【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

39 / 45
第六章 体育館裏のホーリー
天使凱旋


カコーンと鹿威しがなる……

 

「ん?」

 

一誠は気付くとどこだかわからない和室にいた……だがそれだけじゃない……目の前には真っ白な着物を着たアーシア……

 

「一誠さん……そして皆さん……いままでお世話になりました……アーシアは今日、お嫁にいきます」

え?お嫁?何のこと?と、一誠が固まってるなか他のオカルト研究部のメンバーは其々称賛を送る。そこに……

 

「アーシア……時間だよ」

 

そこに現れたのはあのディオドラ・アスタロトだ。ディオドラは一誠の前に正座すると、

 

「お義兄さん。アーシアはこれから僕がお守りします……安心してください」

 

誰がぁああああああああ!!!!!!!!お義兄さんじゃあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!一誠は息を一気に吸い込んだ……そして、

 

 

 

 

 

 

 

「おれは認めんぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

『うひゃあ!』

 

一誠はガバッと起きると家中に響き渡る怒声を発した……突然の怒声に隣に寝ていた女性陣が驚愕して跳ね起きた……

 

「あれ?夢?」

 

一誠は周りを見渡すと突然怒鳴った一誠を驚き眼で見る皆がいた……

 

「す、すいません……夢見が悪くて……ん?」

 

なんて謝ると一誠にかけていた布団がモゾモゾ……悪寒がゾゾゾ……って、

 

「小猫?」

「うにゃん……」

 

恐らくこの場で唯一、一誠の怒声に跳ね起きなかったであろう猫耳ロリ少女は布団を剥がして覗いてきた一誠を見て首をかしげる……

 

拝啓・鹿児島にいるお祖父様お婆様……そして曾お祖父様……私のベットの表面積は何故か布より女の子の面積が多くなってきてます……どうすれば良いでしょうか……

 

何て思いながら二度寝(と言う名の気絶)をしながら一誠はそのまま倒れたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

その後……朝食を食べる……夢見が悪かったせいでスッキリしない。

 

「一誠……いったいどんな夢を見たのよ……」

「アーシアがお嫁にいく夢です……」

 

それを言うと聞いてきたリアス先輩はひきつった笑みを浮かべた……

 

「大丈夫ですよ一誠さん。私はお嫁になんかいきませんから……ずっと一誠さんといます」

「アーシア……」

 

うぅ……本当に良い子だこの子……

 

拝啓・お父様……貴方が姉さん達に彼氏ができた暁には彼氏を自分より弱かったら抹殺すると言った気持ちが今なら凄くよくわかります……何アホなこと言ってんだ……あんたより強い男とかゴロゴロいるわけねぇだろ、バカなんじゃないかこの親父とか思ってご免なさい……私もあのディオドラをぶん殴りたいです……寧ろ灰燼としたい。

 

でも姉さんたちの場合男の理想が強くて優しくてでかい器の持ち主で頭もよくてと何処にそんな奴がいるんだよと思う理想だしな……まあ父さんがそれをクリアしてるけど……と言うか完全にイメージしてるの父さんですよね?

 

「まあディオドラも舞い上がってるだけよ……お坊っちゃま気質だから自分を助けてくれた女の子にあってこれは運命だとか思い込んじゃってるだけね」

 

と、言いつつリアス先輩は魔方陣から箱を取り出した。

 

「なんですかそれ……」

「ディオドラがアーシアに送ってきたプレゼントよ。こう言う映画のチケットからここには出せないけど高級品まで様々ね……」

「…………」

 

《Blade!》

 

一誠は迷うことなくアスカロンを出した。

 

「今日のアスカロンは血を求めているようだな!」

 

野郎ぶっ殺してやる!と言わんばかりに一誠はアスカロンを片手に邪悪な笑みを浮かべた……はっきり言おう。怖すぎである。こう言うときの笑みは元々華琳に良く似た顔立ちのためか物凄く華琳そっくりである。

 

「ちょっと一誠!落ち着きなさい!」

 

まあそんなことを知るはずもないリアス先輩が一誠を宥める。だがもう一人立ち上がる影……

 

「一誠!私も丁度修行の成果を試したかったし一緒にいくわ!光の槍で串刺し刑ね!」

「レイナーレも落ち着きなさい!」

 

