【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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ドラゴンスレイヤー

「うーん……」

 

ギャスパー解放から二日後……一誠は放課後に姫島先輩から呼び出しを受けていた……だがその場所は、

 

「しかしなぜ神社?」

 

そう、神社である。一誠は自称とは言え人間なので悪魔と違い神社の敷地内に入っても特に問題はないが何故ここに呼び出されたのかが分からん……すると、

 

「いらっしゃい一誠くん」

「あ、姫島先輩?」

 

中から出てきたのは姫島先輩だった……しかもなんと服装は巫女服だった……これはなんとも言えない色気があった。いやぁ流石に純和風と言うか大和撫子だ。よくよく考えれば純日本人系は姫島先輩位であった。

 

一誠は前髪の一部と顔立ちや目の色は母親譲りでお世辞にも日本人とは言えない。と言うか血筋的にも日本人とは中国人なのでハーフである。

 

まあ黒髪繋がりであればレイナーレもそうだが物腰は姫島先輩が圧倒的に大和撫子だ。うん。凄く良い……

 

「お待ちしてましたわ。どうぞこちらに」

「あ、はい」

 

一誠は姫島先輩に連れられて鳥居を潜る。

 

「ここにすんでるんですか?」

「ええ、神主がいなくなって無人になったここをリアスが確保してくれたのです」

「成程……」

 

特に壊れてるところもないしきれいな神社だ。普段からちゃんと手入れされてるんだろう。実家は純和風の作りなので親近感もわく。

 

「ここでお待ちですわ」

「わかりました」

 

姫島先輩に言われて入ると……

 

「あなたが赤龍帝ですね?」

「っ!」

 

目の前にいたのは天使も輪っかを頭上に浮かばせて聖なるオーラを体から流す柔らかな表情を浮かべるイケメン……

 

「はじめまして今代の赤龍帝。私はミカエルと言います」

 

目の前にいる大物に一誠は息を飲んだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたが俺をここに呼んだんですか?」

 

一誠が問うとミカエルさんは頷いた。

 

「なぜ?」

「あなたにこれを授けようと思いまして」

 

そう言って指を指した先には一振りの両刃の西洋系の剣……ブレードと呼ばれる種類に属するであろうその剣から発せられるオーラは一誠でも寒気を覚えた。なんだこの剣……

 

「これはゲオルギウス……又は聖ジョージといった方がわかりますか?その者が持っていた龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖剣・【アスカロン】です」

 

昔読んだ本で見た名前だ……確か龍退治で名を馳せた人物だったはず……それが持っていた剣か。

 

《そうだな。しかし龍殺し(ドラゴンスレイヤー)か……相棒が感じる寒気を感じるわけだ。俺を宿す代償としてお前も龍殺し(ドラゴンスレイヤー)は弱点になってるからな》

 

それは初耳だった。そしてミカエルさんは言葉を続ける。

 

「安心してください。特殊儀礼を施してあるので持っても安全です。まああなたが持つと言うよりは赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)にどうかさせるといった感じでしょうね」

 

出来るのか?と一誠はドライグに聞くと、

 

神器(セイクリットギア)は持ち主の思いに応える。お前が望むならできるさ》

 

そうか……だがそれより聞きたいことがあった。

 

「恐らく貴重なものだと思いますけど……なんでそんなものを俺に?俺は人間でしかも大戦時に迷惑をかけたドラゴンの所有者ですよ?」

 

そう言うとミカエルさんは答えた。

 

「願掛け……みたいなものですかね。過去にあなたが言ったように赤い龍は白い龍と共に戦場を荒らし回って結果として三大勢力は一度手を取り合った……そして今回の会談は和平の可能性を持った大切なものです。ですから悪魔へ力を貸している貴方に願をかけながらプレゼントしようと思いましてね。それにあなたは人間……周りから自称扱いされているようですがそれでもこう言った武器があって邪魔になると言うことはないと思いますが?」

 

確かに……超常系との戦いはこれからもあるだろうしそういったことを考えればこれはあっても邪魔にはならないだろうし見たところ剣も一流の業物だ。受け継いだ剣術を使う際にも重宝するだろう。

 

