開発室からお届けします   作:Tierra

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原作最新話を見て修うううぅぅぅぅぅ!!
とリアルに叫んだ作者です。

ほんとに綾辻さん可愛いんだ


それでは第十話です


第10話 「三輪隊」

 

電子音と共に戦闘体へと換装する二人、換装し尚もこちらへ接近してくる

 

 

「さて、近界民はどいつだ?…ん、東堂さんもいるのか。これってもしかしてラッキー?」

 

 

そうヘアバンドで髪を後ろに流している少年 米屋 陽介 (よねや ようすけ)が口元に笑みを浮かべ問う

東堂がいることは彼等も予想外だったのだろうか、少し驚いた様子も伺える。

 

 

「僕の方はどちらかといえば、アンラッキーなんですけれどね」

 

「東堂さん…どういうつもりだ」

 

 

もう片方の少年 三輪 秀次 (みわ しゅうじ)は米屋とは裏腹に淡々と問う

少し怒気が含まれているようにも感じるが、目にかかるくらいの長さの前髪によりその表情は隠されている

 

 

「…まぁいい、今そのトリガーを使っていたのは、そっちの女だ」

 

「え……?」

 

「初の人型近界民が女の子か~、ちょっと殺る気削がれるな~」

 

「油断するなよ、どんな姿だろうと…近界民は人類の敵だ」

 

「!?」

 

「ま、まってくださいこいつは……!」

 

 

どうやらレプリカが行っていた雨取のトリオン測定、これを見て勘違いをしているのだろう

三雲が頬に一つの冷や汗を垂らしながら、意義を申し立てようとするが

 

 

「ちがうちがう、おれだよ近界民は」

 

 

空閑が一足先に否定をする。

自分が近界民である、ということを吐露するという方法でだ

 

 

「おまえが近界民だと……?」

 

「うん、そう」

 

「…間違いないだろうな?」

 

「まちがいないよ」

 

 

そう空閑が言い切った瞬間、三つの銃声が聞こえる

その音と共に数メートル後ろに吹き飛んでいった。

 

 

「三輪君、彼が一般人だったらどうするんですか?」

 

 

少しいつもの彼と様子が違う、僅かだがそう思わせるような強張った声で問う

 

 

「近界民を名乗った以上、見逃すわけにはいかない

近界民はすべて殺す、それがボーダーの勤めだ」

 

「……そうですか、でも残念ながら今のでは仕留めきれていないみたいですよ?」

 

「なに!?」

 

 

東堂の言葉に一同の視線が集まる、そこには無傷の空閑が座っていた

驚くべきことに至近距離から受けたハンドガンを、全てシールドで防いでいたのだ。

 

 

「空閑!!」

 

「うおっマジか、この距離で防いだ!」

 

 

2~3メートルあるかないか位の距離の攻撃を防いだ事に三輪隊の二人に動揺が走る

 

 

「あのさ、ボーダーに迅さんっているだろ?

おれのこと訊いてみてくれない?一応知り合いなんだけれど」

 

「…空閑くん残念ながら」

 

 

立ち上がりながらそう告げる彼に対して、首を横にふりながら東堂がそう口にする

 

 

「迅だと……?やっぱり一枚噛んでたか……裏切り者の玉狛支部が…!」

 

「裏切り者……!?」

 

「退け三雲、俺たちは城戸司令の特命で動いている。これ以上邪魔をするようなら……実力で排除するぞ」

 

 

そう腰に付けているブレードに手をかけながら警告をする

 

 

「んー、参りましたねぇ…彼は僕が先に見つけたんですけれど、このまま開発室の監視下に置かせてはくれませんか?」

 

「ふざけるな、そんな理屈が通用すると思っているのか!」

 

「あらら、それは残念」

 

 

アメリカンコメディーのようにおどけて見せる彼だったが、次第に雰囲気が変わりトリガーを手にし

 

 

「非常に残念ですけれど、こうなったら実力行使しかなさそうですね。せっかくの被検体です、そうやすやすと横取りされませんよ?」

 

 

そう微笑み戦闘体へと換装した

 

 

「おいおい、人型近界民と戦闘って来てみたら東堂さんと戦うのかよ…なぁ秀次オレに一対一(サシ)でやらせてくれよ!」

 

「ふざけるな、遊びじゃない。東堂さんを排除して次は近界民だ、二人掛りで確実に始末する」

 

「ふむ?」

 

 

三輪の言葉に何か引っかかることがあったのか、空閑が首をかしげるが東堂の一言により、その違和感の正体が判明する。

 

 

「嘘はよくないですねぇ、来てるんでしょう?…古寺くんと奈良坂くん」

 

 

この言葉に今いる駅から遠く、高層ビルの屋上にいる二人が反応する

 

 

「やっぱりバレてる…」

 

「分かっていても4対1は変わらない、俺達のやることは一緒だ」

 

 

メガネをかけている 古寺 章平 (こでら しょうへい)とマッシュヘアの 奈良坂 透 (ならさか とおる)

彼等は三輪隊のスナイパー故に、遠方の高層ビルにてスタンバイをしていた。

しかし本部の人間と戦闘になることは勿論想定しておらず、いることがバレてしまうのは彼等にとっても誤算であった。

 

