徒然なる中・短編集(元おまけ集)   作:VISP

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リクエストネタ 嘘予告版

題名通り、リクエストしてた各ネタの嘘予告版です。

本当ならリクエスト期間中に投稿予定だったのですが、リアルで忙しかったのでこのタイミングとなりました。

大変申し訳ありません。

 

 

 

① 転生モーさん改訂版

 

 

 何故実の父から王位を簒奪したのか?

 マスターからの問いに、フンとモードレットは鼻を鳴らして笑った。

 

 「血の繋がった親子?阿呆、血縁だろうが恋人だろうが殺し合った歴史なんざ腐る程あるだろうが。」

 

 そう言って、叛逆の騎士は吐き捨てる。

 所詮、己の行いすら歴史に幾度もあった恒例行事に過ぎぬのだと。

 

 「我が母たる毒婦を殺し、地母神の系譜としての権能を簒奪した。我が父たる騎士王を廃し、ブリテンでの覇権を奪った。」

 

 当時、既に民草は限界だった。

 どこを振っても小麦一つ芋一つ出ず、ただただ疲れ、飢え、傷ついていた。

 争いを止め、飢えを満たしても、薄れゆく神代の空気がやがて彼らを殺すだろう。

 しかし、神代の去りし世界の裏側、古きテクスチャの上であろうと、ブリテン人の多くはその濃すぎる神秘に適応できない。

 

 「全部は救えん。そんな機会は疾うに過ぎ去った。だから、救える分だけ救った。」

 

 奪い取った聖槍にて世界の裏側への門を開き、そこを潜れる者のみを己が民とした。

 そして、残った民草にはこの地で死ぬか、キャメロットの残党と共にフランスのランスロットの領地へと逃げ延びるかの二択を強いた。

 結果、多くの民草がブリテン島に残る事を選択し、大よそ三割程がキャメロットの残党と共にフランスへと離脱した。

 たとえ神代の空気が無ければやがて死ぬと分かっても、叛逆者と共にいたくはなかったからだ。

 無論、彼らとて本当なら叛逆の騎士に従う理由はないし、言いたい事は沢山あった。

 しかし、彼らには出来なかった。

 多くの者が既に傷つき、疲れ果てていた事もあった。

 だが、何よりも大きかったのは常勝無敗の騎士王を打ち破り、聖なる槍と剣を手にし、全盛期を迎えた叛逆の騎士とその部下達に勝てぬと判断したからだ。

 残った民草に、モードレットは何もしなかった。

 ただ介錯の要不要のみを問い、素気無く断られてからは早々に彼らの前から姿を消した。

 その後は適性があり、本人らも了承した民草と共に門を潜り、世界の裏側へと旅立った。

 残された民草が飢餓地獄を迎え、僅かな食糧を巡って争い合い、殺し合い、最後には共食いの地獄絵図となる事を理解しながら。

 

 「別に忠義が無かった訳じゃない。だが、騎士王や花の魔術師はオレを目の敵にしていた。」

 

 無論、二人にも言い分はある。

 何せモードレットはあの毒婦モルガンの末の子。

 円卓には他に幾人もモルガンの子はいるが、その薫陶を最も強く受けて育ったモードレットを警戒しない訳がなかった。

 また、モードレットの出生に纏わる「5月1日に生まれた子が騎士王とその国を亡ぼす」予言もあり、ブリテン島の同じ日の生まれの子供達は皆船に乗せられて流された。

 この時、ホムンクルスとして既に自意識のあったモードレットは騎士王とその一派への憎悪を燃やしていた。

 それでも前世の記憶を引き継いでいた彼女は、ブリテン島唯一と言ってもよい統一政権が消えた場合の混乱を想定して、叛旗を翻す事は無かった。

 しかし、戦況の悪化に伴い、彼女の領地にて彼女が不在の時に起こった強制的な食糧の徴収が起こると、温厚な彼女の堪忍袋の緒も切れた。

 加えて、他の領地よりも豊かである事を理由に重税が追加される事となり、事ここに至り、兜の騎士は叛逆の汚名を被る事を決意した。

 無論、騎士王にも言い分はある。

 他の領地はもっと余裕がなく、飢えていたのだから、比較的余裕があるモードレットの領地からその分だけ出してほしいと。

 だが、彼らの食料はモルガンを殺して奪ったモードレットの権能を用いた世界の裏側での狩猟を活かしたものであり、その気になれば騎士王らも利用できる。

 実際、モードレットはそれをカードに交渉する用意をしていた。

 しかし、予言の子に貸しを作る事を否とした騎士王らの判断により、強制徴収及び増税という悪手を打った。

 それがモードレットに最後の一線を超えさえた。

 

