【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い   作:ユウジン

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戦闘シーンのオススメBGMは個人的にTrip -innocent of D-……ハイスクールD×Dの一期目のオープニングですね。


我こそは赤龍帝

「馬鹿な!禁手(バランスブレイク)だと!?あり得ない!こんな土壇場でそれに至るなど才能があるとかの問題じゃない!」

 

ライザーと同じ目線まで一誠は背中に生えたドラゴンの翼で飛び上がるとライザーが叫んだ。

 

「そもそも禁手化(バランスブレイカー)とは神が神器(セイクリットギア)を作った際に偶然生まれたバグだ!そして発現させるにも実力も必要だがそれ以上に運が必要だと言われるくらいだ!それなのにバグをこんな状況で引き当てて覚醒するだと!バカにするのも大概にしろ!」

「くくく……ライザー……ひとつ教えてやる。運命ってのは自分で切り開くもんだ!そしてこれが運良く引き当てられたってことはそれは切り開いた結果だぜ!」

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

成程……この状態だと一気に倍加させられるのか……そいつは最高だ!

 

《Explosion!》

 

「まずこれはフェニックスの涙とかワケわからんアイテムで逆転された姫島先輩の分!」

 

ただのパンチ……だがそれはあり得ない破壊力を内包したおりその拳はライザーの正中線を的確に抉り混んで穿つとライザーは眼を大きく見開きダメージに耐えながら再生を促す。だが、

 

「甘いんだよ!」

「げぶば!」

 

更に一誠は逆の手で全身の捻りとバネを使った突きを放ってライザーは血を吐き散らしながら吹っ飛ぶ。

 

《相棒!空を飛ぶには色々とコツがいる!流石に初めての禁手化(バランスブレイカー)だ。今回は俺が飛ばすからお前はあいつをぶん殴ることだけを考えろ!今のお前は圧倒的且つ純粋な力がある!とにかく吹っ飛ばし続けろ!》

「分かった!」

 

不死鳥を倒す方法は二つ……一つは精神力を削る……この方法は最初に考えていた方法だったがその手を使う必要はないだろう。何故ならもうひとつの方法……もう一つは圧倒的な破壊力でブチのめす……だ!今のライザーにとって一誠は存在事態が恐怖だ。更に破壊力は再生させたとは言えたった一発でも精神力を削り取っていく……

 

(あれが力の塊と称された赤龍帝だと言うのか!)

 

ライザーは火を放つ。だが一誠は全て最低限の動きのみで回避し、時には腕を振るって弾きながら間合いを詰めた。

 

「ひっ!」

「これは志半ばで散った祐斗の分!」

 

いや死んでないけどね?と祐斗が言った気がしたが気にしない。

そして一誠は更にライザーの顔面に魔力ではなく氣を込めた純粋な破壊力を内包した拳を再度ぶちこむ……

 

「ぶべ!」

 

皆は不死鳥を死なないと思っているがそうじゃない。再生する度に精神力を使っている。そして精神力はたった一発ぶん殴られただけで全て使いきってしまった。元々一誠に十字架の拳で殴られていて消費が著しいところにあの想像を絶する破壊力で殴られた……既に再生する精神力はない……そして一誠はライザーが吹っ飛んだ先に先回りした。

 

「これはお前にやられた小猫の分!」

 

強烈なアッパー……それはライザーを自らの意思とは全く関係なしに上へ上へと打ち上げた……そして、

 

 

「まだまだぁ!」

 

一誠は一気に速度をあげて追うとライザーにパンチを叩き込みそこから殴ってぶん殴ってキックして蹴って蹴っ飛ばしてフック!アッパー!ジャブ!ストレート!回し蹴り!蹴り上げ!踵落とし!肘鉄!膝蹴り!手刀……

 

「オォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

まだ終わらない!殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って蹴って殴って殴って殴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って蹴って!