 

「まぁコッチの人相手だし、バレるのはしょーがないか。ここはひとつ全員でじっくりかかるか」

 

 

と言い終わるや否や構えていた槍で一閃をくりだす

その一撃は恐ろしい速さで繰り出されたが、バックステップひとつでそれをかわす。

 

 

「その槍を作ってあげたのは誰だと思ってるんですか?そんな不意打ちは通用しません」

 

「あちゃーやっぱダメかー」

 

 

手元に戻った槍の矛先を見てみると、横に刃が伸びているのが分かる。

ボーダーにおける人気の攻撃用トリガー【弧月(こげつ)】彼が使っているのはそれの槍タイプだ

高いレベルでバランスの取れた攻撃力と耐久力、総合力では間違いなくトップの傑作である

ただし、重さはそこそこあり一度決めた形や長さは変えられず、自由に出し入れできないというデメリットが存在する

そして弧月にはトリオンを消費して刃を変形、拡張できる専用のオプショントリガーが存在し

彼が刃の形状を変化させたのは【幻踊弧月(げんようこげつ)】と呼ばれるオプショントリガーであった

 

 

「さて、それじゃあ今度はこっちの番ですね」

 

 

そう言い片足をおもむろに前へ出す、そしておもいっきり地面を蹴りつける

こちらに飛んでくる事を予想し、米屋は槍で防御の構えをとろうとするが

既に東堂は目と鼻の距離まで接近していた

 

 

「なっ!?」

 

 

迫りくるブレードを左肩に食らいながらも何とか回避に成功する

ふと東堂が蹴った地面を見ると、グラスホッパーがセットされているのが分かる

 

 

「不意打ちはきみの特権ではないのですよ?」

 

「くぁ~やっぱ二人で攻めた方がよさそうだな」

 

「初めからそう言っている、あまり前に出すぎるな」

 

 

ここで初めて三輪も攻撃に参加する

三輪がハンドガンを構え狙撃、それをシールドで防ぐが逆側から槍で攻撃をされる

片方が気を引きもう片方が死角から攻める、この絶妙な連携により途端に攻めることが難しくなる

 

 

―流石に4対1は辛いですね…本気でいけば恐らく勝てるでしょうけれど―

 

 

東堂が攻め切れない理由は三輪隊の強さ以外にも存在した

まず一つが自分が本部の人間ということ、このまま倒してしまうより撤退してもらった方が事後処理が楽なのだ

もう一つが三輪隊の狙いが近界民である空閑であるということ、東堂の勝利の条件は空閑を守りながら三輪隊を撃退することであるからだ

故に彼は攻めきれずにいるのであった。

そうこう考えていると、壁を背に三輪と米屋に挟まれてしまう

 

 

「挟んだ!」

 

「くっ!グラスホッパー!」

 

 

なんとか隙間を縫いグラスホッパーでその場を離脱するが、横のビル2つから銃弾が飛んできた

一つはシールドで防ぐが、もう一つは防ぎきれず左肩に直撃してしまう

 

 

「ぐっ…」

 

「当てた!さすが奈良坂先輩」

 

「あれははずれだ…こっちの位置はある程度読まれているな

俺は東堂さんが反応してもかわせない距離まで近づく、おまえはここで牽制し続けろ」

 

「了解」

 

 

地面に着地し肩を押さえる東堂、その表情はまだ余裕があるもののこのまま行けば負けてしまうだろう

 

 

「東堂さんの肩が…!」

 

「…くそっ!」

 

 

見かねた三雲が携帯を取り出し電話をかける。

その相手は…

 

 

『はいはいもしもし?こちら実力派エリート迅 悠一。どうした?メガネくん』

 

「迅さん!助けてください!A級の部隊が空閑を『うん知ってる。三輪隊だろ?』」

 

「……え!?」

 

『知ってるっていうか見えてる』

 

「え!?」

 

『今要がめずらしく綺麗に一発食らったな』

 

 

なんと近くで見ていたらしい、迅は慌てる様子もなくいつもの飄々とした声色であった

 

 

「な…それなら……」

 

『大丈夫大丈夫、安心して見てなよ。三輪隊は確かに腕の立つ連中だけど

要が一人で勝てない相手でもない、それに俺のサイドエフェクトによるとそろそろアイツが動き出す頃だ』

 

「それってどういう!?」

 

『と、そろそろ俺も動かないと流石にマズそうだ。また後でな』

 

 

と電話が切られてしまう

電話の間にもだいぶ戦況が動いてしまったようだ

先程の肩に一発当たってできた傷以外にも、ちらほらと傷が見受けられる

 

 

「そろそろ退場してもらうぞ」

 

 

その台詞と共に三輪がハンドガンの弾を変える、次の攻防で恐らく決定打が決まるだろう。

米屋が槍を構え、東堂がそれに対処すると同時に死角から三輪が銃を撃つ

そのまま東堂がシールドで防いでもよかったのだが、横から見知った白髪が銃弾をシールドで防ぐ

が、その銃弾はシールドをすり抜けて白髪に直撃してしまう。

 

