艦隊これくしょん -Blue submarine-   作:イ401

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お待たせしました。今回は繋ぎの為、圧倒的に短くなってしまいました。


第14話

月明かりが照らす、夜の海。

 

海面に浮かぶ、黒い影。

 

それは凄まじい速さで大きくなり、そして決して小さくない水飛沫を上げながら、イ401は海面へと姿を表した。

 

勢い良く浮上した反動で浮き上がった船体を海面に叩きつけ、装甲の破片を撒き散らす。同時にスラスターの噴射方向を調整し、転覆を防ぐ。

 

 

イ401は、内装外装合わせて約2割の船体を消失し、浸水により船体が右9度、後方14度傾く。使用可能武装は40口径単装砲1門、25mm3連装機銃1基のみ。強制波動装甲の損壊によりクラインフィールドは消失。機関出力は辛うじて稼働出力を保っている。CICは事実上機能停止し、船体の操作はイオナが全て受け持っている。

 

現状のイ401では、万が一深海棲艦と接敵してしまった場合、逃走は不可能。更にクラインフィールド消失により鉄壁の防御を失い、ボロボロの状態での戦闘を余儀無くされる、正に満身創痍の状態だ。

 

 

浮上した直後、船体同様にボロボロになっている船首に、イオナの姿が現れる。

 

(ここからが正念場だ…この海域から何としても離脱したい所だが…)

 

 

──チ、チ。

 

 

(…ダメだ、システムエラーが多過ぎる…現在位置が分からない。オマケにレーダー、ソナーも使用不能。今の状態じゃ潜水も出来ない…とにかく、ここから動くしかないか)

 

 

イオナの操作により、イ401は17ノットで前進を開始。何処へと向かっているのかも分からないが、今は唯進むしか無かった。

 

もしそれが破滅へと繋がる道だったとしても、引き返す道は既に無いのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海面に浮上してから1時間46分後。

 

相変わらず水平線には何も映らない。

 

(…システムエラーは幾らか改善したが…索敵能力は80%喪失か。無理もないな)

 

(今動かせるナノマテリアルはもう全て使った…修復しようにも何処か落ち着ける場所を見つけなければ…)

 

 

──チ。

 

 

(──何か来る!!)

 

それを合図に、飛来音と共にイ401の周囲の海面が爆ぜた。が、幸いイ401に直撃することは無かった。

 

(──ッ、砲撃…!!システムエラーの改善を優先したのが災いしたか…!!)

 

すぐさまイオナは遠視モードで周囲を見渡す。

 

(見つけた…7時方向、距離17km。空母2、戦艦2、軽巡洋艦3、よりによって機動艦隊か…!!既に航空機の発艦が始まってる!)

 

機動艦隊とは、航空母艦を中心に構成された中規模以上の艦隊の総称。第二次世界大戦にて戦艦の砲撃よりも航空機の威力が上だという事を証明した象徴とも言える。

 

「40口径単装砲及び25mm3連装機銃、用意」

 

(…距離はあるが、こうするしかあるまい)

 

40口径14cm単装砲と25mm3連装機銃の銃口が深海棲艦の航空機群に向けられる。

 

同時にイオナは、クラインフィールドで双剣を構成。

 

それを握り、イ401から大きくその身を跳躍させた。


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