【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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会談襲撃

「さぁ行くわよ」

『はい!』

 

遂に会談の日になった。とは言え神器(セイクリットギア)を扱いきれてないギャスパーは小猫と一緒にお留守番。一誠はリアス先輩と一緒に会談の場に向かう。

 

「だけど下級堕天使の私がこんな歴史的な場に行くことになるとは思ったことがなかったわ」

 

レイナーレが肩を竦めると一誠も苦笑いした。

 

「私もです」

 

何てアーシアも言う。まあ三大勢力の会談何て三大勢力の溝を憶測程度にしか理解してない一誠でも何となく把握してる。まあ自分が緊張しても仕方ないがそれでも気は引き締まるような感覚である。

 

そして会談の部屋につくとリアス先輩がノックした。

 

「失礼します」

 

中にはサーゼクスさんとセラフォルーさんにグレイフィアさんに会長さんの悪魔陣営、ミカエルさんと綺麗な天使と思われる女性の天界陣営、アザゼルと……白龍皇・ヴァーリ……

 

『……………………』

 

一誠とヴァーリの間に微妙な空気が流れた。

 

「知り合い?」

 

祐斗に聞かれて一誠は答える。

 

「あれが白龍皇だよ」

『っ!』

 

全員が素の白龍皇を見るのは初めてなので表情をこわばらせた。

 

「こんなところで二天龍の決戦は辞めてくれよ……」

 

アザゼルがため息をついた。だがヴァーリは肩を竦めるだけでなにも言わない。

 

「さて、これより三大勢力の会談を始めよう」

 

サーゼクスさんの言葉で話し合いは始まった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会談は順調に進んでいく。なんでもこの会談に参加するものは全員神の不在を知るものが前提らしい。

 

中身としてはまあこれからどうしていくか……そんなところだ。悪魔も天使もこの先は数を減らしていくばかりになっているため無駄な戦いはしたくないらしい。

 

サーゼクスさんみたいな悪魔が増えれば悪魔も存亡の危機みたいにならないと思うんだが……純血だのと言ってる場合でもないだろうになぁ……何て考えながらいると、

 

「それでは先のコカビエル襲撃のことをリアスたちの説明をお願いしたい」

『はい』

 

リアス先輩と会長さんは前に出る。少し先輩は震えていた。

 

(大丈夫ですよ)

 

そっとアイコンタクトするとリアス先輩も少し落ち着いた表情になった。

 

説明の内容はまあ脚色を加えても仕方ないのでアリのままに伝える。あったことをそのまま説明するだけなので特に困らない。

 

「以上が私とソーナ・シトリー、赤龍帝・北郷 一誠及び眷族が受けた襲撃についてです」

「わかった。さてアザゼル。以上の報告を聞いてなにか言うことはあるか?」

「まああれだ。悪かったとは思ってるよ。勝手にやらかしたとは言えうちのが迷惑かけた。そしてコカビエルのバカはコキュートスの最下層で永久冷凍したしもう出てこねぇ。って書類にも書いただろ?まあ文句があるなら受けてやるさ」

 

ずいぶん適当だが……まあきちんと処分したけどそれでもなにか言いたいなら何でも言ってくれと言うことでいいんだろう。

 

「説明としては最低ですがまあ良いでしょう。それよりあなたは戦争はしたくないといっていると言うのは本当ですか?」

 

ミカエルさん聞くとアザゼルはうなずく。

 

「もううちは闘いなんざ興味ねぇよ。コカビエルもその辺のことで俺をこき下ろしてたって言ってたじゃねぇか」

 

そうなんだよなぁ……コカビエルも言ってたがアザゼルは戦争に興味がないと言うか戦いをしたくないらしい。だからこそコカビエルみたいに暴れるやつがいるんだが……

 

「ったく。俺はこれでも今の世の中に十分満足してるんだぜ?信用ねぇなぁ俺もよ」

 

そりゃそうだが?とその場の全員が頷いた。

 

「まあ信用何て言葉ほどお前に似合わない言葉はないからな」

「おいヴァーリ。お前どっちの味方だ」

 

事実を言っただけだとヴァーリは知らんぷりだ。

 

