穴熊寮からごきげんよう   作:秋津島

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「あらかじめ申し上げておきますと、私が一番怖いのはまんじゅうですね。特に中身がこしあんだったり、栗饅頭だった時の恐怖と言ったら!」
「それから、熱々の玉露も怖いですね。まんじゅうとセットで出されたら、気絶してしまうかもしれません」
「ああ、こんな話をしていたら気分が悪くなってしまいました。私はひと眠りしてきます」


まね妖怪

 週の最後の授業は魔法史、変身術、闇の魔術の防衛術だ。

 今年も変わらない、数分と聞くだけでクラスの大半を夢の世界へ引きずり込むビンズ先生の授業を受け、変身術では「動物もどき」の話を聞き(この時、先生はエドガーの方を見てかすかに微笑んだ)、授業後にはエドガーがまた今年も個人授業をしてもらう約束を取り付けてもらった。

 そして迎えた防衛術。すでに他三寮はこの授業を受けているのだが、聞こえてくるのは良い評判ばかり(スリザリンの一部が粗を探してはあれこれ言っていたが、その程度では妨げにならなかった)で、ハッフルパフの生徒は今か今かと授業を心待ちにしていた。

 エドガーだって例外ではない。初めてまともな授業が受けられる喜びと、評判に対する期待とで、前日からそわそわしながらこの日を迎えたのだ。なお、その時の様子を後にザカリアスが「散歩を告げられた犬のようだった」と表現している。

 

 闇の魔術に対する防衛術のクラスにやって来た時、ルーピン先生は既に教壇に立っていた。くらびれた古い鞄を机に置き、相変わらずつぎはぎだらけのローブを着ている。

 先生は生徒が全員教室に入ったのを確認すると、微笑んで挨拶した。

 

「やあ、ハッフルパフのみんな。君たちとは初めての授業だね。改めて、わたしが今年から防衛術の授業を担当することになったリーマス・ルーピンだ」

 

 話しながら、ルーピン先生はクラス全員に視線を送った。最後にエドガーに辿り着いた時、彼が少しだけ目じりを下げたのを、エドガーは見ていなかった。

 

「さて、既に他の寮の生徒から聞いている子もいるだろうけど、今日は実地訓練をするんだ。教科書も羽ペンも鞄に戻して、杖だけ持ってわたしについておいで」

 

 防衛術の実地訓練として唯一あったのが、去年の教師ギルデロイ・ロックハートによる、グリフィンドールでの凄惨なピクシー小妖精事件だ。あの時は教師が全く役に立たず、最終的には生徒が後始末をするという、おおよそ授業として成り立たないものだったが、この先生がそんなことをしないのは三寮がすでに証明している。

 だから生徒たちは期待に満ちた表情で杖を片手に立ち上がり、素直にルーピン先生に従って職員室にやって来た。

 

「さあ、入って」

 

 職員室は板壁の奥の深い部屋で、ちぐはぐな古い椅子がたくさん置いてある。がらんとした部屋には先生の姿は一人もない。

 去年忍び込んだ時も、こんな状況だったっけ、とエドガーは思い出す。確かあの時は、秘密の部屋の怪物がバジリスクである事を先生たちに告げようとしたんだ。それから色々あって洋服掛けの中に隠れてジニーが連れ去られた事を知って、ロックハートを道連れに秘密の部屋に乗り込んで……。

 

「――エドガー」

「あっ、すみません。少しぼーっとしてました」

 

 去年の冒険を思い出している間に、皆が部屋の奥まで移動していた。慌てて思考を切り替えて、いつもの呆れ顔で見てくるザカリアスの隣に走った。

 生徒たちの目の前には、先生たちの着替え用のローブを入れる古い用箪笥がぽつんと置かれていた。エドガーがこちらにやって来たことを確認したルーピン先生が、曖昧な笑顔を浮かべながらそのわきに立つと、箪笥ががたがたと揺れ、音を立てて壁から離れた。

 

「心配しなくて大丈夫だ。この中にはまね妖怪――ボガートが入っているんだ」

 