 「最早是非も無し。暗愚に落ちた騎士王を討つ。」

 

 こうして、兜の騎士、反逆の騎士、赤き竜の末たるモードレットは歴史に名を刻んだ。

 

 

 

 

 ②旧神×GATE改訂版

 

 

 あのクラインの壺での繰り返しが終わってから長い、本当に永い時が過ぎ去った。

 人を止め、人外に成り、遂には邪神の一柱と成った。

 だが、その後も彼女達の戦いは終わらなかった。

 寧ろ、これからが本番とばかりに、その戦いは加熱し、加速した。

 理想は未だ遠く、崇拝し、尊敬し、憧憬し、熱愛する二人はいつも血塗れで先にいた。

 それでも、あの二人の後ろなら耐えられた。

 だが、それが崩れたのは何時だったろうか。

 彼ら夫婦は、大十字九朗は、アル・アジフは、マスター・オブ・ネクロノミコンは、旧神は、無垢なる刃は、邪悪を討つ狩人は……

 

 

 『           !!!!!!!!!!!』

 

 

 何時からかその精神を摩耗させ、ただただ邪悪を討つ力の塊と化していた。

 

 「もう言葉も忘れたか…。」

 「やるぞ、アーリ。」

 「あぁ。行こっか、リーア。」

 

 こうして、堕ちた旧神と反逆した邪神の戦いは始まった。

 その戦いは秘術を、知識を、魔力を、神秘を、力を、己が全てを出し切る戦いだった。

 片や邪悪なる全てを破壊せんとする堕ちた旧神。

 片や旧神を屠るために鍛造された無貌の邪神の一欠片。

 その戦いは前神未到にして空前絶後。

 万物が消滅し、概念が破壊され、無が創造される。

 剣の一振り、拳の一当てで一つの銀河が、一つの宇宙が両断され、砕け散り、消えていく。

 神々ですら慌てふためいて逃げ去り、戦きながら逃げ出すその闘争を、しかし無貌の神はしっかりと見ていた。

 

 「そう、これだ。君は、君達はこのために生み出された。」

 「全てが消え去る前に、元凶を消し去る。それがお前達の本来生まれ持った役目なのだ。」

 「肥大化に肥大化を重ね、遂には癌化した最も新しき旧き神。」

 「それを切除するのは、人の如く自己を研鑽し、人を愛し、人と共にあらんとする我が化身。」

 「「さぁ、全てが終わる前に、君達の全てを終わらせてくれ。」」

 

 その闘争が何時終わったのかは誰も知らない。

 何せ時間という概念すら破壊した果て、空間すら濡れた紙の様に引き裂かれた後の事。

 両者の戦いが終わり、彼らがどうなったのかは誰にも分からなかった。

 しかし、親としての繋がり故に、無貌の神だけは己が子供らが何処へ墜ちていったのかは知っていた。

 

 

 

 東京某所 どこかのマンション 

 

 「あぁ~~だる~~。」

 「あ”あ”あ”あ”あ”~~。」

 

 無地で白のタンクトップとパンツだけとそっくりな銀髪碧眼の双子の少女が、窓全開にした状態で片や日陰でアイスをかじり、片や扇風機の前で意味のない声を垂れ流す。

 こいつら、完全に弛みきっていた。

 

 「あんな濃過ぎる決戦したんだから、百年単位でぐーたらしても良いと思うんだ。」

 「誰に言ってんだ誰に。」

 

 そんなメタい会話を挟みながら、二人とも動かない。動きたくない。

 家事に関しては気が向いた時だけで、後は召喚したショゴス(給料は1日10kgの最高級鶏肉)にやってもらう。

 もう一度言おう、こいつらだらけ過ぎである。

 なお、時折どっかの益田照夫とその奥さんや親戚同然の暴君が遊びに来たりする。

 

 「んあ?」

 「む。」

 