「ちっ!分かったよ。なら和平といこうぜ」

 

アザゼルの一言にその場にいた上役は驚愕した。

 

「なんだ?嫌か?」

「いえ、貴方の口からと言うのに驚いただけです。まあ私もそう言おうと思ってこの場にいましたからね。このまま睨みあっても世界の害悪にしかならない。大本の神や魔王はもういないのですから」

「悪魔もどう意見だ。このままでは悪魔も衰退して滅んでいくだろう。そうなる前に前に進まなくてはいけない」

 

するとアザゼルの表情が変わった……多分……さっきまでのふざけた雰囲気は芝居でこっちが本性なんだろう……

 

「ま、次やったらそうなるわな。俺たちは共倒れ……人間にも悪影響だろう。そうやって考えればもう俺たちは戦えないのさ」

 

さっきとは別人のような雰囲気のアザゼルは続ける。

 

「神がいない世界は間違いか?神がいな世界は衰退するか?しないだろ……俺たちは生きてるしな……【神がいなくても世界は回る】……いや、回さなくちゃなんねぇんだろうぜ」

 

その言葉に三大勢力は頷いた。

 

神がいなくても世界は回る……か、確かにいない世界で回してきたんだ。その通りだろう。結局世界を回すのは神様でも魔王でもない。

 

【今の世界を生きてる者】だ。

 

何て一誠が結論付けてると会談は終盤に入っていて和平の調印がなされた。これで終わりだろう。

 

「さて、こんなところだろうな」

 

サーゼクスさんが言うと空気が和らいだ。ま、重要案件はこんなところなんだろう。

 

「では赤龍帝殿。先日のお話を聞きましょう」

「え?此処でですか?」

 

てっきり後でこっそりかと思ったがミカエルさんは首を横に振った。

 

「この場だからこそ……です」

「…………わかりました」

 

この話はアーシア達から既に許可はもらっておいた。だから聞こうと思えばいつでも聞けた……許可がもらえたなら遠慮なくさせてもらう。

 

「……何故アーシアとゼノヴィアを追放したんですか?」

 

全員の視線が一誠の集中した。まあいきなりこの話は驚きだとは思うけど……どうしても聞きたかった。アーシアは何故追放されたのか?悪魔を治したのがそんなにイケなかったのか?従順なクリスチャンでいまだってお祈りを忘れない優しいアーシアが何で追放されたのか……ゼノヴィアもそうだ。何だかんだでゼノヴィアも今だって事あるごとに祈りを捧げて頭を痛くしている。もう習性なんだろうと思ってる。なのにそれほどまでのクリスチャンでも追放した……それが何時までも一誠の中で引っ掛かりとしてあった。

 

それにたいしてミカエルさんは真摯に答えた。

 

「それに関しては言い訳はしませんし申し訳ないとしか言うことができません。神が消滅したあと加護と慈悲を司る【システム】だけが残りました。これを用いて奇跡を呼び起こすのです。悪魔払いや十字架などの聖具の力もこれのお陰です」

 

それは知っていた。それが機能してないと悪魔に聖水や十字架はダメージにならなくなる。

 

「ですが【システム】は神以外が扱うのが非常に困難です。今は私を筆頭に天界の幹部でどうにか稼働させていますがそれでも神がいた頃より信徒も救済も激減しました」

 

そしてミカエルさんは続ける。

 

「そのため【システム】に影響を及ぼすものを遠ざける必要があったのです。ひとつは神の不在を知るもの……そして一部の神器(セイクリットギア)……貴方の赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)やそこの白龍皇の白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)……そしてアーシアさんの聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)等もです」

「それは悪魔を回復できるからですか?」

「正確には堕天使も回復できます。ですがどちらにせよそのような神器(セイクリットギア)があれば信徒に少なからず影響を与えるのです」

 

ただでさえぐらついた基盤に衝撃を与えるような事をするわけにいかない……そうせざるを得なかった……そういっている。

 

「それ故にアーシア・アルジェントさんとゼノヴィアさんを異端とするしかなかった」

 

申し訳ありません……とミカエルさんは頭を下げた……すると先に首を横に振ったのはゼノヴィアだ。

 

