だから少し遅れたとかいう言い訳←
いやぁ…、もう良きとか優勝とかで言い表せないですね。
ラブライブ!はいいぞ。
もちろんアイマスもいいぞ。
甲乙なんて付けられないです。
『続報です。昨夜起こった京都上空での謎の光が、ISによるものだと判明しました』
「大変ねぇ、学園の上層部も。マスコミは私たちの名前を出してないけど、結構対応に追われてるんじゃないかしら」
「せやなぁ…。ってまあ、このメンツ敵に回したらどの局も生きられへんやろ」
時守剣と更識楯無の朝は早い。
学園にいる時も、方や千冬との特訓、方や生徒会長としての仕事に奔走しなければならないこともあり、2人とも5時前後に起きることなどざらにあった。
「ロシアに中国、フランスにドイツ、日本と…国連?後はまあ、剣くんと仲のいい所も含めるとアメリカとかオランダとか…。流石にそれらの国から目の敵にされたくはないわよね」
「後は、俺とワンサマに嫌われるに等しいしな。普段パンダとしてこき使われてんのにこういう時にボロカス言われるのは嫌やわ」
「大丈夫よ、私たちがついてるもの」
「…それだけでも充分すぎるわ」
ぎゅうっと、時守の胡座の上に座っている刀奈をあすなろ抱きのように抱きしめる。
時守は刀奈の柔らかさと甘い匂いを堪能し、刀奈は1人だけ時守に抱きしめられるという幸福感に浸ることが出来る。
簪、シャルロット、セシリアの3人がまだ目を覚まさないこの時間にのみできる、2人だけの秘密だ。
「ねえ剣くん。ちゅーしましょ?」
「ん」
短いやり取りの後、唇を合わせる。
数時間前は唾液の受け渡しをする程に深く激しいものだったのだが、今は唇同士を付け、舌先でくすぐる程度のキスをする。
「ちゅっ…。うふふ、大好きっ」
「俺もや」
刀奈との甘いキスを味わった後、顔が離れれば至近距離で微笑みながら愛を囁かれる。
後ろから抱いている腕に込める力を少し強める。
「んんっ…。どうしたの?」
「ただ刀奈を抱きしめたかっただけや」
「…そう」
割と苦しいのではないかというぐらいに強く抱きしめる時守。
すると、そんな彼の腕の中から刀奈がするりと抜け出た。
「…刀奈?」
「抱きしめたいなら…えいっ」
時守と対面する形で膝立ちになった彼女が、そのたわわに実った胸元に時守の頭を抱き寄せた。
「…もっと甘えてもいいのよ?国連代表で、強くて、色々なことを任されがちだけど、剣くんはまだ15歳だもの」
「……なあ刀奈…」
「恥ずかしがってもダーメっ。…最近の剣くん、ちょっと強がりすぎよ?確かに頼りになるけど、たまにはこうしてお姉さんに甘えなさい?」
「…それ言われたん、久しぶりやな…」
豊満な双丘に顔を埋め、その匂いと感触に癒される。
恥ずかしいという感情はもう無い。
ただ顔いっぱいに刀奈を感じるだけだ。
「…どうして添い寝じゃなくてこうしたか分かる?」
「…んーん。分からん」
「剣くん、私たちのおっぱい好きでしょ?」
「………………」
「沈黙は肯定と見なすわね」
「……刀奈ぁ…」
「ふふっ」
だいぶ躊躇って絞り出した答えがそれだった。
そりゃそうである。惚れた女性の母性の象徴が嫌いな男なんていない。
みんな好きなのだ。
「だからこうしたら喜んでくれるかなって」
「…確かに嬉しいけども」
「むぅ…、なによ。まだ足りないの?うりうり〜」
「や、やめて…」
谷間に挟まっている時守の顔の両頬に、刀奈の胸が押し付けられる。
俗にいう、ぱふぱふ。
簪達がまだ隣で寝ている朝5時に浴衣姿でしてもらうことちゃうやろ、と何故か心の中で冷静に突っ込んでいた。
「…ありがとう、刀奈。癒されたわ」
「どういたしまして。…なんなら、もうちょっとだけしてあげてもいいのよ?」
「流石に遠慮しとくわ。みんなにも悪いし」
「…うふふっ、それもそうね」
名残惜しいが刀奈の胸元から離れる。
未だすやすやと寝ている簪達を見て、ふと笑みが零れる。
「…んぅ…。…剣、そこ、弄っちゃやぁ…」
「簪…っ!」
「ふぇっ、な、何…!や、んぁっ、変なとこ触らないで…!んうっ!?」
「…今のは簪ちゃんが悪いわねー」
淫靡な寝言を出してしまった簪に時守が襲いかかり、全身を揉みしだかれキスされていく。
