IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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アンケートにて、追加ヒロインが決定しました!

選ばれなかったヒロインについては活動報告に書かせてもらっていますが、新たに追加されたヒロインのみ、ここにも書いておきます。

織斑千冬、篠ノ之束、山田真耶、凰鈴音の4人です。

こんな文章力ですが、頑張ります!


原作5巻 文化祭編
二学期、スタ→ト


 

 

 

 

 

 

「ぜらあああっ!!」

「甘いのよ一夏ぁ!」

 

 

二学期の実技授業が始まる初日、1年1組と1組2組はアリーナにてIS実技合同授業を行っていた。内容は『専用機持ちによる模擬戦』。専用機持ちでない一般生徒は専用機持ち達の試合を見ることで戦術を学んだり、機体のどこに不備があるかを見分ける能力を鍛える。

そして現在、アリーナで戦闘を繰り広げているのは4人。

一夏vs鈴のペアと―

 

 

「喰らえっ!」

「よっ…と」

 

 

時守vsラウラのペアだ。

 

 

「くそっ!動きが読めん…!」

「ほーらほらほらラウラ。余計なこと喋る前にちゃんと相手確認しぃやー。さっきから避けられてばっかやでー」

「むっ!師匠!今は…いえ、試合ならば師匠だろうが関係ない!私は負けんぞ!」

「おー、えらい殊勝な心がけで」

 

 

それまで両肩のレールガンにより遠距離攻撃を続けていたラウラだったが、埒が明かないと踏んだのだろう。今度は両手首からプラズマブレードを具現させ、瞬時加速を使い距離を一気に縮める。

 

 

「はぁっ!」

「…ふぅ」

 

 

ゆっくりと息を吐く。そうしているうちにも、ラウラは時守にプラズマブレードを振り下ろしている。プラズマブレードの先端がほんの少し、時守の頭部を捉えかけたその瞬間―

 

 

「…いくか」

「っ!」

 

 

金夜叉の各スラスターから金色の粒子が吹き出す。それと同時に、ラウラのプラズマブレードが空を割く。

 

 

「右っ!…くっ…速っ…ガッ!?」

「…」

 

 

時守が回避したことを一瞬で理解したラウラは、ハイパーセンサーで相手の位置を確認する。…が、時すでに遅く、『完全同調』により強化された上段右回り蹴りをモロに喰らってしまう。

 

 

「ぐっ…。動きが読めん…か」

「…」

 

 

アリーナの地面で受身を取り、ラウラは素早く視線を時守に戻す。宙に浮く彼からは、ISの大きな存在感をほぼ感じられず、ただ1人の『人としての存在』がそこに感じられた。

 

 

「…いくぞ」

「来いっ!」

 

 

先程のラウラの接近よりも数倍速い二重瞬時加速を使い、時守がラウラに接近する。

いくらラウラがドイツ軍の軍隊格闘術を極めているとは言え、操縦のその先、自らの身体を動かすように動ける時守相手に、先手を取れるということはほとんど無い。

さらに時守には夏休み世界中を回って得た経験値がある。遠距離攻撃がメインでないラウラのレールガンはとことん避けられ、時守の得意な近距離まで詰められる。…だが、ラウラもただでは終わらない。

 

 

「(ここまで全て計算通りだ!師匠が世界で経験を得たことも全て私の読み通り!『完全同調』を使われたら近距離どころか遠距離でさえろくにアドバンテージが取れん。だが、恐らく師匠は仕留める時に必ず近距離に詰めてくる。…そこをっ!)今だぁ!!」

「ん?…へぇ…」

「いくら速いと言え、ISはIS!二重瞬時加速中に強引に進行方向を変えることなどできん!」

 

 

二重瞬時加速の勢いそのまま、四肢を使った攻撃を仕掛けてきた時守に左手をかざし、AICを発動させて動きを止める。

 

 

「まあ…そりゃ無理やわな。身体本体の動きは」

「なに?…なっ!?」

 

 

しかし、AICは対象の形全てを把握し、なおかつ膨大な集中力を必要とする。故に、いきなり『完全同調』を解除し、展開したランペイジテールで攻撃してくるという動きまでは止められなかった。

 

 

「ぐっ…!」

「『完全同調』発動。…ラウラ…お前まさか俺がこの夏休み、何の新しい技も覚えずに終わったとか思てへんよな?」

「…くそっ!」

「オールラウンド、展開。ま、俺が遠距離で攻撃する手段がグングニルだけやっていう考えは改めるべきやな。『具現…」

 

 

