最近は鬱系が多かったので、ライト感覚で行ってみます。
※TS要素ありの予定
気付けば転生していた。
幸いにもそこそこ裕福な家庭だったらしく、両親が殆ど家にいない事を除けば、悠々自適な生活だ。
両親は二人とも、それぞれに仕事があり、尚且つ愛人が別にいるらしいが…まぁ仕方ないと諦めよう。
オレの両親は嘗てのオレの両親であり、こちらの二人は愛情の無さもあってとてもではないが両親とは思えないので丁度良い。
さて、オレが転生したこの世界だが……新西暦、地球連邦政府、コロニー統合府、リクセント公国等の単語から答えは一つ。
オレ、スパロボ世界、それもOGに転生しちゃった☆
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!(白目
なんでこう、もっと平和な世界に転生出来ないかなぁ自分…。
しかもスパロボ世界でも屈指の物騒な世界であるOG系って…(白目)
更に言えば、自分の名前も問題だった。
ナカジマ家のテンザン君だった。
もう一度言うと、ナカジマ家の、テンザン君だ。
そう、あの典型的なヤラレ役にして踏台なテンザン・ナカジマだ。
終いにはEXAMもかくやのゲイムシステムで壊れて死んだと思えば、バルマーに回収されて改造人間として再登場しちゃう等、お前そんな出番多くて良いの!?とちょっと思うテンザンだ。
死ぬ(確信)
このまま原作開始を迎えたら絶対に死ぬ。
となれば、どうにかして死にたくないと思うのが人間と言うものだ。
幸いにも、ネームドだけあって、テンザンとしての自分の素のスペックはブーステッドチルドレン?とかで高い筈。
なら、死ぬ気で鍛えて生き残るために戦うのみだ。
先ずは身体を良く動かし、何か武道でもやるべきだろうな。
あ、バーニングPTが稼働し始めた時に備えて各種ゲームもやっておかないと。
ロボットに、人型機動兵器に乗りたい思いは本当だし、スパロボも全シリーズとは言わないけどやってる身だし、そこは気合入れないとね、うん。
……………
さて、色々と身体を鍛え、ゲームもやり込みまくっていた頃、ようようやっとバーニングPTの稼働が開始された。
それも世界規模で、ネットワーク対戦ありありで、更に最大50VS50での大規模対戦すら可能な状態で。
いやさ、試供品のβ版もプレイして、色々意見書出したけど、気合入れすぎじゃないですかねDC?
もっと言えばビアン博士。
あんた絶対仕事のためってよりも趣味的な理由でノリノリで作ってただろ!と声を大にして言いたい。
そんな事はさて置き、ゲームに関しては廃人かその一歩手前程度までやり込む事を第一としている今生、オレは早速バーニングPTも熱心にやり込んだ。
とは言え、このゲーム、ゲーセンの大型筐体でプレイするため、プレイ時間=やり込みのための時間そのものが確保し難い。
なので、販売元(恐らくDCのペーパーカンパニー)に問い合わせ、何とか個人用に売ってもらえないか打診した。
無論、相応のお値段(三桁万円+結構な電気代)がかかるが、背に腹は代えられない。
ここで経験値を少しでも詰んでおかねば、後で死ぬ事になるからだ。
で、正直無理かなーと思ってたのだが、案外すんなりと話が通り、一週間程で筐体が家に届いた。
それも家庭用と言う事でコインの投入口とか色々と機能をオミットしたりした奴が。
ただ、条件として定期的にプレイデータの提出が義務付けられた。
これには社員の人間が来るらしいが…うん、まぁ良いか!
どうせ逃げらんないしね仕方ないネ!
