【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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第五章 冥界合宿のヘルキャット
夏休みの計画


「……んん……」

 

一誠は朝の微睡みから目を覚ます……何だか体が重い……

 

「っ!」

 

学校は既に夏休み……折角なので寝坊しようかと考えたが何か重いぞ……と思い眼を開けてみるとリアス先輩とアーシアとレイナーレとこの間我が家に住み着いた朱乃さん……

 

「うーん……」

 

ここ最近慣れて来たかなぁと思ったのが油断の始まり……やっぱり無理です。

 

口から魂を出しながら一誠はそのまま意識とお休みをした……

 

 

 

 

 

「あらあら」

 

それから十分後……次に目を覚ましたのは朱乃さんだ。可愛い寝顔(注・気絶していると言うのが正しい)の一誠を見てクスクス笑う。一応皆で一誠が起きる前には退出しようと聞けているのでまだ寝てて助かった。まあ実際は十回に一回くらい一誠の方が早く起きてるがその場合は今回みたいに気絶してるのであるが……

 

(少し位悪戯してもいいかしらね)

 

そう言って一誠に顔を近づけ……

 

「何してるの朱乃……」

「あら、おはようリアス」

 

リアス先輩の体からは滅びの魔力が溢れ出るが朱乃さんは知らん顔だ。

 

「何で貴女は私の大切なものにばかり触るのよ!」

「ちょっと後輩を可愛がるくらい良いじゃない」

 

バチバチと二人の間に火花が散る……

 

「うぅーん……」

「ふぁ~今日はなんの騒ぎ……」

 

最近この布団の上でのオカルト研究部部長と副部長の喧嘩は恒例行事になりつつあるのでレイナーレとアーシアは一誠を引っ張って待避する……序でにアーシアは一誠に聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)をかけておく。別に怪我をした訳じゃないが精神を落ち着ける作用もあるらしい。

 

「いつもいつも貴女は好き勝手ばかりして!」

「リアスこそケチケチしないでその胸のように大きな心をもったら?」

「うぅ……」

 

一誠は部屋に充満する殺気に手放していた意識を引き戻された。

 

「え?なに?今日も喧嘩?って俺なんでベットの外に居るんだ?」

 

一誠は気絶した前後の記憶が飛んでいるため何が何やら状態である。

 

「折角改築したのに台無しだわ!」

「あらあら良いじゃない」

 

いやぁ……喧嘩も程々にしてくださいね……ってなにか今違和感が……改築? ええ!?

 

「改築!?」

 

一誠は慌てて部屋を見渡す。よく見てみればベットは天蓋付きだし部屋が異様に広いしテレビが壁に嵌め込み式だし何か豪華絢爛……ええ!?

 

「どうなってんだ!?」

 

一誠は部屋から出るとバカみたいに広い……部屋も多いし普通のマンションだったよね!?少なくともこんな廊下の端が豆粒に見えるような部屋はしてないはずだ。一晩でなにが……

 

取り合えず一誠は外に出る……そしてその前には……

 

「なんじゃこりゃあああああああああああああああああ!!!!」

 

一誠が顎が外れそうなほど大きく口を開けて愕然とした。そう、昨晩まで普通のマンションだったはずが今そこにそびえ立つのは超がつくほど巨大な一軒家となっていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええと、整理するとマンションは劇的な大改造を施され巨大な一軒家となったんですか?」

 

その後、朝食を済ませてオカルト研究部の他の面子も集合してから一誠は事情を聴いた。

 

「そうよ。幾らなんでもそろそろ一誠の部屋が小さくなってきてたしご近所の目が厳しかったもの」

「確かに……」

 

そう、ここ最近一誠はマンションのご近所さんから女の子を多数連れ込んでる軟派野郎扱いをされていたのだ……まあ当たり前か……実家も世間の目はそんな感じだったしね。

 

「だから交渉の末に別に作ってその上に相手の希望を百パーセント叶えたお家を渡して引っ越してもらったの」

「そう言えばここ最近近所の人がいないと思ったら……」

 

我ながら気づけよと一誠は頭を抱えた。

 

「それでこの家なんだけど上は六階で下は地下二階まであるわ。プールにトレーニングルームも完備し温泉もあるわ。他にもたくさん部屋を用意してるし皆自由に使ってね」

「さすが部長の実家だね。一晩で作っちゃうとは」

 

そう言ったのは我が家に朱乃さんと同時期に住み着いたゼノヴィアだ。何故かこいつもここに住むって言うんだよなぁ……

 

「あの先輩……家賃ってこれどうなるんですかね……」

「一応私に……正確にはグレモリー家に払う形になるわね。まあ家賃は今まで通りの金額でいいわ。別にタダもいいわよ?」

「何かヒモみたいなんで払わせてください……」

 

もし眷族だったら契約とかで稼いで家賃はタダも良いけどそういう訳じゃないしやっぱりヒモはちょっと……

 

そう言うとリアス先輩は「でしょうね」と笑う。

 

「さて、今日皆に集まってもらったのはそれだけじゃないのよ」

 

皆はリアス先輩をみる。

 

「毎年のことだけど冥界に帰るわ」

 

ああ、もう夏休みだし実家に帰省するのか……

 

「それで今年は一誠たちも来ないかしら?」

「え?」

 

一誠が疑問符を飛ばした……俺も?

