ちなみに主人公の彼女はまだ艦これに実装されていませんが。
あと題名が似ていますが、とある補給艦とは関連性はありません。
続きについては考えついたら書くかもしれません。
彼女は異国から来た客船だった。
しかし全世界を巻き込む戦いが起こり、彼女は帰る術を失った。
遠い異国で望郷の念に駆られる日々を送っていた彼女の元にある日尋ねてくる者達がいた。
その者達は彼女にある提案をした。
「もし、君に戦う意思があるのならこの戦いに加わらないか。戦いが終われば君は祖国へ帰るかもしれない。」
しかしその為には彼女は客船の姿を捨て戦う船、軍艦にならなければならないと。
彼女は悩んだ。客船である事は彼女にとって誇りであり名誉だと思っていた。
華やかな客船としての姿から無骨な軍艦へ。それは彼女の存在意義に関わる事だった。
激しい葛藤が彼女の中に渦巻いたが、結局彼女は戦いへの参加を決断した。
そのころ自分と同じ祖国からこの戦いの為に、この異国の地に来ていた者達がいたことも、戦いに加わる理由の一つになった。
「構わないのかい?」
戦う為に来た祖国から来た一人、レーベレヒト・マースは聞く。
「君は僕達と違って軍艦ではないんだ、戦いに身を投じる義務はないんだよ。」
彼女はレーベが自分の事を心配してくれたのが分かっていたのでこう答えた。
「私は少しでも早くこの戦いを終わらせたい。それは自分が祖国へ帰る為だけではないの、貴方達を含めた皆が戦わなくてすむ為でもあるの。」
彼女の決意にレーベは嬉しいような悲しいような複雑な表情を浮かべる。
「君がそう言うなら私はもう何も言わん、共に戦おうではないか。」
レーベと共に戦っているビスマルクはそう言って頷く。
「まあ、こっちには貴女の様にこの国の艦になった子もいるしね。」
そう言ってプリンツ・オイゲンは隣にいた無邪気そうな娘の肩を抱く。
「はい、ユーちゃん改め、ろーちゃんです! よろしくお願いしまーす。」
明るいその娘の姿に彼女は釣られる様に笑う。
「それにこの国の娘の中にも貴女の様に客船から軍艦になったものもいるわ。」
ずっと黙っていたレーベの姉妹艦であるマックス・シュルツはそう言って首をすくめる。
「彼女達とも仲良くなれるかもしれないわ。」
そう言ってマックスは手を差し出す。
レーベとビスマルク、プリンツ、ろーの四人も同様に手を差し出す。
それを見て彼女も手を差し出し、五人と重ね合わせる。
「皆でこの戦いを終わらせ、共に祖国へ帰ろう。」
ビスマルクの言葉に六人は深く頷きあった。
神鷹、異国から来た客船から戦う軍艦になった娘。
後に『異国から来た六人の戦女神』と言われた艦娘達の誕生だった。