 

どの一撃もただ殴って蹴っていない。どれもただ拳をつきだして足を振っているんじゃない。どれも圧倒的な破壊力を持っていながらも全ての力をライザーに伝えられるような技術も同時に含められている。

 

「がひ……」

「ウラァ!」

 

ハンマーナックル……突然かかった上からの激しい衝撃でライザーは先程とは逆に闘技場の真ん中に叩きつけられた……奇しくも一誠がさっき倒れていた場所で別に狙ったわけじゃないないのにと一誠は全身を被う鎧の中で苦笑いした。そして、

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

「もっとだ……」

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!……》

 

「もっとだぁああああああ!!!」

 

《Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!》

 

「ま、待て!これは悪魔の未来にとって大切なことなんだぞ!」

 

ライザーは最後の足掻きとばかりに叫んだ。

 

「お前のような何もしらないガキが口を挟むようなことじゃないんだ!」

「関係ないね!俺は人間だ!悪魔がどうなろうが純血が滅びようが居なくなろうが消えてしまおうが何ら一切問題ないんだよ!」

 

当たり前だ。一誠は人間である。そんな博愛精神に溢れる性格はしていないので純血悪魔が潰えようとどこも痛くない。だけど……

 

「でもなぁ!てめぇは先輩を泣かせたんだよ!俺にとってはそっちの方が重大なんだよ!意味があるんだよ!」

 

女一人笑わせられないやつが……悪魔の将来なんざ語ってんじゃねぇよ!っと一誠は叫ぶ。それに……

 

「もしな……もしその風習が先輩を泣かせるんだったらそんな風習なんざいらねぇ!そんなに純血悪魔が大事かよ!転生悪魔がいけないのかよ!だったらなぁ!さっさと純血悪魔なんざ滅んじまえばいい!そんな古くさくて息が詰まりそうな風習も……純血悪魔の血筋だがなんだかも……全部全部全てがくだらねぇんだよ!」

『っ!』

 

観客が我が耳を疑った……今の発言はライザー個人へじゃない……今のは悪魔を……いや、頭の固い古くさい悪魔を敵に回す言葉だ……一誠は分かっていてその言葉を紡いでいる。

 

「だからまず手始めに……てめぇから吹っ飛びやがれぇ!」

「っ!」

 

一誠は大きく足を後ろに振り上げると一気に全身の倍加させた氣を右足に込めた。母から習いし氣を用いて行う蹴り技……と言うには直接的な攻撃は行わないがそれは関係ない。

 

この技を使うときの心構えは教わっている……その母曰く「この技は……ただ前へと飛ばす意識を持つことで放つ技……前へと……ひたすら前へと言う思いを込めて放て……その一撃で新たなる明日を切り開くと言う思いで放つんだ……」と。

 

この技の名前は……

 

「猛虎蹴撃!!!!!!」

 

一誠の全ての思いを込めて放たれた氣は猛る虎の形となって火の鳥(ライザー)を呑み込む……無論ライザーに抵抗する力はなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァー……ハァー……」

 

一誠は息を整えつつ地面に降りるとライザーに近づく……端から見れば完全に息の根を止めに行っているように見える。

 

「待って!」

「ん?」

 

するとライザーとの間に割り込んできたのは確かライザーの妹の……

 

「確か……レイヴェル・フェニックス……だったか?」

「はい……も、もう兄に意識はありません……ですから……もうご容赦ください……お願い……します……」

 

レイヴェルは震えてた……少なくとも今の一誠に万に一つの勝ち目はレイヴェルにはないのだ。すると一誠は頭を掻く。

 

「そんな泣きそうな顔すんなよ……」

 

一誠はクシャリとレイヴェルの頭を撫でた。

 

「女の涙は見たくないんでな……参った参った……」

 

そう言って背を向けた。

 

「妹の顔に免じてここは退いておくよ」

 

ここでレイヴェルを蹴散らすことも可能ではある。だがそれはレイヴェルの覚悟に泥を塗るようなものだ。一誠はそんな馬鹿じゃないし。ここは退くべきだろう。だが、

 

