魔法科高校の立派な魔法師   作:YT-3

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ロウソク……カボチャ……メイド……ドスケベ……うっ、頭が!

今回、後書きにてお知らせがあります。


第三十七話 パーティー

マイペースな女神様が降臨しているせいでそちらに注目が行きがちな今回のパーティーではあるが、その本質として各校のライバルとの会敵があるのもまた事実である。

そして、それは、各校への挨拶回りが終わり、一高が集まっている付近へ戻ってきた深雪にも訪れた。

 

「ちょっといいかしら?」

 

声をかけたのは、流麗な金髪をツーサイドアップテールにした、猫のような美しくも鋭い眼を持つ少女だった。その隣に、ふわりとしたボブカットの無表情な少女と、小学生のような小柄で長髪の少女を連れている。

全員制服の色は赤。つまり第三高校の生徒だ。

 

「ええ、なんでしょうか?」

 

それに対して、表面上はにこやかに返す深雪。

彼女としては、声をかけてきた相手を無下にすることもできないが、何故だか女神に語りかけられている兄のそばに一刻も早く行きたいのが本音だ。

幸いここからでも話し声は聞こえるので、耳は半分達也の方に傾いていたりするが。

 

「私は第三高校一年の(いっ)(しき)愛梨(あいり)。それでこっちが友人の()()()(しおり)四十九院(つくしいん)沓子(とうこ)よ。

貴女の洗練された佇まい。さぞかし御名家の出身とお見受けしましたが、お名前を伺っても?」

「御丁寧な挨拶、ありがとうございます。

第一高校一年、司波深雪です。名乗れるような家はありませんが、一色家の御令嬢にそう言っていただけるとは嬉しいですね」

 

深雪は嘘は言っていない。彼女はまだ、『四葉』を名乗ることは許されていないのだから。

しかし、そんなことを知らない愛梨は、つい悪い癖が出てしまった。

 

「あら、無名の家の方でしたの。

名のあるお方だと思って声をかけたのですが、無駄にお騒がせしてしまったみたいですわね。ごめんなさい」

「ちょっ……!」

 

そのあまりの物言いに、そばで聞き耳を立てていたほのかが腹を立て、二人の間に割って入ろうとした。

 

「そんな言い方はないんじゃないかなぁ、愛梨さん」

 

だが、その前に背後から声がかけられる。

その声の主に皆が振り向くと、そこには今しがた人の壁をすり抜けてきた赤毛の少年がいた。

 

「あら、ナギくん。お久しぶりですわね」

「久しぶり。って言っても、二週間も経ってないけどね。

まあ、それはそれとして。

深雪さんはボクの友達なんだ。まだお互いを知ってない今の段階で、家柄だけで決めつけて見下されたりされると、深雪さんだけじゃなくてボクも頭にくるかな。

愛梨さんだって、栞さんや沓子さんが、そんなフィルターだけでバカにされたら怒るでしょ? もちろん、自分が十師族からバカにされたとしても」

「それは……そうですわね。

司波さん、すみませんでした。いささか短絡的でしたわ」

「いえ、気にしていませんので」

 

その顔には、本当に何も気にしていなかったという感情が込められていた。

彼女にとっては達也からの評価が最優先で、次に友人や知り合いからの評価がくる。今回のような『その他のもの』は、全て等しく無価値なのだ。

 

「それにね。深雪さんは魔法力だけなら一高歴代最強って言われてるんだ。もちろん、三年まで全員含めて」

「一高最強⁉︎ 本当ですの⁉︎」

「ほぅ!それはすごいのう!」

「ちょ、ちょっとナギくん⁉︎」

 

今度こそ、混乱した様子でほのかが詰め寄る。

それは彼女だけではなく、周囲で聞いていた雫や服部も、責めるような視線を飛ばしている。

 

「? どうしたの?」

「いや、どうしたのって、深雪や先輩たちが必死に情報戦してるのに相手だけに情報を与えちゃったらダメじゃない‼︎」

「いや、今回の場合は大丈夫だと思うよ。

情報戦ってものは、何も隠すだけじゃないからね」

「え? どうして?」

 

その言葉を聞いた人間の内、一高のブレインである鈴音と、今それを痛感している三高の二人以外が首を傾ける。情報戦とは、自分の情報を隠しながら相手の情報を得るものではないのか。

 

「今回で言えば、愛梨さんたちは十文字先輩や真由美お姉ちゃんレベルの伏兵がいる、ってことだけしか知らない。どの競技だとか、どんな魔法が得意なのかとかは言ってないからね。

