とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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お久しぶりです。
今回はあるお知らせがあって最新話を再アップするというややこしいことをしてしまい、申し訳ありません。
お知らせというのは、しばらくのあいだ投稿を休止するということです。
まず、本来であればリクエスト編そもそも後編をアップしてから休止するべきなのですが…
理由としては様々なものがありますが、ただネタが切れたということではありません。
今後の展開も頭のなかでできていますし、リクエストのお話もまだかなり有ります。

理由としては、まず自身の文体の未熟さです。
三点リーダーや読点の多さ、末尾の重複…ただただ動きや状況を羅列しているだけの文章など挙げればきりがありません。
次にとある、特撮双方のキャラの台詞回しへの違和感。
特に一方通行のセリフ回しの違和感やウルトラ戦士の掛け声に関する違和感など多くのキャラのセリフ回しへ自信がほとんどなくなってしまいました…
次にあるサイトでとあるを下げているというコメントがあった点です。
私自身とあるを愛しており、今は劣勢でも反撃に転ずるという話を考えていましたが、それまでに時間がかかりすぎていた点がこの作品をそういったイメージにしてしまったのは否めません。

上記以外にも挙げればきりのない理由がありました。
文章を考えるあまり、一行書くのにも時間がかかりすぎてしまい更新が遅れてしまい。
皆さんを待たせてしまったこと。
自分自身が状況的に執筆よりもしなければならないことができてしまったこと。
自分自身の作品の構想ができ、それにばかり気を取られてしまったこと。
感想欄で一部の読者さんに強い言葉をつかってしまったこと。
なによりももっと自分の文章の幅を上げて自分で読んでいても面白い小説が書きたいという思いが生まれたことです。

そのためにもラノベ、小説を問わずによんでその書き方を学んでいきたいとおもっています。
正直言って再開がいつになるかわかりません。
すぐにひょっこりと帰ってくるかもしれませんし、ひょっとしたら…

最後になりましたが、これまで作品をご覧なってくださった読者の方々、
本当にありがとうございました。そして本当にもうしわけありません。

もしできるなら今の話をけして、新たな作品へと再生させることもあるかもしれません…


モンスターペアレントとコウノトリと黒鬼(中編)とお詫び

モンスターペアレントとコウノトリと黒鬼(中編)

 

前回までの3つのあらすじ!

 

1つ、学園都市にたくさんのモンスターペアレントたちが乗り込んでくる。

 

2つ、その裏で暗躍するFとドクター真木。

 

そして3つ、戦闘中、御坂美琴が突然消滅してしまった。

 

 

「御坂さんが…消えた!?」

 

「お姉さま…お姉さま!!」

 

キレンジャー=佐天とアオレンジャー=黒子がフォーゼの元へと慌てて駆け寄る。しかしそこにはすでに御坂の姿はすでになく、地面に落ちていた数枚のオーメダルとモバイレーツそしてアカレンジャーのレンジャーキーのみがあるだけだった。

 

「どうして…どうしてですの!?なぜお姉さまが!?」

 

「わからない…突然、きえたんだよ。まるで最初からいなかったみたいに…」

 

珍しくフォーゼ=上条は激しい動揺に襲われていた。なんの前触れもなく人が消えるなどありえない。そんな常識を打ち破る敵といままでに上条は何度も戦ってきたのだが、それでも何かしら自分の勘に触れる異常のようなものがあった。しかし、今回においてはその異常を全く感じ取ることができなかったのだ。

 

「2人とも!今は前の敵に集中して!」

 

「固法先輩…でも…お姉さま抜きでは…」

 

「大丈夫よ!初春さん!4人での連携ならどの戦隊が…」

 

振り返ったミドレンジャー=固法はその先の言葉を驚愕してしまい、口に出すことができなかった。なぜなら、さきほどまでうしろにいたはずのモモレンジャー=初春の姿が跡形もなく消えてしまっていたからだ。さきほどの御坂と同じように…

 

「お、お姉さまにつづいて…初春まで…」

 

「そ、そんな…」

 

「…」

 

2人の共が忽然と消えてしまったことに動揺する3人。しかしコウノトリヤミーたちの猛攻が止まることはない。そんな状況の中、しゃがんでいたフォーゼは立ち上がりヒーハックガンを空へと向けた。

 

「くっそ…くそお!うおおおおお!」

 

[Fire Launcher Gatling Limitbreak]

 