そんな様子を、姉として、恋人として苦笑いして見ながら、刀奈は幸せを感じていた。
◇
「皆さん、好きなお弁当は買えましたかー?」
「はーいっ!」
「…剣のが気になってしょうがねぇ」
「わたくしも、決して悪くない選択だと思ったのですが…」
「関西にそのような兵器があるとは知らなかったぞ、師匠…」
「お、お腹が減ってきた…」
「……ねぇ剣。一つ、ちょうだい?」
「…僕もねだると剣の分が無くなるよね…」
「流石に、お弁当でそれを選ぶとは思ってなかったわ…」
場所は新幹線車内。
京都から東京へと帰るその車内に、時守はとある兵器を持ち込んでいた。
「いやー、やっぱお昼は551の豚まんやろ」
「ほんとにいい匂いするわねそれ…」
「要る?あーげないっ!」
「くぅ…!この…!」
「…そんなに欲しいんやったらやっぱ上げるわ。ん、ほれ」
通路を挟んで隣接している鈴に、時守が豚まんを片手に手を伸ばす。
「いいの?」
「おう。はよ食えよ」
半分に割られた豚まんの具の部分からは、熱々の肉汁がこれでもかと言わんばかりに主張してきており、湯気に混じった芳しい匂いが鈴の鼻腔をくすぐった。
「……って、なんで渡してくれないのよ」
「全部はやらんぞ!このままでも食えるやろ!」
「こ、このままって…」
片腕を伸ばし、目の前にあるのは半分になった豚まん。
しかしそれでも、あーんをしているということに変わりはない。
「…どした?トイレか?」
「違うわよ!……あむっ」
食べ物を渡しているというのにも関わらず汚い話題を出す時守に怒りながら、豚まんに齧り付く。
「あっづぁっ!?」
肉汁の熱さに思わず叫んでしまった鈴であった。
「にゃ、にゃにこれ…」
「おー、今回のはマジの出来立てやな。んじゃいっただっきまーす」
そして、鈴が食べた後の豚まんを、時守はそのまま食べた。
舌を冷ましながらその様子を見ていた鈴の顔が、見る見るうちに赤くなっていく。
「あっ…ちょ、あ、あんた今…」
「お?どした、まだ欲しいんか?」
違う、そうじゃないとこの場にいる誰もが、時守の発言にその思いを抱いていた。
彼女がいる前での、彼女以外の女子との間接キス。
未だ彼氏彼女が出来たことのないメンバーがいる中でのこの行為は、注目を浴びた。
「か、かかか…間接…」
「…あー、間接キスか。そんなん別に気にせんやろ?」
「気にするわよ!」
「……え?」
「…え?」
ここに来て生まれる、互いの意識の差。
「お前って…そんなん気にしてたっけ?」
「…あ、えと…その…。なんて言うか…」
真っ赤になったままの鈴と、普段通りの一重まぶたのぼけーっとした目の時守が見つめ合う。
「あっ、あたしは!気にすんのよ!」
「へぇー」
その瞬間、鈴が爆発した。
◇ ◇
「…はぁ」
そこから数時間。
昨夜は旅館でぐっすり寝た者もいれば、夜遅くまではしゃいでいた(意味深)者もいおり、相当数の人間が寝ていた。
その中で生徒でたった1人、時守だけが起きていた。
「……やりにくいなぁ」
誰に聞かせるわけでもなく、ボヤいた一言が辺りに少しだけ響く。
「……あれ、時守くん?休んでてもいいんですよ?」
「あぁ、山田先生。なんて言うか、そう言う気分になれへんっていうか…」
通路の奥を眺めていると、その逆側、時守の背後から真耶が歩いてきた。
手には缶コーヒーが二本持たれており、恐らく彼女と千冬の分だと時守は考えた。
「…『白騎士』の時、ですよね。そこから時守くん、あまり笑えてませんでしたから…」
「気づいてたんすね」
「はいっ、先生ですから」
先生って何者やねん、と心の中で軽く突っ込む時守だったが、その心中は未だ晴れない。
「…私で良ければ、相談に乗りますよ?はい、どうぞ」
「え、これちっふー先生のんちゃうんすか?」
「その予定でしたけど、先輩も寝てますし、ね?」
小首を傾げながらウインクをし、右手の人差し指を唇の元へとやる真耶。
可愛らしく内緒にしておいてくれ、と言われたのだからそうするしかない。
「んなら遠慮なく。…あの『白騎士』っすけど、確かに強かったんすよ」
