とある補給艦娘の物語   作:h.hokura

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イージス艦や紺碧もあるならこれもありかと思いまして。
ちなみにタグに有る様に世界観及び設定は自分が書いた『とある補給艦娘の物語 』を使ってます。

簡単に言うと、艦娘達は艤装展開を行う事で、自分自身の元となった在りしの艦船に成り戦うと設定です。


番外編・謎の艦船深海棲艦

日本に向かう輸送船団と護衛艦娘達は窮地に陥っていた。

索敵機が機雷が進路上にある事を発見し輸送船団と護衛艦達は進路を変更せざるを得なかった。

だがそれが深海棲艦の罠だったのだ、輸送船団と護衛艦達は敵の艦隊の待つ海域に誘い込まれてしまった。

「由良さん囲まれています、どうしたら・・・」

輸送船団と護衛艦達の周囲に深海棲艦が現れ攻撃態勢に入るのを見て駆逐艦の娘が悲痛な声を上げる。

「くっ・・・このままじゃ、でもせめて輸送船団の人達だけでも。」

護衛艦娘達を率いる軽巡洋艦の由良は最悪なその状況に悲壮な決意を固める。

最悪自分達がが囮になって深海棲艦を引き付けるしかないと・・・だがその時だった。

海面を割って何かが飛び出して来るのを由良は見る。

「ひ、飛行機?」

それは美しい曲線で描かれた航空機だったが、ペラ(プロペラ)無しで空を飛んでいる。

由良はそれが最近配備され始めた噴式戦闘機ではないかと思った、だが何故海中から出て来たのか訳が分からなかった。

そんな由良を他所にその噴式戦闘機は魚雷を発射しようとしていた深海棲艦側の駆逐艦数隻に対し翼の下から何かを放つ。

但しそれは爆弾では無かった、何故ならそれは火を噴きながら自力で飛んで行く様に由良には見えたからだ。

「噴進弾?」

これも最近配備され始めたと聞いた事があった、ただそれは艦艇の対空か対潜用で航空機が搭載しているとは聞いた事がない由良だった。

そしてその航空機が発射した噴進弾が命中すると敵駆逐艦はたちまち炎に包まれ速力を落とす。

突如攻撃を受けた深海棲艦隊は慌てて重巡洋艦を中心に対空砲火を打ち上げるが、噴式戦闘機はその速力と機動力を生かしてかわすと再び噴進弾を発射し艦隊を激しい混乱状態に陥れて行く。

そしてこの好機を逃す由良では無かった、直ちに艦隊の艦娘達に指示し反撃に移る。

敵の主力である重巡洋艦に対し自分と2隻の駆逐艦娘で対抗、残り3席に残敵の掃討を指示する。

「突っ込みます、続いて!」

由良はそう言うと2隻の駆逐艦を率いて敵重巡洋艦に魚雷攻撃を掛ける為突撃、残り3隻の艦娘達は動けなくなった敵駆逐艦に対し止めの砲撃を行い始める。

突っ込んで来る由良達に対し敵重巡洋艦は応戦の為主砲を向けようとするが、先程の友軍機が牽制する為狙いを付けられないでいた。

「今です、右舷魚雷戦用意!」

その隙を逃さず敵重巡洋艦の左舷側に回り込んだ由良達が魚雷発射管を向ける。

「発射!」

そうして由良達が発射した魚雷は見事に敵重巡洋艦に命中し大破させる、一方残った敵駆逐艦群も止めを刺される。

大きな損害を受けた敵重巡洋艦は急速に海域から撤退して行く。

「船団を守りつつこの海域を離脱します。」

敵重巡洋艦が撤退して行くのを確認した由良は海域からの離脱を指示、配下の駆逐艦達と共に輸送船を護衛しつつこの海域を離れて行くのだった。

 

由良達が海域を十分離れた位置に到達しところで先程危機を救ってくれ、その後も上空から護衛してくれた友軍機から通信が入る。

現状の確認と今後の事について話をしたいらしい、もちろん由良に断る理由などないので承諾する、救ってもらった礼も言いたかったからだ。

配下の駆逐艦達に警戒を指示すると由良は艤装展開を解き艦娘姿になって待機して居ると、友軍機が彼女の前方海上に着水して来る。

すると海面を割って潜水艦が浮上して来る。

「見慣れない艦ですね。」

時に潜水艦の娘達と顔を会わせる機会の多い由良も見た事の無い潜水艦だった。

由良や駆逐艦達が物珍しく見ていると、その潜水艦は着水している機体に艦首を接続する。

あの航空機はどうやら潜水艦の艦首に搭載されているのだろうと由良。

航空機を搭載している潜水艦を何隻か知っている由良だがあの様な搭載の仕方は見た事が無かった。

艦首に航空機を接続した潜水艦は白い光に包まれながら艤装展開を解き艦娘の姿になる。

その姿と言うか着ている服装もまた知っている潜水艦娘達とは違うと由良は気付く。

大概の潜水艦娘達は水着(スクール水着)なのだが、今現れた艦娘は全身が銀と白のボディスーツを身に着けた、紫髪のショートカットをした艦娘だった。

その潜水艦娘は由良に気付くと照れた表情を浮かべながら近づいて来る。

「初めまして、遊撃潜水艦艦隊所属のスカイダイバーです。」

 