「おいレイヴェル。そこの焼き鳥が起きたら言っておいてくれ……」

「え?」

 

一誠は背を向けたまま言う。

 

「もし文句あるんなら何時だって挑戦は受けてやる……何度だって受けてやる。落ちても這い上がって掛かってきたって良い……相手してやっからぶちのめされる覚悟だけは決めてから掛かってこい……ってな」

「っ!」

 

ドキン!っとレイヴェルは自分の心臓が跳ねた気がした……頬も熱い……

 

「またな」

 

一誠はドラゴンの翼をだして飛び上がると観客席までリアス先輩の元まで行く。

 

『っ!』

 

自然とモーゼの如く人垣ができた。その中を突き進みリアス先輩の前にたつ。

 

「お迎えに上がりましたよ。お嬢様」

「一誠……」

 

それから一誠はリアス先輩の父を見た。

 

「誠に勝手ながらお嬢さんをいただいていきます!」

 

聞き方によっては大分誤解を招きかねない言葉であったがリアス先輩の父は意味を理解して頷く。

 

「……好きにしなさい」

 

そう了承をもらうと一誠はなにか思い付いたような仕草(表情は見えないのだ)をした。

 

「リアス先輩失礼します」

「え?きゃ!」

 

一誠はリアス先輩をお姫様だっこで抱き上げると天高く飛び上がる。

 

「我は赤龍帝!北郷 一誠だ!もしまた純血悪魔だのこうのでリアス・グレモリーを狙うなら好きにするが良い……だがその前には必ず俺がいる!我は絶対にリアス・グレモリーの望まぬ婚約は決して認めない!文句があるか?あるなら掛かってこい!但し我に喧嘩を売るからには……俺の女を狙うからには……一族徒党根絶やしにされる覚悟を決めてこい!!!!!!」

 

これは宣戦布告だ……そして宣言だ……リアス・グレモリーは誰にも渡さないと言う覚悟を込めた言葉だ……それに対して口や反論を挟むヤボをするやつは……居なかった。

 

「行きますよ!」

「え、あ、うん!」

 

一誠は大きく翼で空気を切ると、

 

《Boost!》

「やっほー!」

 

加速してあっという間に飛んでいってしまった。

 

「さて……僕たちは魔方陣で帰ろうか」

「そうですね。お邪魔虫は馬に蹴られてしまいますわ」

「レイナーレ先輩もアーシア先輩も今日は帰りますよ」

『…………』

 

プゥ……っとレイナーレとアーシアは頬を膨らませたが小猫にズリズリ引きずられて帰っていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらずリアスには甘いなサーゼクス」

「父上こそ」

 

少しだけ離れたところから見ていたサーゼクスさんの元にリアス先輩のお父さんは来て話しかけると笑って返された。

 

「今回の件で婚約は破談だな」

「それは残念ですね」

「ならばもう少し残念そうな顔をしろ」

 

リアス先輩のお父さんはため息をついた。

 

「しかし赤龍帝……か……まさかリアスにつくとは……あの忌々しき龍がな」

「リアスに着いたわけではありませんよ」

「なに?」

「恐らく彼は誰であっても涙を流している相手を助けてしまうんでしょう。今回は偶々リアスだっただけです」

 

サーゼクスさんの言葉にリアス先輩先輩のお父さんは成程と頷いた。

 

「彼はきっとこれからの冥界に新しい風を吹き込んでくれるでしょうね」

 

良くも悪くも悪魔は伝統を重んじる……その結果変革を嫌うのだ。だが一誠は恐らくそんな壁をぶっ壊して風を送ってくれる……

 

「さて……どんな物語を紡ぐのやら」

 

サーゼクスさんは面白そうに笑った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿ね……」

「え?」

 

一誠は空を飛んでいたがリアス先輩の言葉にブレーキを掛けた。

 

「私なんかのために冥界まで乗り込んでくるなんて……」

「だって泣いてたじゃないですか」

 

一誠はなんでもないと言う。

 