激昂したフォーゼの必殺技が空を飛ぶコウノトリヤミーたちを焼き尽くし、撃ち抜き、爆発させる。だが、激昂した戦士には図らずとも大きな隙が出来てしまうもので、フォーゼも正面への攻撃に集中しすぎたからか背中ががら空きになってしまっていたのだ。その隙をつき、一体のコウノトリヤミーが空からフォーゼの背後に降り立ってその鋭利なつめを振り上げた。それに気づいたフォーゼはすぐさま反転するが、それよりも速くつめは振り下ろされる。

 

[Attack Ride Micro Chain]

 

だが、振り下ろされそうになった爪は鉤爪付きの細い鎖によって阻まれる。さらに鎖から流された強力な電流がコウノトリヤミーをセルメダルの塊へと変えた。直後、仮面ライダーDZX=一方通行が飛び蹴りでコウノトリヤミーたちを蹴散らしながらフォーゼの元へと降り立つ。

 

「一方通行!」

 

「こんな雑魚どもォに何手こずってェやがる!?」

 

「そんなわけじゃないんだが…み、御坂が…」

 

「やはりィ、オリジナルに何かがァ…」

 

そんな2人の会話の間にもコウノトリヤミーたちは襲い掛かってくる。DZXの素早い十字手裏剣の連続投擲とフォーゼのヒーハックガンの連射による応戦が続くが、その数が減ることはない。

 

「くそ…このままじゃ…」

 

このまま数におされ続ければ、ヒーロー側の敗戦は必至だ。それに先程から援護攻撃の数が妙に減っているような感覚をフォーゼも感じ取っており、焦りを感じ始めていた。そんな時、彼の足に何かが当たる。それは御坂の残したオーメダルだった。

 

「これは御坂の…そうだ!」

 

フォーゼは地面のオーメダルを拾い上げ、懐からあのスイッチを取り出した。

 

[Apollo][Apollo On]

 

電子音とともにフォーゼの左腕にはアポロモジュールが生成される。フォーゼはヒーハックガンを捨てると、代わりに銀色のオーメダル3枚を掴んだ。

 

[Case Open]

[Scanning O-Medal Sai Golira Zou]

 

「御坂…力を貸してくれ!ライダーアポロシューター!!フューチャリングサゴーゾ!!」

 

アポロモジュールから銀色の光の矢が天に向って放たれた。光の矢は空中で巨大な光球へと変貌し、強力な重力で周囲のコウノトリヤミーたちを引き寄せていく。引き寄せられたコウノトリヤミーたちは1つの球となり、強い重力で少しづつ小さく圧縮されていく。コウノトリヤミーたちの球はやがて点となり、そして多数のコウノトリヤミーたちを跡形もなく消え去った。

 

 

 

 

戦いが終わり、変身を解除した上条はゆっくりと地面に膝をついた。敵は去った…だが、突然の御坂美琴の消滅…その出来事を彼は未だに理解できていない。

 

「なんでだ…御坂がなぜ…」

 

混乱する上条の肩に同じく変身を解除した一方通行が手をおいた。珍しい行動をとった彼にすこし驚いて上条は彼の顔を見る。その表情もまた彼らしくなく、すこし悲しげでどこか遠くを見るような目だ。そして彼が次につぶやいた言葉に上条はさらに動揺した。

 

「…打ち止めと番外個体が…突然消えたァ…」

 

「なんだって!?」

 

その言葉とともに一方通行が取り出したのは番外個体が所持していたバースドライバーだった。彼とともに戦っていた番外個体も御坂と同じように突如として消え、近くで隠れていた打ち止めも彼女と一緒にいた芳川共々消えてしまったのだ。

 

「オリジナルが消え…あいつらもォ消えた…」

 

「一体何が起こってんだよ…一体…」

 

「考ェられることは…1つだァ。ありえねェことだけどな」

 

「なんだ?なんなんだよ!?どうして…」

 

上条の問いに一方通行はしばらくの間答えなかった。彼自身、自分の考えがありえないということを感じてはいたかもしれない。それでも彼はその考えにそれなりの自身を持っていた。だから彼は一度だけ天を仰ぎ、そしてこういった。

 

「…オリジナル…御坂美琴は殺されたァ…それもォ、過去…まだ、あの計画が始まる前にィだ」

 

 

 

 

 

 

 