ランペイジテールで再びグラウンドに叩きつけたラウラに狙いを定め、空中でオールラウンドを引く。

淡い、しかししっかりとした形を持った透明なエネルギーがオールラウンドの先端に集中する。そして―

 

 

「…一閃』!!」

「なぁっ!?」

 

 

引いていたオールラウンドを、まるでそこには居ない相手に近接攻撃をするかのようにスイングした。すると、スイング途中もオールラウンドが纏っていたエネルギーが、まるで斬撃―紅椿の空裂のエネルギー刃のように放出される。

 

 

「ちぃっ!」

「はあああああぁっ!!」

 

 

1発、2発、3発と具現一閃を放ち、その後も次々とシュヴァルツェア・レーゲンへと撃ち込んでいく。ちょうど14発目がラウラに命中し、体勢が崩れたのを見てすぐさま懐へと潜り込む。そして―

 

 

「ぐっ…この…っ!」

「マジの近接で誰がAIC使わせる暇なんざ与えんねん!よっ!」

「っ!…SE…0。私の…負けか」

 

 

ラウラにAICを使わせない猛ラッシュをするため、『完全同調』を解除。ランペイジテール2本と四肢を使った計6方向からの連続攻撃に、ラウラはあえなく沈んだ。

 

 

「おつかれ。ま、相性が悪かったな」

「むぅっ!相性のせいだけにはしたくない…のだが…どうすればいいでしょうか?」

「それを考えんのがここ、やろ?クラスの皆もいるし、ちっふー先生も山田先生もおる。…まだまだ学校始まったばっかやし、これからや」

「はいっ!」

「んじゃ、ってラウラエネルギー足りてる?」

「0ですっ!」

「いやうん。別に敬礼することちゃうからな?…んじゃ、捕まってろーい」

 

 

二学期、始まりである。

 

 

 

 

「模擬戦いきなり二連勝っ!一夏にも奢ってもらったし、二学期幸先良いスタート切れたわ」

「それにしても…『雪羅』でかめはめ波、か…。一夏、雪片弐型でどうにかしようとは思わなかったのか?」

「するにしてもせめて何かしらの剣技ではないのですか?」

「まああれほどの威力だ。嫁がロマンを感じるのも仕方ない…とは思うが…」

「僕は織斑先生が見てる模擬戦でそれをした一夏の行動力、凄いと思うよ?」

「まあやってみたいって気持ちは分からなくはないけど…」

「ぐふっ!…シャ、シャルロットが変に慰めてくれるのがさらに心に…後簪さん。やっぱりやってみたいよな!?」

「あ、あはは…」

「う、うん…。でも流石に模擬戦ではしない…かな」

「がはっ」

 

 

午前の模擬戦の後、1組2組専用機持ち+簪の8人は食堂のテーブルに腰掛けていた。8人の話題は午前の模擬戦で一夏が放った某漫画のエネルギー波(雪羅ver)についてだった。

 

 

「あの後、ひたすら怒られていたがな」

「エネルギー効率を考えろ。だったか?」

「ISだと無駄が多すぎるよね」

「一夏さん、溜めモーションの時は発動させる必要があるのですか?」

「絶対必要だっ!剣なら分かってくれるはず…ってあれ?剣は?」

 

 

一夏がふと、この場に関西弁が無いことに気づいた。

 

 

「…なんやねん」

「おわっ!?い、いたのか!…ってどうしたんだ?そんなに凹んで」

「…一回目の模擬戦で圧勝できひんかった罰で放課後またドS教師ちっふーの地獄塾に通うことになった…」

「そ、そう…なのか…。…ちなみに二回目は?」

「余裕の完勝。コロンビア」

「うわああああっ!!」

 

 

両手を中途半端に上げ、ガッツポーズをしながらラウラに向かって渾身のドヤ顔を向ける時守。その時の記憶を思い出したのか、ラウラが声を上げてテーブルに突っ伏した。

 

 

「師匠が強すぎるんですっ!」

「は?…いや、俺まだまだよっわいからな?今日ラウラに勝てたんもラウラとの相性もあるやろし、ラウラが俺の戦い方とか成長度合い知らんかったんもあるやろ?AICとランペイジテールとか相性最悪そのものやし」

「むぅ〜」

「ま、もしもAICがランペイジテール丸ごとかけれるようになったら、分からんけどなー」

「どうせ『完全同調』で私が集中する前に終わらせるつもりに決まってる…」

「ギクッ」

「うわああああっ!!やっぱりだあ!シャルロットー!」

「ふふっ。もう、剣もダメだよ?あんまりラウラを虐めたら」

「へーい」

 

 

