【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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激突

「そんな剣で俺様の聖剣ちゃんが負けるかよぉおおおお!!!!!!」

 

フリードの聖剣と祐斗の新たな剣・聖魔剣が激しい火花と音をたててぶつかる……だが今度は両者引かない。と言うかむしろ祐斗の聖魔剣とぶつかった際のフリードのエクスカリバーにヒビが入った。

 

「な、なんじゃこりゃあ!」

 

フリードはその現象に度肝を抜かれた。そこで一旦下がると急に剣が鞭のようにしなって伸びると祐斗に襲いかかる……

 

「甘いよ」

 

だが祐斗はそれを見切って最低限の動きで躱す。フリードに祐斗が苦戦を強いられたのは元は冷静さを欠いたせいだ。今の祐斗は落ち着いている。

 

「こっちも忘れられたは困るな!」

「げっ!」

 

フリードは横から来たゼノヴィアの斬撃を躱す。

 

「まだだ!」

 

するとゼノヴィアが手を伸ばす。

 

「ペトロ!バシレイオス!ディオニュシオス!そして聖母マリアよ……我が声に耳を傾けてくれ。この刃に宿りしセイントの御名において、我は開放する……聖剣・デュランダル!」

 

ゼノヴィアの手に握られるのは青い刀身の巨大な剣……

 

「ばかな!デュランダルだと!?私の研究では人工デュランダルの使い手は出来なかったはずだ!」

 

それをみたバルパーは驚愕した。

 

「残念ながら私はイリナ達と違って天然物でね!」

 

そう言ってゼノヴィアがデュランダルを降り下ろすと凄まじい衝撃波が生まれフリードを襲う。

 

「なんだこの無茶苦茶な剣はぁ!」

 

まあ確かに振り下ろして衝撃波ってどんだけ凄い力だよと思う。

 

「ウォオオオオオオオオ!!!!!!」

 

だがそれだけじゃない。上がった砂塵に紛れ突進する影……祐斗である。

 

「オォオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」

「しゃらくせぇ!」

 

フリードは祐斗を迎え撃つ……そして一瞬の交差……次の瞬間……

 

「がはっ!」

 

エクスカリバーは砕けフリードは倒れる。

 

「皆……越えたよ……僕達は聖剣を越えた……」

 

それをバルパーは震えながらみた。

 

「何故だ……聖と魔は相反するもの……それはひとつになど……そうか!既に神は死ん……え?」

 

何かを言い掛けたバルパーの腹に何かが刺さった……

 

『っ!』

「てめぇ!」

 

突然のことに流石の一誠も反応が遅れた……何といきなりコカビエルはバルパーの腹を光の槍で貫いたのだ。

 

「流石だバルパー……馬鹿ではその思考にはたどり着けまい。だが用済みは処分させてもらうぞ」

「殺す必要はあったのか!」

「お前はゴミを使えるかもと取っておくタイプか?」

 

一誠は歯を軋ませた……コイツはここで潰しておかないといけないタイプだ……

 

「だが神がいない世界でそこの聖剣使いのように頑張るものもいるのだな」

「何だと!」

 

ゼノヴィアが目を見張る。

 

「なんだお前達は知らなかったのか?先の大戦で魔王だけでなく神も死んでいる。ミカエルも頑張ってはいるようだが信徒は減り、神からの祝福も減っている」

「そ、んな……」

 

ゼノヴィアはデュランダルを落とす。

 

「まあ末端には伝えてないようだな」

「士気に関わるだろうしな……」

 

一誠はと言うか北郷家は基本クリスマス祝ったり正月も祝ったりと宗教がチャンポンだし元々神に対して忠誠はないので特に気にはならないが ゼノヴィアには少々刺激が強かったらしい。この場のイリナやアーシアがいたらとんでもない騒ぎになったかもしれないな……

 

「さて……あっちも終わったみたいだしこっちも終わらせるとしますか」

「ああ……行くぞ赤龍帝!」

「っ!」

 

無数に飛ばされる光の槍の雨霰……

 

《油断は禁物だぞ相棒。先の大戦を生き抜いた者だからな。弱いわけではない》

「かもな……だけど俺の師匠だって戦いを生き残ったって所は同じだよ!」

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

「いっけぇ!」

 

飛んできた無数の光の槍を一誠は高めた氣弾で弾き飛ばす。さらにそのまま氣弾はコカビエルめがけて飛んでいく……

 