佐天涙子は目の前で起きている事態に動揺を隠しきれなかった。親友である御坂美琴と初春飾利の消滅…それに対して彼女はもちろんの如く動揺していたが、目の前の出来事はそれを吹っ飛ばす威力がある。2人の消滅に対して、現実味がないというのも彼女が目の前の出来事への動揺を加速させているのだろうが…この状況も充分現実味がない。

 

「これはどうしたもんかなぁ…」

 

彼女はここに御坂の持っていたはずのレンジャーキーとモバイレーツを探しに来ていた。薄情かもしれないが、2人がいなくなったことは事実として受け入れるなら、少なくなってしまった戦力をすこしでも回収すべきと固法に言われたからだ。ここにきて程なく初春の使っていたレンジャーキーとモバイレーツは発見出来た。しかし御坂のものは一向に見つからず、困り果てていた彼女はふと女の子の鳴き声に気づいて辺りを見渡し3人の女の子が泣いているのを見つけたのだ。普段ならすぐにジャッジメントの支部に連れて行くのだが…問題なのは彼女たちの服装と容姿だった。彼女たちは皆自身の体には不相応なサイズの服を着ており、ブレザーやスカートが地面に落ちてしまっている。そして、彼女たちの顔は自分のよく知る人物によく似ていた。

 

「こ、婚后さんに…泡浮さん…それに湾内さんだよね」

 

自分の友人である3人の名前をつぶやいた彼女に当の3人は泣き叫ぶばかりで返答してはくれなかった。

 

 

 

 

 

「はい…はい…え、それってどういうことですの?婚后光子が…はい?子供になった?湾内さんたちも?はあ…はあ…わかりましたの…」

 

支部で受けた佐天からの電話を黒子は首をかしげながらきった。困惑した黒子は天井を見上げ、またしても首をかしげる。突然友人が子供に戻ってしまったと言われればだれでもこんなふうになるかもしれない。佐天が御坂・初春消失のショックでおかしくなっているかもしれないという可能性も考えられなくもないが、冗談でそんなことを言うような人間ではないことは黒子が一番わかっている。だからこそ、彼女は困惑しているのだ。

 

「白井さん、佐天さんはなんて?」

 

「ああ…初春のモバイレーツは発見できたらしいのですが、お姉さまのモバイレーツとアカレンジャーキーは見つからなかったようですの…」

 

「そう…誰かが持ち去ったのかしら?」

 

顎に手を当てて考える固法。彼女の表情からは悲しさや怒りといったようなものは感じ取れない。しかし、内面は穏やかではないだろう…。そのことを佐天と黒子は充分に理解していた。表面上に出さず気丈に指示を出す姿に2人は励まされ、こうしてなんとか沈まずにいられるのだ。

 

「だとしても誰が…」

 

「…ガレオンバスターが使えないのは痛いわね。それに…」

 

それから先の言葉を固法はあえて言わなかった。2人のことを今言えば黒子がどうなるかわからないし、なによりも自分も辛い。大人びているといっても固法だって1人の女子高生なのだから…。

 

「ともかく、TPCの調査結果がもうすぐ出ると思うから、私達は連れ去られた学生たちを探しましょう」

 

「ええ…それにしてもなぜ学生たちを怪人は連れ去ったのでしょう?」

 

「あれは確かヤミーっていうセルメダルからつくりだされた怪人…人の欲望を叶えるような行動をとっているそうだけど…」

 

「でも鳥類系のヤミーがあそこまで多く現れるはずはないのですが…」

 

ヤミーにも様々な種類があり、水棲系のものは卵を大量に産んでその数を爆発的に増やす。だが、鳥類系であるコウノトリヤミーにはその能力がないはずなのだ。

 

「1人の人間からそこまでのヤミーが作りだせるとは思えない。だとすると…」

 

「でも複数の人間が同じ欲望でヤミーをつくれるとは…」

 

「…いや、ちょっとまって…」

 

黒子の言葉で固法はあることを思いついて、棚から学園都市の地図を取り出す。そして自分が先ほど戦っていた場所からコウノトリヤミーたちが飛び去った方角に向けて直線を引いた。

 

「第一学区と第十六学区を通って…第三学区…そうか」

 

「どうかしましたの?」

 

「第三学区は学園都市の外交面を司っている…そしてここにはいま、回収運動に来ている保護者たちが本部代わりにしているホテルがあるわ」

 

「そうか!ヤミーの宿主はそこにいる保護者たち!」

 

