とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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更新おくれてもうしわけありません…


旧友と洗脳と未来(後編)

空中を何度も旋回し、翼が飛行機雲を描きつつアーチェリーサジタリウスゾディアーツの炎の矢『アポストロス』を避けていくオーズ。

 

「はあ!」

 

タジャスピナーから打ち出されたメダルが、アポストロスを撃ち落とし左腕に握ったメダジャリバーを振り下ろすオーズ。そこから一度距離を取り、もう一度メダジャリバーを振り下ろすために接近するヒット&アウェー戦法でアーチェリーサジタリウスゾディアーツの攻撃を避けつつ、攻撃を仕掛けるが、それをあざ笑うかのようにアーチェリーサジタリウスゾディアーツは紙一重で避けていく。激しくぶつかり合う両者だが、意外にも両者に大きいダメージはない。

 

「(や、やっぱり相園さんの言っていた通り…あいつの能力は恐ろしいものだわ)」

 

あまりダメージのないオーズ=御坂だが、内心はアーチェリーサジタリウスゾディアーツ=藤岡を恐れていた。こちらのメダジャリバーの軌道は完全に読まれているのに対して、敵のアポストロスを何とか避け、撃ち落としているに過ぎないオーズ。戦況は均衡しているように見えるが、水面下ではアーチェリーサジタリウスゾディアーツの圧倒的有利な状況だった。

 

「そろそろ退屈になってきたな…」

 

そういうと背中の長弓を左腕に持ち、右腕に巨大なコズミックエナジーの矢を出現させ、弓に矢をつがえるアーチェリーサジタリウスゾディアーツ。それを脅威と感じたオーズは上昇して距離をとる。

 

「無駄だよ…は!」

 

巨大な弓がオーズに向けて放たれた。オーズは旋回して避けようとするが、矢はそんなオーズを追いかけるように軌道を変える。

 

「く、ホーミング能力があるわけ!?」

 

オーズは高度を一気に上げるが矢はオーズを追いかける。今度は急降下し地面すれすれまでいくが、それでも矢はついてくる。

 

「そうくるなら…」

 

再びオーズは上昇しビルの屋上を超えたところで反転し、矢へと突っ込む。

 

[ギガスキャン!]

 

セルメダルを装填したタジャスピナーを前に突き出し、『セルブレイズ』を矢に向けて放った。セルブレイズは矢にぶつかり、小規模の爆発とともに両方が相殺された。

 

「どうよ!」

 

オーズが空中で静止し、ガッツポーズをする…しかし、

 

「ぐあ!?」

 

突如、背中に強い痛みを受けてビルの屋上へと墜落するオーズ。屋上に叩きつけられたオーズは悶絶しつつ、なんとか自分に何が起こったのかを推測し始めた。おそらくオーズが矢を撃墜するために上昇した瞬間、アーチェリーサジタリウスゾディアーツは再び矢を放ち、矢はオーズの背中を撃ち抜いたのだとオーズは推測した。もちろんそれは簡単にできることではない…たとえ、矢にホーミング機能があったとしても着弾前にオーズがそれに気づけば撃墜できてしまう。つまりアーチェリーサジタリウスゾディアーツは御坂の性格やオーズの能力等を読み切って彼女を撃ち抜いたことになる。

 

「あ、あんたの能力なら私があの位置に行くことが…完璧に読めてたわけね」

 

「俺の見たあんたも同じような反応をしていたよ」

 

「でも、あんたももうすぐポンコツになるわ…あと、10分でね!」

 

そういうと言うとオーズは立ち上がり再びタジャスピナーからメダルを射出し、攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

「ハイブリットマグナム!」

 

ジャンプしながらハイブリットマグナムでヴァルゴゾディアーツを攻撃するデカイエロー。これをヴァルゴゾディアーツは転移してさけ、逆にロディアを振る。しかしこれをデカイエローはテレポートで避けて、ヴァルゴゾディアーツの背後に周り、持ち替えたディースティックを振り下ろす。しかしこれもヴァルゴゾディアーツは避け…というように二人の戦いは完全ないたちごっこに陥っていた。