「ちっ!」

 

コカビエルはそれを躱した……が、

 

「そこだ!」

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

「ぐぉ!」

 

避けた先に一誠は先回りして加速した速度を上乗せした蹴りを叩き込む……

 

《Boost!Boost!Boost!》

 

「ウラァ!」

「ぐぁ!」

 

そこから更に体を回転させ遠心力を加えた裏拳……

 

《そう言えばお前の親もとんでもなかったな》

「何で知ってるんだよ……」

《俺はお前の中にいる状況だからな。お前の記憶も流れ込んでくる》

「うっわマジかよ……」

 

そんなおふざけも交えつつ一誠は拳を握る。

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

「オッラァ!」

 

一誠の渾身の一撃……はコカビエルを地面い叩きつける……だがこの程度じゃないはずだ……殴った感触がそう伝える。

 

「くく……はは……かはははははは!!!!!!」

 

コカビエルは楽しそうに笑った。

 

「そうだこれだ……この痛み!この苦しさ!全てが俺の心を震わせる!」

「ちっ!……精神が肉体を凌駕してるくちか……」

《昔ドラゴンにもああいうやつがいた……危険だぞ》

「わかってるさ……だからここでぶっ潰すんだ」

 

一誠は腰を落とすとそこにコカビエルが光の槍を投げながら突進してきた。

 

「ちっ!」

 

一誠は一気に飛び上がって躱すと距離をとりつつデカイ一撃を叩き込む隙を探す。ああいう輩は小手先よりとにかく体が動くのを拒否するような一撃を叩き込めと教わった……だが中々そういう隙はない。とは言えこのまま逃げ続けても仕方ない……ならば……

 

「オォ!」

 

氣弾を発射する。

 

「もっと俺を楽しませろぉ!」

「うぉ!」

 

だがその間をすり抜けコカビエルが突っ込んできた……そこから一誠に光の槍が迫るがそれを伏せて躱すとコカビエルの顎を穿つ……

 

「この!」

 

更に腹部に突きを叩き込む。

 

「ごぼっ……」

 

コカビエルは血を吐いた……が笑っている。

 

「気持ち……悪いんだよ!」

「っ!」

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

一誠の回し蹴りはコカビエルの腕ごとへし折って吹っ飛ばす。

 

「この痛み……ああ、この感覚だ!」

「マジで頭のネジが吹っ飛んでるな……」

 

流石に面倒になってきたぞ……

 

「行くぞぉおおおおお赤龍帝いいいいいいい!!!!!!」

 

コカビエルは高笑いしながら一誠に突っ込む……一誠も加速しながら突っ込んだ。

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

「オオオオオオオオ!!!!!!」

 

一誠大きく体を回転させた……こうなればあまり使いたくないが使うしかないな……極力使いたくなかったんだ……この技は……母達や姉達から習った数多くの技のなかでも手加減ができない部類の技……相手を殺傷することを前提とした技だから……

 

「円月蹴!!!!!!」

 

円い月を描くような美しい後ろ回し蹴り……それは的確にコカビエルの首に叩き込まれる。

 

「終わりだぁあああああ!!!!!!」

「っ!」

 

メキャ……という嫌な音がした……初めて感じる感覚と音……こんな感覚を味わいながら戦った母達には純粋に恐怖の念を覚えるしその胆力には称賛を送りたい……

 

「かひゅ……ひゅ……」

 

コカビエルはそのまま地面に落ちるとピクピクしながら転がる……当たり前だ。もうコカビエルは呼吸を満足に出来ないだろう。まあ堕天使だし首の脛椎を少し折ったくらいじゃ死なないだろうが……もう立てまい。

 

「はぁ……」

 

じっとりと嫌な汗をかいた。生まれて初めてだ……相手が死ぬかもしれない威力で技を放ったのは……ライザーの時だって極大の猛虎蹴撃をはなったがきちんとライザーが死なない程度には手加減をしたしあれは殆ど見た目派手なだけで威力事態は相当押さえておいた。だが今回はコカビエルが死んでも構わないと思って放った……その差は大きい。

 

「一誠!」

 

そこに皆が来た……まあ良い。戦うってのはそういうことだ。ましてやコカビエルのような危険人物と戦うのだから殺す覚悟はしておかなければならない。そういう意味ではまだまだ自分は青い。

 

「それでコイツをどうしますか?」

「そうね……冥界に送った方がいいわね……」

「…………いや、そうはいかないみたいですよ」

 

小猫とリアス先輩が話しているのを一誠は止めた……この気配……なにかが来る!