それは三高からすれば予想ができないタイミングでくるほぼ確定した敗北に等しいから、ほとんど情報を明かさずに大きな心理的プレッシャーだけを与えることができるんだ」

「「「へぇ〜」」」

 

感心した声を上げるほのかと雫、それに梓。声には出してないが、服部なども頷いている。

そして、目の前で丁寧に解説された三高の二人は下唇を噛んでいる。……沓子だけは「すごい考えておるのう〜」と感心した様子だったが。

 

「た、確かに情報戦ではこちらの敗北のようですが、実戦では負けませんわ! 全力で叩き潰して差し上げます!」

「もちろんだよ。全力で戦おう!」

「くっ⁉︎ い、行きますわよ、栞、沓子‼︎」

「その台詞回しは負けフラグじゃぞ!

って、行ってしまったわい。それじゃあ、わしらも行くぞ。またの」

「じゃあね」

 

ツカツカと、足早に去っていく愛梨と、それを追いかける二人。

なんというか……

 

「典型的な『ライバル登場!』って感じかな、深雪さん?

……って、深雪さん? 顔が赤いけど、どうかしたの?」

「い、いえ! なんでもないんです! なんでも!」

 

口とは裏腹に、明らかにテンパっている深雪。

それを見て、全員がある一方向に目を向ける。深雪が顔を赤らめる理由なんて、彼らからしてみたら一つしか思い浮かばないのだ。

そして、その先では……

 

「じゃあ、献身的なら誰でもいいん? 例えば、光井ほのか、やっけ? あの子も結構献身的そうやったけど」

「誰でもいいわけじゃありませんが、ほのかならいけますね。それが彼女のためになるのなら、ですが」

「ほお〜。なら、やっぱりハーレムとかには憧れたりするん? 二人を脇にはべらしたり」

「一男子高校生程度には。そんなことにはならないでしょうけど」

 

シスコンハーレム野郎がいた。

 

「………………うわぁ」

 

ある意味堂々とした人でなし宣言に、流石のナギといえども侮蔑の視線を禁じ得ない。

彼もハーレムのようなものを持っていたことがあったが、こんなにも堂々と二股を宣言したことはない。そもそも、実際には二股をかけたこともないのだが。

 

そして、それは周囲の人間も同様のようだった。……ほのか以外は。

 

「へぅっ⁉︎ え、え、……はわわわ」

 

ボンッ、と顔が一瞬で赤くなったかと思えば、そのまま目を回し始めるほのか。

もはや可哀想という感じのその様子を見て、そんな目に合わせた達也への侮蔑の視線も強くなっていく。

 

「ほら、深雪。覚悟を決めて行ってきなさい。

あたしたちまで手を伸ばさなければ、精々軽蔑するぐらいだから」

「エ、エリカ⁉︎

いや、だってわたしたちは兄妹なのだし……」

「ほのかも。せっかくのチャンスなんだから」

「雫⁉︎ いや、私は今顔合わせられないって〜っ⁉︎」

 

最近高まっていた達也への好感度が音を立てて崩れていくのを自覚しながら、友のために背中を押していくエリカと雫。

深雪とほのかも抵抗しようとしているようだが、混乱しているためかうまくいっていないようだ。

 

「ナギ、何かあったのかい?」

「ああ、うん。多分、明日には知れ渡ってると思うよ……」

「?」

 

今通りかかったところで状況の飲み込めない幹比古は首をかしげながら、人垣の中の友人たちを見る。

『達也があんなに混乱しているのは初めて見るな〜』などと、一人のんきに考えていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

来賓の挨拶も進み、段々と無駄話に興じる人も減ってきた。各自食事の手も止め、緊張した面持ちをしてきている。

その理由は、次に挨拶のする人物のせいであろう。

 

「それでは、君たちの未来に幸があることを願ってるよ」

「ありがとうございます。国立電子魔法研究所所長、(みつ)(いん)(りゅ)(うじ)様のご挨拶でした。

続きましては、元国防陸軍少将、現国防軍魔法顧問についておられます、九島(くどう)(れつ)様からのご挨拶です」

 

会場内の緊張が高まる。それは真由美や克人ですら例外ではなく、全く緊張していないのは、そもそも彼についてよく知らない女神ぐらいなものだろう。

 