「いえ、ミカエル様……謝らないでください。この年まで教会に育てられた身で理不尽に感じた部分もあります。ですが理由を知ればどうと言うことはありません」

「あなたが悪魔に転生したのはこちらの罪です」

「後悔がなかったとは言いません……でも教会にいた頃にはできなかったことをここではできます。今の私の日常を彩ってくれるものたちが沢山います……私は……今は幸せです」

 

次の声を発したのはアーシアだ。

 

「私もです……一誠さんに出会って沢山の事を知りました。大切にされることも知りました……嬉しいことも……楽しいことも……仲間もできて……私は満足です」

 

それを聞いてミカエルさんは嬉しそうに笑った。

 

「二人の寛大な心に感謝いたします。デュランダルはゼノヴィアにお任せいたしましょう。貴女ならちゃんと扱ってくれそうです」

 

さて……とアザゼルが声を発した。

 

「おれとしちゃあそこの堕天使にも聞きたいんだが……」

「…………」

 

レイナーレは体を強張らせた。

 

「まあまさか刺客に送った堕天使が死んだと思ってたら生きてたのには我ながらたまげたぜ」

「何で俺を狙ったんだ?」

 

一誠が聞くとアザゼルは言う。

 

「お前が危険な神器(セイクリットギア)の使い手だと判明したからだ。例えば核弾頭を大量に所持した国があったらお前ら人間だって警戒するし出来れば後顧の憂いは断ちたいって思うだろ?やられる前にやっておきたいって思うだろ?それもお前は調べたときは人間だと出てきた。人間がそんな危険な力持ってたらろくな使い方をしねぇからな。うちにとって危険になる前に排除したかったんだよ……まあそれが自称人間だったと言うわけだが……」

「誰が自称人間だ……」

 

堕天使からすら自称扱いかよ……と一誠は不満顔だ。

 

「ま、ここで土下座したって後の祭りだ。その辺は俺のやり方で謝罪するさ」

「?」

 

どう言うことなのか分からないが……まあ何かしらの謝罪があると言うことか?

 

「それでな……なあそこの堕天使……ええと……」

「レイナーレです……」

「そうかレイナーレ……お前はそこにいるか?」

 

アザゼルが聞くとレイナーレは力強く頷いた。

 

「私は……ここにいます」

「そっか……ならいい」

 

アザゼルは満足そうにうなずいた。一応送ったものとして責任を感じていたらしい。その辺りは気になっていたんだろう。

 

「んじゃ、あとは世界を変えそうな者達に聞くとしようか。お前は世界をどうしたい?」

 

アザゼルがヴァーリに聞く。

 

「俺は特にない。時々戦って自由で束縛されない生活をさせてもらえれば満足だ」

 

なら赤龍帝は?とアザゼルの目がこっちを向いた。まあ答えは決まってる。

 

「俺は平和で静かなら満足です。仲間に危害が及ばないなら特に戦う理由もありません……ただ仲間に危害が及んだら暴れまわります……先の大戦何て目じゃないくらい大暴れするつもりです」

 

何て言うとアザゼルだけじゃなくてサーゼクスさんとセラフォルーさんにミカエルさんもひきつった笑みを浮かべた。今のはちょっとした啖呵なのにそれだけで三大勢力の親玉たちの顔がひきつるってどんだけ昔大暴れしたんだドライグさん……

 

《忘れたよ》

 

何てやり取りをした瞬間……なにかを感じ取った……感じるのは二度目の感覚……これは……時を止めた感覚だ。

 

「これは!?」

 

一瞬の間を感じて(時が止まったら何時間だろうと一瞬なんだが……)一誠が動くと他の皆も動き出す。トップ集団は既に動いていたが……

 

「何があったんですか?」

 

周囲を見渡して動けるのは白龍皇、三大勢力のトップとグレイフィアさん、あとはリアス先輩と祐斗とゼノヴィアは動けてるがそれ以外は動けないようだ。

 

「赤龍帝と白龍皇は神滅具(ロンギヌス)で聖魔剣使いはイレギュラーな存在、そしてデュランダルだ。サーゼクスの妹は時が止まる瞬間に偶然赤龍帝の近くにいただろ?それでだろうな」

 

何てアザゼルが説明してくれた。

 

「それで一体……」

「テロだよ」

 

アザゼルの言葉に一誠は肩を落とした。テロですか……何だか今回は事件とかそう言った諸々は無しで終われると思ったのに……何て日だ!