「保護者たちの中にはかなり過激な行動をとっている人もいたわ。脅迫、教員にたいする傷害、器物損壊…エトセトラ。ジャッジメントのメンバーの中にも襲われた人がいたから…」

 

数日前、固法や黒子も暴徒と化した保護者たちの鎮圧に駆り出されたのだが、それは酷いものだった。

 

『子どもたちを返せ!!』

 

『怪人はお前たちの実験動物が逃げ出したものなんじゃないのか?』

 

『人権を蔑ろにするな!』

 

『化物どもの巣窟はこのまま潰れちまえ!!』

 

そんな罵詈雑言の嵐とともに鉄パイプやバット、果ては火炎瓶などによるテロにも近い攻撃の前に幾人ものジャッジメントやアンチスキルたちが負傷し、大人数の保護者たちが現行犯逮捕された。しかし様々な政治的理由から即日釈放となってしまった者が多く、その件でジャッジメントたちからは不満や不平は多く出ている。

 

「それだけ濃度の濃い欲望なら…あれだけのヤミーを生み出せるかもしれませんの…」

 

「ええ…鳥類系のヤミーは巣を作って宿主を隠すらしいから…」

 

「そのホテルに巣を作っていますのね!そしてそこに学生たちを集めている!」

 

「ええ、早速向かいましょう。そのホテルへ」

 

2人はすぐさま出口へと向かおうとする。しかし、その時春上と枝先の2人が支部の中へと飛び込んでくる。そして春上の髪にはモモタロスが憑依している証である赤いメッシュが入っていた。

 

「大変連れ去られた人たちが帰ってきたのだけれど…皆子供みたいなってしまったって…」

 

「なんですって!?」

 

枝先の報告は2人を驚愕させた。おそらくコウノトリヤミーたちは学生たちを巣へと連れ去った後、なんらかの方法で幼児化して再び話しているのだろう。先ほどの電話で佐天が言っていたことが本当だとすれば、3人も同じように敵に連れ去られて巣へと連れ去られ、しまったということになる。

 

「それから、モモちゃんが…」

 

「この上、なんですの!?」

 

「においがするんだよ!久々に…イマジンの匂いがな!ビリビリたちを消したのも…あいつらの仕業だ」

 

 

 

 

「過去に殺された?そ、そんなバカなこと…」

 

「そんな馬鹿な力を俺たちは振るってンだろォが。時を超えるヒーローがいんなら、相対する怪人もいるはずだァ」

 

一方通行の言うとおりだ。時が止まっていると感じられるほどの高速移動やワープ、分身…多くの非常識を起こすヒーローたちの中に時を超えられる戦士がいないほうが逆におかしいかもしれない。そして怪人たちにもそれと相対する能力を持つものもまたいるだろう。クロックアップを使うワームしかり、コズミックエナジーを纏うゾディアーツしかり、ガイアメモリを宿すドーパントしかりだ。

 

「証拠ってほどじゃねェが、俺がアイツラがいなくなっても無事でいる時点でおかしいからなァ」

 

そういいつつ一方通行は首に手をやった。そこにはいつもしている能力発動用のチョーカーがない。これも時が変わり、一方通行が凶弾に倒れるという事態がなくなってしまったという証拠なのだ。

 

「ならどうすれば…」

 

「タイムの能力を持つブレイドじゃ時を止めるくらいしかできねェ…電王でも単体じゃ時は超えられねェ」

 

「俺も…タイムレンジャーの能力だけじゃ無理だし…マジレッドでも過去をみるくらいしかできない…」

 

「ウィザードって魔法使いも時を超える能力を持ってるがァ…」

 

「…だめだ。ウィザードは未だに正体がわからない…連絡をとる方法がない」

 

打つ手がなかった。もし仮に彼の言っていることが本当だとすれば、過去にいる怪人に殺された御坂たちをどうやって助ければいいのか…。時を遡る力のない2人が同じ学園都市で暴れている怪人たちと戦うには時間という強固な壁がある。この壁は人間でもたとえヒーローでも超えるのは容易ではない。

 

「…なにかないのか…時を超える方法は…」

 

「あったらァ、オマエに相談する前にィやってる」

 

一方通行も一見冷静そうに見えるが、貧乏揺すりや拳を握る力の強さから相当の怒りをうちに込めていることが伺える。自身の守ってきたものがなくなってしまったことに怒りや戸惑いを感じられないほど彼も大人ではない。

 

「「…」」

 