「そうですね…。私の必殺技も、不発に終わってしまいましたし」
「……そこも、疑問点なんですよ。この前山田先生の現役の時の映像見てたんすけど、アレは並大抵の人間やったら避けれる訳がない技っす」
「あ、あはは…。ありがとうございます…。なんだか照れますね…」
貸し切りになっているその車両で、座席を多く使って休んでいる者が多いため空いていた時守の対面に座る真耶。
唯一起きている人間との会話ということもあって話が弾む。
「山田先生。思い出してみてください。…現役時代、誰がアレを避けれました?」
「え?…えーっと…。先輩や、他の候補生にもたまには…」
「でしょ?…普通の候補生なら、無傷はありえへん。並の代表でも数発はもらう。でもあの『白騎士』は」
「無傷……。…っ、ま、まさか時守くん…」
真耶の顔が、徐々に驚愕のものへと変わっていく。
「そうっす。…『白騎士』は、ちっふー先生や」
時守のその発言を予想していたかのように。
「そ、そんなこと…」
「ありえるんすよ。『白騎士事件』の全世界のミサイル同時発射。そんなん出来んのは篠ノ之束ぐらいや。それをISのお披露目の場として使い、その操縦者は仲のいい織斑千冬。…こんなこと、俺だって考えたくなかったっすよ」
「だったら、どうして…」
「…『白騎士』の剣筋が、ちっふー先生そっくりやったんすよ」
「…時守くん…」
それ以外の言葉を真耶は絞り出すことは出来なかった。
時守が知っていることを、良く知っているのだ。
彼は知っている。千冬の本気の剣筋を。
彼は知っている。千冬の実力を。
彼は知っている。千冬の飛び方を。
だからこそその考えに至ったのだと、真耶は考えたのだ。
それだけ多くのことを彼が知っているということを、真耶は知っている。
「……これから、どうしたらええんすかね、俺。結果的にミサイルは全部エネルギー刃により消滅。破片が落下してくることも無かったっすけど、一歩間違えれば大惨事を巻き起こした犯人っすよ…」
「………もう1度良く、考えてみたらどうですか?」
「でももう疑えへんっすよ…」
「そこではなく、織斑先生とどう接するかを、です」
少し外していた視線を真耶へと戻す。
そこには、真剣な面持ちで時守のことをじっと見つめる彼女の顔があった。
「…『白騎士事件』の犯人とは接したくない。そう思うのなら、もう先輩にコーチは頼まない方がいいと思います。ですが、IS学園教師の、元世界最強織斑千冬と接したいと思う気持ちの方が強いのなら、今まで通りにすればいいと、私は思います」
「山田先生…」
自分でははっきりと出せなかった答えを真耶は数秒で叩き出した。
「…山田先生って、先生やったんすね」
「どういうことですかぁ!?」
「じょーだんっすよ。…ありがとう、ございます」
その失礼な一言と共に、時守は彼女に礼を言った。
「今回だけじゃなくて、これからも頼ってくださいね?」
「はい。そうさせてもらいます。…言っちゃアレっすけど、精神面を保ってくれる大事な人っすよ。山田先生は」
「……えぇっ!?」
「弄りがいがありますし」
「…そ、そっちですか!?」
先ほどまでの陰鬱とした雰囲気から一転。2人の間に流れる空気が明るいものへと変わる。
もちろん、寝ている者にも考慮してボリュームは小さめだが。
「…まあ確かに、『幕は上げられた』を使っても『白騎士』には大したダメージも与えられませんでしたし?時守くんに操縦面で教えることももう無いですし?そもそも、代表の地位としては先輩よりも既に時守くんは上ですもんねー」
「あ、あーもう。スネやんといてくださいよ」
目の前で拗ねだした童顔巨乳眼鏡教師。
副担任でありながら、彼女の現在の地位は「国連代表候補生候補」となっており単純に見れば時守の2個下。
国連でも2度3度顔を合わせたこともあり、その際には変な空気が流れたのを覚えている。
「…ふふ。だったら、たまにでいいので私の訓練にも付き合ってくれますか?」
「…へ?良いっすよ…ってかこちらからお願いしたいぐらいなんすけど…」
「ならお願いします。…これを機に、政府からも時守くんと織斑くんの保護を優先するべく、『幕は上げられた』が私に2年間預けられることになったので」