 

「俺は平穏がいいと言ったばっかしだぞコンチクショウ!」

「世の中そうはうまくいかないものだ」

 

ヴァーリがいらん突っ込みをくれた。

 

「さて表には多数の魔法使いか……一人頭中級悪魔位だな。まあこっちが結界張ってれば入ってはこられないがそれよりこの時間を止めた奴だな」

「ギャスパーか?」

 

時を止めたと言うので思い付くのはギャスパーだ。一誠が聞くとアザゼルは頷く。

 

「誰かが譲渡系の神器(セイクリットギア)であのハーフヴァンパイアの小僧に譲渡したんだろう」

赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)みたいなのは他にもあるのか?」

赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)は無限の倍化と譲渡だ。だがそれぞれ単独は存在するんだよ。まあ厄介きわまりない能力を二つ持つって事で神滅具(ロンギヌス)だ。だから神滅具(ロンギヌス)は一種のバグなんじゃないかって言われてる」

「成程……」

 

分かりやすくて助かる。

 

「どちらにせよ私の眷族をテロの道具にするなんて許せない」

「そう怒っても仕方ないぞ。しかしタイミングやそのハーフヴァンパイアのことを知ってた辺り内部事情に詳しいやつがいやがるな……」

「取り合えずまずはギャスパー君の奪還だね……どうするか……」

「でしたら私がいきます。ルークを残してあるのでキャスリングもできますし」

 

キャスリングとはルークとキングを入れ換える力らしい。成程……面白いな。

 

「そうか……グレイフィア、私の魔力でキャスティングを複数にできるか?」

「簡易魔方陣しか妨害されてて使えませんがもう一人くらいなら……」

「なら俺がいきます」

 

一誠が手を挙げた。それを見てサーゼクスさんは頷くとグレイフィアさんが魔方陣を作った。

 

「おい赤龍帝、これやるよ!」

「ん?」

 

アザゼルがなにかをリングみたいなものをくれた。

 

神器(セイクリットギア)を押さえる奴だ。ハーフヴァンパイアにつけてやれば力の制御がある程度できる言うになるだろう」

「わかった、あと俺は北郷 一誠だ!」

 

一誠はそれだけ言うとリアス先輩と一緒にいく。

 

「いきましょう一誠!」

「はい!」

 

そして二人は魔方陣に近づく……するとアザゼルはヴァーリを呼んだ。

 

「丁度良いからお前は外に出て暴れてこい」

「俺が?」

「目を引くの何てお茶の子さいさいだろ?」

「……それより今回の発端になってるハーフヴァンパイアごと吹っ飛ばした方が早いだろう?」

「それを使用とした瞬間お前が吹っ飛ぶぞ……」

 

一誠が睨み付けるとヴァーリが肩を竦めた。

 

「冗談だ」

 

そう言うとヴァーリの背中から光の翼みたいなのが生えた。あれが……白龍皇の神器(セイクリットギア)……白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)

 

禁手(バランスブレイク)!」

 

《VanishingDragon BalanceBreaker!!!!》

 

次の瞬間ヴァーリの体を一点の曇りもない純白の鎧が包んだ。それと共に感じるパワーの奔流……間違いない……化け物みたいな強さを持ってるのは簡単に理解できた。

 

ヴァーリはそのまま外に出ると魔法使いに向かって魔力弾をぶっぱなす。あまりにも圧倒的なパワーの差……闘いとか戦争って言うよりはヴァーリの圧倒的な力をもって行う蹂躙だ。相手になってない。

あれが自分のライバルと言うたち位置なのか……しかもヴァーリはどう見ても手加減してる。もし戦ったら無事じゃすまないぞこっちも……

 

何て考えているとアザゼルとサーゼクスさんの会話が聞こえた。

 

