IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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オリジナル回じゃないデート回ってこんなに楽なんですね。
…と思っていた時期が作者にもありました。


デート シャルロット編

 

 

 

「ふんふふんふふーん♪」

「む?どうしたのだ?シャルロット」

 

 

僕、シャルロット・デュノアは今までの人生で最高に舞い上がっている。…え?舞い上がってる、なんて自分では言わないんじゃないか、って?いいの、自分でも分かってるんだし。かなり早いけど楽しみすぎて起きちゃうぐらいにはね?

まあ舞い上がってるのは同室になったラウラとの関係が良好っていうのもあると思うけど…。

さてと、早速ラウラにも自慢しよっと。

 

 

「ほら、前に言ったでしょ?今日は剣とデートして1日過ごすんだ」

「何っ!?師匠とか!?わ、私も連れていけ!」

「ダーメ、ほら、ラウラにはちゃんとお嫁さんがいるでしょ?」

「おぉ!そうだった!全く…私の周りには魅力的な男ばかりだから困るのだ…」

 

 

僕がそう言うとラウラは顔を赤くして口をもごもごと動かした。

いや…ラウラ?言ってることちょっとおかしいからね?まず嫁の存在を忘れかけてるって…。というよりまず嫁って…

 

 

「なるほど、だからシャルロットは気合いを入れておしゃれをしているのか」

「うん、…ラウラ…は…?」

「ん?おしゃれなど必要ないだろう。一夏は私の嫁だ。私は一夏の夫だ。どんな姿でも互いに受け止める、というのが夫婦のあるべき姿だろう?」

 

 

ま、まあ確かに剣なら受け止めちゃうかもしれないけど…一夏は…、というかまず…

 

 

「嫌われても知らないよ?」

「なっ!?そ、それは困る!」

「じゃあまず服を着よっか」

 

 

流石に裸はまずいと思うなぁ。

 

 

「夜這いをするのに服など要らないだろう?」

「まず夜這いをすること自体間違ってるし、今、朝だからね?」

「ならば朝這いだ」

「えー……」

 

 

朝這いって…確かに一夏は1人部屋だから出来ないこともないけど…。僕?しないよ?だって剣が僕たち皆を愛してくれてるって知ってるもん。

 

 

「とにかく一夏の部屋に行くなら早い方がいいよ?箒と鈴もたまに朝行ってるみたいだし」

「なんだと!?あいつらも私と同じ考えを!?…む?では師匠はどうなのだ?」

「毎朝織斑先生に木刀で叩き起されてるよ…」

「教官…。し、しかしシャルロット達はいいのか?師匠が教官と毎朝一緒など…」

「剣は織斑先生をそういう対象として見てないし、織斑先生も同じだって言ってたからね。それに、朝の訓練だって相当キツそうだからそんな考えをしてる暇もないんじゃないかな」

 

 

毎朝ボコボコになって食堂に来る剣に合掌してからご飯を食べるのが最近の1年生寮での習慣らしい。

も、もちろん僕達は心配してるよ!?岸原さんみたいに『ざまアーメン』とか言ってないよ!?…にしても『ざまアーメン』って…『ざまぁ』と『アーメン』を組み合わせたって言ってたけど…そんなこと言うから剣に仕返しされるんだと思うんだ。

んんっ!話がそれたね。

なんでも『魔改造打鉄ver.2』なるものを教員と2、3年生の先輩達が合同で作ったらしい。乗りこなせるのはこの学園で織斑先生か楯無さん、後、もしかしたら代表候補生も…ぐらいのオーバースペックらしい。……遠距離武装には近接ブレードが入っててそれを投げて戦うって言ってたけど…確かにそんなことできるの織斑先生ぐらいしかいないよね。

 

 

「これでよし」

「んー、まあ確かに学園の中だから制服でもいいとは思うけど……あっ」

「そうだシャルロット。お前のようにおしゃれするのもいいかもしれん。だが!これから私がするのは朝這いだ!動きにくい服装など要らん!では行ってくるぞ!!」

 

 

IS学園の制服を持って、ラウラは勢いよくドアを開け、出ていった。

じゃ、僕ももうそろそろ仕上げに入ろうかな。…確か…『化粧なんて無くても十分可愛い』って言ってくれたっけ。あうぅ…自分で思い出しておいて自分で顔が熱くなってるのが分かっちゃうよ…。よ、よし!最終チェックしよう!

