は首をかしげた。

 

「悪魔ぐらいは知ってるでしょ?それで悪魔は大体どこかしらに所属してるのよ。上級悪魔の元にね。そこから逃げ出したやつ。それにしても他にも何人かいるわね……交戦中ってとこかしら……って何でそんな目をキラキラさせてるのよ」

「え?」

 

一誠は首をかしげた。だが一誠の目は凄く輝いている。キラキラしている。子供みたいだ。

 

「少し覗いてみないか?」

「ハァ!?なにいってるのよ!巻き込まれたらこっちも危ないのよ!」

「それで終わる命だったら所詮はその程度の奴だったって事だ」

 

そう言って一誠は迷わず侵入していく。

 

「……あぁもう!」

 

レイナーレも一誠に着いていく……

 

 

 

中は暗い……なので一誠は眼に氣を集めて見えるようにした。

 

「ほんと便利ね……その力」

「お前は平気なのか?」

「私は人間と眼の出来が違うのよ」

 

そう言いながら二人は影から覗く……するとそこでは全長三メートル近いケンタウロス(雌)と数人が戦っていた……しかもなんかすごい戦いだ。小さい女の子がケンタウロス(雌)を投げ飛ばし両手に剣を持った男が斬る……上手い、上手に健を斬って動けなくしたし、しかも速い。うちの母さんの一人の方が速く動くため見えるがそれでも速い……そしてそこに雷が墜ちた……え?

 

「何で雷が……」

「魔術でしょ?何で驚いてんのよ」

「いやどこからともなく雷だしたらすごいと思うだろ」

「私の光の槍で動揺しなかったやつがなに言ってんのよ」

「だってあれ地味じゃねぇか。あと近いって!」

 

ボショボショ二人で話してると戦いに決着がつきそうだ。

 

「こ、殺せ……」

 

ああ、あのケンタウロス(雌)は喋れるんだ……

 

「そう……ならそうするわ……ただしその前に……」

「――っ!レイナーレ!」

 

ケンタウロス(雌)に向けられていた深紅の球体が一誠とレイナーレの足元を少し消した。

 

「いるのはわかってるわよ」

「何でバレたんだ……」

 

一誠はレイナーレを見る。

 

「さぁね……ただ出ていかないと今度は消されるわ……全く、最悪だ……あれグレモリーの滅びの魔力じゃない」

「グレモリー?」

「ここら一体を仕切ってる悪魔よ」

「ま、待て……もしかしなくとも悪魔って結構この世界にいるのか?」

「悪魔だけじゃなくて結構普通に居るけど?て言うか駒王学園って悪魔が仕切ってる学校で悪魔だったりその関係者の宝庫よ?」

「マジで!?悪魔が人間の中に紛れ込んでるんじゃなくて悪魔の中に俺みたいな人間が紛れ込んでる状態だったのか!?」

「あんたって人間のカテゴリーにいれて良いの?」

 

レイナーレが失礼なことを言うので文句を言おうとすると、また足元がえぐれた。

 

「作戦会議かしら?だけど無駄よ。おとなしく出てきなさい!」

『……………………』

 

二人でどうするか顔を見合わせる……そして、

 

『…………ニャー』

「なんだ猫……って!そんな手に引っ掛かるわけないでしょ!」

 

やっぱだめか……仕方ない。出るしかないようだと一誠とレイナーレは外に出た。

 

「そっちはわからないけど……貴方は堕天使ね」

 

流石だ……一発でレイナーレが堕天使だと見抜いた……凄いな……

 

「そうね。人外と堕天使よ」

「オイ……」

 

こっちは普通の人間だと文句を言いたいがそこは置いといて。

 

「で?何で人間と堕天使が一緒にいるのかしら?態々こっそり見てまでね……堕天使と悪魔の間でいざこざを起こしたいの?」

 

そう言ったのは綺麗な紅髪の女性……ん?

