【完】真・ハイスクールD×D夢想 覇天の御使い 作:ユウジン
次の目標はお気に入り250突破して高評価たくさんいただけるような作品になることですね。
レーティングゲームから三日後……冥界にある大きな式場では今日はライザー・フェニックスとリアス・グレモリーの結婚式が挙げられる。
「しかし今日はあのフェニックス家とグレモリー家の結婚だな」
「ああ」
式場を警備する門番の二人の悪魔はそんな話をしていた。
「でもグレモリー家のご令嬢は美人だったぞー……しかも胸デカイ」
「そうなのか?……ん?」
すると、誰かが来たのに気づく。金髪ブロンドの可愛らしい少女に……
「おい……何をして」
「結婚がすべての人に尊ばれるようにしなさい。 寝床を汚してはいけません。 なぜなら、神は不品行な者と姦淫を行なう者とをさばかれるからです……」
『あがっ!』
門番の頭が金槌で叩かれたような痛みが走った。そして空中から二つの影……
『え?』
何発か殴打する音と門番の悲鳴が響いた……
「ほんとに悪魔に聖書の一説を読むと効くんだな……」
「そりゃそうでしょうね。だから悪魔は教会が嫌いなのよ」
前回貰った魔方陣で冥界までジャンプ(わざわざ魔力がなくても発動するように作ってあった)してきた一誠とレイナーレは門番を適当な影に転がしながら聖書を読んでくれたアーシアを見る。
「うぅ……聖書の一説を武器のように使うなんて……お許しください主よ……」
「大丈夫だって、先輩を助けるためなら神様だって見逃してくれるさ。安心しろってアーシア」
「そうでしょうか……」
「ああ、偉大なる神様だろ?そんな程度でケチケチしねぇさ」
まあ元々一誠は信心何てものは欠片も持ち合わせていないので説得力皆無である。
「さぁて行きますか」
一誠たちは城に侵入した……
「いやぁお美しい……」
「しかしこれで純血悪魔の血筋も安泰ですな」
そんな言葉を聞きながらリアス先輩はどこか遠くを見ていた。
「部長……」
それ見て祐斗たち眷属たちは歯を噛むことしかできない。あのときもっと……と思っても意味ないことだが思ってしまうのは仕方ないことだろう。
「ではこれから挙式を執り……」
そこまで司会が言った瞬間。
「その結婚!!!ちょーっと待ったぁ!」
「え?」
リアス先輩が聞いたことある声に振り返った。他の悪魔たちも突然扉が開いたかと思えばその結婚を止める声に驚いて見た。
「一誠?」
「どもっすリアス先輩」
そんな視線も一誠は全く関係なしに堂々とした足取りでライザーの方に向かう。
「おい貴様止まれ!」
警備の者が一誠の肩を掴んだ……そして、
『え?』
気がつくと警備の者の天地が入れ替わった……柔の技術の応用だがやられた方も見てた方も何をしたのかわからない。
「くっ!」
次の動いたのはキングの壁役と言われるルークのイザベラ……
「フウウウゥゥゥゥゥゥ……」
一誠は息を吐ききって……イザベラを見据えた瞬間イザベラが宙に舞った……
「……な……」
「今俺は気が立ってるんだ……邪魔するなよ」
イザベラは何をされたのかすら理解できないまま地面に転がされた……
「よう……焼き鳥野郎」
「人間風情がこの場になんのようだ!!!」
ライザーが激昂した。だが一誠は知らん風である。
「何の用ってなぁ……あれだ」
一誠は片手を腰に添えてライザーを見る。
「リアス・グレモリー先輩がお前なんぞと結婚?はん!釣り合わなすぎてお腹がチョチョ切れそうなんで文句良いに来たんだよ」
「何だと……」
ライザーのコメカミに青筋が走った。だが一誠は続ける。
「つうわけでライザー・フェニックス……リアス先輩を賭けて俺と戦え!」
『っ!』
その場の空気が凍った。当たり前だ……恐らく人間と思われる一誠が上級悪魔で不死鳥のライザーに喧嘩を売ったのだ。悪魔にしてみれば狂気の沙汰じゃなかった。