「しかしあれらは何者なんだ?」

「恐らく禍の団(カオス・ブリゲード)だろう」

禍の団(カオス・ブリゲード)?」

「ああ、組織名等はここ最近発覚したがな。三大勢力の危険分子を集めてるテロリスト……まあ平和が嫌いな連中の集まりさ」

 

何て傍迷惑な集まりだと一誠は思う。

 

「組織の頭は《無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)》と呼ばれたオーフィス……世界が存在するときより最強の座に君臨する最強の存在……」

 

それを聞いてサーゼクスさんですら表情を曇らせた。と言うか畏怖してる?

 

だがそこに、

 

「そう、オーフィスが禍の団(カオス・ブリゲード)のトップです!」

 

その声と共に階段の部屋のすみに魔方陣が出た。

 

「っ!グレイフィア!すぐに二人を飛ばすんだ!」

「はい!ご武運を!」

『っ!』

 

次の瞬間リアス先輩と一誠の二人は光に包まれた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっと!」

 

次の瞬間には二人は部室にいた……

 

「転移してきたのか!?」

 

突然の登場に中に占拠してた魔法使いたちは驚愕した。

 

「ギャスパー!助けに来たぞ!」

「一誠先輩!部長!」

 

ギャスパーはそういった瞬間泣き出した。

 

「僕……もう嫌です。もう死んだ方がいいんです……迷惑ばっかりかけて僕なんていない方が……」

 

迷惑なんて思っていない。それはリアス先輩だって同じだ。

 

「バカなことを言わないでギャスパー。言ったでしょう?私はあなたを見捨てない。貴方の生き方を見つけなさいと!」

「でも僕は見つけられません……弱い僕では……」

「あなたは私の眷族よ!」何があっても見捨てないわ!」

 

流石だ……そうやって豪語できるんだからな。だが、魔法使いがギャスパーを叩いた。

 

「てめぇ!」

 

一誠は殴りかかりそうになるが寸でのところで止まる。

 

「愚かね、こんな危険な物を普通に使うって馬鹿げてるわ。旧魔王派の言う通りグレモリーはバカばっかり。こんなの洗脳しちゃえば評価だって取り放題だし敵対してる堕天使に放り込んで神器(セイクリットギア)を暴走させれば幹部を退けられたかもしれない。仲良しこよしで扱うき?」

 

そういってギャスパーの髪を引っ張る。

 

ギリッと一誠は歯を噛み締めた。こいつは絶対ぶちのめす……今は我慢してやる……だが、攻撃の隙ができたらありったけをぶちこんでやる……

 

「あなたからはそう見えるのかしら?でもね、自分の眷族を洗脳してまで評価を稼ぐのが頭のいいやり方なら……私は馬鹿という評価でいいわ」

 

リアスの言葉に一誠は背筋がしびれた。格好いいぜ先輩……惚れちまうよ本当にさ、もし……眷族になるんだったらこういう人がいいよほんと。ギャスパー……お前は幸せ者だ。だからよぉ……

 

「ギャスパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

一誠が発した爆音にも似た大声に魔法使いが顔を歪めた……今だ!

 

「お前聞いただろ!先輩だけじゃねぇ!皆お前を見捨てねぇ!迷惑だって幾らだって掛けろ!それくらい幾らだって面倒見てやる!それが仲間だろうが!」

 

《Blade!》

 

次の瞬間赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)が顕現しそこからアスカロンの刀身が出た。

 

「男にはやらなきゃイケねぇときがあるんだ!覚悟決めろ!怖いんだったら俺たちが一緒に歩いてやる!だから逃げるな!」

 

そう言って一誠は自分の手を切った。血が出る。

 

「飲めよ俺の血を!そして男を見せろぉ!」

 

ギャスパーの目がカッと見開かれた。ブン!っと手を振ると血がギャスパーの顔につきそれを舐めとった……そして、

 

「消えた?」

 

そう、ギャスパーが消えた……

 

『チチチチチ……』

 

するとなんと天井に無数のコウモリがいた……これ全部ギャスパーか?