 そうは言うものの、これは心配する事ではないのか、とそう言いたそうに何人かが不安そうな表情を浮かべた。

 最初の授業で早速妖怪と対峙するなんてこれが初めてだから、彼の良い評判を聞いていてもやはり怖くなってしまう。エドガーだけは例外として、いつもと何ら変わらない穏やかな表情を浮かべているが。

 ルーピン先生はその様子を見て小さく微笑んだ。

 

「奴らは暗くて狭いところを好むんだ。洋箪笥、ベットの下の隙間、流しの下の食器棚、柱時計の中など。――そうだな、エドガー、ボガートが一体何かわかるかい?」

「え、っと、近くにいる人間の一番怖いものに化ける妖怪です。人前では必ず何かに変身しているから、これまで一度も本体の姿が確認された事がないと言われています」

「その通り」

 

 一年時の指定教科書『幻の動物とその生息地』の内容を隅から隅まで完璧に覚えたエドガーにとって、この程度の質問など寝起きでも答えられる。

 ちなみにこの教科書、禁じられた森や湖など、ホグワーツの敷地内に生息する危険な動物を見分けるためのもので、授業で使用される事はほとんどない。精々が魔法生物飼育学で参考程度に開かれるだけだ。

 

「エドガーの言う通り、ボガートは外に出ると、たちまち近くの人間の、一番怖いものに姿を変えるんだ。つまり、初めからこちらが有利な立場にあるわけだけど、なぜかわかるかな?」

「うーん、私たちの人数が多いから、どんな姿に変身すればいいか迷っちゃうのかな?」

「正解だハンナ。ボガートを退治する時は、誰かと一緒にいるのが一番いい。何に化ければいいか、向こうが混乱するからね。わたしは一度、ボガートが混乱して間抜けな変身をしたのを見たことがある」

 

 ルーピン先生の愉快そうな声につられ、何人かがその様子を想像して小さく笑った。

 

「ボガートを退散させる呪文は簡単だ。しかし精神力が必要だ。こいつを本当にやっつけるのは『笑い』なんだ。君たちはボガートに、君たちが滑稽だと思える姿を取らせる必要がある。さて、初めは杖なしで練習しようか。わたしに続いて言ってみよう。……リディクラス、ばかばかしい」

「リディクラス、ばかばかしい!」

「そう、とっても上手だ。でもここまでは簡単なんだけどね、呪文だけでは十分じゃないんだよ。そうだな……アルマ、来てくれるかい?」

「はーい」

 

 一番手として呼ばれたアルマは、わくわくした顔で前に進み出た。

 彼女は杖を使った教科にやや弱く、実技の成績はクラスの中でも低めだ(ちなみに彼女が一番苦手とするのは杖をほとんど使わない魔法薬学なのだが、ここは割愛しておく)。

 ルーピン先生は実技が苦手な子でも、きちんと手順さえ踏めばボガートが退治できる事を伝えたいのだろう。実際、実技の得意なエドガーやザカリアス、アーニーがさらりと成功させたところで、大した感動はない。

 なるほど、よく考えられている。意図に気づいた数名の生徒が、改めて尊敬の眼差しをルーピン先生に送った。

 

「よし、アルマ。君が世界一怖いものはなんだい?」

「うーん、お姉ちゃんかな。いつも謎の魔法薬を調合しては私を実験台にするんだ。一週間意識が戻らなかった事もあるんだよ」

 

 アルマの姉、パトリシア・フォーセットはレイブンクローに所属する五年生だ。アルマと同じ黒色の髪を腰まで伸ばし、目じりの上がった猫のような瞳からは冷静な印象を受ける。姉妹なのでアルマも同じような瞳をしているけど、彼女の場合は冷静さではなく、本人の持つ性格や雰囲気、表情から溌溂とした印象を与えている。

