「うぅ…酷いですぅ……」
「ハッハッハ!!真耶らしいと言えば真耶らしいな!!」
「むぅ…先輩!私にとっては笑い事じゃないんですよ!?」
「そうよ千冬。せっかく真耶に春が来そうだったのに。」
「そう言うな、フィアス。いやぁ笑った笑った。」
「うぅ…フィアスさぁん…先輩が虐めてきますぅ…」
「おーよしよし。」
現在…金曜日が土曜日になろうか、という頃…教職員は職員室で…呑んでいた。それでいいのかIS学園。
「…だ、だめだ…思い出すだけで笑いが……ぷっ、あっはっは!!」
「先輩!!…はぁ…」
「まさか真耶、大学生だと思われてたとはねぇ…高校生に『家庭教師だと思ってました』って…」
「…言わないで下さい。…私も自分で自分が嫌になります。なんで高校生を普通の男性だと思ったのか…」
そう、先日、真耶が連絡先を手に入れたと言っていた男性。彼はごく普通の高校生であり、真耶を大学生か何かだと思い、『家庭教師とかしてくれませんか?』という連絡をしたいがために連絡先を交換したのだ。…もちろん、真耶はれっきとした教師なので拒否、――結局、真耶の彼氏候補は見事、消えてなくなったのだ。
「ほら、呑め真耶。…というより不思議だな。そんな胸部装甲を持っているのになぜ間違えられるんだ。」
「きょ、胸部装甲って…先輩…」
「あー、ダメだなこりゃ。千冬のおっさんモード突入だ。」
「誰がおっさんだ、フィアス。…私だって酒は呑むし、多少酒が強いぐらいの方が男受けは良いだろう。」
そう言い切り、グイッと一気飲み。…多少、どころの騒ぎではない。
「…もしかして…まだ小さい…とか?」
「それ以上言うと凰にぶち殺されるぞ。…胸で弄った時のあいつは何をするか分からん。」
「胸の大きさなんて関係ないでしょ。好きなら好きって言えば良いのよ。」
「…お前も大概、男気があるなフィアス。」
そう言い切り、千冬は再びジョッキを空にする。
フィアスもグラスの中を空にする。
真耶は…疲れが溜まったのか、伸びをし…
「んー。っぷは。あー、疲れました。」
戻した。…それは問題ではない。今ここで問題なのは…
「おい真耶…お前、付けてないな?」
「ふぇ?何をですか?」
ぶるん、と揺れる兵器である。酔いが回ってきたのか、千冬が隠して言った事を理解しきれていない真耶。…だからこそ…だからこそなのだろう。
「…ノーブラか?」
「……えっ……、あっ!」
フィアスに唐突に言われ、酔いが覚めた。
「ふむ…よっ。」
「ひゃあ!ちょ、ちょっと先輩!や、やめて…」
「…柔らかいな。フィアスもどうだ?」
「じゃ、失礼するわね、真耶…おぉ…これは…」
…想像してほしい。ええ歳した3人が酔っぱらって胸を揉み、揉まれているのを……
さて、ここで問題です。
1.他の教職員も混じり、乱〇パーリーになる。
2.たまたま書類を出しにきた織斑一夏に見つかり、社会的に終わる。(書類は消灯時間が過ぎてもいいから出せ、とのこと。)
3.一夏と同じシチュエーションで女生徒に見つかる。
…この3つのうち、最も起きやすく、かつ最も弁解のしにくにのはどれか。もちろん…
「…お、織斑先生にフィアス先生…何を?」
『3』である。しかも…
「なんだ、更識姉か。何って…見れば分かるだろう?」
よりによって生徒会長。しかも開き直るという何ともまあ教師の威厳もクソもない。
「ま、まぁ…分かりますけど…」
「えぇっ!?ちょ、ひぁっ…ぁん…更…識さん…納得、しないでく…らはい…」
「あの〜、もしかしてフィアス先生と、織斑先生って…」
「違うぞ?私達はノーマルだ。…こいつがノーブラだったからな。つい。」
「えぇ…」