レイナーレまで一誠に同調して今にもディオドラを抹殺に向かいそうである。するとそこに……

 

「はいそこまでですよ」

『わぶっ!』

 

突然水が降ってきた……朱乃さんの仕業である。まあ頭は冷えたけど……

 

「朝からそんな殺伐としてはだめですよ。二人とも」

『はい……』

 

二人は朱乃さんに怒られて座り直す。

 

「それじゃあアーシア。全部送り返すわよ?」

「はい……でも態々送っていただいたのにお返しするのは気が引けます……」

「気にしなくていいのよアーシア。こう言うのは逆にキチンと返しておかないと勘違いさせるわ」

 

と言って転送するリアス先輩を見ながら一誠は昔に桂花母さんから聞いた証拠を残さずに相手を殺すやり方を思いだしていた……そういえばこの証拠を残さない殺しかたは父さんに向けてやるつもりだったらしい……よく父さんは生きてるなぁと今でも思う……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ~……」

 

そんなことを朝にやった日の学校で一誠は大あくびをしていた。眠いぞコンチクショウ……全部あのディオドラってやつのせいだ。

 

「おい!一誠聞いてくれ!」

「ん?」

 

突然松田と元浜が血涙を流しながら迫ってきた。怖いが人間って本当に血涙を流すんだ……

 

「何と隣のクラスのやつが遂に決めやがったんだよ!」

「進路をか?」

 

夏休みも終われば早い奴は進路を決めるしな……因みに冥界から帰るとき何かを忘れていた気がしたのだがそれは簡単……夏休みの宿題を忘れていたんだ。しかもオカルト研究部の面子全員揃ってだ……お陰で帰ってきてから大慌てで終わらせたぜ……夏休みの宿題何て計画建てて残り一週間くらいには確認作業まで終わらせとく物だったのに今年は濃密すぎて抜けてしまっていた……と言うのは余計な話だな。

 

「違う!一夏の体験って奴だよ!裏切られた!」

「あ……そっちね」

 

一誠は納得した。聞いてみれば三年の先輩らしい。まあ夏休みを過ぎると垢抜けた奴が増えるよな……髪を金髪に染めたりするやつも多い。

 

とは言え一誠は髪の色が基本的には黒だが前髪が母親の金髪だし目の色なんて青だから贔屓目に見ても純日本人ではないので今更髪を染めてもな……と思ってしまう。と言うか金髪にすると殆んど母親の顔になってしまうので染めるなら別の色だろう。

 

それにしても中学時代この髪や眼のお陰で生活指導から目の敵にされたのは懐かしい……まあ勉強は完璧でスポーツ万能……更に交友関係も問題なく素行も良い……しかも別にカラーコンタクトでも染めたわけでもないので文句の言いようもない状況だったのが余計に気にくわなかったらしく更に怒りを買ったのは今となっては思い出だ。

 

「なんだお前のその気のない返事は!」

「眠いんだよ……あんまり騒ぐな……頭に響く……」

 

一誠は二人のどうでも良い情報を無視してると今度は桐生が来た。

 

「何騒いでんのよ……うっさいわねぇ」

「やかましいぞ桐生!」

「そうだそうだ!これは裏切り者をどう粛清するか皆で決めてるのだ!」

「その皆には俺を入れるなよ……」

 

一誠は少し距離をとった……このバカどもと同種扱いは勘弁したい……

 

「相変わらず元気よねぇ」

「全くだな……」

 

桐生と一誠は離れて遠くから嘆く松田と元浜を見る。平和だねぇ……そう言えばこの二人は夏休み中ナンパに明け暮れるとか言ってたけど……まあ失敗だろうな。成功してたらもっと露骨に態度に出てるだろう。

 

「そう言えばアーシアに何かあった?」

「え?」

「何時も通りなんだけど……何かふとしたときに悩んでることもあるのよ……だからあんたなら何か知ってるんじゃないの?」

「……いや、俺もわかんねぇ……」

 

まさかプロポーズされたとは言えない……しかしアーシアも困惑しているようだ……まあそうだよな……でもお嫁にはやらんぞ!