と言うかやはり天界サイドからは自分は悪魔側の人間と思われてるらしい。まあ別に良いけどさ……

 

「分かりました。有り難く頂戴します」

 

願掛けの一つや二つくらいなってやってもよかろう。三大勢力の和平は一誠個人としたって邪魔する意味もない。平和ならそれで良いと考えもする。

 

そう思いながら一誠は赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)を出すと籠手の方の手を伸ばす。

 

《相棒。アスカロンと波長を会わせろ。後は俺がやる》

「了解……っと」

 

一誠はアスカロンを握るとその力が体に流れて浸透していくような感覚が起きる。そして次の瞬間アスカロンが赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)から生えたような形状になった。序でに集中するとアスカロンを出して普通の剣としても使えるようだ。凄いなこれ……

 

「では私も時間ですからこれで……」

 

そう言って立ち上がったミカエルさんを見て一誠は声をかけた。

 

「あの……一つ言いたいことがあったんですけど……」

 

一誠は天界の……しかもそのトップとなればひとつ言いたいことがあった……が、

「会談の後かその場で聞きます。何を言いたいかは把握してますし逃げません。ただ貴方だけではない方が良いでしょう?」

 

確かにその通りだ……一誠は無言で頷くとミカエルさんも光の中に消えていったのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうぞお茶です」

「あ、どうも」

 

ミカエルさんからアスカロンを受け取ったあと一誠は姫島先輩に神社の居住区に入れて貰いお茶をいただいていた。母から教わった所作を行って一口……うん。深い苦味が口を伝っていきさっぱりする。

 

拝啓お母様……昔これを習ったときは使う状況あるのかよと悪態を内心つきましたが使う場合がありました。感謝します。

 

「一誠くんはそう言ったものも分かっているんですね」

「母が厳しい人でしてね」

 

ほんとに鬼だよあの人は……まあ優しいところもあるけどさ……

 

それにしてもいまは姫島先輩と二人きりか……なら少し聞いてみたかったことを聞いておこう。

 

「コカビエルが言ってましたけど……姫島先輩ももしかして堕天使の?」

「……はい。私は堕天使の幹部・バラキエルと人間の間に生まれたわ」

 

そう言って姫島先輩は背を向けると翼を出した……何度か見たことがある悪魔の翼……そして堕天使の翼だ……それは一つずつの一対になって背中から出ていた。

 

「私はこの翼が嫌だった……だから悪魔になったの……そしたら今度は悪魔でも堕天使でもないどっち付かずの半端者……」

「……………………」

 

一誠は黙って聞いた。

 

「レイナーレちゃんが貴方の元にいるのにご免なさい……でも私は自分の中にある血がどうしても好きになれなかった……拒絶したの」

 

いま思えば……レイナーレと姫島先輩話してるのを見たことがなかった。二人でどこか他人行儀って言うか……境界線がある感じだった。

 

コカビエル戦のあとからそれが強くなった気がする。

 

「悪魔であって堕天使……でも同時にどちらでもない中途半端な未熟者……みっともなくて笑えてくる……それが私なの……」

 

どこか自嘲的で弱々しい言葉……そうだったのか……そして一誠は……頭を下げた。

 

「すいません」

「え?」

「嫌なこと……聞きましたよね……すいません。昔からほんと無神経で……」

「そんなことは……」

 

でも……と一誠は姫島先輩の言葉を遮った。

 

「中途半端なんかじゃない。姫島先輩はリアス先輩の片腕としてしっかり悪魔やってます。部員には優しくて……時々辛かったりして……そんな先輩です。全然みっともなくなんかない」

「違うわ一誠くん……私はこの血のことを忘れたくて……ただそれを考えて……必死だっただけよ」

「それでも姫島先輩やったことは素晴らしいことですよ。オカルト研究部の副部長……それは姫島先輩だからできたんです。それにレイナーレはレイナーレ……そして姫島先輩は姫島先輩でしょう?堕天使のハーフだとか関係ないですよ。姫島先輩が思ってそして起こした行動が今の立ち位置なんです。俺が尊敬しますし……俺はそんな姫島先輩が好きですよ」

「っ!」

 