 

 

 

 

 

「へぇ…」

「んむぅ………すぅ……すぅ……」

 

 

シャルロットとのデートを目前に控えた時守の自室で、彼はディスプレイを開き、ニュースを読んでいた。

一見、何の問題も無いように見えるが…

 

 

「こりゃあ…なんとまあ…」

「けんくん………えへへ………」

 

 

この部屋の状況と格好が問題である。

裸でベッドに寝転びながら自らの真上に展開されたディスプレイを操作する時守。

そして同じく裸で、時守の身体に抱きつき無意識に時守の身体に顔を押し付けながら幸せそうに笑顔を浮かべ、寝言を言っている刀奈。

そんな2人の身体の腹部から下を覆っているたった1枚の毛布。

 

 

 

「なるほどねぇ…」

「むにゃ…」

 

 

 

そして互いの上半身のいたる所に見られるキスマーク。それは時守の身体にも、刀奈の身体にも大量にあった。

 

 

 

「よし…起こすか。おーい刀奈ー、かーたーなー」

「んぅ……んっ……ん〜…」

「おはよ」

「…おはよぅ…けんくん…」

 

 

時守は刀奈に微笑みかける。対する刀奈も想い人の腕の中で目覚めたこともあり、ここ最近で見たこともないぐらいに上機嫌だった。

 

 

「俺シャワー浴びて来るけど…」

「や。…おはようのチュー」

「どっちから?」

「…けんくんから…。…んっ…」

 

 

まだ寝ぼけており、甘えてくる刀奈に軽くキスをすると、下着とタオルを手に、時守はシャワーを浴びに行く。…そして―

 

 

 

「…ん?……っは!わ、私…寝ぼけてた…」

 

 

 

シャワーを浴び終わり、戻ってきた時に毛布にくるまって真っ赤な顔でベッドの上で悶える刀奈と数回のやり取りをした後、彼は四人目の嫁の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「おまたせ!」

「っ!お、おぅ…」

「?どうしたの?」

『(ああは言ったがすまないな、シャルロット。今は嫁も大事だが、将来のことを考えて婚約しているお前と師匠のデートを参考にさせてもらうぞ)』

 

 

刀奈と別れた後、時守はシャルロットの部屋の前で彼女の準備が終わるのを待っていた。

シャルロットが指定してきた待ち合わせ場所は自室の前。

『できるだけ長く一緒にいたいなー』という願望から、この場所になったのだ。

 

そして尾行するラウラ。彼女は一旦朝這いをするため、早朝、衣服を身に付けずに、手に持って部屋を出た。…が、これは中国代表候補生の指示。

『すぐあたしの部屋に来なさい。あんたの服、この前預かったでしょ?それと持ってきたのを着て尾行するのよ。シャルロットって意外と用心深そうだし、適任はラウラ!あんたよ!』

ということで、誰にも見つからないように鈴の部屋に到着。制服を着て、時守とシャルロットの様子を確認しているのだ。

以前対立があったラウラと鈴だったが、時守のことを『師匠』と尊敬し、よく話すようになってからすぐに仲直りした。…具体的には

 

『ほら、ちゃんと仲直りしなさい!!ええ加減にせぇへんと怒るで!?』

『なんであたしが…、ってか何よそのキャラ…』

『すまなかった、凰。…あの時の私は…どうかしていた』

『よーしよし、ちゃんと言えたな、ラウラ』

『う、うむ!頑張ったぞ師匠!!』

『おう、よーできてたで。…で?』

『で?って何よ!……あぁもう!!分かったわよ!許し――』

『何様やねんお前』

『てあげようとしてたじゃない!』

『む。うるさいぞ凰。ちゃんと師匠の話は聞かないとダメだぞ?』

『あんたのその信頼はどっから来てんのよ…。……鈴よ』

『…え?』

『だから、凰じゃなくて、鈴。あたしもラウラって呼ぶから。よろしくね』

『っ!あぁ、よろしく、鈴』

 