 

「ま、その辺りはあんたに任せるわ。あと今日から転校生が来るらしいわよ?」

「そうなのか?」

 

珍しいな……こんな時期に転校生と言うのは変わってる……どんなやつだろう……男か?女か?良いやつかな……変なやつかな……何て思ってると担任が入ってきた。

 

「今日はまず転校生の紹介からする」

 

あ、入ってきた……ん?何でだろう……凄く見覚えが……

 

「初めまして。今日からお世話になる紫藤 イリナです」

 

突然の美少女の登場にクラスの少数男子が狂喜乱舞……このクラスに入れてラッキーといった感じだ。そして一誠とアーシアやレイナーレとゼノヴィアは……

 

『……………………』

 

ポカーンと固まってしまう。するとイリナは一誠に気づく。

 

「あ、一誠くんヤッホー!」

『何ぃ!』

 

親しげな声音にクラスの少数男子は一誠を殺せそうな目で見てきた……

 

「や、ヤッホー…………」

「知り合い?」

 

桐生に聞かれて一誠は答える……

 

「所謂……幼馴染みってやつですよ……」

「なぜだぁあああああ!!!!!!!!なぜ一誠にばかり美少女とのフラグが立つ!何かの因果律が働いてるとしか思えんぞ!」

「きっとそうに決まってる!間違いない!貴様の何がその因果律を呼び寄せるんだ!俺にもその力を寄越せ!」

 

悪いけどフラグなんて立ったことねぇいから……と言ったら松田と元浜が地面を踏んづけ始めたんだが……フラグなんてそんな恋愛ゲームじゃあるまいし立つわけねぇだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで今日から駒王学園と更にオカルト研究部にもお世話になる紫藤 イリナよ。宜しくね」

 

放課後……オカルト研究部の部室でイリナは改めて自己紹介をする。いやぁ、改めてみても驚きが隠せない。まさかイリナが転校してくるとはな……

 

「でも何でイリナが?」

「だってこの三大勢力が和平を結んだこの地に悪魔と堕天使がいるのに天界陣営がいないのはバランス悪いでしょ?って言うことで私が送られたの」

 

まあ……たしかにそうかもしれないな……何て思ってると、

 

「つうことだ。全く、ミカエルも生真面目って感じだな……そこんところは変わらねぇやつだ」

 

と、アザゼルが椅子の上で肩を竦めた。

 

「だからこれから宜しくね。あ、それから……」

 

と、イリナはアーシアの前に立つ。

 

「アーシアさん、初めて会ったときは酷いことを言ってご免なさい。ゼノヴィアも別れ際に酷いこと言ってしまったわ……」

「そ、そんな……もう良いんです。もう終わったことですから」

「私も気にしてないよ」

「ありがとう」

 

イリナは顔をあげるとアーシアとゼノヴィアと一緒に笑う。良かった良かった……

 

「だけどまたイリナと戦えるんだね。嬉しいよ」

「ゼノヴィアとのコンビも復活ね」

 

悪魔に転生する前はゼノヴィアもイリナと組んでたんだから二人も上手くやれそうだ。

 

「それでエクスカリバーは持ってきてないのか?」

「ふっふっふ……私はもただの女の子じゃないんだよ……」

「なんだ?石で出来た仮面でもつけて人間辞めたか?」

「そうそう私は人間をやめたのよ……って違う違う!と言うかあれって完全に教会の敵よ!私がなったのは……これよ!」

 

そう言ってイリナの背中から純白の羽根が……って、ええ!?

 

「天使になったのか?」

「そうよ、悪魔の駒(イービル・ピース)を元に作られた御使い(ブレイブ・セイント)システム……チェスの駒に対してこっちはトランプで作ったんだけど最上級クラスの方が持っていて私はなんとミカエル様のAなの!」

 

話を聞いてみるとトランプの役なんかでパワーを発することができるものらしい……

 

「俺とアーシア以外人間がいないなぁ……」

 

一誠が苦笑いするとイリナが首をかしげた。

 

「え?一誠くんって人間じゃないのよね?」

「は?なに言ってんだ。俺は人間だぞ?」

「…………あ、ここは笑えば良いんだね?ミカエル様がいってたもの」

 

《イリナ……一誠くんは自分を人間と言うかもしれませんがそれは笑ってあげるんですよ?彼なりのジョークです》

 

おおおおい!天界からは皆の緊張を解くためのジョークかなんかの扱いなのか!? 酷くね!