 

「はあ、はあ、やはり同じ系統の能力者が相手なのはやっかいですの…」

 

「ほお、私の能力をご存じなんですか?」

 

「『有馬 瞬』その能力はレベル4『軸線移動〈アクシス・ワープ〉』…X軸、Y軸、Z軸のどれかに限定したいわば直線のみのテレポート…しかしその移動距離は空間移動系能力者のなかでも屈指のものであり、どんなところからでも学園都市の外へと脱出したり、空を飛ぶ飛行機のなかにさえ転移することもできる実力者と聞きましたの」

 

「利便性のまるでない能力ですよ…貴方たちのような才能がないんです。私にはね!」

 

ロディアをデカイエローへと振り下ろすヴァルゴゾディアーツ。しかしそれをオオカミの鍔を持つ剣で受け止めるデカイエロー。

 

「ディーソード・ベガ!」

 

鍔のオオカミの口をふさいでいた鎖がちぎれ、刃が光り輝く。デカマスターの武器『ディーソード・ベガ』の一閃がヴァルゴゾディアーツの翼を切り裂き、羽が何枚か散る。

 

「自分に才能がないと思うからあんな外道についていきますの?」

 

「あなたのような温室育ちにはわかりませんよ!藤岡さんのカリスマ性が!」

 

ロディアでデカイエローを薙ぎ払い、何度も殴りつけるヴァルゴゾディアーツ。デカイエローはそれをディーソード・ベガで何とか受け止めるが、激しい攻撃に膝を折る。

 

「能力が全ての長天上機においてはいくらレベル4であっても能力的に劣っていると判断されれば弾圧される。それから逃れるためには強いカリスマ性をもつ人に従い、守ってもらうしかないんですよ!あなただってそうでしょう!レベル5につきしたがっているではないですか!」

 

「人をひきつけるのは力なんかじゃありませんの!お姉さまが人をひきつけさせるのはその人望と暖かさですの!」

 

そう叫び、ディーソードベガを残してデカイエローは姿を消す。打ち付けようとしたロディアは壁に突き刺さる。動けなくなったヴァルゴゾディアーツの背後にデカイエローが転移し、左腕にブレスロットルを装備し、スロットルをひねる。

 

「剛力拳パワーフィスト!」

 

「ぐお!!」

 

左拳がヴァルゴゾディアーツの腹にめり込み、壁に叩きつける。さらに地面に落ちていたディーソードベガを拾った。デカイエローがヴァルゴゾディアーツを追撃し、そのロディアをへし折った。

 

「はあ、はあ、はあ…ど、どうですの!あなたのような人に私は負けられないんですの…」

 

戦いの疲れから肩で息をし、ディーソードベガの切っ先を地面につけるデカイエロー。一方、ヴァルゴゾディアーツは顔を伏せつつ、ゆっくりとデカイエローの前に立ちはだかった。

 

「…ふふ…ふふふふふふふふふふふふふふふふ」

 

「頭でも打ちましたの?」

 

あきらかにヴァルゴゾディアーツの様子がおかしい。デカイエローも警戒し、ディーソードベガを向ける。

 

「ふふふふ…なめるなよ、お嬢様風情が!」

 

[Dark]

 

口調が荒々しくなったヴァルゴゾディアーツは黒いガイアメモリを取り出し、自身の体へと差し込む。すると体がどんどん黒く染まり、『ダークヴァルゴゾディアーツ』へと変化する。

 

「はあ!」

 

「ぐあ!?」

 

ダークヴァルゴゾディアーツの右腕から黒い光弾が発射され、それをまともに受けたデカイエローは吹き飛ばされ、屋上から落ちて地面へと落下する。

 

「く!」

 

屋上に転移して戻るのが不可能だと考えたデカイエローは転移して地面に降り立つ。すると今まで戦っていたビルの玄関が吹き飛び、中からダークヴァルゴゾディアーツが現れた。突然の爆発に周囲の人々が逃げ惑う。

 

「小娘!俺をおこらせたな!」

 

「貴方がほかの人に弾圧されていたのは、能力よりもその性格じゃないですの?」

 

「藤岡や駿河の隠し玉はこれひとつだが…俺の隠し玉はもう一つあるんだ!」

 

そういうと懐からあるものを取り出すダークヴァルゴゾディアーツ。それを見たデカイエローは驚愕した。

 

「そ、それは!?」

 

「てめえには死んでもらう!」

 

 

 

 

 

[トリプルスキャニングチャージ!]