……………
家庭用バーニングPTは自分の買った奴を叩き台に結構な数が売れてるらしい。
まぁ簡易版とは言え、元々は軍用シミュレーターなのだ。
新西暦とは言え、生半可なゲームよりも遥かにやり込み甲斐があるだろうし、予想通りと言える。
だが今は既に184年、水面下では色々と動いている事を思うと、胃がキリキリしてくる。
とは言え、今現在のオレには大学とジムに通いながらバーニングPTをする位しか手の打ちようがない。
幸いにも、ネットワーク対戦含めてスコアは順調に伸び、現在は20位にランクインしている。
何れは世界ランキング第一位も夢ではないだろう。
そんな日々を過ごしていると、唐突にオレは予期しない出会いに遭遇した。
自宅への帰り道で、行き倒れに遭遇したのだ。
面倒にならない長さで切ったボサボサの髪をした、中学生程度の少年が、ヤ〇チャポーズで。
「おい、おい、意識はあるか?」
少し強めに肩を叩きつつ、声をかける。
何かの持病の可能性もあるため、迂闊な振動は与えられないし、直ぐにでも救急車や警察に連絡する必要があるかもしれない。
本来なら、こんな予定にない事なんて放っておけばよいものを、ついつい助けてしまうのは前世での教育のお蔭だろうか?
「あ……ぅ……。」
「んん?」
身体を横向きから仰向けにすると、少年が呻き声を漏らすが、オレはその少年の顔にデジャビュを感じて思わず動きが止まる。
すると、少年は口からぼそりと何事かを呟いた。
「お腹…減った…」
同時、ぐぅ~…となった腹の音が、人気の少ない高級住宅街に響いた。
……………
「ガツガツガツガツガツ!!」
一心不乱に家政婦の作った料理を貪る様は、高校生らしい食欲に溢れていた。
先程までの元気の無さは消えているため、こちらとしては随分とホッとした。
何でも、彼はバーニングPTがやりたいがためにこの街まで来たのだと言う。
自分の街には無いため、態々バーニングPTがあるこの街のゲーセンへと通っていたのだとか。
しかし、金の無い学生がそんな事をすればあっと言う間に金欠になるのは当然だった。
移動費を電車から自転車に代え、食費を切り詰めても、それでもなおバーニングPTのプレイ料金は高いものがある。
テンザンである自分の様に収入があるか(スポーツ大会等の賞金やゲームの賭け試合等)、又は悠々自適の高等遊民でもない限り、バーニングPTは高すぎる。
既存のハードを用いた家庭版とかでもない限り、あのデカい筐体でのプレイはそれはもうお金がかかるのだ。
だが、この少年の持つ情熱はとても共感できる。
こちとらスパロボ歴の長いのロボオタである。
無論、それ以外も好きだが、ロボ物が特に好きなのは変わりない。
彼と同じ状況になったら、多少生活が苦しくなろうが、同じような事をするのが目に見えている。
「なぁ坊主、どうせだからうちの筐体使うか?」
「へ?」
「実はオレ、家庭用のを持ってるんだわ。何時もは無理だが、ある程度は融通してやれるぞ。」
「ほ、本当ですか!」
「つっても、あくまでリアル優先だ。学生なんだろ?勉強もしっかりやるのが条件だ。」
と言う訳で、ロボ好きの先輩として、後輩にえぇ格好しいをするのだった。
「あ、ありがとうございます!ご飯だけじゃなくバーニングPTまで!本当に何て言って良いか!」
「いいさいいさ。ただ、条件はきっちり守れよ?」
「はい!あ、そう言えば名前言ってませんでしたっけ?」
「だな。オレはテンザン・ナカジマ。バーニングPTでも結構な腕自慢だぜ?」
「あはは、僕はリョウト・ヒカワです。バーニングPTは先月から始めたら嵌まっちゃって…でも周りじゃあんまりやってなくて。話せる人と出会えて嬉しいです!」
「おう。んじゃ飯食ったら筐体に案内するからな!」
「はい!よろしくお願いします!」
この時のオレの驚きは、もう言葉に出来なかった。
幸いにも、一周回って落ち着いたから何とか返事も出来たし、怪しまれる事も無かったが。
(おいおいどうなってんだこりゃ…。)