 

「吸血鬼の力か!?」

 

魔法使いは離れようとしたがその前に自分の影に捕まれて動けなくなった。

 

「ならば!」

 

こっちに魔法を放とうとしたが動かない……

 

「時を……」

 

止めたのか……しかも部分的に魔法の発動だけを止めてある。

 

「一誠先輩!」

「ああ!」

 

一誠は走り出すと拳を握る。

 

「ま、待て!女を殴るのか!?」

「北郷家家訓 第十二項!《人としての屑に性別はない!そんなやつは女であろうとぶっとばせ!》だ!こんなときだけ女というのを主張してんじゃあ……」

 

一誠は氣を込めて拳を握る。

 

「ねぇえええええええええ!!!!」

 

顔面に炸裂させた拳は魔法使いを遥か後方に吹っ飛ばし部室の壁を突き破ってそのまま結界にぶつかって落下するまで吹っ飛んだ……

 

「あ、やべ……」

 

部室の壁ぶっ壊した……

 

「幾らなんでもやり過ぎよ……まあ今回はスッキリしたけどね」

 

すいません……とリアス先輩に一誠は頭を下げた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしやっぱりやればできるじゃねぇかギャスパー」

「はい!」

 

一誠の血の力は一時的なものですぐに戻ったがギャスパーに多少なりとも自信を与えたらしい。

それにしても……

 

「おいドライグ、オーフィスってなんだ?」

《最強のドラゴンの名前だ。無限にも等しい力を持った最強のドラゴン。ま、今の相棒でも相手にならんだろうな。何せ全盛期の俺何かでも相手にならなかった》

「お前より強いやつがいるのか……」

《そいつとあと一匹いるがまあそいつらだけだ。ドラゴンで強いのはな。何せ神ですら手出しできなかった》

 

それはまた化け物なこって……それがテロリストの親玉とは世の中分からない。

 

「見えてきたわね」

 

一誠たちは外に飛び出すと皆はすぐそこに出ていた。と言うか会談に使っていた教室が吹き飛んでる?

 

「て言うかアザゼルと戦ってるの誰ですか?」

「あれは……」

「カテレア・レヴィアタンだよ」

 

皆のところにいくとサーゼクスさんが教えてくれた。

 

「旧魔王の血筋だ」

 

そう言うとカテレアと呼ばれた女性はアザゼルを無視して叫んだ。

 

「違う!我らこそが真の魔王よ!今の紛い者の魔王に旧扱いされる謂れはない!」

 

なんつうか……純潔にこだわる悪魔の極地って感じだな。冥界も一枚岩とはいかないらしい。

 

「ったく……いつの世も時代の流れに逆らうやつってのはいるもんだ。大変だな……サーゼク――っ!」

 

アザゼルが言い終わる前になにか別方向からの白い一撃……これは!?

 

「おいおい……ここで反旗を翻すのか……ヴァーリ」

 

そう……ヴァーリだった。アザゼルに攻撃を……

 

「いつからだ?」

「コカビエルを運んでる最中さ。勧誘されてね」

「ったく……禍の団(カオス・ブリゲード)……そこからはあの男の陰もちらついてたからな……まだお前はあの男を殺したいか?」

「………………」

 

ヴァーリはなにも答えなかった。だがなにかこの二人の間でしか知り得ないなにかがあったらしい。

 

そしてヴァーリはアザゼルから視線をはずし一誠を見た。

 

「俺はルシファー……ヴァーリ・ルシファー……明けの明星と言われた魔王の血筋を引くものだ!」

 

全員が驚愕した……今日は驚愕続きだ。

 

「嘘……」

「嘘じゃないさ。リアス・グレモリー……俺は旧魔王の血を引き白龍皇でもある……何か運命めいた物を感じるね」

 

アザゼルが嘆息する。

 

「そいつは恐らく過去、そして未来においても最強の白龍皇となるだろうな……さてカテレア……お前明らかに何かやってるだろ」

「ええ、オーフィスから世界を変革する力を……愚かな貴方達を倒す力を得ました」

「ま、確かに俺はシェムハザ居ないとなんもできねぇ神器(セイクリットギア)マニアさ……だが、サーゼクスやミカエルはそうでもないと思うぜ?お前よか遥かに優秀だ」

「世迷い事を……」

 