 

「それに一誠くんはお父さんからして凄く頑丈だったし……」

 

あ、そうか……イリナは何度か我が家に着たことあったんだ……そして吹っ飛ぶところも……まだ母親が複数いるのになんの疑問も持たなかった頃だもんな……あれ?そう考えるとイリナに俺の家族構成ばれてる?

 

「でもお姉さんたちは元気?一誠くんの所ってお姉さん滅茶苦茶たくさんいたよねぇ……皆美人だったなぁ……でもお母さんみたことなかったんだよね……」

「あ……」

 

理解した……イリナは母達も姉と勘違いしてる……イリナの目の前で母さんと呼んでる筈だが何分昔の記憶だからだな……しかも母さんたちは若々しいし母さんと子供はそっくりだからイリナの中で母達はお姉さん顔がごっちゃになってしまい勘違いしてしまってるんだろう……イリナを男と勘違いしてた自分が言うのもなんだが勘違いしてくれてありがとう、マジで良かった……いやね、バレても問題がある訳じゃないんだよ?法律で一夫多妻は認められてるからね?実際北郷家以外にも居ない訳じゃないしね?

 

だけど一夫多妻の数は少ないんだよ……うち以外には確か上条とか結城とか織斑とか遠山とか桐生とか平賀とかいう家族位しか一夫多妻をしている家って居ないんだよな……因みに何故知ってるかと言うと一夫多妻を利用している男性は総じて女難の持ち主らしくそれで横繋がりができた(父談)らしい。そう言えば桐生っていう家族はうちのクラスの桐生の親戚だったりするのかな………

 

「まあ元気だよ皆……」

 

と言うか北郷家は皆総じて頑丈なんだ。特に父と子供の世代はな……特に父さんなんか春蘭母さんのガチパンチ喰らっても「イテテ……」だからな……あれ喰らったら普通そんな声漏れねぇよ……

 

「そっか~なら良いけどね」

 

イリナ……そんな純粋な目でみないでおくれ……勘違いを正さないのが悪いみたいじゃないか……って天使相手を騙したままってバチが当たりそうだな……まあ悪魔の方々と一緒にいる時点で死んだら天国にはいけないだろうから良いけど……

 

「あ、そうそう。私も神様の不在は知ってるから安心してね」

 

と、言うイリナに一誠はうなずく。まあこの場に来るんだからその辺りも周知だろうな……

 

「まあイリナも知った直後は絶対狼狽しただろう?」

「一週間寝込んだわ……」

 

ゼノヴィアにイリナはそう返した……それは相当ですな……

 

「でも今はミカエル様がいらっしゃるわ!と言うわけで改めて皆さん宜しくね」

 

イリナの言葉に皆は笑顔で答える。何だかんだでイリナがいるとその場が明るくなるらしい。そう言えば昔もそうだった……案外天使って役職に向いてるのかもね。

 

「じゃあこれから紫藤イリナさんの歓迎会をやりましょうか」

「じゃあ俺なんか作りますね」

 

リアス先輩の言葉に一誠は立ち上がる。

 

「え?一誠くん作るの?そう言えば一誠くんのお姉さん料理上手だったもんねぇ」

「ま、まあな……」

 

ごめんイリナ……多分君が思い描いてるの産みの母……

 

「一誠くんって何人お姉さんいるの?」

 

と聞いてきた祐斗に一誠は答えた。

 

「十四人」

 

無論産んだ母と産ませた父凄いなおいと騒ぎになったのは言うまでもない……そして、

 

(あれ?何か記憶の人数と合わないような……)

 

とイリナが困惑したのも言うまでもなかった……




何か一誠のキャラが序盤可笑しいような……まあいいか。

さて、今回出てきた北郷家以外の一夫多妻家族ですがもしかしたら聞いたことがあるのもあるでしょう。はい、全員色んな作品のハーレム属性主人公の名字を使わせていただきました。別に世界観を共有してるとかそういうわけでは勿論ありません。ネタでです。

例えば上条はとある魔術の禁書目録の主人公の名字ですし、結城はToLOVEるの結城 リトから、織斑はインフィニット・ストラスの織斑一夏、遠山は緋弾のアリアの遠山キンジ、平賀はゼロの使い魔の平賀才人でした。桐生は私のこの作品とは別作品のキャラの名字ですね。彼もモテますし……まあ完全にネタでした。わりと次回からネタがぶっ込みにくくなってくるので今回に集合させた感じです。

と言うわけで又次回お会いしましょう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。