 

「アーシアレイナーレも一緒に来ていいわ」

「いや、なぜ俺まで?眷族なら主への同伴なのはわかりますけど俺人間ですよ?」

『(自称)だけどね』

 

全員から突っ込まれた……そろそろ泣くぞおい!

 

「まあ一誠の考えはもっともなのだけど……実家が……ね」

「実家?」

「……お母様が一誠に会いたいって言うのよ……」

「え?」

 

お母様が……?お母様って言うと……リアス先輩のお母さん!?その人が自分に会いたい?どういう用件だ?全く理由が思い付かない……

 

「む、無理にとは言わないわよ?」

「いや、どうせ夏休みって言っても毎日怠けてるか松田たちとどこかに出掛けてるかだけですから問題はないですよ?なあアーシア、レイナーレも良いよな?」

「はい。一誠さんが行かれるなら私はどこへでもいきます」

 

アーシア良い子だな……妹が居たらこんな感じかな……末っ子長男の身としては嬉しくもある。

 

「私は一誠とかが居ないとご飯が食べれないから一緒にいくしか選択肢がないわね」

 

それは是非来てもらおう。冥界から帰ってきたらポイズンクッキングが散乱する部屋は勘弁である。

 

「じゃあ皆で準備にかかりましょう。八月一杯は向こうにいることになるわ。向こうでは皆の修行も行う予定よ」

 

修行……か、新しく赴任したアザゼルはグレモリー眷族の強化のためのコーチも行うらしい。

 

「つうわけで俺もいくからな」

『っ!』

 

とそこに突然アザゼルが現れて全員が驚愕した。

 

「いつの間に……」

「いや~お前らみたいな反応してくれて嬉しいぜ。ヴァーリ相手だと何となくお前が来た気がしたとかぬかして驚いちゃあくんねぇからな」

 

アザゼルは悪戯が成功して嬉しそうな子供のような表情を浮かべた。

 

「それにしても向こうじゃ魔王主催のパーティーもやるらしいじゃねぇか。若手悪魔の会合も含めて大変だなお前らもよ」

 

そうアザゼルは言った……

 

 

そうか……悪魔は悪魔で色々忙しいみたいだな……先輩達も大変だ。

 

まあそれでも一誠の今考えることは取り合えず禁手化(バランスブレイカー)の維持力の向上……もっと強くなんなきゃいけないんだ……皆と一緒にいたいからな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つうわけで当分リアス先輩の実家に厄介になるからさ」

【了解。ちゃんと挨拶してうまくやれよ?】

「どう言うこと?」

【あ、今のは失言だ。じゃあな】

 

一誠は一応実家に電話を掛けて一刀にしばらく家を留守にすると言う旨を悪魔とかその辺りは隠して(実際はバレてるが……)伝えていたが何か言い掛けて慌てて電話を切られた。

 

「なんだいったい全体……」

 

一誠は首をかしげた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃一刀は……

 

「あら一刀、誰から?」

 

そう言って顔をだしたのはキラキラ輝くウェーブの掛かった髪を卸し美しい美少女……元・曹操にして現在は【胡蝶】グループの社長。北郷 華琳である。見た目は若いがこれでも1児の母であり一誠が世界でもっとも恐れる女性である。

 

「おお華琳。一誠からだよ。しばらく先輩の実家にいくんだと」

「ああ、貴方が言って一誠を欲しがった家の子ね?」

「そうだ。ま、互いが納得するんだったら一誠をあげても良いと言う話になったのは話しただろ?」

「ええ、無理矢理な結婚は許さないけどって話よね?でも一誠の方はどうなの?」

「結構特別視してるよ?俺から見てもわかったもんね。ま、後は時間ときっかけだろ」

「良かったわ……もしかしたら一誠は結婚しないか男に走るんじゃないかと心配したものだったけど……」

 

華琳の言葉に一刀は苦笑いした。

 

「でも一度会ってみたいわね……まあ明日からしばらく海外に飛ぶから無理だけどね」

「今度はどこだ?」

「欧州の方にいく予定よ」

「そっか……」

 

一刀はまたずいぶん忙しいなぁ心配を内心ではするがまだ顔色は全然良いし今は止めても無駄だろう。そこは付き合いも長いから弁えてる。もう少し疲れないと止まりゃしない……一緒に欧州の方にいく面子に頼むしかないな。

 

「それでそのリアスって子はどうなの?」

「良い子だよ?何て言ってもかわいかったなぁ……スタイルも良くって……――はっ!」

 

一刀は慌てて口を押さえたがもう遅い……

 

「へぇ?スタイル良かったの?」

「はわわわわわわわ……」

 

華琳の背中に死神が降臨した……

 

「そう……スタイルがねぇ……今随分デレデレしてた顔したけどそれは良いスタイルだったのねぇ……一刀」

「か、華琳さん?ぜ、絶はしまいましょ?ね?ね?」

 

一刀は距離を少しずつとる……そして、

 

「逃げるが勝ち!」

「待ちなさい!」

 

二人は仲良く追いかけっことなった……今日も北郷家は平常運転である……




最新刊買ってきて読んだら泣けました。結構ガチで感動して泣いてしまった。いやぁ……ちょっと恥ずかしい。

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