すると、
「中々面白い余興になりますな」
そう言ったのはサーゼクスさんだ。グレイフィアさんもいる。
「これはお前の仕業か……サーゼクス」
「いえいえ父上。彼がリアスの結婚を祝うと言うので呼んだだけですよ」
いけしゃあしゃあとサーゼクスさんは言う。いっそ清々しいほどだが父上ってことは……あれがリアス先輩のお父さんか……イケメンだな。
「どうだねライザー君。受けるのも避けるのも自由だが?」
「そこまで言われては避けるわけにはいきません。このライザー……身を固める前の最後の炎をサーゼクス様にお見せいたしましょう」
試合は簡単に決定した……
「会場はこちらだ。順にこの魔方陣に入りたまえ」
最初にライザーが入っていった。
「一誠!」
一誠が入ろうとするとリアス先輩が止めた。
「何てことを……今すぐやめなさい!」
「嫌です」
はっきりと一誠は否定した。
「あげた拳を途中で下ろすなんて馬鹿なんていません。もうあいつとの戦いは始まってるんです。もう逃げられませんよ」
「でもあなたがいくら強くても相手はフェニックス……死ぬかもしれないわ!」
「死にませんよ」
一誠は優しくいった。
「俺は死にません。だから黙って観戦しててください」
そう言って一誠は魔方陣を潜った……
「ふん。何となくだがお前とは戦う気がしていた」
「そいつは奇遇だ……俺もだよ」
一誠は拳を構えると左手に
《Boost!》
《気を付けろよ相棒。フェニックスの炎はドラゴンの鱗すら焼く……流石にドラゴンの鱗の方が頑丈だと思いたいから避けろよ》
「失礼だな……ドラゴンよりは防御力低いに決まってるだろ」
痛覚はちゃんとあるしな。と失礼なドライグに言葉を返しながら一誠は拳を握る。そこに2度目の倍化、
《Boost!》
するとライザーが話しかけてきた。
「まさかそれは
「知ってるのか?」
「ああ、極めれば神すら屠る
「そうだとしてもお前は倒せるだろう……」
《Boost!》
「見せてやるよ!皆が負けた日の夜にドライグが教えてくれた
一誠の左手の籠手が光った。
「
《Transfer!》
「何をしようが関係ない!火の鳥……鳳凰と称えられた我が一族の業火で燃え尽きるが良い人間!」
放たれた炎……だがそれを一誠は飛び越えてライザーに飛び掛かる。
「速い!」
それを観客席で見ていた悪魔の一人が叫んだ。一瞬何処かの眷属悪魔かと思ったが人間なのは確認済みだ。
「喰らえ!」
「ふん!今更俺がダメージを食らうとでも思ったか!」
一誠の拳がライザーに刺さった……奇しくもそれは小猫がライザーに放った剛毅果断……そしてそれは……
「がはっ!」
ダメージが通った……
「なに……!」
「見てみな」
そう言って一誠が見せたのは十字架……これは元々アーシアの物だ。従順なクリスチャンのアーシアは今でもきちんとお祈りをする。そして十字架は悪魔にとって毒のついたナイフのようなものだ。
「ぐ……だが、なぜここまでのダメージを……」
そう、強い悪魔であればあるほどそういった聖なる力にも耐性が出来てくる……しかも仮にも上級悪魔である自分にたいして十字架程度では……
「
「なに!」
ライザーは驚愕した。
「試合が終わったあと俺は三日でなんとかこの力を理解してここに来てんだよ。確かにお前の不死は厄介だ。俺でも手を焼くかもな。でも同時に悪魔である以上聖なる力を高めた一撃には……」
「っ!」
一誠は瞬時に氣を集めて肉体を強化……その力でライザーをぶん殴る!一誠の拳は炎になって回避することはできないためライザーの腹に一誠の拳がメキメキめり込んだ……
「ごはぁ!」
意識が飛びそうになりながらもライザーは一誠にカウンターの炎の拳を放つ!
「しゃらくせぇ!」
一誠は伏せて躱すとがら空きになった脇腹に
「ぐっ!」
痛いなんてもんじゃない……なんだこの人間は!