九島(くどう)(れつ)とは、かつて『最高にして最巧』と謳われた、『トリックスター』の異名を持つ魔法師だ。

魔法開発の黎明期から日本の魔法分野を支え続け、現在の十師族、引いてはそれに連なる他家の魔法師という形式を作った人物である。それゆえに、日本の魔法師からは『老師』と敬意を込めて呼ばれ、それこそ女神であるコノカを上回る畏怖の対象として知られている。

年齢はそろそろ九十近く、第一線にはほぼ出てこなくなっているが、毎年この九校戦には顔を見せることは有名な話だった。

 

「それでは、ご登場くださ……ッ⁉︎⁉︎」

「……えっ?」

「……なぁ、あれ誰だ?」

「俺に聞かれても分かるわけないだろ」

 

しかし、司会者に呼ばれて壇上に上がったのは、そんな老人とは似ても似つかない、妙齢の美女だった。

 

(認識阻害。それもかなり弱めかな?

魔法に気がつかれないためにわざと弱めてあるんだろうけど……魔法の発動自体を隠せないんだったら認識阻害の意味がないような気がするんだけどなぁ)

 

騒ついた生徒で満たされた会場の中、ナギだけは一瞬も術中に嵌ることなく、女性の()()()()()老人を見ていた。

当然である。彼もまた、前世ではその魔法開発力と基礎的魔法の精密性において、『最巧』の魔法使いと呼ばれていた存在だ。

その上、『魔法使い』の領分である認識阻害でこられても、この程度の魔法にかかるはずがない。

彼を完全に術中に嵌めるのであれば、それこそ『(アディ)(ウト)(ル・ソ)(リタ)(リウス)』レベルのものを持ってこなくてはならないであろう。

 

(これが伝説に謳われる『老師』の全力、ってわけでもないだろうけど、ちょっとあからさま過ぎる気がする……。

もしかして、気付くかどうかで実力を測ってる?)

 

そう思考していたナギは、老師の視線がこちらを向いたことに気がついた。

明らかに自分を見て、その上ニヤリと口元を歪めた老人を見て、ナギは直前の考えが正しく、また間違っていたことを理解した。

 

(よく考えたら、実力を測るんだったら九校戦を観れば済むんだよね。

それなのにわざわざこんなことをするなんて、意外とイタズラ好きなのかな?)

「……さて、まずは悪ふざけに付き合わせたことを謝罪しよう」

 

頭の中で、ふぉっふぉっふぉ、とバルタン笑いをしている(ぬら)(りひ)(ょん)を思い出しながら苦笑していると、老師が一歩前に出た。

魔法に気がついたごく一部を除き、多くの学生や来賓には突然彼が現れたように見えたのだろう。先ほどに倍する量の騒めきが会場を覆う。

 

「今のはちょっとした手品のようなものだ。魔法と呼ぶほどのものでもない。

しかし、私の見た限りでは、手品のタネに気がついたのはわずか七……いや六名と御一方だけだった」

 

気がついたか、いや全然。そんな言葉が会場のいたるところで行き交った。

ナギは、チラリと視線を動かして動揺していない五名を探してみる。六名のうち一人は自分だし、日本魔法界の頂点に立つ彼が御一方なんて敬称を使うのは、それこそこの場には一柱しかいないだろう。

 

(一高では……真由美お姉ちゃん。それと達也くんもかな。

他には……二高、三高、それに六高に一人ずつか。知覚系魔法でも持ってるのかな?)

「それはつまり、もし私が君たちに危害を加えようとするテロリストだったら、止めるために動けたのはそれだけしかいない、ということだ」

 

会場が静寂に包まれる。

 

それもそうだろう。

ここは一応、九校戦前の懇親会という名目で開かれたパーティーだ。

それなのに——言っていることは正しいのかもしれないが——TPOも空気もわきまえずに『テロリスト』という物騒な例えを出されては、どう反応していいのか分かるはずもない。

特に、四月にテロリストによる襲撃を経験している一高からは、ピリピリとした空気が漂っている。

 

しかし、老師はその空気も読まず話を続ける。

 

「若人諸君。魔法は確かに強大な力だ。

しかし、手段の一つではあってもそれが絶対ではない。最適な使い方をされた弱小魔法は、時に高ランクの魔法をも凌駕する成果をあげることもある。

現に、私が今使った魔法は、規模こそそれなりだが強度はほとんどなかった。現代魔法のランクで言えば、低ランクの魔法でしかなかった。

しかし、君たちの多くはそれに惑わされて、私がここにいたにも拘らず、私を見つけることすらできなかっただろう。

魔法力を磨くことも怠ってはならないが、それだけではいけない。

自分にできる範囲の魔法を用いた創意工夫が、明日の九校戦、引いては君たちの将来に必要になるだろう。

魔法を学ぶ若人たちよ。

私は、君たちの工夫を楽しみにしているよ」

 

