徒然なる中・短編集(元おまけ集)   作:VISP

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なんか好評なので続けてみました。
皆さん、毎度感想ありがとうございます。


艦これ短編 深海工廠艦が逝く2

 戦場には多くの噂がある。

 謂わば都市伝説の類なのだが、ジンクス等と同じく、最前線の兵士達は割とこういった事を信じる者が多い。

 曰く、たった一機の攻撃機に戦車大隊が壊滅した。

 曰く、ムーミン谷には白い死神がいる。

 曰く、日本兵士は片腕だけになっても狂った様に戦い続ける。

 と言う様な、一見信じられないものも多いが、こういった形で広まる話は割と結構な割合で警句でもあり、それ故に馬鹿にならない。

 これは深海棲艦と言う人類の天敵を相手とした戦争において、艦娘と言う特殊過ぎる半ば以上オカルトな兵器が主流となりつつある頃に流れた噂だった。

 

 曰く、ポリネシア諸島の何処かにある無人島で、深海棲艦が平和に暮らしている。

 曰く、そこでは野良や脱走した艦娘達も大勢暮らしている。

 曰く、そこでの暮らしはまるでこの世の極楽の様だ。

 

 信憑性は一切ない。

 しかし、最前線にいる事に倦み疲れた艦娘の間で、この噂は実しやかに囁かれ続けていた。

 

 

 だが、その噂の出所となった場所では責任者が「どうしてこうなった」と頭を抱えていたのだが。

 

 

 ……………

 

 

 深海工廠鬼率いる工廠艦隊(仮称)は、現在ポリネシア諸島某所に存在する大きさ約3㎢程度の無人島に滞在していた。

 

 「此処をキャンプ地とする!」

 「「「(ノ・ω・)ノ オオオォォォー!」」」

 

 公共の電波を違法受信した事で急速なネット文化の汚染を受けている工廠艦隊だが、やる事は極めて真面目だ。

 即ち、この無人島を自分達に住みよい物へとする事だ。

 とは言え、小さな無人島である。

 取れる資源は限られ、北側の岩場に軍港を建設する事を計画しつつも、何とかサバイバルをする必要があった。

 資材だけで生きられる深海棲艦と言えど、それ以外の食べ物を美味しく食べたいと言う欲求は当然ながら存在する。

 しかし、そのための食材等はやってきたお客様からのもので殆どを賄っていたため、貯蓄はあれども作物や家畜の生産プラント等は用意していなかった。

 暫くは通常資源(鋼鉄や燃料、ボーキ等)で腹を満たしつつ、何とかやり繰りする事が決定した。

 とは言え、最低限の家屋等は深海工廠鬼の白鯨型艤装から持ち出した組み立てキットで即日で出来たので、割と順調な滑り出しと言えた。

 

 到着して二日目、最初に取り掛かったのはこの島周辺の詳細な測量と資源調査だった。

 周辺には此処よりも大きな無人島は無く、或るのは岩礁より多少はマシ程度の浅瀬だった。

 何よりも収穫だったのは、海底資源が割と豊富であると言う事だった。

 海底熱水鉱床と言って、高温のマグマが海水で冷却され、その中の鉱物資源が海底に堆積する形で出来る鉱床の事だ。

 これが割と近場に幾つもあり、金属資源に関しては困る事は無いと判明した。

 海底を主として活動する工廠艦隊にとって、急なマグマの活動さえ注意すれば、この場所は宝の山だった。

 だが、このままでは石油や弾薬に関してはこの辺では得られない事が分かった。

 まぁゲームがおかしいのであって、そう簡単に無人島とかに原油やボーキサイトが湧いて出る訳が無いのだが。

 とは言え、弾薬に関しては施設さえあれば、鉄と水素に窒素を用いたハーバーボッシュ法でアンモニアを合成してから火薬を生成できるし、何なら肥料を作る事も出来る。

 そして石油だが…こちらは近場のオセアニア方面に海底油田が分布しているので、そちらに潜水艦で構成された分艦隊を派遣、資源調査する事になった。

 海底油田であっても、海底で作業する深海棲艦なら割とどうとでもなるだろう、と言う楽観混じりの考えだったが…海底油田の詳細な分布が判明後、輸送ワ級を海底資源採取用にした資源作業ワ級改及び海底に設置した石油汲み上げ装置を合わせて、安定した供給を実現してみせる事となる。