といったように、だ。

 

 

 

 

そしてラウラはすぐに他の生徒とも仲良くなった。…まあ8割ほど時守のおかげなのだが…。

ラウラが直に何かをしてしまった生徒にはしっかりと謝り、ラウラはIS学園に溶け込めるようになった。

そして、今にいたる。

 

 

 

 

『(さぁ…どうでる師匠!!)』

「いや、可愛かったから…」

「えっ!?も、もう…」

『(ど、ドストレートだと!?ぐっ…こ、これは…嫁には期待…できるのか…?)こちらボーデヴィッヒ。会って5秒で可愛いと褒めたぞ』

「照れてるとこも可愛いなぁ、シャルは」

「む、むぅ〜!」

『……砂糖を精製してきても良いか?』

 

 

IS学園1年生寮の廊下で当たり前のようにいちゃいちゃする2人。

無線で鈴に連絡を取っているラウラだけでなく、他の生徒もそのやり取りに目が釘付けになっている。

 

シャルロットが怒ったように頬を膨らませてそっぽを向くも、その様子をまたも『可愛らしい』と言う時守に彼女はとある要求をする。

 

 

「ん」

「ん?…手?」

「そ、手を繋いでくれたら許してあげる」

「?繋ぐだけでいいん?」

「え?」

「カナとか抱きついて来たけど…」

「…え、えと……じゃ、じゃあ…いい?」

「おう」

 

 

しかしそこを難なく突破するどころか、反撃してさらに好意を抱かせるのが時守剣という男である。

シャルロットが手を差し出したのに対し、時守は自らの腕を差し出し、シャルロットに抱きつかせる。

この時、すでにシャルロットの脳内にはただ好きな人の腕を抱きしめ、密着できていることに対する幸せしかなかった。

 

 

「んじゃ行こか」

「うん!」

『(まだ学園を出ていないのだぞ…?)』

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜♪」

「どないした?だいぶ機嫌良さそうやけど」

「剣と一緒だからだよ?」

「そっか。…俺もや」

『(ロケットランチャーはどこだ!!あいつら…い、いや!シャルロットだ!シャルロットのみにぶち込んでやる!!この際手榴弾でもいい!)』

 

 

俺は今日、四日連続となるレゾナンスへと来ていた。…なんでも皆人生初のデートらしくて『どうせなら皆同じところで』ということになったらしい。『一体感』が欲しかったらしいねん。

 

 

「あ、そうだ。剣はもう水着買ったの?」

「おう、オーダーメイドの298や」

「2980円?」

「298000円」

『(どんな水着だ!?)』

「ぴっちりしてないトランクスタイプのやつやけど素材はISスーツと同じやから銃で撃たれても炎で焼かれても大丈夫やし、破れない、汚れない、傷つかないっていう最強の水着やねん。…シャルのも頼んだろか?」

「あ、あはは…僕は剣にここで選んでほしいな」

 

 

そしてまた四日連続となる水着売り場に。…男が女性もんの水着売り場に四日連続って…1人だけやったらちょっとやばい奴みたいに見えるな。…あれ?

 

 

「そういやなんで皆水着買うん?…毎年買い換えんの?」

「なんで、って…来週から臨海学校だからだと思うけど…剣?」

「…聞いてへんかった…」

「じゃあ臨海学校明けに期末テストがあるのは?」

「聞いてへんかったわ…さんきゅ、シャル。助かったわ」

「もうそんなに時間無いけど…間に合うの?」

「間に合わせたる」

『(うむ、流石は師匠だな)』

 

 

補習とか俺の場合マジで洒落にならんからな…予定が狂いまくったら……俺死ぬわ…。にしてもやな

 

 