2人の間に沈黙が走る。しかしその沈黙も長くは続かなかった。けたたましいバイクのエンジン音が辺りに突如として響いたからだ。見ると見慣れた黒いマシンが何体かのコウノトリヤミーに追われている。そしてそのマシンを駆るのは2人もよく知る人物だった。

 

「浜面?怪人に襲われてるのか!」

 

「チィ!こんな時にィ、厄介事増やしやがってェ」

 

[3・2・1]

 

[Kamen Ride Decade]

 

変身した2人は浜面の運転するビートチェイサーの元へと向かう。一方でビートチェイサーはコウノトリヤミーたちによって包囲されてしまい、その動きを止めてしまった。

 

「くっそ!やるしかないか!」

 

追い詰められた浜面はトライアクセラーを引き抜いてコウノトリヤミーたちに挑む。しかしただの人間である彼の攻撃はコウノトリヤミーにほとんど通用せず、逆に倒されてしまう。だが、コウノトリヤミーの追撃が入る前にフォーゼとディケイドが到着し、浜面からコウノトリヤミーたちを引き剥がした。

 

「大丈夫か、浜面!」

 

「ああ…」

 

「めンどくせェ!一気に行くぞォ!」

 

[Final Attack Ride DDDDecade]

 

電子音とともにライドブッカーから放たれた光線が周囲のコウノトリヤミーたちを一気に粉砕する。どうやら追撃するもののいないらしく2人は変身を解除し、浜面の元へと向かう。どうやら浜面は誰かとともに逃げていたらしく、ビートチェイサーのシートには毛布にくるまれた子供の姿があった。

 

「助かったぜ、ありがとよ…」

 

「お前も襲われたのか?」

 

「いや、俺よりもそこのやつを狙ってたのかもしれない…」

 

そういって彼はビートチェイサーを指さす。すると毛布がめくれ、中から茶髪の少女が姿を現した。

 

「こんな姿を第一位に見せることになるとは…超不本意です」

 

 

 

 

 

「時を遡る…タイムスリップってことかよ…」

 

「ああ…」

 

「まじかよ…」

 

上条から受けた一連の説明を聞いた浜面は両手で頭を抱えて俯いた。彼の表情にはいつもの感情の豊かさとでもいうようなものが消えており、その表情はまるでなにかに絶望するかのようだ。

 

「…くっそ!!くっそぉぉぉ!」

 

実は数時間前、彼のかけがえのない仲間である滝壺と麦野もまた彼の目の前で突如として消え去っていたのである。そして2人が消えたことに動揺した絹旗はコウノトリヤミーに連れ去られ、彼らの巣であるホテルで子供に変えられてしまった。なんとか完全に子供に戻る前に自力で脱出したが、能力使用もままならないため浜面とともに逃亡していたのだ。

 

「…クウガになれてたら…あんなことにならなかったかもしれねえのに…」

 

「そんなことねえよ…俺だって目の前消える御坂に何もしてやれなかった…」

 

上条は懐からフォーゼドライバーを取り出して悲しげに眺める。どれだけ強大な力があっても、変えられないものもある…それが時なのだということを彼は痛感していた。

 

「どうしたら…過去に行ける?なにかないのか…タイムレンジャーやキョウリュウジャーならいけそうなもんなのに…」

 

その時、再びコウノトリヤミーたちが現れて2人を強襲した。突然のことで上条はフォーゼドライバーを落としてしまい、他の変身アイテムも地面に落としてしまう。彼らと少し離れた場所にいた一方通行と絹旗も襲われているようで、助けには来れそうにない。

 

「ぐわ…こいつら…」

 

「まだ絹旗や俺達を狙ってんのかよ!」

 

のしかかられてマウントポジションを取られ、首を締められる2人。そこには先ほどと違い、コウノトリヤミーたちの明確な殺意が感じられた。

 

「カメンライダーフォーゼトクウガ、キケン!コロス!」

 

「(こいつら俺たちを…本気で…)」

 

精一杯フォーゼドライバーに手を伸ばす上条。だが、無常にもその手は届かず徐々に意識が薄れ始めてしまう。浜面も腰に手を当てアークルを出現させるが、モーフィンクリスタルの輝きは消えたままで変身することができない。

 

「うう…。頼…む…もう…一度…変身を…滝壺…や…麦野…を救え…る力を…貸して…くれよ!!」

 

肺から酸素が消え果て、視野が狭まって零になるというまさにその時…

 

 

 