 

「セイヤー!」

 

「おっと」

 

オーズ・タジャドルコンボのオーズバッシュを軽やかな動きで避けるアーチェリーサジタリウスゾディアーツ。さらなるメダジャリバーの追撃を持っていた長弓で防ぎ、逆にけりでオーズは蹴り飛ばされてしまう。

 

「う…」

 

「どうしたんだよ、第三位?あれからそろそろ十分たつぜ」

 

「そうね、そろそろ勝負を決めましょうか…」

 

ゆっくりと立ち上がりながらオーズは緑色のメダルを三枚取り出し、ベルトにセットする。実はこの時に宣言した10分がちょうど経っていたことをオーズは別のビルの時計を見て知っていた。

 

「戦闘開始から一時間、どこから見てたか知らないけど…もうあんたの能力は力を無くしたわ」

 

「…ほお」

 

オーズの言葉にアーチェリーサジタリウスゾディアーツは静かに答えた。その言葉に焦りなどは感じさせないが、どことなくこれまでの余裕がなくなっているようにも感じさせる。オーズ=御坂はマスクの下で少しに笑うとオースキャナーでメダルをスキャンする。

 

[クワガタ!カマキリ!バッタ!ガッタ、ガタガタキリバ!ガタキリバ!]

 

オーズの姿がタジャドルからガタキリバコンボへと変身する。その姿を見たアーチェリーサジタリウスゾディアーツはわずかに驚いているようにみえる。

 

「どうしたの?さっきはまるで見たようにタジャドルのことをぺらぺら語ってたくせに今度は一転して黙り込んじゃって」

 

「…」

 

「あんたはタジャドルがオーズ最強のコンボだって言ったけど、それはすこし違うわ。確かにタジャドルは強力なコンボだけど状況によっては別のコンボのほうが強い場合もある…だけどこのガタキリバコンボはいかなる状況でもはっきりと強いといえるコンボなのよ」

 

「戯言だな。あんたの戦いについては少なからず調べたが、その緑色が活躍した例はほとんどないぜ」

 

確かにオーズはガタキリバコンボをグランドドーパント戦以来ほとんど使っていない。しかしそれを指摘されてもオーズは強気だった。

 

「そうよ。確かに私はこのコンボをあまり使ってこなかった。でもそれはこのコンボが強力すぎたからこそ、自分の切り札にしたかったからよ」

 

「へえ…」

 

「本気にしてないみたいね、でもこれを見たらわかるわよ!」

 

オーズのカマキリソードの斬撃がアーチェリーサジタリウスゾディアーツを襲う。先ほどまで華麗に攻撃をさばいていたアーチェリーサジタリウスゾディアーツだが、今度は一転して動きにキレがなくなんとかさばいているように見える。

 

「どうしたのよ?動きが悪いみたいね!」

 

「く!」

 

「はああ!」

 

竜巻のように回転し、カマキリソードでアーチェリーサジタリウスゾディアーツを攻め立てるオーズ。激しい攻撃の前にアーチェリーサジタリウスゾディアーツは弓を弾かれ、体に無数の傷を受ける。

 

「これでとどめよ!」

 

カマキリソードでアーチェリーサジタリウスゾディアーツの体を下から跳ね上げ、空中へと飛ばしクワガタヘッドからの電撃を撃ち込むオーズ。

 

「ぐおおお!」

 

御坂の能力による相乗効果で強化された雷撃がアーチェリーサジタリウスゾディアーツを撃ち抜き、撃ち抜かれたアーチェリーサジタリウスゾディアーツは屋上に落下した。

 

「く…効いたぜ」

 

「あんたの野望も一日経たずにつぶさせてもらうわ!」

 

