とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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ヒーローオールスターズとともに怪人オールスターズも目指します。


灼熱

円卓の会議場に何人かの人影があった。普通に見れば何かの会社の会議の様に見えるかもしれないが、集まっている顔ぶれはとても人間とは思えない化け物たちだった。一人が口を開く。

 

「どうやら、あなたの作戦は失敗したようだなアクドス・ギル殿…」

 

顔が赤色の覆面で顔を隠した人物、かつて首領と呼ばれ、多くの組織を影で操った男(?)である。

 

「首領殿、あれは失敗ではない。奴には負ける様にわざと弱点をつけたのだよ」

 

彼はアクドス・ギル。かつて地球を征服しようとしたが、とある海賊に妨害され、死んだはずの男だった。

 

「ほう…」

 

次に口を開いたのは、マントをつけた、悪の戦士カイザーべリアルだった。

 

「そうだな、ダマラス!」

 

「はい、閣下」

 

ダマラスと呼ばれた男はアクドス・ギルの後ろから現れる。

 

「あの世界で数々の驚異を排除してきた人間たち。彼らはさほど我らの驚異になるとは思えませんでした。しかし彼らはあの力をてに入れてしまった」

 

「まさかやつらがここまで追いかけてくるとは…しつこいやつらだ」

 

「なるほど、奴等の能力を調べるための捨て駒というわけか」

 

「はい、奴の兄はなかなかの男でしたが…あいつはそこまでの実力を持たないため、奴のクリスタルに細工をしました」

 

「なるほど、だがこの幻想殺し。かなり厄介な力だな…」

 

「して、次の作戦は?」

 

「私に任せて貰おう…」

 

 

 

 

仮面を被った男、アポロガイストが口を開く。

 

「まずは奴等の生命線を叩く、グロンギを数体お借りしたい」

 

だれも知らない間に学園都市に魔の手が迫っていた。

浜面仕上は第7学区の公園のベンチに座っていた。その浜面に声を掛ける人影があった。

 

「ちょっと、浜面!こんなところで超なにしてんですか?」

 

絹旗最愛は浜面の隣に座る。その手には見慣れないグローブが装着されていた。

 

「それが例の?」

 

「そうですよ。超かっこいいでしょ!」

 

絹旗はグローブを見せびらかす。浜面は最初の襲撃のあった日を思い出していた。

 

 

浜面が変身を解除し、いつものファミレスの近くに行くと、近くの路地で爆発音が鳴り響いた。行ってみるとそこには数体の怪人とそれと戦う三人の戦士がいた。その三人は浜面のよく知る人物だった。彼らの力は浜面の貰った力より遥かに強力だった。彼女たちの戦いを見て浜面はあることを思っていた。

 

「ちょっと、浜面!超聞いてるんですか?」

 

「ああ、悪い…」

 

「まったく…そんなことじゃ滝壺さんを超守れませんよ…」

 

「滝壺も大丈夫だろ。あんな力貰ったんだし…」

 

「それは…超そうですけど…」

 

このところ絹旗はやけに滝壺を心配している。

 

「それはそうとこれから滝壺さんと超デートなんでしょ、超変なことしないでくたさいよ」

 

「しないよ…」

 

浜面はそう言うと、立ち上がり歩きだした。その後ろ姿を見ながら、絹旗は呟く。

 

「頼みますよ…浜面…」

 

 

 

浜面は自分が貰った力のことは三人に隠していた。この間の戦いで他のメンバーが貰った力は凄かった。それに比べ浜面の力は多少格闘能力が上がった程度…、姿を変えたり、たくさんの武器を出すことも出来ない…。誰も守れない力ならないほうがいい…、彼はそう考えたのだ。

 

デートと言っても大したものではなかった。この間、晴れて免許を取った浜面がレンタカーを借りて、色んな所を走るだけのものだった。

 

「浜面、なんか元気ないね」

 

「えっ?いや…別に」

 