 

 さて、島の大改造だが、こちらは深海棲艦の膂力と工廠艦隊特有の技術力を用いて、割とあっさりと進んでいる。

 岩や岩盤は素手で容易に砕け、どうしても駄目なら砲撃で除去し、工事はどんどん進んでいった。

 半年もする頃には凡その形が出来たものの、どうしてもコンクリートの消費に生産が追い付かず、島の要塞化とまでは出来ずとも、港湾設備は形にする事が出来た。

 

 そこで問題が起きた。

 否、判明したと言うべきか。

 

 人手が足りないのだ。

 確かに嘗て白鯨型艤装内でやった様な、南国バカンス向けの宿泊施設やレジャー施設の建設及び弾薬の作成、海底から採取した各種資源の精製等が出来る工業設備も揃えた。

 だが、それを維持・運用するだけの人手で精いっぱいであり、全員が求めていた快適な生活には程遠いブラック環境だった。

 どれだけローテーションを見直しても、人手不足だけはどうにもならず、艤装内の深海妖精達(黒くて二頭身の駆逐級3種の頭を持った掌サイズのSD人型)を他の深海棲艦の残骸から回収して増やしてはいるものの、どうしても人手が足りない。

 しかも、そうなるともしもの時の防衛時に物量で磨り潰される可能性も高くなってくる。

 例え百発百中の砲が一門あっても、百発一中の砲が百門あれば負けるのだ。

 既に作成済みの武器はどれも前世で言う所のレア以上であり、強力なものなのだが…如何せん疲労が溜まっている上に、艦種が自分を除けば軽巡・重巡・雷巡・潜水艦・駆逐艦・輸送艦・ついでに船渠鬼のみなので、ある程度島に設置された砲台からの支援を受けられる近海を除けば、正面戦力に不安があった。

 もしこちらの対処能力を超える人類勢力及び深海棲艦側の主戦派の大艦隊が来襲してきた場合、この島を放棄するしか選択肢が無かった。

 

 そんな難題に頭を抱えていた時だった。

 この島の近海に生きた艦娘が漂流してきたのは。

 

 その艦娘を近海を哨戒していた軽巡率いる駆逐艦隊が曳航してきたのは、未だ昼前の事だった。

 通信で知らされて30分も前から軍港に待機していた工廠鬼並び護衛の重巡部隊は、実際には初めて見る艦娘に興味と共に警戒を抱いていたのだが…一目見て即座に入梁させる事を決意した。

 その艦娘は当然と言うべきか、沈没寸前であり、虫の息だった。

 直ぐに鉄くず同然の艤装を外し、念のために手錠足枷等を嵌めた上で高速修復剤入りの修理施設へと叩き込んだが、修理には高速修復剤を使っているのに、数時間はかかりそうだった。

 さて、この艦娘だが、その素性は直ぐに分かった。

 と言うか、襤褸切れ状態だが元は黒い制服に赤いネクタイと白いスカーフ、セミロングの黒髪は後ろで三つ編みにされ、何処かボーイッシュさを感じる小中学生程度の少女の外見をした艦娘、と言う辺りで凡そ当たりが付いた。

 そう、白露型駆逐艦2番艦、その容姿と一人称からよくガンキャノンや男の娘と言われ、何故かヤンデレ枠にされてる時雨である。

 

 三日、それが彼女が目覚めるのにかかった時間だ。

 高速修復剤を使用して、損傷こそ治ってなお、彼女の体はとても衰弱し、疲弊していたからこそかかった時間だった。

 そして当然と言うべきか、深海棲艦に囲まれ、拘束された状態なのに、目覚めて直ぐに彼女は激しく暴れ出した。

 なので、慰めるのもやり方分からんし、燃料もほぼ0、艤装も無しなので、大人しくなるまで放っておく事にした。

 無論、舌を噛み千切られては証言が取りづらくなるので、最初から猿轡を嵌めていたからこそなのだが。

 で、結局一時間もしない内に静かになったので、重巡二名に様子を見にいってもらった所、すっかり落ち着いていた。

 そして、空腹と言う事なので、こちらの食糧を与えつつ、話を聞いた所…酷かった。

 