「リアス先輩が涙を流した……俺が命と魂を掛けるには十分な理由ですよ」

「一誠……」

 

リアス先輩自分の心が暖かくなったような感覚がした……

 

「でも今回は良いわ。でもまたくるかもしれない。貴方があんなことを言ってくれてもライザーより強い悪魔なんてゴマンといるわ……」

「ならそいつを俺は越えていきます」

 

一誠は禁手化(バランスブレイカー)状態のまま兜だけ解除して顔を晒しながらはっきりと言う。

 

「何度でも何度でも強いやつが来る度に俺は越えていきます。貴方が一緒に居たい人に会えるまで……」

「なんで?あなたは人間なんでしょう?どうしてそこまでしてくれるの?」

 

それを聞いた一誠はそんなの簡単な理由ですよと笑う。

 

「人間だとか悪魔とか……常人だとか人外だとか……眷属だとか眷属じゃないとか……上級だとか下級だとか……そんなの全然関係ないんですよ。俺はあなたを助けたいと思った……」

 

トクン……リアス先輩の胸が跳ねた。

 

「それに……誰か助けたいと思って助ける……そんなのに理由はいりませんよ。誰がこようと俺はどんな壁もぶっ壊す赤龍帝ですから……」

 

だから……と一誠はリアス先輩の眼を見て言い切った。

 

「何度でもあなたを俺は守ります」

 

リアス先輩の頬が真っ赤になって瞳が潤んだ。

 

「ありがとう……」

「いやぁ別に礼を言われる筋合いはありません……ただそろそろ下ろして良いですか?ちょっとヤバイんです……」

「え?」

 

すると段々一誠の顔色が悪くなっていく……カッコつけてお姫様だっこなんかしたせいで恐怖症が絶賛発症中である。

 

「ちょ!どうしたの!?」

「言ってませんでしたっけ?俺女性恐怖症でして……近付かれただけでも悪寒が走ったりして大変なのに密着しようもんなら意識を喪失しそうになります……」

「ええ!じゃああの時のは……悪いことをしたわね……」

 

あの時とは無論ライザー戦前の私を抱いて騒動である。

 

「あいや……恐怖症ではあっても女嫌いじゃないんで平気ですよ……それに密着してもなんかショックがあると喪失しなくてすむみたいですし……」

「え?じゃあショックを与えれば良いの?」

「ま、まあ……とは言えとりあえず一旦下ろしむぐ!」

一誠は最後まで言葉を紡ぐ前にリアス先輩に口を塞がれた……なにでって……リアス先輩の口で……マウストゥーマウスというやつだ。

 

永遠とも思えた長いキスからリアス先輩は顔を離すと……

 

「え?あ?え?」

「私のファーストキスよ。これでもう少しくっついていても大丈夫かしら?」

「あ、はい……」

 

いきなりのキスに一誠は悪寒とかも吹っ飛んでしまった。しかもファーストですって?

 

「ファースト……キスですか?」

「ええ、いや……だった?」

 

上目使いで見られたら許しちゃう……と言うか元々嫌じゃないし……

 

「いやそんなことは……無いですけど……俺でよかったんですか?」

「貴方だから良いのよ」

 

そう言ってリアス先輩は笑うと、

 

「じゃあいきましょうか」

「あの……とりあえず飛んできましたけどどこにいけば良いんですか?」

「もう少しまっすぐよ」

 

本当はこの場でリアス先輩が転送魔方陣を出せば良いのだしリアス先輩も分かっているのだがだがそれは黙ってあげるのが優しさだろう。馬に蹴られるのはごめんである。

 




さて、二章はこれで終わりかな……次回からはエクスカリバーですかね。

取り合えずライザーはボッコボコにしたあと猛虎蹴撃でトドメでした。死んでませんよ?生きてます。

しかしエクスカリバー編では彼女たちが出てきますね。最近はネタになりつつある事に定評がある彼女たちです。と言うかハイスクールD×Dのキャラって初登場時から刊が進むと性格変わりまくりますよね。

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