カテレアが睨むなかアザゼルは懐から短剣を出した。

 

「それは……」

「ま、好きも突き詰めれば大発明って訳だ……つうわけで禁手(バランスブレイク)!」

 

次の瞬間アザゼルを黄金の鎧が身を覆った……

 

「ま、人口神器(セイクリットギア)……それの禁手化(バランスブレイカー)だ。まだ研究段階だがお前を倒すのには丁度いい試作品さ」

「相変わらず面白いことをするな……」

 

ヴァーリも驚いてるぞ……

 

「ち!なぜそれほどの力がありながら!」

 

カテレアが動き出す……

 

「それに神器(セイクリットギア)の研究はそこまで進んでなかったはず!」

「やっぱりうちにもいたか……ま、詳しいところは俺とシェムハザ位しか知らねぇからな」

 

アザゼルの光の槍とカテレアの魔力がぶつかる。両者引かない?違う……アザゼルが押している。だが!

 

「ただでは負けない!」

「ん?」

 

アザゼルの腕にカテレアが自らの腕で作った触手のようなものが巻き付いた。

 

「自爆術式!?」

 

先輩がそういう。マジかよ!

 

「ならやるよ」

「え?」

 

アザゼル迷うことなく自らの腕を切り飛ばすと光の槍で串刺しにした……

 

「何故……私は……真の魔王……なのに……」

 

カテレアはそれでも自爆術式を起動させようとしたが発動しない……

 

「ナイスギャスパー!」

「はい!」

 

そう、一誠は慌ててもう一回ギャスパーに血を飲ませて自爆術式だけ止めさせたのだ。

 

「あんな薄汚れた人間と下級悪魔風情に……」

「ま、そういうわけでだ」

 

アザゼルの頭上に巨大な光の槍が生まれる。

 

「あばよ」

 

それがカテレアに襲い掛かり……跡形もなく消し飛ばした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さすがだな」

 

鎧を解除した片腕のないアザゼルを見ながらヴァーリは言う。

 

「さてヴァーリ……で?どうするんだ?やるか?」

「そうだな……だが俺としてはやはり赤龍帝かな?」

「っ!」

 

一誠とヴァーリの視線が交差する。

 

「君と俺の戦力比だがまあまずは接近戦は君だな。俺の母や堕天使でも磨いたがまあ君の方が師匠が良かったんだろう……上だ。そして魔力だがこれは俺だな。当たり前だが君は魔力はなくその代わり別の力はあるがそれを代わりにしても悪魔の血を持つ俺が有利だ。次に単純なパワー……これは君だ。速さは空を飛びなれてるのもあるけど俺かな?ここまで一進一退と続くともう戦ってみないと分からない……」

「そこまで買って貰えてるなら嬉しいもんだね……」

 

一誠は苦笑いで返す。

 

「しかしあれだな……君の母親と俺の母親の因縁が息子の代になって新しくに始まるとは思わなかった」

『?』

 

一誠とヴァーリの母親の因縁?それに関しては皆も首をかしげるだけだ。

 

「どうだろう赤龍帝。ここはひとつ戦ってみないか?どっちが強いかをね……それとも……君の大切な物を傷つければ少しやる気になるか?」

「っ!」

 

ビキッ!っと一誠の中でなにかが切れた。

 

「いいぜヴァーリ……その安い挑発に乗ってやる!」

「一誠!」

 

リアス先輩の静止にも止まらず一誠は走り出すと赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)を出した。

 

禁手(バランスブレイク)!」

 

《WelshDragon BalanceBreaker!!!!》

 

赤い鎧を身に纏って一誠はヴァーリに突進した。

 

「いくぞヴァーリ!」

「ああ!来い!」

 

二天龍の戦いが幕を開けた。




次回二人は戦います。まあ激戦は必須ですかね。と言うか今回は長すぎた。もう少し短く書かないとさすがに長い……

では次回、覇王の息子と英雄の息子……二人の王の血を引くドラゴンの戦いにご期待ください。

ご期待に添えるように書かなければ……

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