奇跡は起こった…

 

「ホーンブレイカー!!」

 

突如として放たれたディスク状の光弾。それがのしかかっていたコウノトリヤミーたちを撃ち抜き、吹き飛ばしたのだ。2人は激しく咳き込むながらゆっくりと立ち上がり、光弾の発射された方向をみる。するとそこには見たことのない臙脂色のスーツを着た戦士がカブトムシ型の銃を構えて立っていた。その姿からは歴戦の勇士のもつオーラのようなものがにじみ出ている。そしてその傍らには紺色のスーツを着た戦士も棍のような武器を構えて浜面と上条を見下ろしている。しかしそんな2人を背後からコウノトリヤミーの爪が襲う。2人の戦士は苦しみながら地面に倒れた。

 

「「おお!?」」

 

上条たちが驚いたのは2人が倒されたからではない。地面に落ちたのは2人の戦士のスーツだけだったからだ。コウノトリヤミーたちもまた、地面に落ちていたスーツ拾い上げて困惑している。するとその背後から無傷の2人が棍型武器でコウノトリヤミーたちを斬り裂いた。まるで忍者のように…

 

「深紅の稲妻…角忍!カブトライジャー!」

 

「蒼天の霹靂…牙忍!クワガライジャー!」

 

「影に向かいて影を斬り…」

 

「光に向かいて光を斬る…」

 

「「電光石火!ゴウライジャー見参!!」」

 

名乗りを決めた2人の戦士は夥しい数のコウノトリヤミーたちへと向かっていく。

 

「超忍法!幻カブト!」

 

「超忍法!牙稲妻!」

 

叫びとともにカブトライジャーは突如巨大化してコウノトリヤミーたちを踏みつぶしていき、クワガライジャーのマスクの角から放たれた稲妻がコウノトリヤミーたちを撃つ。2人の攻撃のまえにコウノトリヤミーたちは赤子のように倒されていった。それでも数で襲おうとするコウノトリヤミーたちだったが、明後日の方向から飛んできたレーザーによってさらに数を減らされていく。みると新たな赤いスーツの戦士が近代的なレーザー銃を携えてこちらへと向かってくる。その戦士のことを上条は知っていた。

 

「た…タイムレッド!?てことは…健太先生と同じオリジナルってことか!?」

 

「アサルトベクター!DVディフェンダー!!」

 

オリジナルのタイムレッドと思わしき人物は2つのレーザー銃でコウノトリヤミーたちを撃ち落とし、鋭い蹴りで吹き飛ばす。その姿にも歴戦の勇士と思えるオーラが伺える。3人の戦士によってコウノトリヤミーたちはすぐさま倒され、その場には平穏が戻った。すると3人の戦士は一方通行たちと合流した上条たちにゆっくりと近づいてくる。

 

「あんたたちもオリジナルなのか…健太先生と同じように」

 

「ああ…俺はかつて時間犯罪者と戦ったタイムレンジャーの一人…タイムレッドだ」

 

目の前に立っている赤い戦士、彼は上条の変身したタイムレッドとは違う只者ではない風格を纏っており、立ち方にもどこか熟練の格闘者のような威厳と余裕がある。しかし、次に彼の放った言葉はそんな威厳や風格よりも上条たちを驚愕させるものだった。

 

「…浜面くんも無事そうでよかった」

 

「ええ…な、なんで俺の名前を?」

 

「しかし、お前もなかなか鈍いな浜面」

 

「そういってやるな兄者。まさかオリジナルがこんな近くにいるなんて誰も思わないさ」

 

3人の会話に上条たち、とりわけ浜面は困惑した。自分の名前を知るヒーローたち、そしてその会話の内容や口調から彼の脳裏にはある人物の顔が浮かぶのだが、彼自身そんなはずはないと否定する気持ちがそれをかき消そうとする。

 

「動揺させてしまってすまない。俺達がこの世界にいることを奴らに悟られないために素性を明かしたくなかったのさ」

 

そういうと3人はブレスに手を当てて変身を解除した。その素顔に浜面以外の3人は首をかしげたが、浜面は激しく動揺する。自分の予感がみごとに的中してしまったからだ。

 

「ああ…あんたたちは…浅見店長!一甲さん!一鍬さん!」

 

そこにいたのは彼のバイト先トゥモローリサーチの上司である浅見達也、霞一甲、霞一鍬だったのだ。

 

 

 

 

 

 