 

『え?』

 

その次の瞬間結界が消えた……シトリー眷属全員の結界を易々とぶち破って入ってきたのは……白い鎧?

 

「一誠の禁手化(バランスブレイカー)にそっくり?」

「お前……さっきから見てただろ?」

 

一誠が聞くとそいつはうなずいた。

 

「俺は……白龍皇(バニシングドラゴン)だ」

『っ!』

 

全員の表情がこわばる。赤龍帝(ウェルシュドラゴン)白龍皇(バニシングドラゴン)……この二つは古来より戦い続けた二つの神滅具(ロンギヌス)……このタイミングで現れるとは……そう思った瞬間白龍皇はちょっと待てと言う。

 

「俺は戦いに来たんじゃない。本来ならそこの馬鹿達を回収しようと思ったんだがその前に赤龍帝とその仲間に負けたんでな。だから身柄だけでもこちらに渡してもらえないだろうか?身勝手なのは重々理解している」

「……大方堕天使の差し金って所か?」

 

一誠が聞くと白龍皇は敵わないとばかりに頷く。

 

「まあな。だから堕天使の者が決着をつけようとしたんだが一歩遅かったようだ」

 

まあ今は三大勢力が微妙なときに勝手をやらかしてくれたコカビエル……恐らく向こうもその動向を追っていたんだろうな。だがまさか極東のこんな島国に潜んでるとは思わなかったんだろう。

 

「でも堕天使にも二天龍が居たなんて……」

 

とレイナーレは驚きが隠せない。

 

「俺のことを知っているのはアザゼルと後は精々シェムハザ位だ」

 

そう説明した白龍皇は、

 

「それでダメか?出来ることなら堕天使側で処理したいんだが……」

「……んまぁ別につれてって良いぞ」

「一誠!?」

 

一誠の言葉に全員が驚愕した。そりゃそうである。

 

「ここまでやっちまったんだ。処分はきっちりやらんとそっちの方が面倒なことになる。それにアザゼルはとっくにコカビエルは自分達のところから抜けたため関係ありませんって顔もできたはずです。それをしないでわざわざこの他勢力に隠してた奴を戦争の場じゃなくてこの場に寄越したってのは処分はこっちでしっかりするって言う意思表示だと思います。確かに冥界に渡しても良いけど……そっちだとまた先の大戦を引き起こす要因になりかねません。それに……」

 

コイツは力づくでって言う手もあるんだ。それをしないのはアザゼルが言い含めてると考えて良い。

 

少なくともコイツは……強い。

 

「どちらにせよ納得いく処分をしなければ他勢力から文句がいくでしょう?ある意味退路を自分で潰してます。だから逆に信用できます」

「話が早くて助かる」

 

そう言って白龍皇はコカビエルとフリードを担ぎ上げた。

 

《ふん、今回は戦いは無しのようだな。白いの》

《ああそのようだな。赤いの》

『っ!』

 

突然ドライグと白龍皇のこれから声が発せられ一誠達は驚いた。

 

《まあそういうときもある》

《そうだな》

 

「それじゃあこいつらはいただいていく。またな……赤龍帝。あと今度アザゼルが正式にお前達に会いに行くといっていた。あいつはいたずら好きだからな。気を付けろ」

 

そう言って白龍皇は飛び上がっていった……

 

「これで終わりなのかしら……」

 

リアス先輩の言葉に一誠は内心首を横に振った。これは……まだ序章だ。これから始まる戦いの始まり……そんな気がした。

 

「それにしても一誠はあれとなんか懐かしげだったわね」

「え?」

 

一誠は禁手化(バランスブレイカー)をときながらレイナーレの言葉に唖然とする。そういうつもりはなかったが……

 

でも……どこかで感じた気配がしたのはたしかだ。赤龍帝と白龍皇とか……そういうのじゃない。それよりもっと深く……もっと遠くであいつとは因縁を感じた……そんな気分になったのは確かだった……

 

 

 

そんな気持ちを抱えたまま……戦いは幕を下ろしたのであった……




一誠の違和感は次章公表ですかね~

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