そう話を締め、壇上から降りる老師に、会場から拍手が贈られた。……一高の大多数は、礼儀的に仕方がなく、という雰囲気だったが。

 

「ありがとうございました。国防軍魔法顧問、九島(くどう)(れつ)様の激励でした。

……さて、本来ならここで終了の予定でしたが、急遽もう一方ご挨拶をいただくことになりました。

それでは、富士山本宮浅間大社祭神、(コノ)(ハナ)(ノサ)(クヤ)(ビメ)様の……」

「はいな〜」

 

食い気味に被せられた返答に、会場内の視線が後方の、食事が置いてあるテーブルに向かう。……普通、こういう時は壇の近くに移動しておくものなのだが、彼女が何を考えているのかなんて、誰にもわからない。

そして、会場内の視線を一身に集めた女神は満足気に微笑むと、トン、と軽い足音をたてて宙へと飛び上がった。

いや、実際に飛んでいるわけではない。ただ、あまりにも長い跳躍が、飛んでいるように錯覚させたのだ。

皆の視線がそれを追う中、女神は空中でヒーローの変身シーンのように光を身に纏う。

そして、着地すると同時にそれは弾け、その下から白の狩衣に包まれたカラダが現れ、圧倒的な霊子(プシオン)が吹き荒れた。

 

『……ッ⁉︎』

 

瞬間、会場内に声にならない声が迸る。

それもそうだろう。今までは『少し近づきにくい』ぐらいのプレッシャーでしかなかったのが、ここにきて圧倒的な存在自体の格差を見せつけられたのだから。

まだゴールデンウィークの神隠しに遭った人間は比較的冷静だ。あの時はこれ以上のプレッシャーだったのだから、ある程度は慣れたのもあるのだろう。

しかし、そうでない人間は、その存在感に飲み込まれているか、目元を抑えてふらついているかのどちらかだ。それは、いかに老師といえども例外ではない。

そして、突然そんな行動に出て、畏怖の視線が集まっている女神様は……

 

「うんうん。やっぱり、こうでないとな〜」

 

一人、満足気に壇上で頷いていた。

……どうやら、老師が自分よりも敬われているのが納得がいかなかったらしい。傍迷惑な神様である。

ひとしきり満足したのか、パチリと左手の扇子をとじる。

それと同時にプシオンの放射もだいぶ収まり、会場内の空気もだいぶ落ち着いた。

 

「ほな、挨拶させてもらいます〜、(コノ)(ハナ)(ノサ)(クヤ)(ビメ)いいます〜。

コノちゃんでも、サクちゃんでも、コノカちゃんでもいいから、気軽に呼んでくれて構いまへんよ〜」

(((今のがあって、呼べるわけがないだろう!)))

 

会場内の心が一つになった。

 

「人前で挨拶するのなんて何千年ぶりやから勝手がわからへんけど、大目に見てや〜。

えーと、初めに言うとくと、ウチは魔法がどうとかは別にどうでもええ。ウチからしたら、そんなもん当たり前にあるもんやし。

キミたちも、例えば肺で呼吸できる魚がいたって、珍しいな〜ぐらいしか思わへんやろ? それと同じや」

 

一言目から彼らのアイデンティティを全否定。その上魚扱いされたが、それを当然と思えるだけの格差がある。

彼女からしたら、それこそ二科生も十師族も十三使徒も大差ないのだろう。そんな誤差を気にする方が逆にどうかしている。

 

「ほな、ウチが何に期待しとるのかというと、キミたちの覚悟や。

キミたちのその力は、なんのために振るうもんや? 仲間? 家族? それとも自分?