「え、マジっすか?」
「…そうなんです。やりすぎっていうか、私のプレッシャーが…」
「はは、ならそのプレッシャーの肩代わりでもさせてもらいましょか」
「…時守くんが肩代わりしちゃったら、元も子もない気が…」
IS学園でも数少ない実力者との手合わせの約束に内心うっきうきの時守と、政府や学園からのプレッシャーに胃を痛める真耶。
楽しーなー楽しーなー、と小学生のように笑う時守を見てふと、真耶は彼に聞きたいことがあったのを思い出した。
「あっ、時守くん。…ちょっと前から聞きたいことがあったんですけど…」
「え、なんすか。好きな人ならもういますよ?」
「知ってますよ!…えっと、その…。とても楽しそうにISに乗るなぁって思ってて…。先輩との訓練とか、辛くないんですか?」
「…え?アレって辛いんすか?」
「…へ?」
ここに来て、再び2人の間に意識の差が生まれた。
「普通に楽しくないっすか?空飛んだりするのって」
「まあ、分かります。私も最初に飛べた時はそうでしたから」
「それを邪魔されたくないから、相手をいかに素早くボコボコに出来るかを研究してるから辛くないっすよ」
「考えが物騒すぎませんか!?」
「じょ、じょーだんっすよ。…とにかく、飛ぶのが楽しいんす。やから訓練も楽しいし、勉強もおもろい。もっともっと自分のしたい動きができるように、まだまだ精進あるのみっすわ」
「……そうなん、ですね」
時守の言葉に慈愛の目を向けて優しく微笑む真耶。
そんな彼の頭に思わず手を伸ばし、撫でていた。
「…これからも、応援してます。国連代表としても頑張ってくださいね?」
「…は、はぁ…」
まさに聖母のような微笑みを向けた真耶は時守の対面から立ち上がり、自分の席へと戻っていった。
「何やってんやろ。…ふぁ、話してたら眠たなってきた。寝よ」
その数秒後には、時守の座席から寝息が聞こえていた。
◇ ◇ ◇
「けんけん、おりむー、おかえりー」
「ただいま、のほほんさん」
「ほれのほほん。向こう限定のお菓子や」
「わぁーい!けんけん分かってるぅー!」
たこ焼き風味やお好み焼き味、大阪のタレ風味など、お前は一体どこに修学旅行に行ってきたのだというような品々を本音に渡していく時守。
もちろんちゃんと抹茶味も忘れてはいない。
「あ、虚さんには弾から飛びっきりのお土産があるらしいっすよ」
「そうなんですか?…もう、無理はしなくていいのに…」
当たり前かのように嘘をつき、さらりと弾のハードルを爆上げする。
正直何をしたいのかは彼自身も理解してはいないのだが、いざ2人の次のデートでどうなるかを見るのが楽しいのだ。
「さてと、俺らが行ってる間にこっちは何も無かったんすか?」
「はい。生徒会としての仕事も、さほど舞い込んできませんでした」
「なーる。どないする?」
聞く相手はもちろん楯無。
今は彼氏彼女の関係としてではなく、生徒会の会長と副会長という立場での会話だ。
「そうね…。報告もぱぱっと済ませて、みんなで修学旅行本番の準備にかかるのはどうかしら」
「さんせー!」
「4世!」
「……ぷふっ…」
賛成(3世)の次は4世という時守のしょうもないボケにもツボに入ったかのように笑い出す簪。
ふと見れば、声を我慢しているが楯無もかなり腹を抱えて笑っていた。
「んじゃあいつも通りレゾナンスでええか」
「…うん。…本音は、どうする?」
「私もかんちゃん達についていくー」
「…じゃあ俺は1人か」
「なーに言ってるのよ一夏君。君には箒ちゃん達がいるじゃない」
「え。…誘っても断られないですか?」
「安心せぇ。ここ出て5秒以内にあっちから誘ってくるわ」
時守のその一言に頭を傾げる一夏を見て、他の生徒会メンバーが笑う。
下見という名の亡国機業への攻撃を終え、結果はどうであれ、皆が皆疲弊していた。
彼らに、幾度目ともなる休息が訪れる。
〜お知らせ〜
最後のヒロインアンケートにて、布仏本音のヒロイン入りが決定しましたー!
…頑張ります。
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