 知性を重んじる寮生だけあって頭脳明晰で、特に魔法薬学はあのスリザリン贔屓のスネイプ先生が加点を与えるほどの腕だとか。なぜここは似なかったのだろう。

 さて、そんなパトリシアは、ときおり自分なりのアレンジを加えた魔法薬を調合する。その効果を試すため、よく妹のアルマに(有無を言わさず)試飲させるのだ。よりたくさんの実験データが必要な時には、アルマの近くにいるエドガーやザカリアス、ジャスティン、アーニーらも犠牲になる事が多々ある。

 そういうわけだから、アルマからその名が出た時、彼らは一様にさっと顔を青くした。

 

「お姉さんか、なるほど。……アルマ、そのお姉さんが調合した魔法薬で、何かおかしな効果を現したものはあるかい?」

「えーっと……あ、そういえば、レイブンクローのクィディッチメンバーを強化しようとして、筋肉増強剤を作ったことがあるんだって! 私は運よく逃れたけど、何でもそれを試飲した……あー、させられたお姉ちゃんの友達が、着ていたローブが引きちぎれるほどの筋骨隆々の肉体になっちゃったって」

 

 なんて災難だ。

 クラス全員が、顔も名前も知らないパトリシアの友人に手を合わせた。

 

「よーし、わかった。いいかい、これからボガートが洋箪笥から出てきて、君のお姉さんに変身する。そうしたら君は杖を上げて、呪文を唱えるんだ。さっき練習したね、『リディクラス、ばかばかしい』だ。その時、君は魔法薬を飲んで筋骨隆々になったその友人に意識を集中させる。うまくいけば、ボガートのお姉さんは、筋骨隆々のたくましい肉体になる」

 

 アルマはそれを想像したのか、軽い笑い声を響かせた。皆もつられて笑い、洋箪笥は一段と激しく揺れた。

 

「アルマが首尾よくやっつけたらそのあと、ボガートは次々に君たちに向かってくるだろう。みんな、ちょっと考えてくれるかい。何が一番怖いかって。そして、その姿をどうやったおかしな姿に変えられるか、想像してみて」

 

 その言葉で、部屋は静かになった。

 皆自分の恐れるものを考えている。ハンナは小さい声で独り言を囁き、スーザンは僅かに首を傾げて、頬に手を添えている。ザカリアスは腕を組みながら唇だけを動かし、ジャスティンは目を固く閉じ、アーニーは大きなため息をついた。

 エドガーもまた、他の生徒と同様に、自分の恐れるものを考えた。が、すぐに、汽車の中でディメンターに襲われた時の事を思い出した。――あの時に強く「恐怖」を感じた事で、今まで自分が全くそんな感情を抱いてこなかった事に気づいたのだ。

 

(たまに、何を考えているかわからないって言われるけど……)

 

 その理由が、今ならわかる。

 おれは少し、感情が欠けているんだ。

 「賢者の石」の時も、「秘密の部屋」でも、おれが感じていたのは未知の冒険に対する「期待」、友達を「心配」する気持ち、真相を知った時の「驚き」等々。これっぽちも「恐怖」を感じていなかった。

 

(ああ、今更気づくなんて)

 

 ――おれは、ヴォルデモートの名前が言える。魔法界ではその名を呼ぶ事さえ恐れられている闇の帝王なのに、全然、怖くない。おれはマグル育ちでもなければ、彼の悪魔のような所業を知らないわけでもない。それなのに。

 

「準備はいいかい? 三つ数えてからだ。いーち、にー、さん、それ!」

 

 エドガーははっとして、頭を振った。いつの間にか授業が再開している。

 ルーピン先生の杖の先から火花がほとばしり、洋箪笥の取っ手のつまみにあたった。箪笥が勢いよく開き、黒髪を揺らした聡明さを感じさせる女子生徒が現れた。紛うことなき、パトリシア・フォーセットだ。

 手にしたゴブレットには謎の液体が満ちていて、緑色の煙が上がっている。ボガート・パトリシアは不敵な笑みを浮かべ、それをアルマに差し出した。

 アルマはそれを振り払うように、杖を頭上にかざした。

 

「リディクラス! ばかばかしい!」

 

