IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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ペアとその後

 

 

 

 

 

 

 

「しかし派手にやられたな、2人とも。」

「ワンサマ…お前もうちょい心配したれや。大丈夫か?セシリー、鈴。」

「うっさいわね…、ちょっとは剣みたいに心配しなさいよ。」

「…みっともないところをお見せしてしまいましたわ。」

 

 

銀レウスことラウラとの戦闘が終わったあと、俺、ワンサマ、シャルの3人はセシリーと鈴に付き添って医務室に来ていた。

 

…本人達は『俺たちのせいじゃない』とは言うと思うけど、やっぱり俺らがちょっとでも早く来ていれば2人とも怪我をしていなかったのではないか、と思う。

今では2人ともベッドの上で会話できるぐらいまで回復しているのが不幸中の幸いやと思いたい。

 

 

「…鈴もセシリアも、派手にやられた…だけで済んで良かった。後少し遅れてたら…」

「考えたくもないな…」

「一夏…」

「剣さん…」

「2人とも、今度のトーナメントは出ない方がいいよ?身体もだけど、機体の損傷も激しいんだし。」

 

 

シャルが優しく言うと、二人はガバッと勢いよく起き上がった。そんなことしたら…

 

 

「このくらい怪我の内に入らな―――い、いたたたた!!痛い痛い!ギブ!!…あ、あぁっ!叫んだら…もっと……ぃたぃ…」

 

何に対してギブやねん鈴。アホかお前。

 

「そもそもこうして横になってること自体無意味―――ふぐぅっ!?」

 

男が金タ〇蹴られたみたいな声出てるで…セシリー。

 

 

「何が馬鹿よ一夏!!んで何がアホよ剣!」

「一夏さんの方が大馬鹿ですわ!それと剣さん!わたくしはそんな……その………下品な声…は出していませんわ…」

 

 

ワンサマよ…何を考えてたんや?ってかすごいな2人とも、考えてること分かるなんて。…ちっふー先生と同じく人外の領域に達したんか?

 

 

「好きな人に格好悪いところ見られて恥ずかしいだよね、2人とも。」

「ん?」

「…別に俺はカッコ悪いとか思わんで?セシリー。」

「な、なななななななななな何を言ってんのかささささっぱり分かんないわねぇ!!こ、ここ、これだから欧州人は困るのよね!!」

「あ…ありがとうございます…剣さん…」

 

 

鈴がなんか凄いことになって否定してる。セシリーは顔赤くして多分照れてる…

 

 

「はい、ウーロン茶と紅茶。2人とも飲むよね?」

「ふ、ふんっ!」

「ありがとうございます、デュノアさん。」

 

 

そういやシャルってラウラと同じタイミングで入ってきたやんな?…銀レウスと金レイア…?

 

 

「まあ先生も落ち着いたら帰っていいって言ってたから――」

 

 

 

ドドドドドドドッ!!

 

 

「な、なんだ?この揺れ。」

「じ、地震!?」

「IS学園揺れてるなう…っと。」

「アンタなんでこの状況で呟けんのよ…」

「ほ、本当に地震なのですか!?」

 

 

セシリーとシャルが焦ってる。いや、地震やったらこっちに近づいて来おへんと思うねんけど。

 

 

ドォォンッ!

 

 

飛んだ。

 

ドアが。

 

綺麗に。

 

 

…当たったら人死ぬでこれ。ISで死なずに医務室のドアが当たって死ぬとかかっこわる!

 

 

そのドアを飛ばした張本人達―数十人の女子生徒―が医務室の中に一斉に入ってきた。

 

 

「織斑くん!」

「デュノアくん!」

「剣くん!」

 

 

否、俺にはそれは女子には見えなかった。獲物を狙う獣…すらも甘いな。鬼…修羅みたいな奴らやった。

 

 

「な、なんだ!?」

「ぼ、僕たち何か悪いことでもしたかなぁ…?」

「…まさか最近ボケてないから!?」

 

 

…あれ?なんかワンサマと鈴にめっちゃ冷たい目で見られてんねんけど…

 

 

「「「これ見て!!!」」」

「「「?」」」

 

 

なんでか知らんけどリコピンが居て、前に突き出してきた紙になんか書いてる。えーっと、何何?

 

 

「えー、『今月開催する学年別トーナメントはより実践的な模擬戦闘を行うため二人一組のペアで参加すること。なお、ペアが組めなかった者はランダムで抽選でペアを―』」

 

 

ペア戦?…あ、ナタルとかイーリとか元気かなぁ…。こないだ模擬戦したとき負けてもたけど、…また招集掛かったときやるか。

 

 

「ああもうっ!そこはいいから!とにかく!!」

 

 

無数に手が伸びてくる。なんや、バトン渡せばいいんか?それでどっかに走っていってくれるんやったら渡すけど。

 

 

「私と組もう!織斑くん!」

「デュノアくん!お願い!!」

「剣くん!よろしく!」

 

…あ、なるほど。男子と組んでお近づきになりたいと。ほほぉ…悪いけど俺あんま喋ったりしたことない奴と組もうとか思わんし…、…ん?