 不意に、二人の視線が彼方へと向けられる。

 その先にあるのは日本の首都東京、その中心に近い銀座。

 未だ姿こそ現していないが、その只中に一瞬だけ「この世界の理から外れた門」が現れた事を知覚していた。

 その姿こそ変わりないが、一瞬にして纏う雰囲気が「狩人」の其れへと変質した。

 

 「何だこりゃ?」

 「転移門だな。しかし、随分雑な…」

 

 とは言え、見過ごす道理はない。

 二人は久方ぶりの己に課した使命を果たすべく、行動を開始した。

 

 「行くぞ、アーリ。」

 「あいよ、リーア。」

 

 こうして、何処とも知れない世界で、未だ誰とも知られていない者達との闘いが始まった。

 

 

 

 ③ Fate系完全新作(アキレウス・アタランテ・ノッブの家臣のどれかに転生)

 

 

 候補1、アキレウス

 

 アキレウスに転生する話。

 母親である女神テティスと英雄ペレウスとの間に生まれた。

 が、人理に名を刻む英雄として生を受けたがために、その生涯には多くの困難が運命づけられていた。

 テティスは母として女神として我が子を案じ、神聖な炎で身体を炙る事で不純な人間の血を追い出し、不死の神として再誕させようとしたが、それは我が子が長じてから決める事として完全に人間性を放棄させる事に反対、伝承通り踵だけは炙らなかった。

 やがてテティスが神界へ去ると、ペレウスは確実に己を超えるも、苦難が約束された我が子を鍛えようと賢者ケイローンに預けるのだった。

 

 「さてアキレウス、貴方は何を目指すのですか?」

 「はい先生!僕は将来医者か学者を目指したいです!」

 

 日本での前世知識あれば、そりゃ蛮人ギリシャ世界での争いに参加したいとか思わないわな。

 これは人理に沿った歴史のため、ケイローン先生(両刀既婚者)が何とかアキレウスを戦争大好きぶっ殺ラブ略奪ヒャッハーなギリシャ系バーサーカーに更生するための物語である!(大嘘)

 

 「おや、こんな所に訳ありそうな美人が。」

 「え?あ、貴方何者よ!」

 

 なお、ヒロインは薄幸のバツイチ経産婦なメディアさんの予定。

 

 

 

 候補2、アタランテ

 

 現代社会生活に摩耗し、自然を愛するようになった人が転生したアタランテの話。

 アルカディア王イアソスさんが「オレ跡継ぎ男欲しかったから娘はポイーで」と赤子を森に捨てた所からお話開始。

 森に捨てられて動物にムシャムシャされる運命の赤ちゃんを憐れんだやらかし系(ギリシャの神は大体そう)月の女神アルテミスにより派遣された雌熊によって乳を与えられ、養育された。

 ここまでは良い、正史通りだった。

 しかし、この社会生活嫌いなアタランテ、何を思ったのか狩人に見つかる事なく、雌熊と共に森での生活を続行。

 何がどうなったのか、それとも神獣たる雌熊の乳を飲んだからか、それとも転生特典か、このアタランテは10歳になる頃にはそのままその周辺一帯の森の主となってしまった。

 つまり最初からアタランテ・オルタな状態なのだ。

 なお、この時点で未だギリシャ語&ギリシャ式生活習慣未収得である。

 それでも辛うじてアルテミスを信仰してるのは、神獣たる雌熊の教育の成果だった。

 これにはテキトーな事で有名な女神も流石にアカンと思ったのか、アルテミスは狩人達に神殿を通して神託を下し、何とか人として、乙女としての生活をさせようと思ったのだが…

 

 「ガロロロロロロッ!!」

 「く、何だこの娘!?」

 「一時撤退だ!俺達じゃ歯が立たん!」

 

 が、無理。

 悉く返り討ちに会って失敗。

 そりゃー矢よりも速く走る完全な野生児だもん、仕方ないよネ。

 

 「ヘラクレスぅー!お願い、あの子を何とかして!」

 「……それ、試練には…。」

 「カウントしないわよ?その代り私特製の弓矢あげるからガンバ!」

 「心得た…。」 

 

 そして来たるはギリシャ神話最終兵器ヘラクレス!

 彼女の明日はどっちだ!

 

 

 

 候補3、弥助に転生

 

 皆さんは信長の家臣になった黒人、弥助について知っているだろうか?