「イマジン…そうか、ヤミーは囮だったということか」

 

「ああ、しかも厄介なことに契約者の一人が過去に戻ることを望んだらしいな…あの偽物野郎の匂いがしやがるぜ」

 

科学アカデミア格納庫内にてM春上の話を聞いた岩崎はかたわらに置かれた数枚のカードをみた。絵面には様々な怪人たちが描かれているが、下部に刻まれた日付は数年前のある日かその前後1日に統一している。これは『ライダーチケット』と呼ばれるもので過去に飛んだイマジンたちを追うために使用するものなのだが、その時間は契約者のもっとも強く思う過去になるので一律して同じ時間となることは本来ありえないはずなのだが…

 

「巣に父兄を捉え、その中から時間的に合う人間と強制的に契約させたのか…」

 

「下衆なことしやがるぜ!」

 

「でもお陰で飛んだ過去の時間が特定できる…それに」

 

岩崎が視線をあげるとそこには完全に修繕が終わったデンライナーと豪獣ドリルが特殊パーツによる連結状態で鎮座していた。その姿をM春上の側にいた黒子や佐天、固法も静かに見つめている。

 

「これなら過去にお姉さまや初春を救いに行けますのね…」

 

「ええ…たしか豪獣ドリルはタイムレンジャーの大いなる力で過去に行くとこができるって初春が言ってましたもん!」

 

「…」

 

興奮する2人に対して固法だけはなにかを考えるように黙り込んでいる。しかし、そんな彼女のことはつゆ知らずM春上はライダーチケットを慣れた手つきでパスへと装填してベルトを装着した。

 

「変身!!」

 

[Sword Form]

 

「そうとわかりゃ、ちゃっちゃといこうぜ!」

 

「ええ、エマージェンシー!」

 

「豪快チェンジ!」

 

[ゴーカイジャー!]

 

変身した3人がデンライナーと豪獣ドリルに乗り込もうと走りだす。しかし、固法だけはその場から動こうとせず、なぜか反転して背を見せた。

 

「どうしたんですの!固法先輩」

 

「あなたたちは過去に向かいなさい。私は残ってコウノトリヤミーたちの巣へと向かうわ」

 

「一人じゃ危険ですよ!御坂さんたちを助けた後からでも…」

 

「大丈夫よ!皆は心配しないで行って来なさい!たまには先輩らしいことしたいのよ!」

 

そういうと固法は格納庫から駆け出していく。おそらく彼女はもしも過去での御坂たちの救出に失敗した場合を想定して一人のこる決意をしたのだろう。それをくんだデカイエロー=黒子は2人を促してマシンへと乗り込んだ。

 

 

 

 

 

同じ頃、科学アカデミアの別ドックではタイムレッド=浅見達也たちに連れられた上条、一方通行、浜面の3人が1機の巨大な戦闘機のを見上げていた。

 

「コイツはァ?」

 

「『タイムジェットγ』俺達が使用していたマシンを科学アカデミアで再現したものだ。時間跳躍システムの搭載のためにほかのマシンよりも完成が遅れていたからフューチャー戦には間に合わなかったけど、つい先日漸く完成した」

 

「このマシンなら過去に行けるんですか?」

 

「ああ、上条くん。タイムレンジャーの能力を受け継いだ君ならこれを使いこなせるはずだ」

 

タイムレンジャーの能力は先日の戦いで雲川から上条へと譲渡されている。ほかの2機とは違い、タイムジェットγは単独でタイムスリップを行って過去へ行こうというのだ。

 

「よし、いくぞ!クロノチェンジャー!!」

 

タイムレッドとなった上条と力を借りてタイムブルーとなった一方通行がタイムジェットへと向かおうとする。だが、その前に突然浜面が立ちはだかった。

 

「どうした浜面?」

 

「お、俺も連れて行ってくれ!」

 

「何言ってやがァる?オマエはもう変身出来ねェだろォが」

 

「そうだけど、目の前で2人も仲間が消されてるんだ。俺だって…なにか」

 

「気持ちはわかるけど…」

 

どうしていいのかわからず立ち止まるタイムレッド。一方のタイムブルーは2人を無視して先にマシンへと乗り込んでしまう。がっくりと肩を落とす浜面。そんな彼に浅見の横にいた霞兄弟が声をかけた。

 

「浜面、本当にもう一度戦いたいのか?」

 

「一甲さん…」

 

「戦いはさらに激しさを増すだろう。それでもか?」

 

