ラブライブ!〜紡がれる命の物語〜   作:二人で一人の探偵

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思ったより早くできました

第5.5話、といった形です。今回は色々挑戦してみたので、正直出来は良くないかもしれません。

それでもどこかでこういう書き方もする必要があったと思うので、早い段階で試してみました

では、どうぞ!


陽光と星光

 

 

 

 

 

 

 

 

 その人を最初に見た感想は、儚げ…

 

 真っ白な髪と病的な程に色白な肌、車椅子をゆっくり動かしている姿は、何でこの学院にいるのか、と思ってしまうほど弱々しく見えました…でもそれは間違いだってすぐに気づきました。

 

 深呼吸した彼から感じる雰囲気が一変した…まるでライブが始まる瞬間、意識を切り替えたアイドルみたいだなぁ、って思いました。

 

 気づけばみんながあの人から目を離せなくなっていました…

 

 優しげでありながら力強く言葉を紡ぐ姿は、どこかムリをして見えたけど、私には真似できないなぁ…って、ちょっと憧れちゃいました。

 

『いい縁』かぁ…私はやっぱり凛ちゃんかなぁ…ずっといっしょだったし、これからもいっしょ、って言い切れる、私の自慢の友達。他に友達がいないわけじゃないけど、凛ちゃん繋がりで知り合ったり、今はあまり話さない人を除くと、ほとんどいない…

 

「大好きな趣味や特技について語り合える友達が欲しい…」

 

 私の密かな願いを言い当てたかのような言葉に大きく反応しちゃった…凛ちゃんはライブとか行く時にも付き合ってくれるけど、「凛はこっちのかよちんも好きにゃ〜」って言ってくれるけど、スクールアイドルのことをすごい、とは言ってくれても好き、と言ってくれたことはない。

 

 隠している訳じゃないけど、勢いが強すぎる自覚はあるから、普段は表に出さないようにしている私のアイドル好き…でも、もし本当に私と思いを共有して語り合える友達がいたら…それはきっとすごい楽しいんだろうなぁって思ったんです。

 

「クラスメートが難しいようならもちろん私でも構いません…」

 

 やっぱりいきなりクラスの子に趣味を聞いたりするのは私にはできないかな…凛ちゃんにお願いしたら聞いて回ってくれるかもしれないけど、それじゃきっと意味がない…一回あの人のところに行ってみようかな…でも、男の人と話すのって…やっぱりクラスの〜

 

  『いつでも待ってます』

 

 考えがぐるぐるループしていたところで、その言葉が強く胸に響いた…そっか、私、行っていいんだ…話をきいてもらっていいんだ…って、不思議と抵抗なく思えました。

 

 まずは凛ちゃんに相談して…火曜日と木曜日、だったっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その人を見て最初に気になったのは「細い」ってことだった。華奢、なんてレベルじゃないにゃ、あれは。ちょっと高い位置にあって苦労しながらマイクを取ろうとする腕は握ったら折れそうなくらいで…何故か見てるこっちがハラハラしてたにゃ〜

 

 でも、深呼吸をしてこっちを向いた瞬間、目つきが変わって見えたんだにゃー。準備運動を終えてスイッチを入れなおしたスポーツ選手みたいだった。

 

 お話の内容は、まぁ所々難しかったけど、お友達を作って大事にしよう、ってことで良かったかにゃ?言われたこと自体は今までにも何回か先生に聞かされた話とそれほど違いはなかったと思うにゃ。

 

 それでも誰も聞き流したりせずに、あの人のことを見ていたのは、混じり気ナシの本心から凛たちに語りかけてる、っていうのが感じられたからだと思うにゃ。遠くから全体にスピーチしてるのに、まるで一対一で向き合って話しているみたいだった。こっそり前にいるかよちんの様子を見てみたら、すごく真剣に話に聞き入ってたにゃ。大好きなアイドルを見てるときのかよちんに近い雰囲気を出してた気がするにゃ〜

 

「中々人に言えない秘密や希望を相談できる話相手が欲しい…」

 

 凛の秘密…って言うと、やっぱりあのことになるのかにゃ〜?女の子らしい、っていうのは凛には似合わない…分かっててもふとした時に想像しちゃう…これは、憧れ…なのかな?

