時系列はFAIRY TAIL側がニルヴァーナ編の辺り、RKSFは本編正規ルート後の辺りです。
Rosenkreuzstiletteについては知らない人が殆どだと思いますが、説明は後書きでまとめて行います。まずは本編をお楽しみください。
とある森沿いの街道―――
そこを、赤髪の少女が歩いていた。
歩いていた、というよりは行くあてもなく彷徨っていた、といった方が正しいか。
その足取りは幽鬼のようにおぼつかなく、すれ違う誰もが振り向くような美貌はしかし、魂が抜け落ちたような虚ろな表情をしていた。
(……私は……これからどうしたら……)
赤髪の少女――パメラ・アーヴィヒは途方に暮れていた。
手にした栄光は全て偽り、自分は黒幕の手で良いように踊らされていた
全ての栄光、誇りを打ち砕かれたパメラはもはや帝国に残ることはできなかった。彼女は自分の惨めな姿が浮き彫りになることを恐れ、かつて魔女と蔑んだ相手から情けをかけられることに恐怖し――気が付けば、彼女は逃げるように帝国から飛び出していた。
パメラには帰る所は既になく、進むべき道も見えてこない。その手にあるのは縋るように持ってきた愛用の聖剣“ヴァイスジルバー”のみ――今の彼女は正に死人も同然であった。
「へっへっへっ、ちょいと待ちなねぇちゃんよぉ」
と、周りを突然10人ほどの男に囲まれた。見るからに野盗然とした雰囲気で、全員がその顔に下卑た笑みを浮かべている。
その中のリーダー格と思しき男が話しかけてきた
「この辺りは俺たちの縄張りでなぁ、通りたきゃあそれなりの誠意ってモンを見せてほしいなぁ」
「まぁ具体的に言やぁ金目のモン全部寄越せってこった。もしくはねぇちゃんが今夜俺たち全員の相手してくれるってことでもいいぜぇ?」
野盗たちはそう言ってゲヒャヒャと笑い声をあげた。素直に金を出してもすんなり返してくれないことは明らかだ。
「……そこをどきなさい……」
わかりやすい敵が出てきたことにより、パメラの目に幾らか生気が戻った。低い声音で野盗たちを威圧する。
「お?やんのか?女一人でこの人数に太刀打ちできると思ってんのかぁ?」
その声に答えず、パメラはヴァイスジルバーに手をかける――が、
(――抜け、ないっ――!?)
聖剣は彼女を拒むように固く閉じられたままびくともしない。彼女の顔に焦りの色が浮かぶ。
「なんだなんだぁ?ひょっとしてその剣使えねぇのかぁ?さっきのは精一杯の強がりだったってかぁ?」
と、また笑い声。侮蔑と嘲りの声が彼女の自尊心を容赦無く抉りとる。
「ククク…そんな使えねぇ剣なんか捨てちまって俺達と一緒に――」
そう言いながら野盗の一人がパメラの肩に手をかけたその時
「触るな下郎!!」
パメラがその手を捻り上げ、下がった顎にめがけて膝を叩き込む。強烈な一撃を食らった野盗は堪らず昏倒する。
「っ!やりやがったなこのクソアマがぁ!」
「野盗風情が調子に乗るな!貴様らごときこの剣抜きでも十分よ!」
その台詞が開戦の合図だった。数で押してくる野盗達に対してパメラは体術を駆使して一人一人確実に潰していく。しかしパメラの顔は戸惑いと焦りに満ちていた。
(――体が…思うように動かない……!)
いつもの自分と比べて明らかに動きが悪い。まるで不慣れな操り人形を動かしているような違和感。その戸惑いは焦りを生み、焦りは大きな隙を生む。気付けばパメラの体に複数の縄が絡み付き、たちまちに彼女の体を縛り上げる。
「――っ!しまっ……!」
「“バインド・トリック”……。全くとんだじゃじゃ馬だな。だがもうこれで身動きはとれんだろ」
(クッ…!野盗の中に魔導師がいたなんて…!)
パメラは何とか縄から抜け出そうと必死にもがくも、縄はパメラの動きに合わせて的確に縛り上げ、到底抜け出せそうにない
「無駄だ無駄だぁ!その魔法はどれだけ上手く縄抜けできるような奴でも絶対に抜け出せねぇし、縄の強度自体も相当強化されてるから力任せに引きちぎるなんてことも出来ねぇよ!」
(……こんな…屈辱……!)
勝ち誇った野盗の声。その内にパメラに伸された相手も回復し、続々と彼女の周りに集まってくる。
「イテテ…手こずらせてくれやがったなぁ…。だがこいつはなかなか上物の“商品”になりそうじゃないか?」
「ククッ、そうだな。顔もスタイルも上々だしな。だがこんだけ反抗的だと売り物にはならんから、こっちの方で徹底的に
「よく言うぜ。こういう女を徹底的に屈服させんのがてめえの大好物じゃねぇか」
口々に勝手なことをのたまう野盗たち。パメラのことはもはや自分たちの“商品”としか見ていないようだ。
(……こんなところで……私は……終わりなの……………?)
(家からも見捨てられ……手にした栄光も偽りで……こんなところで下郎たちに捕らえられ………)
(私の……生きてきた意味って……一体……………?)
パメラは自らの運命に絶望する。その瞳には涙が溢れ、僅かに残っていた誇りすらも洗い流してしまう。そんな彼女に向かって野盗の一人が手を伸ばし―――
「―――吹っ飛べ」
突如として襲ってきた雷に吹っ飛ばされてしまう。野盗たちが一斉にそちらを振り向く。そこにいたのは―――
「まったく…大の男が女一人に寄ってたかって…情けねぇ」
金色の短髪に筋肉質で大柄な肉体、上着を無造作に肩にかけ、全身から帯電しているかのようにバチバチと電気を放出している男――
元“
Rosenkreuzstilette、通称RKSシリーズは、同人サークル[erka:es]様から発売されている同人ACTゲームです。現在は無印とその続編にあたるRosenkreuzstilette Freudenstachelが発売されています
ゲームシステムは一言でいえば“ロックマン”ですが単なる劣化コピーでは終わらず、シリーズでもおなじみの仕掛けを生かした独自のギミックは非常に完成度が高く、本家シリーズと比べてもまるで遜色ありません。
元サークル様がネタゲーとは言いながらもシナリオはなかなかシリアスで、とても読み応えのある一品に仕上がっています。
同人ゲームらしくパロディネタも非常に豊富。ロックマンシリーズのみならず悪魔城シリーズを中心に様々なレトロゲーネタが取り入れられ、作者のレトロゲーに対する深い知識と愛情が感じられます。
ゲーム難易度はロックマンシリーズとしてはかなり高めですが理不尽な難易度ではなく、E缶を貯めてのごり押しも可能なのでACTが苦手な人も安心です。
お値段はどちらも2000円ほどですが、その倍の値段を出しても惜しくないと思えるほどの素晴らしい出来栄えのゲームです。この手のゲームに興味があるなら是非とも検索してみてくださいね。