オーズはメダジャリバーを構え、立ち上がろうとするアーチェリーサジタリウスゾディアーツへと振り下ろした。しかし…

 

「な、なに!?」

 

メダジャリバーに青いムチが絡みつき、その動きを完全に止めていた。さらにオーズの背中を高圧水流が襲い、オーズは壁へと吹き飛ばされた。なんとか立ち上がったオーズが周囲を見ると、そこにはアーチェリーサジタリウスゾディアーツの他に七体のクロークを纏った怪人が立っていた。

 

「な、七体の怪人…」

 

「どりゃあ!」

 

オーズがつぶやくのと同時に一体の牛のような怪人がクロークを脱ぎ捨て、オーズに向けてタックルを仕掛けた。これをオーズは跳躍して躱すが、今度はサソリのような怪人が立ちふさがる。サソリ怪人のパンチやキックを何とかいなすオーズだが、背後からヤギ型の怪人の鳴らすギターから放たれた音波を喰らい吹き飛ばされてしまう。そして倒れたオーズの両腕を羊型の怪人と蟹型の怪人がつかみ無理やり立たせた。

 

「ずいぶんと卑怯な真似をするじゃない」

 

「どんなことをしてでも邪魔者を消すのが俺の流儀でね」

 

「そうやって、長天上機でもやってたからあんなに強力な能力をもっていても退学になるのよ」

 

「そうかもな、ところでだれが俺の能力をぺらぺらしゃべったのかな?そいつも計画の邪魔になるかもしれないから消しておきたいんだ」

 

「教えると思う?」

 

埒が明かないと感じたアーチェリーサジタリウスゾディアーツは傍らの女性型怪人からムチを奪い、それでオーズを思い切り叩いた。

 

「ぐう…」

 

「言わなければ死ぬことになるんだ」

 

「死ぬ?上等じゃない殺してみなさいよ!」

 

何度もムチを振るわれるが、オーズは決して折れない。

 

「それだけかしら?あんたの能力で見た私はあんたの能力をしゃべったのが誰か口を割ったかしら?」

 

「…」

 

「あんたの能力『未来予知〈フューチャービジョン〉』で私の未来を見ればいいじゃない!わたしは何年たとうと口は割らないわ!」

 

「!」

 

オーズの言葉にアーチェリーサジタリウスゾディアーツが明らかに狼狽した。

 

「書庫のデータは改竄されているはずだが…」

 

「そりゃあ、そうよね。こんなに使い勝手のいい能力は学校で飼い殺しにしておきたいと思うはずだわ!対象の場所・物・人物の最大24時間後の未来を最長1時間の長さで完璧に予知できる能力なんですものね!」

 

相園はかつては暗部におり、なおかつハッキングのスペシャリストでもあった。彼女は自身の計画に邪魔になりそうな人間をリストアップしたときに藤岡のことを事細かに調べていたのだ。だからこそここまで正確に能力の情報を御坂はしることができた。

 

「な、なんでお前は…」

 

リーダーであるアーチェリーサジタリウスゾディアーツの焦りがその場にいた部下の怪人にもわずかに伝染するのをオーズは見逃さなかった。腕をとる二体の怪人を払い、蹴り飛ばすと一瞬で臨戦態勢をとるオーズ。

 

「さあ、全員まとめてかかってきなさい!」

 

「殺せ!やつを殺せ!」

 

アーチェリーサジタリウスゾディアーツの命令を受けて、七体の怪人がオーズを取り囲む。

 

「(こうなったら、奥の手を使わざるおえないわね…)」

 

七体の怪人に対抗するためオーズは分身能力を使おうとした、その時…

 

[Kamen ride Ryuki Kuuga Femme]

 

電子音とともに龍騎、クウガ・ペガサスフォーム、そして女性仮面ライダー『ファム』がオーズの前に現れ、怪人へと突っ込んでいく。

 

「しゃあ!」

 

ドラグセイバーを構え、ヤギ型怪人と蟹型怪人と戦う龍騎。

 

「おりゃあ!」

 

ペガサスボウガンを用いて、牛型怪人と魚型怪人、ヤギ型怪人を撃ち抜くクウガ。

 

