【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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面倒事の香り

「さぁいくわよ!」

 

カキーン!っと良い音を出しながらリアス先輩はバットでボールを打った……現在オカルト研究部は野球に勤しんでいる……何故かと言うと今度駒王学園では球技大会があるのだ。特に部活対抗戦は一番の目玉で種目は当日まで分からない。なので昨日はバレーやってみたりと片っ端からやってるのだ。

 

そしてリアス先輩が打ったボールは高く飛んでいき祐斗の方に飛ぶ。あれくらいなら祐斗は余裕で捕るだろう……と思ったが、

 

「あ……」

 

一誠が呆然とした。そりゃそうだ。祐斗は何かボゥっとしてそのままゴチンっと降ってきたボールに頭をぶつけたのだ。大丈夫かあいつは……

 

「ちょっと祐斗。貴女最近へんよ?」

「すいません……少し考え事をしてました……」

 

そう言っておとしたボールを拾った……だが本当に最近祐斗は変だ。一体何があったんだろうか……変になったにはあの写真を見てからだし何かあるんだろうか……

 

「まあ良いわ。一旦休憩しましょう」

 

リアス先輩はそう言ってベンチに座ると何か読み出した……恋愛入門書?なんであんなもん読んでるんだ?

 

「うふふ。部長も必死ですわね」

「へ?」

 

姫島先輩は何か分かったのだろう。一誠は良くわからず首をかしげるだけだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな次の日……

 

「え?じゃあお前オカルト研究部として出るのか?」

「うわ……北郷が出るってその時点で反則って感じがするわね」

「全くもって同意だな」

 

松田、元浜、桐生にアーシアとレイナーレ加えて皆で昼御飯を食べているとそんな話になった。

 

「でもオカルト研究部の面子自体も身体能力高めだよな」

「そうだな」

 

まあアーシア以外皆揃って人間じゃない。一誠みたいな例外を除けば人間より身体能力は高いだろう。

 

「そう言えば一誠。最近変な噂がたってるから気を付けろよ」

「噂?元浜なんだよそれ」

 

その噂の内容とはオカルト研究部に最近出入りするようになった北郷一誠……その目的とは鬼畜外道のプレイ三昧。二大お姉様を拐かし、小猫にはその小さな体を壊しかねない激しい行為……その性欲は絶倫を通り越した性欲の権化と化し転校生の二人にもその毒牙が……っておい!

 

「なんだその根も葉もない噂は!」

『まあ俺たちが流したんだけどね』

「死ね!」

 

一誠は二人を殴り倒した。

 

「てめぇらなんつう噂流しとんじゃい!」

「ええい黙れ!そんな噂を流しても女子たちはなら私たちにもワンチャンあるか……みたいな空気になる男には俺たちの悲しみなどわかるまい!」

「そうだそうだ!それに安心しろよ?木場との噂も流しといたからな」

「………………一辺死んでこい!」

 

そう言って一誠は二人を窓から投げ捨てた……一応下には木があるのでそこに引っ掛かるように投げておいたから大丈夫だろう。

 

「ったく……あ、そろそろ行くかな」

「いってらっしゃーい」

「私達は食べ終わったらいきますので」

「アーシアと同じく」

「分かった」

 

そう言って一誠は先に部室に向かった……

 

「あれ?」

 

すると部室には姫島先輩だけだった……

 

「あら一誠くん早かったのですね」

「え、ええ……他の皆はまだですか?」

「そうですね。はいどうぞ」

 

姫島先輩にお茶をもらうと一誠は座って飲む。相変わらず美味しい。

 

「フフフ……」

「え?」

 

姫島先輩は少し笑うと隣に座ってきた……おお、悪寒が……

 

「一誠くんにはお礼を言いたかったんですの」

「お、お礼?」

「はい。リアスを取り戻してくれてありがとう」

 

何時もはリアス先輩を部長と呼ぶ姫島先輩が呼び捨てで呼んだ……そう言えばこの二人は親友だと祐斗から聞いていたんだった。

 

「いえ……別に大したことじゃ……」

「いいえ……今のリアスは凄く楽しそう……いつも笑って……ああいうリアスはあまり見たことがないもの」

「そ、そうなんですか?」

 

今までの方をあまり見たことがないので良く分からない。

 

「じゃあ一誠くんに私からプレゼントをあげますわ」

「プレゼントを?いやいやそんな別に良いんですよ」

「そんなことを言わずにあげますわ。私を」

「……私?」

「はい」

 

そう言って姫島先輩は一誠に詰め寄ってきた……

 

「ライザー戦の時の圧倒的なパワー……更に悪魔たちへの啖呵……どれもが男らしくて私の中の女を感じてしまいましたわ」

「あ、そそそそうですか……ありありありありがとーございます……」

 