 時雨は、元は日本の鎮守府に所属し、仲間達と共に深海棲艦と戦っていた。

 大日本帝国海軍ではなく、自衛隊から日本国防衛隊と名を変えても、彼女の戦意に些かの陰りもなかった。

 問題が起こったのは、政府野党と過激な人権団体が「艦娘脅威論」を唱え出した時からだった。

 それまでの艦娘への扱いは法律上、日本国民と同じ扱いだった。

 見目麗しい乙女が、国を守るために命がけで戦い、しかも給料の一部はしっかり税金として納めているのだ。

 これ以上の資格があるだろうか?

 しかし、深海棲艦という酷似した性質を持った化け物にシーレーンをズタズタにされ、国土の一部を蹂躙され、大勢の国民を殺された人々は違った。

 違ったが、それは極一部の過激な人々の話であり、東アジア地域を中心とした人類の生存圏を守っている艦娘を排斥する訳にはいかない。

 しかし、提督と言う特殊な人々の一部はそう考えなかった。

 この時代の提督、と言うのは単に海軍の将校と言う意味ではない。

 妖精さんと言われる、深海棲艦に対応可能な武器及び艦娘を生み出す事が出来る唯一の存在がいる。

 的が小さい癖に第二次大戦中の水上艦艇並の装甲を持つ深海棲艦に対し、核兵器含む大抵の精密誘導兵器が余り有効とは言えない現状、その価値は測り知れなかった。

 そして、提督とはそんな妖精さんの姿が見え、触れる事が出来、ひいては艦娘と常人よりも遥かに友好に接触できる人種を指していた。

 その適性は誰にあるか一切不明なので、日本では国中を艦娘と妖精さん達と共に虱潰しに探し、見つけ次第片っ端から提督として強制徴用されていた。

 そう、強制なのだ。

 何せ適正を持つ者は少なく、極めて貴重なのだ。

 しかし、そんな事情は将来に自分なりの目標や夢を持ち、それに精一杯努力してきた者達には意味がない。

 提督適性があるからと言って、高校生以上かつ任務遂行困難な傷病を持たぬ限り、全ての人間が徴用された。

 これに対し、提督らの矛先は艦娘へと向かった。

 だが、それで暴力沙汰になる事は殆どなかった(艦娘を人力で殴っても怪我するだけなので)。

 だが、時雨の提督は違った。

 詳しい話は知らないが、後少しだった子供の頃からの夢を提督と言う仕事によって潰され、その怒りのはけ口を艦娘達に求めたのだ。

 直接的な暴力ではなく、それとなく理屈をつけて艦娘達に無理を重ねさせ、撃沈させていったのだ。

 軽い時は編成やローテーションの唐突な変更、酷い時には大破進撃や無休憩・無補給出撃等、本当になりふり構わず艦娘を殺そうとしていたと言う。

 無論、その事を大本営や憲兵に告げた所で、一見「多少人員の入れ替わりの多い鎮守府」としか見られないのだ。

 戦果はしっかり出しているし、証拠らしい証拠もなく、何より大本営からの指示に提督が従順だった事が災いした。

 そして、艦娘と言う資源と設備さえあれば量産可能な戦力を使い潰すのは、一部では寧ろ人間の兵士を使い潰すよりも人道的だと言われてすらいる。

 この様に軍内部でも様々な意見がある事から、艦娘は余計な混乱を避けるために原則的に鎮守府で缶詰であり、外との交流が極端に少ない閉鎖空間住まいだった。

 これが所謂ブラック鎮守府が表に出る事が無い原因だった。

 しかし、提督と言う貴重な人材を運用するためにも、使い捨ての効く艦娘の待遇は無視される傾向があったのも事実だった。

 こうして時雨の提督はそれなりの戦果を挙げつつ、多くの艦娘を自身の怒りのはけ口として沈めていった。

 本当に、嫌になる程陰湿で狡猾な提督だった。

 そう、過去形だ。

 その提督はもういない。

 相棒にして姉妹だった夕立が自分を庇い、深海棲艦に沈められた直後の帰投で、時雨は旗艦としての報告を行うその足で提督を殺害、何とか物資を補給(=強盗)して逃げ出したのだと言う。