浜面は助手席に乗っている滝壺を一瞬見る。浜面はなんとか話題を変えようとする。

 

「!そういえば滝壺。そのポーチ何が入ってるんだ?お前がそんなの持ち歩くなんて珍しいな」

 

「えっ?こ、これ…いや何でもないよ…」

 

「ああ…そうか」

 

浜面自信、滝壺に要らぬ心配をかけたくないのだが、どうしても表情に出てしまうようだった。やがて目的地である病院の前に着いた。

 

「ごめんね…こんなところで降ろして貰っちゃって…」

「謝ることじゃねぇよ。検査何時に終わるんだ?なんなら迎えにこようか?」

 

「今日は夜まであるからいいよ」

 

「そうか、じゃあ待たな」

 

「うん、待たね」

 

浜面は車を発進させる。レンタカーショップの近くで浜面は助手席にあるものを見つけた。それは滝壺がつけていたポーチだった。中身を見ようか迷ったが、滝壺が隠したのは何か理由があるのだろうと見るのはやめにした。レンタカーを返し、浜面は第7学区をただぶらぶらと歩いていた。

 

「何で、他のやつみたいに俺の力は強くないんだろ…」

 

浜面は一人言をいい始めた。

 

「パンチやキックも強くない…武器も出せない…姿も変えられない…。へっ、ないない尽くしもいいところじゃないか…。こんなんで滝壺を守れるわけ…」ドーン!!

 

「!?」

 

突然の爆発音に浜面は驚く、見ると結構な数の怪人が周りの人を襲っていた。 怪人は黒いベレー帽に覆面、ゴーグルにマントとゆう出で立ちであった。浜面は物陰に隠れ、腰に両手をかざす。すると、浜面の腰に中央の宝石がオレンジ色のベルト、アークルが現れる。

 

「変身!!」

 

浜面が変身ポーズを取ると、浜面の体がアーマーに覆われ、白いボディの戦士、クウガグローイングフォームが現れる。

 

「うぉぉ!!」

 

クウガは怪人に向かっていく。一体の怪人にパンチを打ち込むと簡単に吹き飛んだ。どうやらこの間の怪人ほどパワーはないようだ。しかしあまりにも数が多く、五体ほど倒すも囲まれリンチにあってしまう。

 

「クッソ、こんなやつらにも勝てないのかよ…」

 

[Launcher radar On]

 

[Attackride Brast]

 

電子音と共に発射された、ミサイルと弾丸で40はいた怪人が根こそぎ吹っ飛ばされた。クウガが立ち上がり周りを見るとフォーゼとディケイドが立っていた。

 

「大丈夫か?」

 

「たくよォ、こっちも暇じゃねェンだよ。このぐらいテメェで倒せ、三下ァ」

 

二人の言葉は対照的だったが今の浜面には同じくらいこたえた。

 

「(情けねえ…何でこいつらはこんなに強いのに…)悪かったな…ありがとよ助けてくれて…」

 

クウガはとぼとぼと歩いてその場を去っていった。

 

「おい、ちょっとオメェに…」

 

ディケイドが何か言ったがクウガには届かなかった。

 

「どうかしたのか?」

 

「いや、大したことじゃねェンだが…」

 

フォーゼとディケイドもその場を去った。

 

浜面は公園のベンチで横になっていた。目はうつろで空だけを見ている。

 

「(そりゃあ、俺は世間的にいい人って訳じゃない…悪いこともしたし、逮捕されたこともある…レベルだって0だ…でもよ…)」

 

浜面は歯軋りをして、

 

 

「(ならなんで同じレベル0に、同じ悪党にあんな力が宿るんだよ…どうして俺には…)」

 

浜面はふと横を見た。絹旗が凄い勢いで走っているのに気付いた。

 

「どうした?絹旗」

 

「浜面!?超なにやってんですか!」

 

「何って…別に、お前こそなにやってんの?」

 