 パチンと鞭を鳴らすような音がして、パトリシアはゴブレットの中身を一気に飲み干した。途端に体が膨張し、耐えきれなくなったローブの肩から腕にかけての部分がびりびりと破れた。今やパトリシアは、筋骨隆々の漢女(おとめ)となり、華麗なフロント・ダブル・バイセップスを決めていた。

 顔はそのままなのに、体はボディビルダー。絶妙なアンバランスさが教室を笑いの渦に叩き込んだ。ボガートは途方に暮れたような顔で、訳も分からず空のゴブレットを握力で粉砕した。さらに笑い声が大きくなる。

 

「さあ、どんどん行こう!」

 

 アルマの次に呼ばれたアーニーに対し、ボガートは懐中時計、柱時計、腕時計など無数の時計に姿を変身するも、呪文によってシュルレアリスムの絵画さながらの、どろどろに融けた柔らかなものに変えられてしまう。

 続くハンナが対峙したのはスネイプ先生だ。黒くねっとりした髪と大きな鉤鼻は、一瞬で艶やかな黒髪と小さく整った鼻に変わり、なおかつスネイプ先生なら絶対にしないであろう爽やかな笑みを浮かべることになった。

 ジャスティンの番になると、何人かの生徒が彼と一緒に息をのんだ。ボガートが変身したのは、去年数名の被害者を出し、ホグワーツを恐怖に陥れたバジリスクだったからだ。

 彼はその姿を見るなり小さく悲鳴を上げ、体を震わせ、頭を抱えた。いくら偽物と言えど、自分を襲った怪物の姿には違いない。中断するべきか、ルーピン先生が迷った末に声を掛けようとしたところで、ジャスティンは勢いよく顔を上げた。

 

「もう、大丈夫です。本物はエドたちが倒してくれたんだ。だから、これくらい……リディクラス!」

 

 パチンと音がして、バジリスクの巨大な体がするすると縮んだ。一般的な蛇の大きさになったバジリスクは、やがてどこからか現れた銀の剣によって、首を切り落とされた。エドガーだけが、痛々しそうな表情で目を伏せた。彼は動物がひどい目に遭うのが苦手なのだ。

 ジャスティンの次はスーザンだ。ボガートが変身したのは、うつ伏せになりぴくりとも動かない少年だった。ホグワーツの制服を着ていて、髪は黒く、顔は伏せられていて確認することができない。

 エドガーが何の気なしにその人物の顔を見ようと、立ち位置を変えようとした瞬間、横からぬっと伸びた手が彼の視界を塞いだ。

 

「……? アルマ、これじゃ何も見えないよ」

「いやー、エドは見ない方がいいと思って。スーザンのためにも」

 

 しばらくしてエドガーの視界が元通りになった時、すでにボガートはザカリアスと向き合い、髪の毛の生えた豚のマスクを被った男に姿を変えていた。ザカリアスが呪文を唱えると、男は本物の豚になり、皆に笑われながらピーピー鳴いた。

 

「混乱してきたぞ、もうすぐだ! エドガー、おいで」

 

 とうとうエドガーが呼ばれて、洋箪笥の前まで歩み出た。

 エドガーはボガートが何に変身するか予想が出来ていた。ディメンターだ。彼が恐怖を感じたのは、それだけだったから。

 果たしてボガートは、全身がマントに覆われた黒い人影、ディメンターに変身した。しかし、おかしなことにその背中からは骨ばったドラゴンのような翼が生えている。それに、汽車の中で見たディメンターの手は、かさぶたで覆われた水中の死骸のようなものだったのに、今僅かに見えるそれは人間の物と大差ない。

 

 ボガートは、ゆっくり、ゆっくりと顔を覆い隠す頭巾を取った。

 そこにあったのは――エドガーによく似た青年の顔だった。十代後半だろうか、並んでいると兄弟のようだ。癖のない黒髪、薄い青にも見えるグレーの瞳、鼻梁の通った鼻筋。明確な「拒絶」の意思をはらんだ、氷のような眼差しでエドガーを見下ろしている。