 

 家族にもかよちんにも話していないことを打ち明けられる相手なんて高校どころか一生かけてもできないかもしれないにゃ…

 

「皆さんにこの高校に入って良かった、と思ってもらうのが私の希望です。そのための協力は惜しみません」

 

 でも、こんなにまっすぐに向き合ってくれる人がいるのなら、ちょっとお話してみるのもいいかもしれないにゃ。

 

  『いつでも待ってます』

 

 ……よし、決まりにゃ!まずは一回行ってみる!気軽に、って行ってたし。かよちんといっしょに相談室へGO!にゃー!

 

 …アレ?空いてるの、いつだって言ってたかにゃ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式の二日後、放課後の廊下には2人の生徒が小走りしていた。

 

「かよちん遅いにゃ〜、早く早く!」

 

「待って凛ちゃん、早すぎるよぉ〜」

 

 一年生の小泉 花陽と星空 凛。2人は、というより1人がもう1人を引っ張るようにして放課後のチャイムと同時に教室を飛び出してきた。

 

「もう、かよちんだって早く会って話してみたい、って言ったのに〜、早くしないと先に誰かきちゃうにゃ〜」

 

(予約を取れば来週には確実に時間が取れる、って言ったのに無理矢理ここまで引っ張ってきたのは凛ちゃんだよぉ…)

 

 口には出さないが、花陽にも思うところはあった。それでも、親友のこうして半ば強引にでも引っ張ってくれるところには昔から感謝していた。

 

「で、でも誰かが予約取ってたら急いでも今日は無理なんじゃないかなぁ…」

 

「ムッ、…そ、それを確かめるためにもとにかく急ぐにゃ〜!」

 

 スピードを上げる2人。というより凛。必然的に花陽のスピードも上がる。

 

「だ、だれか助けて〜〜〜‼︎」

 

「ダッシュでいっくにゃ〜〜〜‼︎」

 

 

 

 

 

 相談室の前に着いた2人。入り口には『自由にお入りください』の張り紙。

 

「あっ、空いてるみたいだにゃー、良かったね、かよちん」

 

「ハァ〜、ハァ〜、…う、うん。そうだね…」

 

 日頃あまり運動しない花陽には厳しい速度だったらしい。どうにか息を整えて…

 

「うっ、緊張するなぁ…どこかおかしなところとかないかなぁ?」

 

「大丈夫にゃ、かよちん。あのお兄さんも気軽にって言ってたし、かよちんもあの人なら大丈夫って思ったから来たんでしょ?」

 

「う、うん…そうだね、ありがとう、凛ちゃん。行こう」

 

 

 

 

 ノックに返事を返されたのを確認して、それなりに大きな入り口を開けてみると、白い髪と車椅子が目に入った。なにやらヤカンやコップなどを用意しているようだった。

 

「いらっしゃい。初めてのお客さんかな?…うん、そのリボンは一年生だね」

 

 話しかけられた2人はやや慌てて返事をする。あまりにも部屋の雰囲気と彼の雰囲気がマッチしていて見惚れてしまっていたらしい。

 

「は、はい。一年生の星空 凛です。よろしくお願いします!」

 

「お、同じく一年生の小泉 花陽です…よろしくお願いします…」

 

 若干緊張気味の2人を見て小さく笑った後、彼はまっすぐ2人に向き直って、言葉を紡ぐ。

 

「初めまして、星空さんに小泉さんね。知っているだろうけど改めて自己紹介。私は紡屋 命。よろしく。とりあえず、詳しい話はお茶を飲みながら聞くとして…」

 

 一度言葉を区切って、後ろの棚から茶葉の入った袋とコーヒー豆の入った箱を取り出して2人に見せるように両手に持つ。

 

 入学式で見せた時よりも更に眩い満面の笑顔で、

 

「まずはお茶の好みから教えてもらおうかな?ここには大抵のモノなら揃ってるよ」

 

 




閲覧ありがとうございます

花陽ちゃん視点、凛ちゃん視点、三人称、という流れでやってみました。やっぱり難しいですね、原作キャラ、っぽさを損ねてしまったかもしれません。三人称もビミョーな出来に…

これからも基本は主人公の一人称視点で書いていく予定ですが、ちょくちょく今回のような形式をはさむかもしれません。その時はまた、「あぁ、こいつヘタなのにまたやったのか…」とか思いながら見守ってくれたら嬉しいです。

ではまた!

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