「とにかく超来てください!」

 

「えっ?どこいくんだ?」

 

「超知らないんですか?」

 

絹旗は一呼吸おいてとんでもないこと言った。

 

「病院が…襲われてます…」

 

 

 

 

浜面が病院に着いたのはそれから十分後のことだった。病院の前は人だかりが出来ており、警備員がそれを押さえていた。病院からは煙が上がり、中から銃声が聞こえていた。人だかりの中に麦野の姿があった。

 

「麦野!」

 

「絹旗、浜面…」

 

「滝壺は?」

 

麦野は首を振る。

 

「わからない…。携帯も繋がらない…」

 

「大丈夫…だよな…だって滝壺にはあんな凄い…」

 

「浜面…そのポーチは…」

 

絹旗が浜面のつけていたポーチに気付いた。浜面が答える前に絹旗がポーチをひったくり、口を開けた。そこにあったのは…

 

 

 

大量のお菓子だった。浜面と麦野は不思議そうな顔をするが、絹旗の顔はどんどん青ざめていった。

 

「どうした?絹旗」

 

「浜面…これって超滝壺さんの…」

 

「ああそうだけど…」

 

「超大変です!」

 

と言うと絹旗は人だかりをかき分け中に入ろうとする。若干能力も使っているようだった。麦野は絹旗を掴む。

 

「なにやってんの!?絹旗」

 

「離して下さい!滝壺さんが…滝壺さんが…」

 

絹旗は麦野の手を払い言った。

 

「滝壺さんが死んじゃいます!」

 

「「!?」」

 

二人は驚きながらも絹旗を連れて人通りの少ない路地に入った。

 

「どういうことよ絹旗!滝壺が死ぬって!」

 

「麦野…浜面…滝壺さんの力のことは当然超知ってますよね…」

 

「ああ…」

 

浜面は滝壺が変身した、黄色の戦士を思い浮かべた。

 

「滝壺さん、最初の戦いのあと二人と別れて直ぐに突然倒れたんです…」

 

「えっ!?」

 

「それで私、超救急車を呼ぼうとしたら、滝壺さんが『なんでもいいからお菓子持ってきて』て言うんです。私がお菓子を持ってきたら滝壺さんが持ってきたお菓子を食べ始めて。そしたら超元気になって…」

 

浜面と麦野は絹旗の話を黙って聞いていた。

 

「それでひとごごちついたら滝壺さん超言ったんです。『この力のせいでエネルギーが切れると私動けなくなっちゃうみたい』だって」

「それじゃあ…」

 

「このままだと滝壺さん、超動けなくなっちゃいます…」

 

「大体どのくらいでエネルギー切れになるんだ?」

 

「じっとしてればそんなに補給しなくても超いいそうですけど…」

 

浜面は思い返した。そもそも何故滝壺はこんなデートを言い出したのか、ただ学園都市を車で一周するだけのデートを…。浜面が免許を取ったから?いやそれは建前だ。本当はあまり動かない様にするためだったのだろう。しかし、ここで浜面にはひとつの疑問が生まれた。

 

「俺の前で菓子なんか食べてなかったぞ、あいつ」

 

「滝壺さん、超気にしてたんです。私がバクバクお菓子食べてるところ浜面には見せたくないって。だから今まで黙ってたんです…」

 

浜面は困惑していた。自分のせいで滝壺が危険にさらされていることに。今までの浜面ならどんなに危険でも滝壺の元へ行っただろう。しかし…

 

「わかった…。俺が警備員を引き付けるから、お前らで滝壺を…」

 

最後まで言おうとして麦野に首もとを掴まれ、壁に叩きつけられた。浜面は背中に痛みを感じながらも麦野の顔を見る。麦野の顔は驚くほど無表情だった。

 

「テメェ…それでも浜面か?」

 

「はぁ?」

 

「それでも浜面かってきいてんだよ!」

 

