開発室からお届けします   作:Tierra

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ワールドトリガーの中で一番好きなキャラクターは風間さんだったりします。
※作者は男性です


それでは5話目です。


第5話 「東堂 要②」

 

 

 

未だ街の空を大型トリオン兵は蹂躙している。

木虎と別れ別行動に移った東堂と三雲であったが、どうも東堂の顔は切羽詰まったような険しい顔である。

確かに街の被害は最近のそれとは桁違いの被害である…が、三雲はそれだけではなさそうだと思い始めていた。

 

 

「三雲君…今回送り込まれる予定のトリオン兵、アレだけだと思いますか?」

 

「…どういう事ですか?」

 

「先程から見るにあのトリオン兵は、町と川を周回するように円型の軌道を通っています

 僕には川に落としてくださいと言っているようにしか見えないんです」

 

「…まさか!?」

 

「えぇ、もしかしたら陽動の可能性があります

 もう少し急ぎましょう」

 

 

三雲がはいと勢いよく返事をした直後、繁華街の方で門の開く音が聞こえた。

 

 

―余り当たってほしくなかったのですけれど―

 

 

 

 

門が開いた場所に着くまではそう時間はかからなかった

視認できる敵は中型のトリオン兵モールモッドが3体、奇跡的に人的被害はなさそうだ。

 

 

「三雲君は市民の避難にあたってください。僕がアレを片付けます」

 

「了解!」

 

 

モールモッドを通り越し三雲は住民の方へ、東堂はモールモッドへ振り返る。

左手にトリオンでできた四角いキューブを二つ、生成して迎撃体制を整える。

 

 

「できれば退いていただけると助かるのですが…と言ってもやっぱり通じませんよね」

 

 

目前まで迫ったトリオン兵に対して、そんな事を呟く彼だったが勿論その言葉は届かない。

ふぅとため息を付いたあと、左手のトリオンキューブを分割させ弾として撃ち出す

手に生成させたキューブは2つであったが、撃ち出したその弾はゆうに200は超えるであろう数であった。

勿論近距離でその弾を防ぎきれるはずもなく、二体のトリオン兵を撃破する。

 

 

「トリオン兵、二体の撃墜を確認」

 

 

一体仕留めそこなったモールモッドが、東堂を通りぬけ三雲を追いに行くが

右手に生成したブレードで脚を幾つか切り落とされ、歩行することが出来なくなってしまう。

地面にドシャという音をたてる兵に対して弾が打ち込まれる、やがて動かなくなるモールモッドに対して

 

 

「僕を出し抜くのは少し難しいと思いますよ?」

 

 

と吐き捨てるように三雲の元へ駆けて行くのであった。

 

 

 

やがて市民の避難にあたっている三雲の元へ東堂が駆けつける。

 

 

「お待たせしました。今はどんな感じですか?」

 

「逃げ遅れた人も合わせてあとは避難させるだけです!」

 

「なかなかの早さですね。それでは引き続きシェルターへ誘導しましょう

 またいつ門が開いてもおかしくはありませんから」

 

「はい!」

 

 

全ては順調、二人がそう思っていた時川の方から大きな爆発音が聞こえる。

振り返ると黒い煙を上らせるトリオン兵が見えた。

 

 

「木虎、やったのか!?」

 

 

三雲がそう言うが、何やら様子が変だ。

恐らく彼の言うとおり木虎はあのトリオン兵を撃墜したのだろう。

しかしこちらの方へ高度を落としながら向かってくるのである。

一瞬考え、そしてはっとしたように東堂が声を荒げる

 

 

「急ぎましょう!あのトリオン兵もしかすると、こちらに墜落して自爆するつもりなの

 かもしれません!!」

 

「!?…はい!」

 

 

そして市民の方へ向き直った瞬間

進行方向の上空に門が出現し、もう一体の新型トリオン兵が姿を現す。

木虎が落としたトリオン兵と同じように、高度を落としながらこちらへ向かってくるのであった。

 

 

「もう一体!?」

 

 

「…三雲君、市民の皆様をよろしくお願いします

 空中で爆発させる事になるので、破片には十分気をつけてください

 正念場ですよ?」

 