ノーブラなら揉んでもいいのか。…否、である。…できれば揉ませてください。
「おっ、そうだ更識。お前、彼氏なんかは作る気は無いのか?」
「彼氏、ですか?…あ、ま、まぁ…気になる人は…居ます。」
「ほぅ…一夏ではなく時守か。」
「なっ!?なんでそこで剣くんが出てくるんですか!?」
「ほら、否定しない所を見る限りそうなのだろう。」
「…むぅぅ…、と、ところでなんでこんな話を?」
楯無が疑問に思うのも無理は無い。真耶はともかく、千冬という彼氏など作る気があるのか、というような人物からそんな話題が飛んできたのだ。
「時守が婚期の発言をしてからな、そろそろ考えてみないか。と言う話が教職員達の中で出たしてな。」
「…遅くないですか?」
「言うな馬鹿。…これでも女子会だ。」
「…え゛っ…」
「おいなんだ今の声は。お前からそんな声は聞いたことが…いや、あるな。布仏姉に絞られている時か。」
「虚ちゃんは良くも悪くも真面目で純粋ですから。」
本人が居ないところで話題にされる、というのは嫌な人はとことん嫌がる。…布仏姉がその1人、別にいいという1人は布仏妹である。
「あぁ、そうだ更識。お前、結婚するために私に何が足りないと思う?」
『女子っぽさ』という回答がすぐさま出た楯無を責める者は誰も居なかった。
そう、
質問した本人以外は――
そして…
その翌日の朝、やけに顔を赤らめた楯無を見て時守が不覚にもドキッときたのは言うまでもない。
◇
「…結婚、ねぇ…私も考えてみようかしら。」
「な!?お、おいスコール!!そんな事できる立場だと――」
「あらオータム。…愛に立場も身分も関係ないのよ?」
◇
千冬達が呑んでいた頃、2人の男子は集まり、所謂男子会なるものを行っていた。
「…ワンサマ…」
「ん?」
「死ね。」
「は、はぁ!?なんでだよ!?」
「お前…そこはそんな反応するとこちゃうやろ。あのな?『死ね』言われたら『…生きる!!』って返すねん。ほら、もっかい。死ねや。」
「…生きる!!」
「うっさいわ黙れ。」
「ひ、ひでえ…」
「やからそこはな?『…喋る!!』や。ええ加減自分でボケ覚えなアカンで?」
「おう。」
場所は時守の部屋。…楯無が『用事があるし今日は虚ちゃんの所に泊まるわ。』と言っていたのを思い出し、開いた男子会である。
「お、ほらもう始まるで。」
「な、なぁ剣。」
「ん?」
「…なんでそんなに同じリプレイばっかり見るんだ?阪〇は勝ったんだろ?」
そう、今日は時守の応援する球団、阪神タイガ〇スが勝ったのだ。…そして一夏の問いに対する答えは…
「アホ、勝ったから何回も見んねん。スッキリするやろ?ちなみに明日の朝も『おはよう朝日で〇』見るし。」
「へぇ〜、やっぱり自分が応援してるチームが勝つと嬉しいものなのか?」
「まあせやな。…でも今はやばい。開幕5連敗した思たら今度は怒涛の7連勝。一気に3位浮上でこのまま首位奪うってとこやからな。」
「…俺もどこか応援してみようかな。」
「んじゃ阪〇な。はいこれメガホン。あげるわ。」
「お、おう。」
「まあとりあえずスタメンと控えの名前覚えてから応援歌覚え?そしたら見に行こや。東京ドーム。」
「あ、俺一回行ってみたかったんだよな。野球観戦。」
「…出来たら甲子園が一番ええねんけどな…ホームやし。」
織斑一夏、いつの間にか〇神ファンになってしまった。
「まあお前に阪〇の何たるかを叩き込んだるわ。」
「…え?」
「んじゃまず〇神が初めて日本一になった頃からやな……」
それぞれの夜は…賑やかに過ぎていく――
はい、ということでワンサマ阪神タイガ〇スファンになりました。
楯無さんがナニをされたのか…それを知るのは織斑千冬だけであろう…