「それでも…周りの人間くらいは守れる力が欲しいですよ…もう一度クウガになって滝壺や麦野を救ってやりたい」

 

「兄者のがいうように、自分の命だって危なくなるかもしれないんだぞ。それでもいいのか?」

 

「たとえそれでも…」

 

浜面の決意を聞いた2人は懐からあるものを取り出した。それはメダルのようなもので、各自が2枚ずつと自分のブレスにセットされているメダルをとった計6枚ある。

 

「それは?」

 

「浜面、クウガのベルトであるアークルは完全に壊れちゃいない。俺達の力でそれをよみがえらせることができる」

 

「え!?」

 

「クウガのベルトは4種の属性、炎、水、風、大地、そして隠されたもう1つの属性、雷によって強化できる…ここにあるのは俺たちの力の源とも言うべきシノビメダル。炎にこそ対応はしていないが様々な力を持つシュリケンジャーのメダルを代用してそれらの力を注ぎ込めば…クウガはよみがえる!」

 

「それだけじゃない。俺と兄者の雷の力がクウガの力をこれまで以上に引き出して新たな形態へと変化させることもできるだろう」

 

「本当かよ!?」

 

「だがな浜面、復活したクウガの力はこれまでよりも格段に強化されるが、同時にその力はお前自身を滅ぼす結果になるかもしれないぞ、それでもいいのか?」

 

一甲の問いかけに浜面はだまって頷く。その目には並々ならぬ闘志の炎がともっている。それを見た一甲と一鍬は微笑を浮かべ、励ますように浜面の肩に手を置いた。

 

「よくいった…よし、早速始めるぞ一鍬!」

 

「おう兄者!アークルをだせ、浜面!」

 

「お、おう!!」

 

2人の呼びかけを受けて浜面は傷ついたアークルを出現させ、それを確認した霞兄弟は6枚のシノビメダルを彼の周囲に魔法陣のように配置する。そして彼の前後に立った2人は忍者らしく手で印を結んだ。

 

「「宇宙統一忍者流忍法!!5属性伝承!正義魂・復活の術!!」」

 

2人の掛け声とともにメダルから放たれた炎・水・風・大地そして雷のエネルギーがアークルのモーフィンクリスタルへと吸収されていく。

 

「おお…うおおおおおおおおお!!」

 

やがてアークルに変化が生じる。まずモーフィンクリスタルにまでいたっていた傷は徐々に消えていき、次にクリスタル自体の色が力を失った透明さから燃えるような赤へ、流れるような青へ、吹き荒れるような緑へ、まるで動じないような紫へと次々に変わっていく。そして最後に雷の如き黄金のパーツがアークルへと追加され、モーフィンクリスタルの色も同じ黄金へと変化した。

 

「…も、戻った…クウガの力が!それにこれは…」

 

「ライジング…そう呼ばれている力だ。4種類の通常フォームからライジング化することによって格段にその能力をアップする」

 

「その力は蹴り一発で小規模災害に匹敵するとされている。注意しろよ浜面」

 

霞一甲、一鍬はそういうとさらに3つの赤い光をブレスから出してアークルへと転送する。

 

「これは?」

 

「ある筋から借りてきた力だ。きっとお前を助けてくれる」

 

「浜面にだったらと快く貸してくれたぜ」

 

「俺だった…ら?」

 

「浜面…いくぞ!」

 

「お、おう!」

 

誰が力を貸したのか問い詰めようとしたが、タイムレッドに促されて浜面は彼の力でタイムイエローに変身、そしてタイムジェットへと急いだ。そして…

 

 

 

 

 

「これをやるんのも久しぶりだぜ」

 

そういいながら電王は自身のパスをコクピット内のデンバードに装填し、シートへと跨る。豪獣ドリル内のゴーカイイエローもタイムレンジャーのレンジャーキーを舵輪へとセットし、シートの横にデカイエローが立つ。そしてタイムジェットγ内の3人もそれぞれ目の前にある起動スティックを握って、タイムジェットを起動した。

 

「よっしゃあ、久々に飛ばすぜデンバード!!」

 

「いざ過去へ、お姉さま待っていてください!」

 

「タイムジェットγ!発進!!行くぞ!」

 

3機のマシンの前に光のゲートのようなものが発生し、3機はその中へと突入していく。こうして6人の戦士たちは消えた仲間たちを救うために過去へと出発したのだった。

 

 

 

続く


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