 戦国時代において、所有者である宣教師と共に来日した唯一の黒人奴隷であり、献上品として信長に贈られ、後に家臣として召し抱えられた。

 で、VISPのFate時空なので勿論TS転生しており、自分の生まれた時代よりも遥か昔とは言え故郷に戻れた事で大変テンションが高くなっていた。

 具体的には観光に来てはしゃいでる外人さん位に。

 

 「ハァイ信長様!邪魔ダッタ木抜イテキマシタ!」

 「おぉよくやったぞ弥助!これで行軍もしやすくなるのぅ!」

 

 気に入られて士分を与えられた後は大体こんな感じで仕えてた。

 が、ノッブは当初黒人奴隷を見た時、その存在を信じなかったという。

 そのため、衆目の下で肌を晒して洗うように言うと、弥助を一目見ようと見物客が大量に集まり、喧嘩騒ぎまで起こったという。

 で、実際に裸になって洗ってみると肌の汚れが落ちて余計に黒く艶々になるだけで墨も何も塗っていない事が分かってからは宣教師と交渉して弥助を譲ってもらい、士分を与えられ、ノッブの傍に仕えた。

 その外見は黒人特有の黒に近い肌、ポニーテールにした縮れた髪、2m程の当時の日本人からは有り得ない身長を持っており、その内面や能力に関しても変わっていた。

 兵士10人以上と綱引きで勝ったとか、道にはみ出てた大木を引っこ抜いたとか、大岩を投げつけた、丸太を武器にして戦った等、枚挙に暇がない。

 知識においても宣教師らから学んだらしく、日本の外の国際事情にも詳しく、後に信長の海外遠征や対外防衛戦略に関してその知識で大きな助けとなった。

 サルこと秀吉とはそこそこ仲が良く、彼に外国での知識を応用して調合した精力剤等を贈っていた事が後世で発見された手紙から知られている。

 が、彼女の最大の功績はそこではない。

 

 弥助の歴史上最大の功績、それはあのノッブの命を救った事にある。 

 

 あの本能寺の変、明智光秀の謀反の際、鉄製の桶(大事な茶器用)にノッブを詰め、背格好が似ていた蘭丸にノッブの恰好(所謂南蛮胴具足)をさせて、自身は寺の予備の柱を引っこ抜いて振り回して一暴れして場が混乱してから離脱した。

 なお、ノッブは「是非も無し」と言って討ち死にするつもりだったが、小姓であった蘭丸と相談した後に後頭部殴って気絶させて桶に詰め込んで出荷された。

 脱出の際には12発の鉄砲を貰うも、鉄製の桶のおかげでノッブはたんこぶだけで無事だった。

 しかし、弥助本人は重傷を負い、信忠の下にノッブを送り届けた後、

 

 「大殿ト一緒デトテモ楽シカッタデス!アリガトウゴザイマシタ!」

 

 笑顔で告げて、事切れたと言う。

 こうして日本史に大改編をやらかした彼女は、割とあっさりと亡くなったのだった。

 なお、この歴史が異聞帯になるかは未定。

 カルデアではグダグダイベント三回目にして☆4配布鯖として実装。

 

 「信長様、オ久シブリデス!」

 「おおおおおお!?今回は弥助かよ!久しぶりじゃなぁ!」

 「おお、この人がノッブの命の恩人ですか。」

 「信長様コソ私ヲ大事ニシテクレマシタ!オ相子デス!」

 「そうかそうか!……所でワシの大事な茶器に関しては……。」

 「アノ世ニオ金ハ持ッテイケマセン!命大事ニ!」

 「それはそれ、これはこれじゃー!あれ一体どん位価値あると思っとるんじゃ!?」

 

 なお、クラスは安定のバーサーカー。

 通常武器はそこら辺で拾った大岩や丸太、時々大砲ブッパ(史実)で、宝具はノッブを入れてた桶だよ!

 

 「なぁ弥助よ、なんかその桶見てると頭痛くなるんじゃが…?」

 「気ノセイデス!」

 

 なお、似非外国人的口調でもケツァル姐さんと被らないのは、あっちが姉御肌なのに対してこっちはただ単に呑気で明るいだけだから。

 受けた恩は命を懸けても返す。

 御恩と奉公に正しく報いた日本初の黒人として、人理に刻まれる。

 

 

 

 候補4、H×Hで脳内Wikipedia持ちの作家

 

 殆ど何も考えてなかったので省略。

 

 


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