一誠が恐怖症とドキドキの緊張でガチガチになっていくと姫島先輩は笑った。

 

「そんな反応をされると苛めっ子の本能がうずきますわね……」

 

そう言って更に詰め寄ってきた。

 

「私と浮気……してみる?」

「浮気!?」

 

一誠がビクッと飛び上がった。何か姫島先輩浮気とは言いもよれぬ妖しさと色気がある。

 

「安心してね。リアスやアーシアちゃんにレイナーレちゃんたちには言わないわ……」

「あ、いや……」

「私も一度くらい男性を受け入れても良いと思うし……年下の男の子に肉欲のまま貪られると言うのも興奮するわね……私Mのケもあるのかしら」

「一度くらいって……」

「私処女ですのよ」

「いい!」

 

いや、姫島先輩が処女なのに驚いたんじゃなくてそれの初めての相手が自分を選ぼうと言う自体に一誠は驚いている。

 

「リードは経験豊富そうな一誠くんにお任せいたしますわ」

「いやいやいや!俺だって経験ないですよ!?」

「え?」

 

それを聞いた姫島先輩はポカンとした。

 

「そうなの?」

「は、はい……」

「リアスとは?」

「そ、そんなおそれ多い……」

 

確かに理性が飛びそうになったりもするけど……

 

「それはいけないわね……一誠くんの初めてを私が奪うわけには……あら?」

「え?」

 

姫島先輩がドアの方を見るとそこには全身からうっすらと魔力が溢れているリアス先輩が……はわわ!

 

「これはどう言うことかしら……朱乃……」

 

ドスの効いた声……こわ!

 

「後輩とのスキンシップですわ」

 

そんなことを歯牙にも掛けず姫島先輩は笑いながら言う。

 

「明らかにスキンシップの距離を越えてるわよね?」

「何の事かしら。二人で仲良くやってたわよね?一誠くん」

「…………そうなの一誠?」

「あ……いやあの……」

「ど・う・な・の?」

「いふぇふぇふぇふぇ!」

 

リアス先輩に頬をつねられた。怒ってらっしゃる?

 

「一誠さん遅れました~」

「ふぁ~眠い~」

 

遅れてアーシアとレイナーレが……

 

「こんにちわ」

「…………」

 

そして小猫と何か考え事をしたままの祐斗が入ってきた。これで全員だ。

 

「……一誠。後でお話ししましょう」

(し、死刑宣告……)

 

一誠は今から遺言書書いといた方がいいかな……等と考えていると、

 

「リアス。今良いでしょうか」

「え?」

 

そこに入ってきた男女……片方は分からないがもう一人は知っている……我が校の生徒会長・支取 蒼那会長だ。

 

「なんで支取会長が?」

 

一誠が声を漏らすとリアス先輩が教えてくれた。

 

「ソーナも悪魔よ。シトリー家のね」

「いい!」

 

一誠本日何度目か数えるのも面倒な驚愕である。レイナーレからこの学園は悪魔やその関係者が多いと聞いていたがまさか生徒会長までとは……じゃあそのお着きの男も悪魔なのだろうか?

 

「彼は匙 元士郎。新しいポーンです」

「どうも」

 

あー……そう言えば最近新しく入った役員がいた気がしたがそいつだな。

 

「て言うか人間がいるのに良いんすか?話して」

「この子たちは平気よ」

 

まあいきなり悪魔しか居ないはずの場所に一誠やアーシアみたいな人間がいたら驚くであろう。

 

「匙、彼があのライザーを倒した男です」

「え!北郷が倒したんですか!?」

「む?」

 

一誠は首をかしげた。相当驚かれている……まあ人間が悪魔打ちのめすってそうそう聞かないのだろう。

 

「本当に人間なんですか?」

「自称ですがね……」

 

今初対面の人から自称人間呼ばわりされたぞ……

 

「いや俺は人間ですって……」

 

そう呟きながら立ち上がる。そして手を出した。

 

「宜しくな匙、北郷 一誠だ。れっきとした人間だ」

「此方こそ、匙 元士郎だ。自称れっきとした人間の北郷 一誠」

 

握手しあう手に力がこもる。

 

「おいこら……俺は人間だって言ったよな?」

「こんな無茶苦茶な握力出す人間何て俺は知らないよ?」

 

ミキミキ手が鳴り出したところでストップがかかった。

 

「はいそこまで。それでソーナ。まさか新しい件属の紹介だけって訳じゃないのでしょう?」

「ええ、今朝がた教会からの使者と名乗る者二人が接触してきました」

「教会の?」

 

リアス先輩が聞くと支取会長が首を縦に振る。

 

「今日の放課後……お会いしたいとのことです」

「……分かったわ」

(教会か……)

 

また面倒事の気配が一誠にはしていたのだった……


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