麦野は襟首を掴み、浜面を壁に押し付ける。

 

「私の知ってる浜面は馬鹿で、ぶさいくで、向こう見ずで…それでも自分の仲間見捨てるようなやつじゃない…」

 

「見捨ててなんかない!でも俺には力が…「もってんだろ」!?」

 

「私たち…知ってたんだよ…。お前も力を持ってるって」

 

「!?」

 

麦野は話はじめた。初めての戦いのときに滝壺がまだ力のコントロールに慣れておらず、凄い高さまでジャンプしてしまいその時偶然にもクウガからもとに戻る浜面を見てしまったのだと。

 

「お前がそんな力貰って私たちに言わないのはたぶんその力が大したことない力だったのかもしれないって滝壺に口止めされてたけど…」

麦野はそこで浜面を解放し、

 

「何で、こんなときにまで出し惜しみしてやがる?大したことない力でも滝壺を救うには必要な力だろ…」

 

 

「それは…」

 

「救いに行ってやれよ…お前の…大切な人なんだろう…」

 

麦野は顔を俯かせる。ひょっとしたら泣いていたのかもしれない。浜面が何か答えようとしたとき、2体の怪人が表れた。鯨型怪人メ・クジル・ギとカンガルー型怪人メ・ガルガ・ダの2体は彼らに威嚇を始めた。

 

「おい、浜面。こいつらは私たちに任せな」

 

「でも…」

 

「浜面は滝壺さんのところに超急いで行って下さい!」

 

「二人とも…」

 

浜面は顔を二人に向けた。その表情に迷いはなかった。

 

「頼む!!」

 

浜面は病院に向かい走っていった。二人は怪人に向き直る。

 

「さあって、こっちも…」

 

「超さっさと片付けますか!」

 

麦野は懐から変身ベルトファイズギアを取りだし装着する、さらに特殊な携帯ファイズフォンを取りだし開く。絹旗は変身アイテムゲキチェンジャーを装着した両手を前につき出す。麦野はファイズフォンに5・5・5と打ち込む。

 

[Standing by]

 

そしてファイズフォンを上に掲げる。

 

「変身!」

 

そう叫び、ファイズフォンをファイズドライバーにセットしする。すると彼女の体を何本もの赤色のフォトンブラットと呼ばれる光線が包み、一瞬強い閃光が走る。光が収まるとそこに銀色のアーマーと赤色のライン、黄色い複眼の戦士、仮面ライダーファイズが立っていた。

 

「たぎれ!獣の力!ビーストオン!」

 

そう叫び、絹旗はゲキチェンジャーを拳を鳴らす様に構える。すると、彼女の体が黄色いスーツに包まれ、チーターをモチーフにしたマスクが装着される。二人の変身が完了し、敵は後退りをする。

 

「日々是精進、心を磨く!オネストハート!ゲキイエロー!超行きますよ!」

 

「さぁ、お前ら。どこに穴を増やされたいのかしら!」

 

二人は敵に向かっていく。

 

上条は第7学区の鉄橋付近をマッシグラーにまたがり走行していた。当然だが彼は免許を持っていないのでバレれば大変なことになるが、そんなことは言ってられなかった。上条は病院にいるはずの御坂妹達が心配だった。上条はベルトを装着し、ポーズをとる。

 

[3・2・1]

 

「変身!!」

 

上条はフォーゼに変身し、マッシグラーのスピードを上げる。フォーゼは先程のディケイド=一方通行との会話を思い出していた。

 

『あいつの力、どォ思う?』

 

『あいつって浜面の?まぁ少し不便そうだなって…』

 

上条の言葉が終わる前に一方通行はライドブッカーから一枚のカードを取り出す。上条はそのカードを手に取りよくみる。そこには浜面の変身した姿によく似た戦士が写っていた。カードのしたの方にKuugaとも書かれている。

 

『浜面のに似てるけど…こいつは角が大きいし、体が赤い』

 