「はあ!」

 

女ライダーファムもまた、細い剣で女性型怪人とサソリ型怪人を薙ぎ払っていく。三体の乱入はオーズの脱出によってできた混乱を明らかに悪化させていた。

 

「ちっ!お前ら!一時撤退だ!」

 

この状況を悪く見たアーチェリーサジタリウスゾディアーツは撤退を指示し、七体の怪人とともに屋上から飛び降りて姿を消した。

 

「…一体何が」

 

困惑するオーズ。そんな彼女をよそに三体のライダーは突然姿を消した。そして彼女の背後には謎の人影があった。

 

「あんた、何者!」

 

振り向かずに叫ぶオーズ。クワガタヘッドの驚異的な視野の前には背後にいようと関係はない。戦闘中ならまだしも何もない状況なら後ろをとられることはない。

 

「へえ、なかなかの探知力ねえ」

 

女性の声にオーズが振り返ると、そこにはシアンカラーの仮面ライダー、『ディエンド』の姿があった。

 

「仮面…ライダー?」

 

「この姿の名前はディエンド…そしてその正体はぁ」

 

ゆっくりと銃のようなものからカード抜き取るディエンド。するとマスクとスーツが消え、その中から金髪の少女が現れた。

 

「あんたは…食蜂操祈!?」

 

同じ常盤台のレベル5である食蜂が仮面ライダーだったことに少なからずショックを受けつつ変身を解除する御坂。そんな御坂をよそに食蜂は銃型の武器を鞄にしまい。代わりにヘアゴムで束ねた十本のレンジャーキーを御坂へと投げつけた。それを慌ててキャッチする御坂。

 

「これって…」

 

「佐天さんだっけ?あの子から勝手に借りたのよぉ。返しておいて」

 

しっかりと状況がつかねていないがとりあえず御坂はレンジャーキーを懐にしまい、そして一つの疑問を口にした。

 

「なぜ私を助けてくれたのよ。助ける理由なんてないでしょう?」

 

「うーん、一つはあなたのお友達に今回の件で借りがあったこと、もうひとつは…」

 

そこで突如食蜂は真剣な顔になった。

 

「あいつらが少なからず気に食わなかったからかしら」

 

「どういうこと?あんたにとって、あいつらの考え方はマイナスにはならないんじゃないの?」

 

「確かにそうだけど、あの藤岡にはカリスマ力がないし…」

 

食蜂は御坂に背中を向ける。まるで自分の顔を隠すようだった。

 

「あいつは私やあなた…そしてあなたのお友達が知るこの街の闇を知らない。そんなやつにこの街は変えられないわ」

 

謎の言葉を残し、食蜂は下へと続くドアへと消えていった。あとに残された御坂はため息をつきつつ、空を見上げる。そしてこういった。

 

「あんなやつに力与えるなんて…はあ。よほどの変人みたいね…」

 

 

 

 

 

 

 

同じころ、デカイエローは怪人との戦闘の余波で路地裏へと吹き飛ばされ、ビルの壁に叩きつけられていた。

 

「う…」

 

「はあ、はあ、私としたことが少し取り乱しましたね」

 

ダークヴァルゴゾディアーツが倒れるデカイエローの前に立ちふさがった。そして掌をデカイエローに向ける。

 

「これで終わりです!」

 

ダークヴァルゴゾディアーツの掌から光弾が発射される…その時…

 

「はあ!」

 

赤い長剣がデカイエローとダークヴァルゴゾディアーツの前を通り、ビルの壁に突き刺さった。驚いた二人が剣が投げられた方向を見るとそこには仮面ライダーアギト・フレイムフォームの姿があった。

 

「あ、あなたは…」

 

「フューチャーにはすくなからず借りがあるのでね…私は全力であなたたちをつぶすわ」

 

「ふ…空間移動系能力者を二人も相手にできるほど、私にも余裕はありませんからね。引かせてもらいます」

 

そういうと竜巻とともにダークヴァルゴゾディアーツは姿を消した。アギトは壁に突き刺さるフレイムセイバーを引き抜き、その場を去ろうとする。

 