「…分かりました!」

 

 

そういい東堂は左手にキューブを二つ生成し、グラスホッパーと呼んだ四角い板を踏み台にし空高くに昇っていった。

ふと木虎の方を見ると【何か】が川の方から伸び、そのまま新型トリオン兵を川へ引きずり落とすのが見える。

 

 

―ボーダーで製作していないトリガーのようですけれど…

 ……未確認のトリガー、C級隊員のモールモッド撃破…そういうことですか―

 

「…まずはこちらをどうにかするのが先ですね」

 

 

向き直った彼は、先程と同じ様にキューブを分割しそれを撃ち出す。

先程と少し違い、撃ち出した弾がまっすぐ飛んでいくのではなく、様々な軌道を描き飛んでいるのが分かる。

やがて着弾し周囲に硝煙を立ち上らせる。

…が、驚くことに200以上の弾を食っていながらも、ほぼ無傷のトリオン兵が硝煙の中から現れた。

 

 

「ほ~、硬いですねぇ」

 

 

少し感嘆の声色の東堂がやがてビルの屋上に着地する。

そして再びキューブを片手に2つ生成し、今度はそれを合成させ1つのキューブとして敵に撃ち込む

まっすぐ伸びていった数十という弾が、やがて同じ箇所に続けて被弾しトリオン兵の腹部に大きな穴を開けた。

すかさず東堂は、キューブを片手で合成しそれを撃ち込む。

そして弾は、それぞれの軌道を描きながら穴へと入っていく。

 

 

「さて、住民の方々を避難させないと」

 

 

そういい東堂はトリオン兵から視線を外しビルから飛び降りた。

対するトリオン兵は内部から無数の爆発音を発し、空中にて大爆発を起こすのであった。

 

 

 

■ □ ■ □ ■ □

 

 

 

市民の避難も無事終わり、再び本部まで行く三雲に同行する。

避難していった人々はボーダーに感謝するものもいれば、街が滅茶苦茶だと憤怒するものもいた。

確かにその通りである。ここまで街が悲惨な状況になったのは、4年半前の大規模侵略以来無かったのだから。

彼らは不安、やり場のない怒りをひしひしと感じているのだろう。

なんとしてもイレギュラー門の対応を急がなければいけない。

 

そんな事を考えていると、本部の入り口まで着いてしまった。

木虎が自身のトリガーで本部の扉を開ける。

 

 

「ふむ、トリガーが鍵になっているのか」

 

「えぇ、なのでここからは隊員しか入る事ができません」

 

「じゃあおれはここまでだな。なにかあったら連絡くれ」

 

「…分かった」

 

 

そう空閑と三雲が言葉を交わし、彼と木虎は基地内へと入っていく。

 

 

「東堂さんは入んないの?」

 

「空閑君とお話する約束をする為に残ってみました」

 

「ほう」

 

「これからいろいろと報告をしなければいけないので

 それが終わったら少しお話をしませんか?」

 

「いいよ、どこにいればいいの?」

 

「そうですね…そしたら

 

 

 

□ ■ □ ■ □ ■

 

 

 

約束の場所、本日新型のトリオン兵を視認した川原で、空閑は一人待っていた。

そこへ少し息を切らしながら東堂がやってくる。

 

 

「おまたせしました、ごめんなさい!少し時間がかかっちゃいました」

 

「いいよ、それで話ってなに?」

 

「今日の近界民を木虎さんが撃墜した時、空閑君はどこにいましたか?」

 

 

急に真剣な表情に面を食らいながらも空閑は答える。

 

 

「…ここにいたよ」

 

「そうですか、他に人は?」

 

「いなかった」

 

「そうですか。それでは最後に一つだけ、間違っていたらごめんなさい」

 

 

そう前置きをし東堂は重くなったその口を開く

 

 

 

「君は近界民ですか?」

 

 

 

壊れかけた街灯の明かりだけが彼らを照らす

 




いろいろこの話は構成に悩みました><

東堂のトリガーの説明と弾に関しては、追々ゆっくり説明しておこうかなと

それにしてもどこで本編と絡ませるか悩んじゃいますね…。

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