unlimited blade worksはダンジョン攻略に向いている   作:色葉酢

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2話目です~
投稿するときって滅茶苦茶緊張しますね~

でも、心は折られないように頑張ります!


では


プロローグ~オラリオ~

「嘘……だろ?」

 

俺は柳洞寺の地下洞窟であろう場所を出ると、そこには(みやび)がよく映える寺が……無かった。あったのは、っていうか居たのはバベル(耳が尖っている?人に聞いた)と呼ばれる五十階建ての摩天楼施設のなか……確かに違和感はあったんだ。上に上がる階段を見つけたと思ったらまた洞窟が続いていたり、今は遠坂、セイバー、俺の3人しかいないはずの柳洞寺に知らないヒトの声が聞こえたり、ここは柳洞寺じゃないっていうのは薄々感じていた。

 覚悟はしていたから、柳洞寺じゃないならないで別に良かったんだ。変な空間に飲み込まれて日本のどこかに転移したとかなら魔術やら願望器があるんだからあり得なくはない。でも、周りを見渡せば異様な光景が広がっている。まず外国人?いや、仮装している人?(コスプレっていうのか)が沢山いる。一部地域にはそういう人たちが集まる催しがあるとかないとか……聞いたことがあるけど、おそらくはそういう類のヒトたちではないことは雰囲気で大体分かる。

 

まず、冷静に考えろ。ここはどこか現実離れしすぎではないか?洞窟の上にある建物、自然発光している洞窟、周りには仮装しているが決死の形相で洞窟に向かう者、そして、それらを全く意に介していない周りのヒトたち、まるで異世界のようじゃないか。

 

「全くどういうことか分からないぞ?ここ日本なのか?」

 

でも、バベルという名前を教えてくれたヒトは少なくとも日本語だった。それだけは、唯一の救いだ。

 

「はぁ、情報……集めるか」

 

自然と頭をかき、苦笑する。ただ、なぜか悪い気分はしない。ギルガメッシュとの凄まじい死闘があったせいか、それとも、あまりに心身共に疲れているせいか、どちらにしても気が緩んでいるのは違いない。危険がすぐ隣にないことがひどく久しぶりに感じられる。

 

聖杯のことを考えると、「どうしても早く戻らないと」と考え込んでしまうが、一番の脅威であるあの金ピカ(遠坂から引用)のサーヴァントをあの場から退けたのだ。あとはセイバーにあの聖杯を壊してもらえばいい。

 

(遠坂をセイバーを……信じよう)

 

(役目は……十分果たしたよな……アーチャー)

 

あの男に一方的に交わさせられた約束。別にあいつに言われなくてもやったさ、と憎らしい未来の自分に悪態を心の中でついた……と同時に俺は激しい睡魔に襲われる。

 

「これは……少し……ひと……眠りしたほうが……いいな。」

 

色々な緊張の糸が切れた。ここがどこか俺は知らない、俺が知っている人はおそらくここにはいない、じゃあ、どうしてこの世界に召喚されたのか……。もしかしたら、これは予行演習なのかもしれない、アーチャーのようにいつか世界と契約を結び、世界のバランスを崩すものと戦うための練習。それとも……俺みたいな偽善者でも正義の味方、英雄として必要としてくれる世界がここなのかもしれない。そんなことを考えながら俺は、バベルの近くの草はらに向かい、倒れこんだ。頬に当たる風が気持ちいい。少しだけ心残りがあるが、達成感もある。きっと俺が降り立ったこの町では何かが起こる気がする。でなければ、ここに呼ばれた意味がない。上等だ……

 

「この世界で何が起こっても俺は守り切ってみせるさ。どの時代の英雄も正義の味方であるように……。」

 

そう言って、拳を空に向けて握った。ほどなくして、俺こと衛宮士郎は眠りにつく。このとき、ただ一つ誤算があるとすれば今着ている服が血みどろで、はたから見れば死んでるように見えることだろうか。

 

 

 

 

 

⊿⊿⊿⊿

 

 

 

 

 

ザワザワ……ザワザワ……

 

数時間後、そろそろ目が覚め始めるころ

 

「ん……っ。なん……だ?やけに騒がしいな。」

 

ちなみにここが異世界だというのは大丈夫、把握している。目が覚めたら~なんて考えは寝る前に断ち切っといた。そんなオチはつまらない小説だけで十分だ。まぁ今は、とりあえず目を開けて騒ぎの元凶を見てみるか。いったいなにが起き……て?