『そうだァ、俺の力は色々な仮面ライダーと呼ばれる戦士になること、一部の例外はあるが…つまりだァ…』

 

一方通行はここで言葉を一度止める。

 

『アイツの力はまだ完全じゃねェンだよ』

 

『えっ?でもあいつは自信なさげだけど、あのクウガの力は結構なもんだぜ…完全になったら…』

 

『結構な力だろうなァ。しかもだ…』

 

一方通行は更に三枚のカードを取り出す。上条はそれを見て驚くそこには…

 

『アイツは当たりを引いたかもなァ』

 

そこには青、緑、紫の姿のクウガが写っていた。

 

 

 

「浜面の奴…自信持てればいいけど…今度教えてやるか」

 

フォーゼは病院に向け急ぐ。

 

浜面は病院の近くであるものを探していた。それは違法駐車の車である。入り口は警備員が固めているため、入るためにはかなり大胆に行くしかない、そう考えたのだ。

 

「この辺は違法駐車に厳しいからいいやつはないか…うん?」

 

浜面はあるものに目を止めた。それはオフロードタイプのバイクだった。ヘルメットがハンドルに付いているうえに、キーも指したままだった。

 

「無用心なやつもいるもんだな、いいバイクなのに…あっ!このマークは…」

 

浜面がバイクを観察しているとハンドルの中央にクウガのカードの裏面にあったマークが描かれていた。

 

「これもあの力の1つってことか…ありがたく使わしてもらうぜ」

 

浜面は全体が青く塗装されたバイク、ビートチェイサー2000にまたがりヘルメットをかぶる。

 

 

病院の外にいた黄泉川愛穂は銃声の鳴りやんだのに気付いた。

 

「銃声が止んだ…。中の奴らは大丈夫なのかじゃん…」

 

自分も突入しようと装備を確認しようとしたとき遠くからバイクのエンジン音がするのが聞こえた。

 

「き、君、と、止まりなさい!」

 

横にいた同僚の鉄装 綴里が叫んでいるのが聞こえる。黄泉川もその方向を見ると、フルフェイスヘルメットをかぶった男がこちらにバイクで突っ込んでくる。

 

「やばい!鉄装!避けろじゃん!」

 

「えっ?ええ~!!」

 

鉄装は慌てて横に避ける。野次馬達もエンジン音でバイクに気付き、道を開ける。その道をもうスピードで突っ込んでいく青いバイク。バイクはそのまま病院の中へ入っていった。黄泉川はその後ろ姿を黙ってみていた。

 

「あれって…まさか…」

 

病院の廊下の壁際に滝壺は横たわっていた。どこかを怪我している訳ではない、彼女はこの力を手にいれてからというものある程度疲れるとお腹が減っているわけでもないのに甘いものを食べなければ動けなくなるということがままあった。いまもその状態に陥っていた。しかもお菓子をいれたポーチは車に忘れてしまった。廊下の先が明るくなってきた。どうやらどこからか出火したようだ。更にその方向から三体の怪人が迫っていた。 蜘蛛型怪人ズ・グムン・バ、バッタ型怪人ズ・バヅー・バ、サイ型怪人ズ・ザイン・ダの三体が滝壺に迫る。しかし滝壺は全く動じていなかった。死を覚悟している訳ではない。彼女には確信があった。

 

「(来てくれるよね…私の一番頼りになる人…浜面…)」

 

 

「ギブグギギ (死ぬがいい)」

 

ザインが拳を固め降り下ろそうとしたとき、浜面の乗ったビートチェイサーのウィリー走行しながらのタックルがザインを吹き飛ばす。

 

「バビ!(なに!)」

「バビン!(なんだ)」

 

 

浜面は残る2体をビートチェイサーをスピンさせて吹き飛ばす。浜面はヘルメットを外し、ビートチェイサーを降り、滝壺に近寄る。

「滝壺!大丈夫か?」

 

