彼女達が現れた初期の段階、艦娘は遊撃隊扱いだった。
まだ、運用方法の分からないからだった為だ。
ようやく体制が整備されたのは、深海棲艦との戦いが始まって十年以上も後の話。
四つの鎮守府による艦娘の組織的運用。
各鎮守府の提督毎に艦隊を置き、運用支援の為に妖精達を配置する。
そして各鎮守府毎に置かれた艦隊には様々な役割が振り分けられた。
『攻略主力艦隊』
『攻略支援艦隊』
『拠点防衛艦隊』
『部隊支援艦隊』
艦隊には、それぞれに対応した艦娘達が配属された。
大淀さんと提督さんのどつきあいは、提督さんの失神で終わった様です。
ちなみにその間に聞こえてきた提督さんの断末魔の声は・・・いえ、これ以上話せません。
「・・こほん。それで明石さんと吹雪さん、何が起きたんですか?・・って貴女誰?」
佇まいを正して二人に向き直った大淀さんは私に気づいた様です。
「まあ・・彼女が呼び出した理由だよ。」
明石さんはヘルメットを取ると私を見ながら騒ぎの原因を話し始めました。
「ったくあの提督ときたら・・」
説明を聞き終えた大淀さんは、先ほどの明石さんに負けないくらい眉間に深いしわを寄せています。
「しかまあ、今までに比べればまだましですね。」
「だな、今までに比べれば。」
「はい、今までに比べれば。」
大淀さんの言葉に心底その通りです、という様に頷く明石さんと吹雪さん。
私はふと嫌な予感を感じたのでお三人に質問しました。
「あの・・こういう騒ぎってよく起こってるんですか?」
「ええ・・それはもう。」
「概ね。」
「何も無い時の方が珍しいですね。」
お三人とも何だか達観した表情で言われるのが非常に印象的でした。
・・ところで、その騒ぎの張本人である提督さんなんですが、先ほどから身体がピクピクして何だかとても危険な状態に見えるんですが。
お三人とも全然に気にしてませんね。
あと、妖精さんですか、同じ様な状態で提督さんの周りに転がっているんですが・・
こちらも気にする様子はありません。
何となくですが、ここでの提督さん達の扱いが分かった様な気がします。
「さてそうなると、作戦本部に報告して指示を仰ぐしかないわね。」
私を見ながら深いため息を付いて大淀さんはおっしゃいます。
「とりあえず・・ましゅうさんでしたっけ、貴女の事を教えて下さい。」
私は頷いて答えます。
「はい。あと出来れば皆さんの方の事も教えて頂けませんか?」
「それはもちろんです。あと、二人も一緒に来て下さい。」
大淀さんは私の申し出を快諾して下さると、明石さんと吹雪さんに指示されています。
どうやら彼女がこの中では重要な地位の方の様です。
「それじゃ執務室へ・・」
そう言って歩き出した大淀さんに私はふと気になってお聞きしました。
「それで提督さんはこのままなんでしょうか?」
「「「・・・・・・・・・」」」
お三人はお互い顔を見合わせるとおもむろに
「明石さんお願いしますね。」
「吹雪お願い!」
「えー私ですか?」
押し付けあっていました。
「ははは・・」
私は苦笑い浮かべるしかありませんでした。
長くなりそうなのでここで一旦きります。
最後にこの作品だけの設定を乗せます。
興味のある方はどうぞ。
1.4つの艦隊について
『攻略主力艦隊』
-文字通り攻略の主力となる艦隊
大和型や長門型戦艦、大型正規(装甲)空母など強力な火砲や航空戦力もつ艦娘が集まる。
『攻略支援艦隊』
-主に攻略主力艦隊を側面から支援する。高速戦艦や航空戦艦部隊と一部の軽空母、重巡洋艦や優秀な水雷戦隊などはこちらになる。
『拠点防衛艦隊』
-こちらは重要拠点(港や湾岸の工業地帯)の防備を担当。沿岸航路の防備も担当している。
その性格上、小型艦が多く所属する(軽巡や駆逐艦が多い)。
ちなみに吹雪はここから最近部隊支援艦隊に転属した、という設定があったりします。
『部隊支援艦隊』
-ましゅうがこれから所属する事になる艦隊。
主な所属艦は以下の通り。
潜水母艦 大鯨
工作艦 明石
水上機母艦 千歳
水上機母艦 千代田
飛行艇母艦 秋津洲
給糧艦 間宮
給糧艦 伊良湖
補給艦 ましゅう
上記を見て頂ければこの艦隊が分かると思います。
様は後方支援の艦隊で、必要応じて前進基地などに進出、攻略主力艦隊や攻略支援艦隊の補給を行います。また、拠点防衛艦隊への補給も担います。
また、直衛の艦隊(上記艦娘を守る)もあり。
旗艦 鳳翔 軽空母
大淀 軽巡洋艦
夕張 軽巡洋艦
吹雪 駆逐艦
島風 駆逐艦
香取 対潜掃討艦
上記所属艦で分かる通り、主に対潜戦を想定してますし、多少の航空戦力も持ち合わせいます。
これ以上の対応が必要であれば攻略支援艦隊が、沿岸では拠点防衛艦隊が護衛する事になってます。
なお、これはあくまでも作者の妄想であり、ゲームや実際の艦と合わない点もありますが、ご了承願います。
まあ、作者の趣味の産物と思って下さい(笑)。