 

「えっ……?」

 

まず、騒ぎの元凶は俺自身だったということ。そりゃあ、血みどろで横たわっていたら死体と勘違いされても仕方ない。反省しなければ。でも、このとき俺が目立っていた理由がもう一つあった。俺の傍らに腰かけている少女がいたからだ。

 

衝撃だった。目に飛び込んできたのは(きん)。彼女が誰だか俺には分からない、もしかしたら凄い有名人なのかもしれない。俺は確実にこの少女のことを知らない。でも、話しかけずにはいられなかった。だってその子は、彼女にセイバー(・・・・)にとてもよく似た容姿だったから。

 

「セイ……バー?」

 

「?」

 

その子は「だれ?」という如何(いか)にもな感じで小首を(かし)げた。

「ああっ……いや、何でもないんだ。すまない、気にしないでくれ。」

 

「……分かり、ました?」

 

こてんと、音はしなかったがその少女はさっきとは逆の方向に首を傾げて見せた。最後が疑問形だったのはきっと俺が年上か下かで迷ったからだからだろう。確かに彼女と俺の間の年齢差はそんなにないのかもしれない。

それにしても、本当にセイバーに似ている。雰囲気こそ違うけれど髪の毛や人並み外れた美麗な容姿、剣を持っているなど、ところどころでセイバーと被るところがある。まぁ、スタイルは……ね。どっちが良いかとは言わないけど悪いから言わないでおこう。

 

「ところでこの騒ぎがなんだか君は知ってる……のか?」

 

初対面なので控えめに聞いてみる。

 

「たぶん、君が……、ここで死人みたいに眠っていたから、殺人が起きたんじゃないかって。」

 

あ~そうだよな、「納得~」と内心思っていると彼女はさらに言葉を紡いだ。

 

「それと、うちの主神・ロキが君の後ろで、なにかしてるから?」

 

「えっ……うわぁ!」

 

「後ろで」と言われて振り返ってみると何やら興味深そうに俺の背中を見ている女性が一人いた。

 

「よっ、自分なかなか面白おかしなことに巻き込まれとるなぁ。」

 

と、そのロキと呼ばれる女性は陽気に話しかけてくる。驚かせたことに謝罪はないのかと一瞬思ったが彼女の言った言葉が引っ掛かる。「おかしなことに巻き込まれている」彼女はそう言った。実際俺は異世界に来るという不思議体験に絶賛巻き込まれ中である。

 

「自分、結局殺人にあったわけやないんやろ?生きとるわけやし。つまりや、そのひどい怪我はダンジョンで負ったんちゃうんか?」

 

どうする?正直、話についていけない。ダンジョンとはなんだ?「この傷は英雄王・ギルガメッシュと戦ってついた傷なんです。」って言って通じるのか?いや、通じるわけないか、大体この人が冬木市の一般市民だとしても通じる話じゃない。どうしよう……

 

「だいたいなぁ、ええか?神の恩恵(ファルナ)も受け取らずにダンジョンに行くて自分どんだけ命知らずやねん。」

 

バシバシと超ご機嫌に俺の背中を叩きながら笑うロキさん。ノリからして限りなく関西人に近い。そして、相変わらず話が見えない、神の恩恵(ファルナ)とはいったい何だ?

くっ……やっぱり眠るより先に情報を集めるのが先だったか?だが、後悔しても仕方がない、情報収集において後れを取ったのなら取り返せばいい。それは今からでも遅くはない。俺は情報獲得のため、この好奇心旺盛なロキさんに狙いを定めた。

 

「あ~実は俺、異世界から来た人間だからこの世界のことはよく知らないんだ。」

 

如何にもミステリアスに尚且つ口が軽そうな男を演じる。そしてこれに食いつくか否かで……

 

「はぁ~~~!自分おもろいなぁ~!異世界からてっ!ちょいとファンタジーな小説の読みすぎちゃうの。」

 

「よっぽどこの世界の方がファンタジーだよっ」というツッコミは抑えて、目の前には細い目にいっぱいの涙をためて笑いこけるロキさん。よし計画通りだ。少しばかり周囲からイタイ子を見るような目で見られている気がするが何のこれしきっ。とにかく次のターンでこの賭けはどうなるか決まる。

 

投影(トレース)開始(オン)

 

「「!!」」

 