「来るの…遅いよ…」

 

「悪い…、そうだこれ!」

 

浜面はポーチから板チョコを取りだし渡す。滝壺はそれを受け取り食べ始める。

 

「中…見ちゃったんだ」

 

「何で隠してたんだよ!?言ってくれれば良かったのに…」

 

「あんまり良いことじゃないからね」

 

「バカ…気にしないよそんなこと…」

 

「ありがとう、浜面」

 

滝壺は立ち上がる。二人はしばし無言で見つめあうが、後ろから三体の怪人が立ち上がりこちらを睨む。

 

「バビロボ!(何者)」

 

怪人は今にも浜面たちを殺そうと襲ってきそうな状態だった。浜面は怪人の方を向く。その眼光はいつにもの何倍も鋭かった。

 

「滝壺、こいつらは俺に任せてくれないか?」

 

「大丈夫、一人で?」

 

「ああ!今なら大丈夫な気がするんだ!見ててくれよ、俺の変身!」

 

「分かった。じゃあ私は逃げ遅れた人がいないか探してくるよ」

 

二人は並んで立つ。浜面は手を腰に当て、アークルを出す。その宝石の色は灼熱に燃えたぎるような赤だった。「ゴセバ デスドン クウガ!(それはクウガのベルト)」

 

ザインが驚く。浜面はポーズを取り叫ぶ。

 

「変身!」

 

グムンが変身を止めようと突っ込んでくるが、浜面は逆にグムンの懐に入りパンチを打ち込む。すると、手がクウガの姿に変わる。 続いて蹴りをいれると足が変わる。攻撃したところが変わっていく、そして最後に顔がクウガのマスクに変わる。

 

「クウガ…」

 

グムンが呟く。そこにいたのは今までのクウガではなかった。

体は赤く、角は今までよりも長くなっている。クウガは自分の姿をまじまじと見る。

 

「これが…本当のクウガか!」

「グォォォ!!」

 

グムンは吠えながら突っ込んでくるが、クウガは右ストレートを喰らわせ、距離をとる。そして両手を広げ、腰を落とし、エネルギーを右足に集中する。そして助走をつけ、低空に飛び、蹴りをグムンに喰らわせる。

 

「ウガァ!」ドーン!

 

クウガの必殺技、マイティーキックを喰らい、グムンは爆発する。

クウガの戦いをしばらく見ていた滝壺は、彼の戦いぶりに安心したのか微笑み、腕に装着されたモーフィンブレスに手をかける。ダイヤルを回し、ボタンを押すとまるでブレスのグラスが展開される。

 

[It's Morphin' Time!]

 

「私も行かなきゃ、レッツ!モーフィン!」

 

滝壺の体に黄色いスーツが装着される。ブレスを顔の前に構え、ボタンを再度押す。すると、ヘルメットが現れグラスがヘルメットにはまる。変身が完了した滝壺=イエローバスターがクウガに叫ぶ。

 

「浜面!上の階を見てくる!」

 

「わかった!」

 

イエローバスターはそのまま階段を登っていった。一瞬、後ろを見たクウガにバヅーが迫る。バヅーのキックでクウガが倒れる。バヅーは軽やかにジャンプしながらクウガを挑発する。

 

「キョグギンジャンママ ズ・バヅー・バ ザ(脅威のジャンパー、ズ・バヅー・バだ)」

 

「すばしっこいな…だったら」

 

クウガは敵に近づく。バヅーの右ストレートを腕を掴み止め、左手も掴む。

 

「バンザクウガ?(なんだ?クウガ)」

 

バヅーは狼狽する。クウガは頭突きを叩き込む。バヅーに隙が出来たところで右足にエネルギーを貯めて、腕を掴んだまま蹴る。バヅーはクウガのエネルギーを受け、悶絶する。クウガはバヅーをそのままザインの方向に投げつける。バヅーが爆発し、ザインも煙で見えなくなる。

 

「やったか!」

 