 

 

あ。

 

 

「わ、悪いなみんな、俺シャルと組むから。ワンサマは…抽選の方がええやろ?ほら、誰かと取り合いになるより抽選で当たった方が運命って感じするやん?」

「ま、まあそっか。男子が3人もいるんだもんね。」

「お、織斑くんと…運命…!」

「いい…良いよそれ!剣くん、それ採用!!」

 

 

シャル実は女でしたー、ってバレたらあかんしな。ワンサマを誰かに押し付けたらモッピーとかキレそうやし。あともう一人も…

 

 

「じゃあねー!!」

 

皆が医務室から出ていく。…3

 

 

 

2

 

 

 

1

 

 

 

 

「一夏ぁっ!」

 

 

ほら来た。わっかりやすいな、鈴。

 

「剣さんもですわ!!」

 

いやぁ…俺もセシリーと出たいのは山々の山田真耶やねんけどな?ほら、言うてたら来たで。山田先生。

 

 

「ダメですよ、2人とも。お二人の専用機、ダメージレベルがCを超えているんですよ?当分は修理に専念しないと、今後重大な欠陥が生じる可能性が非常に高いんです。ISを休ませる意味でも、今回のトーナメントの参加は許可できません。…織斑先生にも話はついてますからね!」

 

 

うわ…すげぇ釘の刺し方。

 

 

「…わ、わかりました…」

「今回は、非常に、ひっっっっじょうに、不本意ですが!トーナメントは辞退致しますわ…」

「…そう言えばなんで2人はラウラと戦ってたんだ?」

 

 

さっきから山田先生の胸をチラチラ見ながらも難しい顔を保つというイマイチ凄いんかよう分からんことをしてたワンサマが喋った。うん、それは俺も気になる。

 

 

「そ、それは…」

「ま、まあ…なんと言いますか……女のプライドを傷つけられたから…ですわ。」

「ふぅん?…あ、もしかして一夏と剣――」

 

 

瞬間、セシリーと鈴の身体がブレ、シャルを抑えていた。…えっ…はやっ!?

 

 

「ああああああっ!いつも一言余計ね!デュノアは!」

「え、ええ!そうですわね!おほほほほ…」

「まあええけど……そろそろシャル離したらな…」

「「え?」」

 

2人が抑え込んでるシャルの方を見ると……っておい。タップしてるやん。

 

 

「っぷは!けほっ、けほっ…、そ、それじゃ僕たちは戻ろっか。」

「せやな。」

「おう、鈴、セシリア。ちゃんと休んでおくんだぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっす。」

「本当に来てくれたのね。おねーさん、嬉しいわ。」

 

医務室を出た後、俺は生徒会室へと直行した。約束は守らんとな。

 

「はははっ、だって楯無俺居らんかったら寂しそうやもん。」

「…え?」

「前言うたやろ?楯無が辛そうにしてたりするの見たくないって。…俺が居て笑顔になってくれるんやったらいくらでもいたるわ。楯無も一人の女の子、やしな。」

 

 

中学時代も男友達にそんな感じのこと言われてたしな。『剣ちゃんいたら毎日おもろいわ』って。…あ、あれ?男友達…。……っ!い、今のなんか若干…!

 

 

「ず…ずっと私の傍に居てくれるの?」

 

 

楯無の顔が真っ赤になってる。

やっぱ告白めいてた!!あ、あかん…生徒会室男女2人きりで…もう夜になりかけ…

そんな狼狽えてる俺に楯無が近づいてくる。

 

 

「なーんてね、おねーさん、それぐらいじゃ落ちないわよ?」

「…顔真っ赤にして全く説得力ないで…」

「そ、そう言う剣くんだって顔真っ赤じゃない」

 

 

マジか。…マジやな。顔あっつ。

楯無が俺の目の前に来る。楯無の赤くなった顔による微笑みがやけに艶めかしくて色っぽく見えてしまう。

 

 

「楯無…」

「…ねえ剣くん、楯無って呼ばないで?」

「え?…だって、あだ名は真名教えてくれたら付けるって…」

「『刀奈』。それが私の真名よ。更識刀奈、どう?」

 

 

…音だけ聞いたら合ってたんか。俺の予想。

 

 

「ん、いい名前やと思うわ。刀奈…か、じゃあ…カナ。あだ名はカナ…やな」

「ふふっ、ありがと♪」

 

 

そう笑うと楯な…カナは俺に抱きついてきた。

……は?…え、ちょ、ちょっとぉ!?

 

 

「カ、カナ?…なにしてますの?」

「…前に剣くんが寂しいって言ってたときにこうしてきたでしょう?…私もね、寂しかったの。…虚ちゃんと本音ちゃんは今日は整備室に行ってるし、簪ちゃんはアリーナで訓練してる。私は対暗部用暗部組織の長だけど…剣くんはそんな私のことをちゃんと一人の女の子として見てくれた…」

 

 

ステェイ!!我が息子よ!!ステイしろ!!IS学園来てから発散できてへんのも分かってる!ってか出来るわけないやろこんな環境で!!長時間トイレに入る訳にも行かへんし部屋とか無理やし、そもそもカナとかそういう匂いに敏感そうやん?『…臭い』とか思われたくないしな!?

 

 

「…カ、カナ程の女子やったらいい男も居たやろ?」

「…私を刀奈としては誰も見てくれなかったわ…。皆楯無としての地位、とか…後は…イヤらしい目で見てきたり…ね。…ねぇ、剣くん。剣くんは私のこと…どう思ってくれるの?」

 

 

顔がまだ若干赤い状態で、不安げに上目遣いで聞いてくるカナ。

 

 

「俺は…俺はちゃんとお前のことを刀奈として見る。…もっと色んなこと知りたいしな…」

「…ふふっ、そっか。ありがと、剣くん。」

 

 

満足したのか、カナは俺から離れた。その表情はどこか憑き物が落ちたようで、とても魅力的だった。

 

 

「…じゃ、じゃあ…部屋に…」

「お、おう…戻ろか。」

 

 

 

そして2人で生徒会室を出た。廊下を歩く俺とカナの距離は遠そうで近く、近そうで遠い、というなんとも言えない距離だった。

 

 

 

 

 

 

その日俺はIS学園に入って初めて、ドキドキして眠れない。というものを体験した。




大まかなあらすじがやっと決まった!←なぜ二次小説書き出した。
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