 

「あれ?リアス・グレモリー先輩?」

「……え?」

 

リアス先輩も少し驚いたかおをした。やっぱりそうだ。一方的に知ってるだけだけど学校で超有名な人……さっきはよく見てなかったが隣にいるのは姫島 朱乃先輩でこっちもリアス先輩と【二台御姉様】と呼ばれているし剣を持ってるのは同級生で話したことはないけど木場 祐斗だしさっきでっかいケンタウロス(雌)をぶん投げたのは愛くるしい外見とクールな性格でマスコット的な人気を誇る一年の塔城 小猫だ……駒王学園の良い意味で有名人が勢揃いである。

 

「貴方は駒王学園の人間?」

「確か北郷 一誠君だよね?」

木場の言葉にリアス先輩は顔を向ける。

 

「北郷 一誠ってあの北郷 一誠?」

「ええ、あの学年で常に最高得点を取ってトップを走り続けてる北郷一誠です」

 

まあ勉強は嫌いじゃない。新しいものや珍しいことを知ることができるしな。それが結果的に点数に繋がってるだけで別に点数がほしくて勉強してない。知識がほしいから勉強するんだ。

 

「ですが何でそんな人が堕天使と一緒に?」

 

小猫の疑問は全うだ。それを突かれて一誠は頭をかく。

 

「いえちょっと色々ありまして……ですけど俺は……」

 

するとリアス先輩の後ろに倒れていたケンタウロス(雌)が飛び上がった。

 

『なっ!』

 

リアス先輩達を飛び越え目指すは一誠……彼が人間なのはわかってる……このまま人質に……と考えながら飛びかかる……

 

「別に怪しいものじゃなくてですね……――っ!」

 

一誠の目の前に巨大な手が迫る……リアス先輩達は間に合わない……だがレイナーレは心配しなかった……と言うかケンタウロス(雌)に同情しながら少し下がって堕天使ではあるが胸の前で十字を切った……そして目の前で、

 

「人が話してっ時は静かにしやがれぇ!」

 

脚に氣を集中させて脚力を強化した飛び蹴り……それはケンタウロス(雌)の手をギリギリ回避しながら顔にめり込みぶっ飛ばす。

 

「ぐげぇ!」

 

ケンタウロス(雌)は派手に吹っ飛びそのまま天井に刺さった……少しの間をおいて自重で落ちたが……

 

「あぐ……」

「こうなる気がしたわ……御愁傷様。それ結構痛いわよね」

 

レイナーレは同情しながらも光の槍で止めを指した。

 

「悪魔なら効くだろうしね」

「そうなの?」

「そうよ、私みたいな堕天使や天使が使う光の力は悪魔に大ダメージを与えるの」

「成程、そのうち堕天使、悪魔ときたなら今度は天使とかに会うのかなぁ……嫌だなそれ……まだ面倒に巻き込まれる予感しかしない」

「その前に目の前の悪魔達をどうにかしなさいよ」

 

忘れてた……なので一誠は顔を再度向けて、

 

「ええとですね……見ての通り人間なんで害とか敵意とかないんで見逃してもらえませんか?口は固いんで言いふらしたりしませんし……」

 

するとリアス先輩はストップをかけた。

 

「今……何て言ったの?」

「口は固いですし?」

「もっと前!」

「害とか敵意とかないんで?」

「もう少し前!」

「……見ての通り人間なんで?」

 

そういった瞬間、

 

「何処が人間なの!?」

 

リアス先輩のガチ突っ込みを受けた。

 

『確かに……』

 

後ろのリアス先輩の仲間達やレイナーレまで頷く。

 

「いや見ての通りですけど?」

「確かに魔力はないし見た目は人間みたいだけど……普通の人間のけりであそこまで物体は吹っ飛ばないわよ!」

 

そう言ってリアス先輩が詰め寄ってきた……ヒィ!

 

「あひ!」

 

無論一誠はビビりまくった。それを見てリアス先輩は首をかしげる。

 

「ちょっとどうしたの行きなり……顔色が……」

 

突然の変化にリアス先輩は心配そうな顔になった。元来が優しい人なんだろう……最初はレイナーレも一誠が後ずさるくらいなら見逃したが流石にドクターストップだ。

 

「ちょっとグレモリー。少し止まって離れなさい」

「でも顔色が凄く悪いわよ?」

 

そう言って一誠の頬にリアス先輩の手が触れた……瞬間、

 

「ピギッ!」

「え?」

 

一誠は石像のように固まりそのまま後ろに泡を吹きながらぶっ倒れた……

 

「え?ちょ!」

 

レイナーレも気絶することは聞いてなかったので慌てだしリアス先輩の仲間達の声が聞こえるなかそのまま意識を手放した……


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