しかし、煙が晴れるとそこには無傷のザインがいた。

 

「ちくしょお!喰らえ!」

 

クウガの右ストレートが顔面に直撃する。しかしザインはなにもなかったかのようにクウガを見る。

 

「マンヂ デデンパ ボググ スンジャ ソ(パンチってのはこうやってうつんだ)」

 

ザインはクウガの脇腹にパンチを打ち込む。

 

「グワッ!」

 

ザインはクウガをそのままビートチェイサーのところまで飛ばす。クウガは素早く立ち上がり。ビートチェイサーの 右グリップ、特殊警棒トライアクセラーを取り外し構える。

 

「こいつをまた使うなんてな…いくぜ!」

 

その頃、病院のエントランスには誰の人影もなかった。だが突然何もないところからフォーゼが現れる。フォーゼは右足のステルスモジュールの力で5秒間姿を消し、左足のホイールモジュールで病院に侵入したのである。 病院のエントランスには数名の警備員が倒れていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

フォーゼは警備員に声をかけるが返事はない。脈はあるようなのでとりあえずソファーに寝かせる。病院内はかなり散らかっており、壁には何かが引っ掻いたような傷や無数の銃弾のあとがある。色々なところから出火しているようだ。

 

「まず火を消さないと」

 

[Fire]

 

[Fire On]

 

フォーゼは20番のスイッチ、ファイヤースイッチの力でファイヤーステイツに変身する。

「こいつも姿が変わるスイッチか…覚えとこ」

 

フォーゼは右腕のヒーハックガンをベルトの横につけ、フロントユニットとリアユニットに分離し、消火弾を発射する。消火弾の効果は絶大で火はみるみる消えていく。フォーゼはとにかく人を探して病院内を走る。すると、廊下の前に怪人が…

 

「あれ?」

 

怪人はなにもせずに爆発してしまう。フォーゼが不思議がっていると、怪人の後ろから青いコスチュームの戦士が現れる。一瞬土御門かと思ったがズボンが白く、腰には銃がぶら下がっていた。

 

「お前は?」

 

よくみるとその戦士は女の子を二人担いでいる。両方共に肌の色が黒い女の子だった。

 

「その子達は?」

 

フォーゼが問うが戦士は答えない。

 

ガタッ!「!」

 

フォーゼは突然の物音に振り替える。そこには前にいるのとは違う戦士が四人もいた。彼らは 体の各部にガチャポンのカプセルのようなパーツが付いている。腰にはベルトが巻かれている。四人は各自赤、青、黄色、白のラインが入った銀色の装甲を纏っていた。

 

「お前らも仮面ライダー?」

 

フォーゼはどちらに近づこうか迷う。その時近くで爆発が起こり、次の瞬間には彼らは消えていた。

 

「あいつらは一体?」

 

フォーゼは一人たたずんでいた。

 

 

ファイズとゲキイエローの攻撃でクジルとガルガは飛ばされる。

 

「さてと、」

 

「超止めです!」

 

ファイズはベルトのファイズポインターを右足にセットし、ファイズフォンを開きenterボタンを押す。

 

[Exceed Charge]

 

すると、赤いフォトンブラットと呼ばれる光が右足のファイズポインターに集中する。そしてジャンプをすると、クジルに向かい両方の脚を向ける。ファイズポインターからでた光が円錐形になり、クジルの体をロックする。そのままファイズは右足を突きだしキックを円錐形の光に向かい放つ。円錐形の光はクジルに直撃し、最後にファイズがクジルの後ろに現れる。これがファイズの必殺技クリムゾンスマッシュである。

 

「超行きますよ!ゲキワザ瞬瞬弾!」

 

ゲキイエローが腕にオーラを貯めて正拳突きを放つ、すると黄色い虎が敵に向かい放たれる。虎はガルガに直撃した。2体は大爆発を起こした。

 

「こっちは片付いたな」

 