「待ってくださいの!」

 

ディーマグナムを向けつつ、叫ぶデカイエロー。

 

「待ってというには少し乱暴ね」

 

「なぜあなたがここにいますの…そしてなぜ私を助けますの?」

 

デカイエロー=白井黒子は優秀なジャッジメントである。彼女の頭には多くの被疑者のデータが入っており、一度戦った相手の声を忘れることはほとんどない。アギトは肩をすくめつつ、光と共に変身を解いた。

 

「なによ。命の恩人に銃を向けるわけ?」

 

「その前に私を殺そうとしたあなたに言われたくありませんの」

 

ふりかえる結標の言葉に黒子は変身を解きつついった。二人の間には重い空気が流れる。

 

「べつにあなたを助けたわけじゃないわ。あいつらには少なからず恨みがあったから邪魔しただけよ」

 

「…あなたがこんな正義の味方のような真似をするとは…」

 

「だれだって変わるものよ…心境の変化ってやつかしら。あなたのおかげかもね」

 

そういって薄く笑う結標。それを見た黒子はあいわらずきつい表情を続ける。

 

「あなたたちもあの組織を探っているなら、そのうちまた会う時がくる…そんな気がするわ」

 

「願いさげですの」

 

黒子の返答を聞くと結標は能力でその場から消えた。残された黒子はビルに背中を預けつつ、ため息をついた。

 

「はあ、あの人に力を与えるとは…よほどのお人よしですの…」

 

こうして御坂と黒子はフューチャーの猛攻を退けることに成功した。

しかし強大なフューチャーという組織の前に二人や佐天たちの不安は増すばかりだった…

 

 

 

 

「パムー…コスモス、メビウス…ダイナのともだち…ダイナ…アスカ、言ってた…ほかのウルトラマンにつたえろって」

 

そんな黒子を物影から小さな影が見つめていた。

 

 

続く

 




御「なんか私だけきつい戦いだったんだけど…」

黒「なんで佐天さんたちは助けに来てくれませんの?」

佐「御坂さんたちが連絡する余裕がなかったんですよ」

初「今回はゲーム版キャラや約一年ぶりのガタキリバの登場など注目どころも多かったですね」

御「今回登場したアーチェリーメモリやダークメモリは王我さんが考案してくれたものよ」

黒「それにしても、食蜂さんや布束さんを今更出すとは…」

初「旬を過ぎてますよね…」

佐「二人ともそういうメタな話は…」




御「感想欄で藤岡の能力について予想されてたわね。能力コピーやサトリ能力とかいろんな予想がたってたわね」

黒「実際は結構地味な能力ですの」

初「原作8巻で私が白井さんに冗談で言っていた能力ですね」

佐「下で詳しく補完しておきますね」


『未来予知〈フューチャービジョン〉』

藤岡虎斬の使用するレベル4能力。
対象の場所・物・人物の最大24時間後の未来を最長1時間の長さで完璧に予知できる能力。
しかもどんなに長い予知でも実際の体感時間は数秒に過ぎない。
デメリットとしては同じ対象の未来を連続で見ることはできず、12時間のインターバルが必要になることと連続の能力使用には1時間のインターバルが必要である。
もっとも重要なのはこの能力が幻想殺しによって無効化することはできないという点である。

御「確かに幻想殺しで無効化するのは無理かもしれないわね」

佐「でも念話能力とかは無効化してましたよね…」

初「実際どうなんですかね」

黒「無効化できるでいいような気もしますの」




御「この後書きもなかなか企画が安定しない…そこで」

佐「今回はちょっとしたクイズを出したいと思います」

初「今回、ディエンドが召喚した三人のライダー・・・実はある共通点があります。それを考えてみてくださいね」

黒「ヒントは二つ、一つは戦った敵、もう一つは超獣戦隊ライブマンの『スーパーライブロボ』ですの」

御「正解は次の後書きで!みなさん考えてみてね!」



次回予告

フューチャーの考えに賛同し、怪人となる高位能力者たち。
怪人たちの魔の手が力なきものたちを襲う!


『連戦』

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