 

「重っ……なんだこりゃ」

 

「空閑くんどうして!?」

 

「さすがに見ていられなくなりまして」

 

「うぐっ…」

 

 

痛いところを突かれ思わず口ごもってしまう

しかし今はそれどころではない、機動力を失った空閑を三輪隊から守らなくてればいけないのだ

東堂は再び三輪隊を抑えに行く、それと同時に空閑の腕から蛇のようなレプリカがにょろりと出てきた

 

 

「トリオンを重しに変えて相手を拘束するトリガーだ、直接的な破壊力がないかわりにシールドと干渉しない仕組みのようだ」

 

 

そんな解析もつかの間、東堂の方から三輪がすり抜けて空閑の方へ弧月を抜いて迫ってくる

 

 

「これで終わりだ、近界民!!」

 

「しまっ!」

 

「東堂さんはオレの相手になってもらうぜ」

 

「くっ…!」

 

 

すり抜けた三輪の対応をしようにも、米屋と古寺の牽制により阻まれてしまう

 

 

「空閑!!!」

 

「解析完了、印は『(ボルト)』と『(アンカー)』にした」

 

「OK、『錨』印(アンカー)『射』印(ボルト) 四重(クアドラ)

 

 

その呟きと共に空閑の手元に波紋が広がり無数の弾丸を三輪達を襲った

間一髪その弾丸を回避する東堂が見たものは、先程三輪が撃った弾【鉛弾(レッドバレッド)】を空閑が打ち返した。というものだった

 

 

「おぉーいいなこれ、かなり便利だ」

 

 

その光景にただただ立ち尽くす一同、空閑が行った事は他者のトリガーのコピー

それも威力を数倍膨れ上がらせてのコピーである、一言で表すと尋常ではない

「他者のトリガーを学習するトリガー」とでも言うべきだろうか。

 

 

「やっぱり迅さんの…」

 

「おれの言ったとおりだったろ?」

 

「迅さん!」

 

「どもども」

 

 

迅が古寺と奈良坂を引き連れて登場する

恐らく説得して連れてきてくれたのだろう

 

 

「おいおい要、ずいぶんなやられっぷりだな」

 

「ちょーっと条件が厳しすぎましたねぇ」

 

「それにしてもやられすぎだろ~油断してた?」

 

「いいえ、なかなかに手強かったので」

 

 

東堂が軽く会話をした迅が次いで三輪に視線をやる

 

 

「な?秀次、だからやめとけって言ったろ?」

 

「わざわざオレたちを馬鹿にしに来たのか!」

 

「ちがうよ」

 

「おまえらがやられるのも無理はない、なにしろ遊真のトリガーは(ブラック)トリガーだからな」

 

 

その発現に一同驚愕の色に変わる

 

 

「むしろおまえらは善戦したほうだな、元A級3位チームの要もいたんだ

こいつらにおまえらを倒す気がなかったとはいえ……さすがA級三輪隊だ」

 

「東堂さんA級3位チームってマジか!」

 

「………」

 

 

東堂の経歴にさらに驚愕の色に変わる三輪隊

とここで三雲が耐え切れなくなったのか

 

 

「……レプリカ、黒トリガーって何だ?」

 

「ふむ、黒トリガーとは優れたトリオン能力を持った使い手が、死後も己の力を世に残すため、自分の命と全トリオンを注ぎ込んで作った特別なトリガーだ

黒トリガーには作った人間の人格や感性が強く反映されるため、使用者と相性が合わなければ起動できないという難点があるが、その性能は通常のトリガーとは桁違いだ」

 

「自分の命と全トリオンを……」

 

 

レプリカの話にひと段落がついた頃、迅と三輪の会話も終盤に差し掛かっていた。

 

 

「このところ普通の近界民相手でもごたごたしてるのに、黒トリガーまで敵に回したらやばいことになるぞ

『こいつを追いまわしても何の得もない』おまえらは帰って城戸さんにそう伝えろ」

 

「…何の得もない……?損か得かなど関係ない…!近界民はすべて敵だ…!! 緊急脱出(ベイルアウト)!!」

 

 

三輪の叫びと共に戦闘体が光に包まれ本部基地の方まで飛んで行く

ボーダー正隊員のトリガーに付く送還システムである

 

 

「さてと、三輪隊だけじゃ報告が偏るだろうから、おれも基地にいかなきゃな。要も行くんだろ?」

 

「…できれば、いえ凄く、ひじょーに行きたくないんですけどね?」

 

「でも行かなきゃ確実にクビだぞ?おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

 

「うぅ、ほんとにやだなぁ」

 

 

重い足取りで東堂が本部へ向かうと同時に解散となる

一人残る迅がサイドエフェクトで見えた未来に苦笑を浮かべながらも独り言を漏らす

 

 

「ほんとにこれからが大変なんだよ……要………」

 

 

 

 




うひゃー今回めっちゃ長いぞー!?
どこで切っていいか分からずかなり書いちゃいましたね
戦闘シーンは相変わらず難しいです(汗


それではまた次回お会いしましょう!

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