「臨海学校とか普通に忘れてたわ…報告と夏休みが…」

「それと、挨拶も…ね?」

「…おぅ」

「ふふっ。じゃ、僕の水着、選んでね?」

「…なんかもう慣れたわ…どんなんなっても知らんで?」

『(ど、どんなん!?どんなんとはどんな物だ!?)』

 

 

 

 

「ね、どっちが似合う?」

 

シャルロットが見せてきたのはオレンジの水着とイエローの水着。デザインの違いを簡単に述べるとするなら、オレンジの方が地味で、イエローの方が少しエロ……いや、大胆である。

 

 

「…………………………………オレンジ」

「イエローの方だよね?」

「……………オレンジ」

「もうっ、正直に言ってよ」

 

 

ぶーっ、と頬を膨らませるシャルロット。そして、意地でも選択を変えようとしない時守。

だがシャルロットはそんな時守の様子から、彼にも何か思うところがあるのでは、と思っていた。

 

 

「…剣?どうしたの?」

「…シャルのそんな水着姿を他の奴らに見られんのが嫌や」

 

 

予想もしていなかった彼の返答に、素直だなぁ、と心の中で思いながら、次の言葉を発する。

 

 

「大丈夫、…僕はもう、剣以外にはなびかないから」

「…じゃあイエローの方で」

「はーいっ」

 

 

彼の本音を聞けて、シャルロットはご機嫌でレジへと向かう。

――――あることを聞かねば、と、そう思いながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

午前中に水着を選び終わり、昼食をとった後、特にこれといったことはせず、ただぶらぶらと歩き、いいと思った物を買い、時間を潰していた俺たちはIS学園近くの臨海公園に来ていた。

…日はもう落ちかけていて、辺りはオレンジに染まっていた。

 

 

 

「ねぇ剣?……1つ…聞いておきたいことがあるんだ」

 

 

 

そんな雰囲気からなのか、シャルは俺に聞いてきた。…口調から察するに軽い話題では無いのだろう。

 

 

「ん?なんや?」

「あのね…僕は…剣が好き。…でもね……その…楯無さんや簪、セシリアと違ってあんまり会ってから長くないし…その……僕でいいのかなって…」

 

 

彼女からしたら至極単純で、ずっと考えていた事なのだろう。『会って間もない自分が、結ばれてもいいのだろうか』…と。…はぁ

 

 

「いいに決まってるやろ。…第一、俺は付き合いの長さで人を選ばんわ」

「…えっ?」

「ちっふー先生みたいに会った瞬間から仲良く話せる人もおるけど…中学ん時はあんまり喋らんくてどう絡んだらええか分からん奴とか喧嘩しっぱなしの奴とかもおるしな。…それに」

「?」

「…もうシャルは自分の好きなようにしたらええねん。…俺も、シャルを見ててほっとけへんかった、隣にいてほしいって思えたから、告白してん」

「剣……ほんとに…、ほんとにいいの?」

 

 

ベンチの隣に座る彼女の目には、少しだけ涙が浮かんでいた。

 

 

「あぁ、シャルが、シャル達やないと嫌や。…やから、これ」

「ネックレス…?」

「流石に婚約指輪は早すぎる、って思ってな。…これを付けててくれるか?…いつか、本物は渡すから…」

「うんっ!」

 

 

彼女にネックレスを渡すと、大事そうにそれを握った。

 

 

「…でもあれだね」

「ん?」

「ラファールの待機状態もネックレスみたいにしてるから…」

「あっ…ほんまや。どうする?」

「もちろん付けるよ?両方とも」

『(むうぅ…羨ましい、羨ましいぞシャルロット!!私が少し和菓子屋の兎と戯れている内にどこまで進んでいるのだ!!)』

「…じゃ、じゃあ剣、その…えと…そろそろ…」

「分かった。…楽しみにしとけよ?」

「っ!」

 

 

ボッとシャルの顔が赤くなる。ははは、ギザかわゆす。

 

 

「も、もう!剣っ!」

「ははっ、じゃ、帰るか」

「………ぅん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後めちゃくちゃ…というのは今更過ぎるだろう。




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