隣に座っているシャルロットの胸に顔を埋めるラウラを他の6人が暖かい目で見守る中、時守は1人軽く返事を返す。

 

 

「…後かめはめ波は無い。アホやろ」

「今それほじくりかえすのか!?」

 

 

ラウラ弄りをひとしきり楽しみ、標的を一夏に変える。まるで今日の放課後にフルボッコにされる分のストレスを今の内に発散するかのように、一気に一夏に畳み掛ける。

 

 

「いや、あまりにもアホすぎたからな。ってかほんまちっふー先生見てる中でようできたな。アホやろ。まずISバトルで当たると思ったん?アホちゃうお前。だいたいああ言う必殺技って相手の隙作ってから打つもんやのになにセリフも溜めも親切にやってんの?ほんまアホやろ」

「ひでぇ…」

 

 

だがぶっちゃけ言う通りである。

模擬戦の後、千冬が無表情で一夏の元に来ていつもの6割増しの出席簿を食らわせたことを考えるとまさにその通りである。

ちなみに、千冬に言わせれば、時守の言ったこと+『お前はISバトルを舐めているのか』+『時守もやりそう?確かにやりそうだが…ネタぐらい理解しろこの愚弟』+『それとやるなら瞬間移動かめはめ波ではなく瞬時加速かめはめ波にしろ』+『まあ今のお前には無理だろうから剣技を磨け』となる。

 

 

「でも正論で何も返せないわね、一夏。…負けは負けよ?」

「分かってる。午後は絶対勝つからな!」

「ふふん!アタシがそう簡単に負けると思う?」

「思う」

「な!?アンタよくも…!…剣、今度模擬戦やる時アンタとするから!」

「なんで?別にええけど」

「今の流れで分かりなさいよ!!…っていいんだ」

「…皆、午後からも織斑先生の授業だけど…大丈夫なの?」

『いただきます!』

 

 

簪の一言で、先ほどまで弄り、弄られていた時守、一夏、鈴とその3人のやり取りを温かく見守っていたセシリア、シャルロット、箒の計6人が慌ただしく昼食を食べ始める。

 

 

「ごっちゃん!」

「速っ!?」

「早食いは身体に悪いぞ?」

「身体に悪いのと一撃で殺されそうになるのどっちが嫌か考えた結果や。俺はまだ死にたくない」

「悪いが一夏、私もだ。千冬さんの逆鱗には触れたくない。ごちそうさまでした」

「模擬戦で勝てても出席簿には負けたくありませんわ。ごちそうさま。美味しかったですわ」

「あたしは元々食べるの速い方だったし…っ!ゴホッゴホッ!あ、ありがと、剣」

「ぼ、僕も二学期早々アレは嫌かな〜って…ごちそうさま」

「…すまん嫁よ。嫁との食事と教官からの教育的指導を回避…私は回避することを選ぶ。ごちそうさま」

「一夏…遅すぎ…」

 

 

一夏がやや遅いペースで食べている内に、時守、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラとほぼ同時に食べ終わった。

喋っている途中、鈴が喉を詰まらせかけたのを見て、背中を叩くのと同時に、時守にあるイタズラ心が芽生えた。

 

 

「マジジジイやなお前」

「ジジイ言うな!」

「お前ももう16やろ?…俺と同いやん…」

「当たり前だろ!?」

「お前…実は転生とかしてて実は70歳越えてまっせーとかない?」

「ねぇよ!正真正銘人生一回目だ!」

「じゃあ…好きな食べ物は?」

「和食。小骨とか無いやつだな」

「ジジイやんけ」

「それがジジイとは限らないだろ!?」

 

 

―自然に話を振って一夏を昼食に集中させないようにした。もう食べ終わった箒達は一夏を待つという名目で胃を休ませていた。

 

 

「枯れてるし」

「枯れてねぇよ!?」

「ホモやし」

「ホモじゃねぇし!」

「…昼休憩もうすぐ終わるし。よし行くぞ!」

「へ?…あっ!は、嵌められた!?待てよ皆!」

 

 

時守のその合図で、普段は走らないセシリアさえも全力で一夏の元を走り去る。

 

 

「かかったなアホが!」

「くそっ!…ごちそうさまでしたぁ!ってもういない!?」

 

 

IS学園は二学期も変わらない。

 

 

 

 

「廊下を走るな食堂で馬鹿騒ぎをするな時間の管理ぐらいしっかりしろ」

『ふぎゅう!』

 

 

ちなみに簪を除いた7人は授業前、皆仲良く叩かれた。




未来編(2年生、卒業後)の予告みたいなのを書いてみたい。…嘘になるかも知れないけど。

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