俺は多少回復した魔力でこの世界にはおそらくないであろう(・・・・・・・・・・・・・・・・)投影魔術を行った。未知の能力、程度に思ってくれればそれでいい。こちらの狙いはあくまでスムーズな情報収集だ。だとすれば相手にだけ情報を提供させていれば必然こちらの身の上話になることは避けられない。

でも、俺はこの世界のことを本当に、全く知らない。人と話しているとよくある「この話は当然知っていると思ったからあえて言わなかった」という状況だけはどうしても避けたかった。俺には一から教えてもらう必要があるからこそ、ここで今、この世界の人間ではないことを明確(・・)に示す必要があった。

 

「「………………。」」

 

場にいるヒトたちは一人残らず押し黙ってしまった。目の前のロキさんに至っては投影した剣を凝視(ぎょうし)して何か考え込んでいるようだった。……セイバー似の子は……うん、無表情だ。もともと顔に感情が出にくい性格なのかもしれない。

 

(な……なんだかいけないことをしてしまった気分だ……。)

 

ギャラリーには「ファミリアに……」とか「レアスキルが……」という単語が飛び交い始めた。単語、単語のせいか話の内容が頭に入ってこない、よく聞き耳を立てて話全体を聞いてみても結局、意味が全く理解できなかった。ホントつくづくアウェイだなと嘆息していると……

 

「き、君!うちの【ファミリア】に所属しないかっ!?」

 

と、静寂を破るかのように一人の男が声を上げた。すると、その男に続いてギャラリーは「いいえ!私の……」「いいや、俺の……」と、なだれ込むように俺をファミリアというものに勧誘してきた。いやいや、俺はただこの世界の情報がほしいだけなのにどうしてこうなった?

 

原因は火を見るよりも明らか、投影魔術だろう。

 

この世界に投影魔術はきっとないのだ。だから、こう、物珍しさに勧誘するという行為が発生している?う~ん……物珍しさに勧誘、この二つがこのヒトたちのなかでどういう関連があるのか分からないな。

 

「自分、名前は?」

 

ギャラリーが沸き、俺が内心頭を抱えていると目の前にいるロキさんは静かに、けれど先ほどとは比べ物にならないほど心底面白いもの見つけたというような顔で俺に聞いてきた。

 

「えっ……え~と、士郎、衛宮士郎っていうんだ。」

 

頬には汗がタラリと流れ、若干「このヒトやばそうだ」という疑念が生まれつつあるが、一応は自己紹介しておいた。

 

「エミヤ シロウねぇ~、んじゃあシローでええな!」

 

「シロー……。」

 

「まぁ、呼び方は何でもいいけど。その~ロキ……さん?さっきも言ったとおり俺はこの世界の住人じゃない。できればこのあとこの世界について詳しく教えて欲しいんだ。」

 

やっと言えた。なんだかものすごく長く感じたぞ。

 

「なんや?そんなことかいな。ちゅうことならウチ(・・)()いや。ウチら(・・・)が色々教えたるわ。」

 

……?何だか、妙にウチが強調されていたような?

 

っていうかロキさんの「うちに来い」宣言を受けて、ギャラリーがさらに沸き始めた。「ずるいぞ~」とか「私が先なのに~」という野次が次第にヒートアップしていく。すると、

 

「ええぃ!こんなん先に誘ったもん勝ちや!行くで、アイズたん!」

 

そういってアイズたんと呼ばれた少女に細い目で目配せするロキさん。

 

「……了解。」

 

アイズたん……さん、がそう返すと同時に俺を目にも止まらぬ速さで担ぎ上げた!

 

「えっ……、うわぁあああああ!」

 

担ぎ上げられたと思ったら、次は全力疾走された。な……なんだこの子めちゃくちゃ力持ちの上に足の速さも尋常じゃないっ。俺という(おもり)を抱えながら街の中を疾走していく。さっきまで一緒に走っていたロキさんは途中で「もう限界~さき行っといてー、アイズたーん。」と言って離脱してしまった。それにしても、息ひとつ切れていないよこの子……これもこの世界特有の“何か”なんだと直感的ながら感じ取っていた。……アイズたんさんの肩の上で……。

 




推敲することはとても大事だなとつくづく感じました。

ところで質問ですがベル君をこの物語に出してほしい方がいましたら
連絡待ってます。
ちなみに語りは士郎君中心なのですがhollow ataraxiaの士郎君をイメージして
いるので若干ツッコミ多めです~


では、また来週あたりに~

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