まあ、()()様に迷惑をかけなければなんでもええ。

重要なのは、キミたちのその力がなんのためにあるのか、をよく考えることや。

覚悟っちゅうのは、それを履き違えなければ(おの)ずと宿るもんやからな。

意思なき力は、ただの暴力。

それを忘れたら、君たちはお天道様に顔向けできなくなってまうからな。絶対に忘れたらあかんで」

 

会場に困惑が満ちる。

いくら魔法というものに関わっていようと、彼らは高校生。

何かが起きたらその力を振るうことに抵抗がないよう教育されているとはいえ、『なんのために戦うのか』なんてことを考えているのはごく一部だろう。

 

「……まあ、せやな。いきなりこんなこと言われてもようわからんか。

んー。なら、それはそれで後で考えてもらうとして、最後にこの言葉を送ろか。

 

『わずかな勇気が本当の魔法

少年少女よ大志を抱け

その一歩が世界を変える』」

 

「っ⁉︎ …………ふふっ」

 

パチリとこちらに向けてウィンクをするコノカに、ナギも微笑みで返す。

その言葉は、これから魔法の道を歩む学生たちに、これ以上ない激励の言葉となるだろう。

なにせ、自分がそうだったのだから。

 

「怖くて足が竦んでも、ボロボロで倒れそうでも、壁がどんなに高くても。

一歩。たった一歩踏み出すだけで何かが変わるかもしれへん。

そのために必要なのは、力でもなく、魔法でもなくて、ほんのわずかな勇気だけや。

せやから、ウチは楽しみにしとるで。勇気で常識を覆す、人だけに認められた逆転劇をな。

……ウチからはこんなとこや。ほな、みんな頑張ってぇな!」

 

そう言って手を振ると、ふわり、とその体が空気に溶け、会場から姿を消した。

降壇を伝えるはずだった司会者が所在なさげに呆然としている中、会場から拍手が湧き上がる。

 

その音は、特に一高以外の高校が大きい。

女神が望んでいるのは逆転劇。それはつまり、優勝最有力候補である一高が順当に勝つのを望んでいるわけではない、と公言したに等しい。

ここに現れてから、ナギ、真由美、そして達也と、一高としかまともに話してこなかったギャップも相まり、その宣言は見事各校のやる気を引き出したのだった。

 

 

◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

斯くして、各校のやる気が高まる中、立食パーティーは終わりを告げた。

勝利へ挑戦する者。

それを受けて立つ者。

各々の立場は違えど、目的はただ一つ、勝利のみ。

栄冠は誰の手に渡るのか。

熱戦は、すぐそこまで迫っている。

 

………………………………

…………………………

……………………

………………

…………

……

 

「ふぅん。なかなか面白そうなことになってるじゃないの。

ちょっと顔でも出してみようかね」

 

そして、選手でもない、無頭竜でもない、女神ですらない。

新たな乱入者が、ここに一人。




クリプリ「あれ、俺は?」

噛ませ感バリバリの一色さん。
私は好きな方なんですがねぇ。なにぶんあの『優等生』キャラなもんですから。

さてさて。新たな謎の登場人物も出てきて、物語はさらに加速していきます!
次回は、一高一年女子たちのお風呂(サービス)シーン……はカットで、大会初日からになります。ナギもコノカ様も関わりようがありませんし、無理やり入れても動かせませんから。

次回!『大会初日(1stステージ)①(仮)』!

老師「……全部持っていかれた」

* * *

重要なお知らせです。

UQ!の8巻までで公開された新情報や、今後の細かな展開がある程度固まってきたことを鑑みて、一度設定・展開の再構成を行いました。
その結果、自分で読み返して特に描写不足を感じた初期の頃を中心に、過去編・設定集、前書き・後書きも含め、()()()の改編を行うことにいたします。
具体的には、
『描写の改編・追加・補完』
『前書き・後書きの削減・削除』
『後書き・感想欄返信での補足を可能な限り本編内に組み込む(入らなかったものは後書きに)』
『将来の話の展開のため、一部展開の変更や伏線の張り直し』
『行間や先頭空白、その他など、これまで試験的に色々試していた文章形態の統一』などになります。
改編後の文章形態は、おおよそ今話のような感じになる予定です。
今回の改編では細かいところの修正が主な内容なため、大筋の展開上では変わりませんので、わざわざ読み直していただく必要はございません。

改編中も、最新話の執筆・投稿は行う予定でいます。
ですが、今回の改編や、展開プロットが大筋で完成したもう一つの作品(現在プロローグ執筆中・非公開)の執筆に伴い、投稿ペースが多少遅くなるかもしれません。
月一まではいかないように、出来れば二週に一回は更新するつもりです。

楽しみに待ってくださっている読者の皆様には申し訳ございませんが、少なくとも来訪者編まではエタるつもりはありませんので、長い目でお待ちいただけると幸いです。

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