そう彼女はかって地球防衛組織SHADO(シャドー)の海底部隊であるスカイダイバーの1隻だった。

だがUFOを操る宇宙人によって洗脳及び改造された人間により撃沈されてしまったのだが、何故か気付いたらこの世界に居たのだ。

かって自分と一緒に戦っていた人間の姿でだ、混乱するなかスカイダイバーは似た境遇の者いや艦に出会う。

突然数隻の艦に囲まれ、しかもその艦達が自分と同じ姿に変わったのを見た彼女が混乱したのは言うまでも無かった。

その後スカイダイバーはその者達と共に鎮守府に連れていかれ事情を知る事になる。

かって自分が居た世界がUFOの脅威に晒されていたの同様、この世界が深海棲艦と呼ばれる存在の脅威に晒されていると。

そして対抗する為に艦娘が存在し、自分もまたそうなのだと・・・

スカイダイバーを保護し事情を説明した艦娘は、その力を貸して欲しいと言ってきた、もちろん彼女に断る理由は無かった。

UFOか深海棲艦の違いは有っても人々が脅威を受けているのなら、それから守るのがスカイダイバーである自分の責務だと思ったからだ。

こうしてスカイダイバーは生まれ変わったこの世界で新たな戦いにその身を投じる事になる・・・艦娘として。

 

「こちらこそ初めまして、輸送船団護衛艦隊旗艦の由良です・・・えっとスカイダイバーはさん?」

2人は敬礼をしながら挨拶を交わすが、由良は彼女の名前に戸惑っている様だった。

「だったらエリスと及び下さい由良さん。」

どうも自分の名前であるスカイダイバーは皆には呼び難いらしく、だから彼女は代わりにエリスと呼んで貰う様にしている。

その名はムーンベース指揮官であったゲイ・エリス中尉から取っている、まあ自分の服装がエリス中尉を始めとした女性隊員達と同じだと言う事も有ったからだ。

ちなみにスカイダイバーはエリス中尉と直接の面識はもちろん無かったが、司令部との通信などで名前や姿を見た記憶が有った。

「エリス・・・さんですね分かりました、あと救援ありがとうございました。」

由良は頷くと微笑む、その方が可憐な彼女に合っていると思いながら。

「いえ間に合って幸いでした、船団及び護衛艦隊に被害は?」

挨拶を終えエリスが聞いて来る。

「エリスさんのお陰で大きな被害はありませんでした、それにしても良く追いつけましたね。」

本来のコースから離れた由良達に追いつけた事が不思議で由良が質問して来る。

「私は足が早いので何とか、まあギリギリになってしまいましたが。」

由良達の所に辿り着いた時には由良達は囲まれ攻撃される寸前だった、エリスは直ちにスカイ1を発進させ何とか間に合せたのだった。

「そうだったんですね感謝します、お陰で輸送船団も護衛艦隊も無事に済みました。」

そんなエリスの言葉に由良は頷いて答える。

「いえ責務を果たしただけですよ、貴女と同じにね。」

ウィンクしてエリスはそれに答える。

「はい・・・それでは船団は本来の航路に戻ります。」

「了解です、その間は私が海中から護衛しますので。」

「よろしくお願いいたします。」

由良とエリスは打ち合わせを終え再び敬礼するとそれぞれ離れた場所に移動し艤装展開をする。

由良は軽巡洋艦由良に、エリスはスカイダイバーにそれぞれ変わる。

そして待機していた駆逐艦達と合流した由良は輸送船団を護衛しつつ航行を開始、スカイダイバーは潜水して後に続く。

その後本来の航路に戻る間も、戻った後も深海棲艦の襲撃は無く、輸送船団は目的の港に到着する事が出来た。

到着した輸送船団が接岸するのを艤装展開を解いて見ていた由良にエリスから通信が入る。

「ご苦労様でした由良さん、それでは私はここで。」

「はいお疲れ様でしたエリスさん。」

出来ればもう一度会ってお礼を言いたかった由良だったが、潜水艦は滅多な事では人前にその姿を見せない様にしているの知っていたのでそのまま見送る。

「ありがとうございましたエリスさん。」

離れて行くスカイダイバーに由良はそう呟いて頭を下げるのだった。

 

かってUFOとの戦いの中で沈んだスカイダイバーは、新たな生を受け艦娘として蘇り今度は深海棲艦との戦いにその身を投じる事になる。

そんなスカイダイバーことエリスはこの世界で何を見て、何を感じるのだろうか?




この作品に出て来るスカイダイバーは、放映第16話「人間爆弾」で沈められたものなのですが、記憶がはっきりせず、もし間違っていたらお許し下さい。
艦名もスカイダイバー4号だったと思うのですが。

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