姫島先輩が一誠の顔を潤んだ目で見た……

 

「殺し文句……言われちゃいましたね……本気になっちゃうじゃない……」

「え?」

 

なんか最後の方が聞こえなかったがなんかヤバかったのだろうか……何て思ってると姫島先輩が抱き付いてきた。

 

と鳥肌と寒気がぁ……そしそれと共に意識が遠くへ……

 

「ねえ一誠くん……一誠くんはリアスのことが好き?」

「……はい!?」

 

行く前に戻された。リ、リアス先輩ですか……そりゃあきれいですけど……可愛いですけど……でもどうなんだろう……よくわかんねぇ……

 

「ど、どうでしょうね……」

 

すると姫島先輩は楽しそうに笑った。

 

「そうね……向こうも本気だし割り込むのは無理そうね……後はアーシアちゃんとレイナーレちゃんがいるし……私は四番目でいいですわ」

 

四番目?なんのランキングだ?

 

「あと一誠くん。私のことを朱乃って呼んで」

「ええ!?そんな先輩を……」

「せめて二人のときはそう呼んで……あと皆の前では朱乃さんって呼んで欲しいわ……ね、お願い」

 

そう懇願されて一誠は唾を飲むと声を絞り出した。

 

「あ、朱乃?」

 

そう言うとパァッと顔が明るくなった。

 

「嬉しい。一誠」

 

なんだろう……いつもの大人びた先輩としてじゃない。なんか同世代の女の子の口調だった。

 

「ふふ、リアスより先に呼んでもらえましたわ。知られたら嫉妬するかしら?」

「?」

 

どう言うことだか分からない……が、次の瞬間襖が乱暴に開けられた……え?

 

そこに降臨するのは紅の髪を揺らす美少女……

 

「せせせせせせ先輩!?」

 

滅びの魔力を全身から迸らせ髪を揺らしたリアス先輩……そしてツカツカ近づくと一誠の頬を抓った。

 

「どうしてあなたは少し目を離すとこうしてばっかり!」

「いふぇふぇふぇふぇふぇすいません先輩!」

 

結構強めに抓られて 一誠は涙目である。

 

「ミカエルは?」

「帰りました!」

「剣は?」

「貰いました!」

「なら用事は終わったわね?」

「終わりました!」

「なら帰るわよ!」

「ふぁい……」

 

リアス先輩に引っ張られて一誠は立ち上がると引き摺られて行く……

 

「一番候補のリアス部長が羨ましいですわ」

「………………帰るわよ」

「姫島先輩……じゃなくて朱乃さん失礼します」

 

さっき言われたことなので言い直す。そう言って一誠も退室する。しかし……なんかリアス先輩の表情が曇ったのは気のせいだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………………』

 

その後二人で石段を降りていたが明らかにリアス先輩は機嫌が悪かった。どうしよう……謝った方がいいのか?でもなんて?

 

でもわりかしリアス先輩は一誠が他の女とくっついてる(一誠として不可抗力だが)と機嫌が悪くなる。だが何故だろう……分からない。もしかしていままで見たことがない人間が後輩としているので物珍しさで可愛がってるのかもしれない。それこそペット感覚でだ……それなら説明がつくが……

 

「ねぇ一誠」

「あ、はい?」

 

一誠は急にリアス先輩に話しかけられて顔をあげる。

 

「…………朱乃は朱乃って呼ぶのよね……?」

「そ、そうですね……」

「じゃあ私は?」

「先輩は……先輩じゃないですか?ずっとそう呼んでますし……」

「…………そうね……でも一誠……私は先輩だけど……リアスなのよ?」

「?」

 

そんなことは分かりきっているが……どうしたんだ急に?

 

「ええ、分かってますよ?」

「……そうね……そうなのよね……」

 

何がなんなのか分からなかったが……リアス先輩の悲しそうな表情は印象的だった……




気付けよ一誠……と言うわけでタラシのわりに女心には全く気づかん主人公でした。まあ理由もなく鈍感な訳じゃないんですけどね。

さて今回でアスカロンゲット……次回からは剣術も使えます!やったね。

さて次回は会談に入り二天龍の戦いも起きます。ではでは

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