リョウト・ヒカワと言えばご存じスーパーロボット大戦αのリアル系男主人公だ。
シリーズでも最高峰の念動力者であり、四人の男性主人公の中でも最も格闘・射撃が高いと言う素晴らしいスペックを持っており、ファンからの人気も高い。
OGではビアン総帥に直々にスカウトされるが、所属したDCのAM部隊では当時は弱かった事もあり、捨て駒にされた所を鋼龍戦隊に拾われる事となる。
まぁ原作でもテンザンはリョウトとゲームを通して面識はあったため、そこまでおかしな事ではないだろう。
だが、余り仲良くなりすぎるのも問題が出る可能性がある。
何せ彼は後々DCから地球連邦軍へと移籍し、マオ社へと出向する事になり、テストパイロット兼技術者として多くの功績を果たしている。
特にヒュッケバイン(エクスバイン)とオプションのAMシリーズ開発で重要な役割を果たしている。
しかも、パイロットとしても念動力者の力を活かして大活躍するのだ。
下手に仲良くしてDC側に残られても問題がある。
しかし、彼の技術が自分の側で生かされるとなれば、それは自分の生存率向上に大きな助けとなる。
無論、DCにいた頃のリョウトはパイロットとしても技術者としても覚醒していないので、色々と助けは必要だろうが。
喜々としてバーニングPTの筐体に乗り込む彼を見ると、今から色々仕込んでおけば行けるんじゃね?とも思うのだった。
……………
原作まで後一年と言う頃、オレことテンザンとリョウトの仲は良好だった。
この歳になっても原作と違ってさっぱり背丈の伸びないリョウトを弟分の様に可愛がりながら、週に二度は訪れるリョウトを歓迎し、共にバーニングPTをやり込む日々を送っていた。
途中、リョウトの4人の姉達や道場主であると言う父親が訪れた時もあった。
どうにもリョウトは家族とは距離があると考えているらしいが、家族からすれば可愛がり方が少々ずれているだけで、きちんと愛情あっての事らしい。
まぁ嫌がるリョウトに似合うからと女の子の恰好をさせたり、機械弄りやゲームが大好きな子に跡継ぎとは言え空手を無理に仕込めばそりゃ嫌われると思う。
しかも、中学生になったばかりの年頃の子となれば思春期も重なり、家族と距離を置きたいと考える事もある。
要は互いに適度な距離感を持つ事が出来なかった訳だ。
それがオレの家と言う避難場所を得た事で、リョウトは家族と適切な距離感を持つ事が出来た訳だ。
また、オレに依存されても将来困る事になりそうなので、きちんと学校や家庭にも力を入れ、オレの家に来るのはストレス発散のためにする様に、と約束していたのだ。
そのお蔭か、リョウトは特に出禁になる様な事もなく、あの行き倒れな出会いからずっとオレの家に来てはゲーム三昧&寛ぎタイムを貪っている。
ご家族からはくれぐれもよろしく頼むと言われているが、時折勉強も見ていたりもするので、今はそれで勘弁願いたい。
その内、嫌でも高給取りになるだろうからさ。
……あぁホント、自分の都合でこいつを巻き込む算段を立ててる自分に腹が立つ。
……………
その青年が注目を集め始めたのは、或る意味で当然だった。
成績優秀、スポーツ万能、文武両道。
原作であった様な小太り、傲慢さと享楽主義な所が抜け、己の身体を鍛えた彼は力士体形とも言える姿となり、見る者に威圧感を与えるも、本人の真面目さと誠実さがそれを補う。
それだけ見れば探せばまぁいるかもしれない程度の人間なのだが…おかしいのはそこから先だった。
青年、テンザン・ナカジマは何故か人を理解する事に長けていた。
そうした才能がその少年にはあった。
しかも、どういう理由なのか、独特の脳波まで発しており、念動力者とはまた別種の異能の可能性が高かった。
更に素のパイロットとしての技能もまた民間人どころか軍人でも類を見ない程だった。
そんな稀有な才能をDCが見逃す筈もなく、彼は自身の知識と予想通り、DCへパイロットとしてスカウトされる事となる。
ビアン・ゾルダーク総統直々に。
更に言えば、それは何時も一緒にいた
誤字修正しました。