 二人(・・)が、息をのんだ。

 

 

 ルーピンは驚愕していた。

 エドガーが変身させたボガート・ディメンターの頭巾の下から現れたのは、彼が良く知った顔だったから。

 

(なぜ、君が現れる。……シリウス)

 

 それは、ルーピンの旧友であり、十二人のマグルと一人の魔法使いを殺害した罪でアズカバンに投獄され、今では脱獄囚として世間を騒がす魔法使い、シリウス・ブラックその人だった。

 容姿こそ学生時代のそれだったが、だからこそ、その時期に近くにいたルーピンが見間違えるはずもなかった。

 エドガーの様子を確認する。無意識に心臓を抑え、目を大きく見開いてボガートの顔を見つめている。杖を持った左手は力なく垂れ下がって、呪文を唱える気配もない。

 

(ぼんやりしている場合じゃない)

 

 ルーピンは杖を構えた。

 

「こっちだ」

 

 ボガートの意識を自分に引き寄せる。

 ボガートはたちまち姿を銀白色の月に変えて、空中にぼんやり浮かんだ。それを投げやりにこの世で一番嫌われているであろう虫に変え、床にぽとりと落とした。

 

「ひっ、リディクラス!」

 

 ハンナの目の前に落ちた虫は、彼女の小さな悲鳴の間にまたスネイプに姿を変えた。しかし、今度はレース飾りのドレスを着た姿に変身させられた。生徒たちの笑い声を一身に受けて、ついにボガートは破裂して、何千という細い煙の筋になって消え去った。

 

「よーし、よくやった! ボガートと対決した生徒一人につき五点をあげよう! ハンナは二回やったから十点だ。ボガートに関するまとめを月曜日までに提出してくれ、それが今回の宿題だ。では、今日はこれでおしまいだ! いいクラスだったよ! それからエドガーは少し残ってくれ、話があるんだ」

 

 ルーピンは早口に伝えて、盛り上がる生徒たちを帰した。

 最後まで数人の生徒が心配そうな顔で、未だに胸を押さえながらぼんやりするエドガーから離れようとしなかったが、ルーピンが後で寮まで送ることを約束すると、頭を下げて部屋を出て行った。

 これで、職員室に残ったのはルーピンとエドガーだけだ。しかし、もうすぐ他の先生方も戻ってくる。手早く済ませないと、とルーピンは前置きもそこそこに切り出した。

 

「エドガー、さっきの青年が誰だかわかるかい?」

「いえ……わかりません。ディメンターと、背中……セストラルの翼はわかったけど、その人は見たこともありません。……でも、なんだか、おれに似ていた」

「……」

「それに、あの冷たい目で見られるのはすごく怖かった。でも、あの顔を見た時、なぜかすごく安心したんです。――嬉しかったんです。今まで感じてこなかった強い感情が一気に溢れるみたいで、もう、わけがわからなくなって……。あの、先生はもしかして、あの人をご存知なんですか?」

 

 廊下の外から足音が響いてきた。授業を終えた先生方が戻ってきたらしい。

 

「ああ、知っているとも。だけどここでは詳しく話せない。別の機会にしよう」

「はい」

「わかった。それじゃあ、そろそろ寮に戻ろう。君のお友達が心配している。……大丈夫かい?」

「なんとか。……あんなに強い感情にあてられた事がなくて、少し混乱しただけですから」

 

 エドガーはそう言って、明るく笑って見せた。

 それが記憶の中の別人の笑顔と重なるルーピンは、しかしそんな様子をおくびにも出さず、微笑みを返してハッフルパフの寮へと歩き出した。




リーマス(仮装……)
生徒たち(ハロウィーンにトラウマが……?)

今回はまね妖怪のターン。楽しかったです。
いよいよ次回でエドガーの容姿が具体的に描写できます。いやはや、長い道のりだった。

ところで、二話続けて微三人称でお送りしましたが、エドガーの一人称とどちらが読みやすかったでしょうか。
よろしければご意見いただけるとありがたいです。

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