「貴様本当に人間か!」
「見ての通りの人間だよ!」
見ていた悪魔は見ての通りの人外だろと言いたくなったが黙っておく。
「なら!」
ライザーは炎の翼を出して空に飛んだ。
「んなっ!てめぇ降りてきやがれ!俺は飛べないんだぞ!」
そう言って一誠は腰に氣を溜めて一気に砲弾のように発射した。
「ちっ!」
それをなんとか躱した。
「もういっちょ!」
もう一度放つ……それを躱す。
「これでどうだ!」
再度でっかい氣弾……それを危なげなく躱すとそこでライザーは気づいた。もしかして一誠は氣弾を連射できないんじゃないかと……
実はその通りで一誠はかなり万能な能力だが無論生きてる人間なので得意不得意は存在する。そこは当たり前だ。
その前に元々氣の才能には三種類ある。ひとつは一誠が得意な強化系、二つ目は氣弾を飛ばす放出系、三つ目は氣で何かを作り出す具現化系……一誠はバリバリの強化系である。華琳の血の影響か戦いでは冷静に努めるが根っこは熱血系で氣の扱いにもそこが如実に出てる。
だが今の状況では一誠は氣の扱いは得意でもそれは肉体や武器に纏わせての強化や今撃ってきたように一撃必殺のタイプの氣弾は得意と言うことであり空を素早く飛び回るライザーにはそういう攻撃力より連射して氣を放った方が良いのだが……
そして一誠はまだ細かい氣の操作が苦手なのだ。特に高校に入学して実家を離れてからは体を鈍らせないように筋トレなどは行ってきたが氣の修行は日常生活に必要もないだろうとあまり積極的にしてこなかったのもある。
凪母さんなら恐らく簡単にできるだろう。
「ちっ!」
「成程、連続してはこれないようだな!」
「っ!」
嫌みのようにライザーが炎を連射して一誠を狙う。それを全部一誠は回避していくが、
「おりてきやがれぇ!」
ジャンプしても氣で強化していたとしても届かない距離まで飛んでいる。
「くそ!」
再度氣弾を発射……今度は速度重視……だがライザーには躱された。単発ではどうしても避けられてしまう。
「お前は大したものだ」
ライザーは手を空に掲げた。そこに炎が集まる。
「お前は人間とは思えない強さを持ってる……もし俺が地上戦を演じきったならお前が勝っただろう」
だが……殴り合うのは悪魔の技ではない。悪魔の力は魔力だ。そこから始まる。魔力を用いて戦うのが悪魔だ。故に直接の殴り合いが敵わないなら殴るのをやめる。魔力を用いて戦う。このように空を飛べないものにたいして空を飛んでそこから攻撃を加えるなんてのは普通だ。と言うか相手の弱点をつくのは普通の戦術だ。しかも悪魔はよくも悪くも合理主義と来てる。
極めつけに一誠自身がこのライザーの攻撃を厄介と考えても卑怯とは思ってない。
「故に俺の最大の攻撃でお前を沈める!」
「っ!」
天を被う巨大な火の玉……それは一誠が立っている闘技場を包み込む程だ……
「これで終わりだ!」
「ヤバイ!」
一誠は逃げようにも完全に闘技場を包み込むので逃げ場所はない。地面は……無理だ、時間がない!ならば……この手しかない!
「間に合え!
懐から出したのはアーシアから貰っておいた聖水……それを頭から被って全身を氣で被う!
「ガァアアアアアアアア!!!!!!」
巨大な火の玉が一誠を飲み込んだ……
《おい相棒……生きてるか?》
(生きてるよ……)
とは言え実際は死に体だ。なんとか聖水と氣で防御したが元の熱が結構キツイ。
現在闘技場はライザー放った火の玉であっちこっちでブスブス言っている……その中心に一誠は寝そべってる状態だ。
(よし……帰ったら真面目に修行しよう……でないと毎度これじゃあ死ぬぞ俺は)
《既に死にかけだがな……》
ドライグの言葉に一誠は苦笑いした。するとどこか遠くで聞こえた……
「一誠!」
(リアス先輩の声だ……)
《お前そんなボロボロでも聞こえてんのか……しかも観客席からだからそんな大きく聞こえてないんだぞ》
(耳が良いんだ……さてたつか……)
一誠は力を込めた。少し体が浮いた……
《無理はするな相棒。死ぬぞ》
(死なねぇよドライグ……約束したからな……)
人との大切な約束は命を懸けて守れ、だが女との約束は魂も懸けろ……だ。
《分からんな。そうまでしてあの女に入れ込む理由がどこにある……お前あの女に惚れたか?》
(ちげぇよ……)
一誠は否定しながら立ち上がった……
「そんなんじゃねぇよ……」
「馬鹿な……」
ライザーは驚愕した……あの男は人間のはず……あの火の玉に飲み込まれて生きてること事態があり得ないはずなのになぜ立ち上がれる!それは見ているものたちも同じだった。
「何故だ!これは悪魔の問題!人間の貴様には関係ないはずだ!」
