「…とりあえず開けるか。あ、一応皆に聞いとこ。」
再びトークアプリ起動。
「今から中入んねんけど何かした方がええよな?あ、ちなみに相手は女子確定な。」
>求婚しとき。
>あなたが欲しいです、やで剣ちゃん!
>多分な、あの、お風呂にします?ご飯にします?それとも…わ、た、し?…ってやつ来るで。
「マジかよ…流石東京…やばいな。」
>剣ちゃん純粋すぎて辛いわ。
>まあ剣ちゃんの思うようにしたらええ思うよ?
へー、じゃ、開けよ。
「あら、おかえりなさい。お風呂にします?ご飯にします?それとも…わ、た、し?」
閉めよ。
…やべぇよ…
「絶世の美女がマジでやってきてんけど…」
>東京ぱねぇな。
>嘘やろ?…二次元の世界だけやおもてたわ。
>剣ちゃんとりあえず『ドMですか?イジメられたいんですね?』って微笑みながら言ってみ?
おk、任せんしゃい。もっかい開けてっと
「んもう…何よ…」
「…ドMなんですか?…イジメられたいんですね。」
ふふっとわろてまう。そりゃ今のシチュエーション誰でも笑うやろ。裸エプロンの美女がドMですか?て聞かれてんねんで?
「え、ち、違うわよ!そんなイジメられたいなんか…」
「なんや違うんかい。」
閉める。
「ドMちゃうって。」
>聞いた剣ちゃんマジで尊敬するわ。
>初対面の美女にドMですか?て…流石剣ちゃんやで…
>ちょっ!男子!あんたら時守にふざけたことさせすぎでしょ!?
「別に何もふざけてないで。」
>…
>これなんだよなぁ…
>とりあえず剣ちゃん、相手の顔のめっちゃ近くで褒めてみて?
おkおk。
開ーけよ。
「わ、私にはイジメられたいなんて願望…」
「なあ…」
そう言って美女の顎に持ち上げ、こちらを向かす。んでもってこっちも顔を近づける。
「ふぇっ!?」
「可愛いな。それに綺麗や。…ふふっ、ほんまに貰いたいぐらいやで。」
「…えっ…ちょ、そんなこといきなり言われても…私でいいなら…」
ここで裸エプロンの美女が顔を赤くしていやんいやんと身体をくねらせると言う事案が発生したのでドアを閉める。
「とりあえず褒めといた。貰いたいぐらいやって」
>剣ちゃん悪魔か。
>俺は悪魔だぁ…
>剣ちゃんとりあえず今の顔写メって。
「はいよ」
>あれ?剣ちゃんこんなスッキリした顔やっけ?
>何かかっこよなってるやん。
>えー!?何よ時守!こんな優良物件になるんならはよなっといてーや!
>剣ちゃんはお前みたいな女にはなびかんで。
「そりゃあんなこと言われたらな。」
>剣ちゃんあの後のつぶやき世界中で今話題なってんで。
>剣ちゃんのアカウントフォロワー12万突破したらしいな。
>あのつぶやきRT25万やろ?…流石剣ちゃん。
「まあとりあえずあの美女何とかするわ。」
>これで剣ちゃんに指輪確定か?
>まだ春休みやろ?…早すぎひん?
>そんなん関係ないのが剣ちゃんやで。
>こりゃもう一人の男子とどっちがでかいハーレム作れるかの賭けやな。
人の人生を賭けに使うとかほんまアホやわ、あいつら。
また開けーの
「…ドMやんな?ほんまは。見ず知らずの男にそんな格好するなんて…イジメられたいんやろ?」
「だ、だから…違うの…ほら、ちゃんと水着、着てるでしょ?」
「そんな格好なんであんたみたいな美人がする必要あんの?そんな格好せんでも十分綺麗やし、可愛いと思うで?」
事実を述べる。嘘ついたらあかんで。
「き、綺麗…それに…可愛い、だなんて……」
「ほんまやって。ほら、もっと自分に自信持った方がええで?」
「し、しかも…美人……貰いたい………」
なんかさっきからボソボソゆーとる。…ここでずっと居られてもなぁ…、あ!こんな時こそあれや!
「じゃ、失礼。」
「きゃっ!」
膝裏と肩に手を入れて持ち上げる。…何やっけこれ。机とか椅子とか運ぶ時に似てるやつ。…お姫様抱っこか。…なるほど。
「こりゃ確かにお姫様やわ。」
「あぅぅ…」
美女の顔が真っ赤になる。…そんな嫌やったんか…
「お、降ろそか?」
「う、ううん!このまま運んでちょーだい?」
おk。…おいおいおいおい。
「なぁ、なんで首に手ぇ回してんの?…胸当たってんねんけど。」
「ふふ、当ててんのよ〜。」
こりゃ後であいつらに報告やな。東京ヤバすぎやろ…
「更識楯無?すんごい名前やな。」
「ドMとか聞いといてさらにそんな事言うの?おねーさん、ちょっとショックよ?」
は?おねーさん?
「もしかして年上?…まあタメ語でえっか。よろしく楯無。」
「なんでタメ語なのか何がよろしくなのか良く分からないけどよろしくね、剣くん。」
またかよ。楯無もぶるんぶるんとおんなじかよ。
「剣ちゃんでよろしく。」
「…んー、私は剣くんって呼びたいんだけど…ダメ?」
「せやったらええよ。」
別に強要はせん。
「え、いいの?」
「ええよ。…ってかさ、ドMって言われたとき満更でもない顔してたやんな?」
「あ、あれは!違うの!!別にそういうのに興奮したんじゃなくて…」
言葉に興奮せーへんかった…じゃあ…
「ドア閉められんの興奮すんの?」
「違う!!…一回ちゃんと自分の顔見た方がいいわよ?」
え…、何?もしかして肉書かれてたりすんの?…って!
「別になんも無いやん。」
「…資料より格好よくなってるじゃない…」
ん?なんて?
「ごめん、もっかいゆーて?」
「いーや♪」
おおう、皆、これが魔性の女と言うやつか。やっぱり東京に来る時には注意するよう言っとかな…
「んじゃとりあえずよろ。楯無。」
「どんどん軽くなるわね…ま、黙っていられるよりかは断然いっか。よろしくね、剣くん。」
ちょろい(確信)