「ええ。じゃあ私達も…」

 

「いや、このまま帰ろう」

 

「えっ?」

 

「あいつなら大丈夫だろ」

 

「そう…ですかね」

 

二人は変身を解除し、その場を去った。

 

 

 

 

「うわぁぁ!」

 

ザインの攻撃でクウガは壁に叩きつけられる。「ゾン デギゾバ クウガ?(その程度かクウガ)」

 

ザインは余裕綽々という感じで立っている。

 

「くそ!こいつでダメージを少しは与えられると思ったのに…」

 

クウガはなんとか立ち上がる。

 

「もっとパワーが欲しい…こいつと戦っても押し負けないパワーが…」

 

[邪悪なる者あらば…]

「!?」

 

突如クウガの頭に誰かの言葉がよぎる。

 

[邪悪なる者あらば、鋼の鎧を身に 付け、地割れの如く邪悪を斬り払 う戦士あり]

「今のは…一体?鋼…斬り払う…」

 

クウガが呟くと腰のアークルの宝石が紫色に変わる。クウガはもう一度変身ポーズをとる。

 

「やってみるか…超変身!」

 

クウガが再びベルトを操作するとクウガのボディが紫色のラインの入った銀色の装甲に変わる。複眼も紫色に変わり、右腕から流れるコントロールリングパワーがトライアクセラーをタイタンソードに変える。

 

「おお!これなら勝てそうだ!」

 

 

「ボギ!(こい)」

 

ザインが構える。クウガはタイタンソードを上段に構え、小走りに走る。

 

「ウオォォォ!!」

 

クウガの上段からの面がザインの角に直撃し、折れる。

 

「バビ!?(なに)」

 

「止めだ!」

 

クウガはタイタンソードをザインの腹に突き刺し、エネルギーを送り込む。

 

「グワァァァ!」ドゴーン!

 

クウガのカラミティタイタンを喰らい、ザインは爆発する。クウガは元のマイティーフォームに戻る。すると、後ろから子供を一人抱えたイエローバスターが現れる。

 

「他に人は?」

 

「いないみたい」

 

「よし、なら脱出だ」

 

クウガはビートチェイサーのコントロールパネルを操作する。すると青かったビートチェイサーのボディが黒と黄色主体のカラーリングに変わる。その時イエローバスターの抱えた男の子が口を開く。

「お姉ちゃん達は悪い怪物じゃないの?」

 

クウガとイエローバスターは少し見つめあい、やがて子供の方を見る。子供にはそれが笑っているようにも見えた。

 

「違うよ。俺はクウガ。仮面ライダークウガ。で、そっちのお姉ちゃんはイエローバスター。まあ正義の味方みたいなもんだよ」

 

そう言うと、クウガはビートチェイサーに跨がり、イエローバスターも男の子と共に後ろに跨がる。

 

 

 

「中はどうなってるんだ?」

 

黄泉川が病院の入り口を見ているとそこからビートチェイサーに乗ったクウガとイエローバスターが現れる。ビートチェイサーは黄泉川の前で止まりイエローバスターが抱えていた男の子を黄泉川に渡す。黄泉川が男の子を受けとるとクウガはビートチェイサーのアクセルを全開にし、凄いスピードで走りだす。

 

「ち、ちょっと待つじゃん。もう行っちまった…」

 

 

 

「何なんでしょうね…あの人達…」

 

鉄装がぼうっとしながら呟く。

 

「僕、知ってるよ!」

 

突然黄泉川に抱えられた男の子が言う。

 

「えっ?」

 

「あのお兄ちゃん達は…」

 

この事件を機に仮面ライダーやその他のヒーローの名が学園都市に広まることになる。




ビートチェイサーはクウガの後半で使われました。その後のクウガ(ディケイド、ヒーロー大戦)ではオートチェイサーが多く使われています。やっぱりあれが登場しないからでしょうか?

前回のサイクル無視してすいません。

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