「……ああ、関係ないよ……」
そりゃそうだ。一誠は人間でリアス先輩は悪魔……本来なら交わるはずのない人生だった。でも交わってしまった。
笑って怒って時々泣いて……強かったり弱かったり……リアス先輩は色んな所を見せてくれた。そして思ったんだ……悪魔だって人間とそんなに変わらないんじゃないかって……悪魔だってムカつくやつはいる。ライザーみたいにな。だがそれは人間だって同じだ。人間だってどうしようもないクズはいるし……良いやつもいる。悪魔だからとかそうじゃないとか関係ないんだ……だから助けたいって思うんだ……リアス・グレモリーっていう一人の女性を北郷 一誠っていう一人の男として……そして何よりな……
「泣いてたんだよ……」
「なに?」
「お前に負けた時部長は泣いてた……悔しかったんだと思うよ……」
自分の弱さに……自分の思いさえ通せないことに……運命に……純血悪魔を守らないといけないとか言う悪魔のくそったれな風習に……
「だから俺はお前をぶっとばすんだ……」
一誠の体から氣が滲み出た。
「北郷家 家訓第0項……この項目は他の項目より優先すべし……」
その内容は……難しいもんじゃない。単純だ。簡単な物だ……それだけに難しくて父さんは昔これを破って今でも母達に頭が上がらない。まあそれがなくても上がらなかったとおもうが……
「女は泣かせるな……女の武器は涙じゃない。女の一番の武器は楽しそうに笑う笑顔だ……だから男は黙ってその女の笑顔って武器を磨いてあげるんだ……いつだって最高の笑顔を見せて貰えるようにするんだ……ってね」
だからよぉ……っと一誠の目が鋭くなった……
「リアス先輩を泣かせてんじゃねえよ!!!」
実は一誠は……レーティングゲームで勝っても負けてもリアス先輩が最後に笑っていられるなら良いと思った。結婚が納得いかずとも最後に笑って式を挙げられるなら良いんじゃないかと思った。でも違う!お前は確かに有望な悪魔かもしれない。でも一人の女の子を泣かせるような野郎にはリアス先輩はやれない。そう思ったんだ!
《ん?これは……まさか!》
ドライグがなにか驚いているが一誠には関係ない。
悩めるときも健やかなる時も共にいるのが夫婦だ。だが片方だけが楽しそうで片方が泣きそうな顔をした新郎新婦なんざ見たくない!
リアス先輩だけじゃないんだ!リアス先輩が笑わないと姫島先輩も祐斗も小猫も笑えないんだ。笑って送り出せないと一誠もアーシアもレイナーレも笑えないんだ!
「だから絶対てめぇはぶっ潰す!!!!!!!!!!!!」
一誠の体から衝撃波のようなものが放たれた感覚にその会場にいたものたちは襲われた……無論衝撃波はない。一誠が無意識に放ったのは母から受け継いだ覇王の気……覇気である。
「成程……だがお前はここにはこれないし立っているのも限界のはずだ!」
そう言ってライザーは巨大な火の玉を作り出した。
「また来るのか!」
《相棒!ちょうど良いところにお前が新しいステージに来たぞ》
「え?」
《俺もまさかこの早さで至るとは思わなかった……歴代でもかなり早い。誇って良いぞ》
「いいから何だよ新しい力って!」
《ああすまない。この力は強力だ、呑まれるなよ!力の名前はな……》
一誠の頭に名前が流れた……どんなことになるのかもイメージの流れた。そして一誠は笑ってその名を叫んだ!
「
《WelshDoragon!BalanceBreaker!!!!!!!!!!!!》
次の瞬間火の玉に一誠は飲み込まれる……誰もが一誠の今度こそ確実な死を予感した……だが、
「ウォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
『なっ!』
全員が次の瞬間自分の見間違いかと身を乗り出した……だが見間違いじゃない!
『一誠(さん)(君)(先輩)!!!!!!』
仲間たちが名前を呼ぶ……それに呼応するように一誠は火の中から飛び出して天高く宣言した。
「見せてやるぜライザー!龍帝の力を!俺の
火の中から生まれた全身真っ赤なプレートアーマー……まるでその姿は小さな赤い龍だった……
と言うわけで少しだけ追い込まれて逆転の一手です。禁手化今回で習得です。因みにバッチリ完成形です。
え?ご都合主義?突然すぎ?はい、そうかもしれないけどおっぱい突いてなるより良いでしょう……?
と言うかそう言ったのを引き寄せるのも覇王の素質だと思うんです。歴史上の英雄も危ない綱渡りとかしてますしそれを乗りきる運気やそれを引き寄せる何かも必要な要素だと思います。
そういう意味では強くて土壇場で新しい力に目覚める一誠は天才何だと思ってかいています。