 この時雨は、提督(=上官)殺しだった。

 無論、捕まれば死地に送られるか、解体は免れない。

 だからこそ、彼女は海の果てまで逃げ続け、遂には人界の果てまで来たのだ。

 

 お前雪風並の幸運はどうした、と言うドン引きな話だった。

 これに対し、工廠鬼らは特に罪を問うつもりはなかった。

 っていうか、深海棲艦が出現しなければ起きなかった話だし、此処で問題起こさなければどうでも良い話だった。

 問題は、人類側がこれでは自分達の様な戦争反対派(暫定)が白旗振っても撃沈される可能性が高いと言う事だ。

 まぁ、自分達は彼らから見れば侵略&虐殺した側なので仕方ないのだが…。

 

 さて、そこで時雨の扱いだが、取り敢えず暫くはこの島にいてもらう事にした。

 人手が足りないし、食い扶持と消費した資材分は働いてもらいたかったと言うのもある。

 そして、ある程度こちらに馴染んだら、彼女の様な脛に傷を持っている者や野良の艦娘を集める勧誘員として働いてもらいたかった。

 行き場のない者達なら裏切りの心配も少ないし、この島から米国よりの海域はハワイを中心に深海棲艦が日本近海以上に大量に湧いており、此処が行き止まりと言って良い。

 そんな人界のどん詰まりと言う場所だが、近隣の島々にはこれといった深海棲艦もおらず、この島の開発が終了次第、近隣の島々の開発に着手する予定なので、上手く行けば大規模な泊地とする事も可能だ。

 しかし、それにはやはりマンパワーが足りない。

 数こそ力の深海棲艦だが、生憎とぽこじゃか量産できるのは駆逐艦に限る。

 駆逐艦については資源と設備さえあれば、それこそ日産100を超えるのだが、生憎と深海棲艦の駆逐艦は知能が低く、手も無いのでとことん作業に向かないのだ。

 どちらかと言うと、無人兵器に近い。

 翻って、次に低コストの軽巡だが、こちらは日産10程度で、10倍近い差がある。

 日々食い扶持と資源を消費し、娯楽として食料を消費する日々。

 しかも、建造したばかりの艦は経験が足らず、即座に複雑な作業が出来る訳ではない。

 その辺りは初期の工廠艦隊の様に、年単位で機械弄りするとはいかずとも、時間をかけて教えていく必要がある。

 なので、艦娘と言うある程度経験を持った人員増加の機会は見過ごせなかった。

 経験の少ない野良であっても、艦時代の経験は生かせるので、一体辺りの質は深海棲艦よりも上なため、野良でも脱走兵でも、揉め事を起こさずに仕事をしてくれるなら大歓迎だった。 

 

 「デハ、シグレハオキャクサマトイウコトデ。」

 「あぁ、お願いするよ。」

 

 そういう事になった。

 

 

 ……………

 

 

 さて、そんなこんなで時雨を客人として迎え入れたのだが…一週間とせずに馴染んだ。

 元々人懐っこい性格なのだろうが、最早無くすものなど無いという意識が彼女に積極性を持たせていた。

 また、日本人?として「働かざる者食うべからず」が身に染みているのか、その働きぶり(主に炊事・洗濯・清掃等の雑用)は実に真面目で細やかだった。

 一週間目を節目に、労わりとして皆で砂浜エリアでバーベキュー(魚介類と海藻、栽培に成功した少量の野菜のみ)した後、入梁施設と兼用の入浴施設で遊び倒した。

 そこで全員が艤装を外して水着姿になったのだが…海パンのみの工廠鬼に初めて男だと気づいた時雨が大騒ぎする一幕があったが…まぁ些細な事だろう。

 この様に十分に仲良くなったみたいなので、もう良いかな?と一ヵ月目にして、こちらの狙いを説明した。

 

 「成程ね…良いよ、その任務受ける。」

 「随分あっさりだね?」

 「命の恩人の頼みだし…似た様な思いをしている娘も多いだろうし、ね…。」

 

 故郷の行く末は心配なのだろうが、時雨には最早古巣への愛着など感じられなかった。

 やはり、夕立が味方の筈の提督の采配で沈められたのが響いているのだろう。

 

 「じゃぁお願い。ある程度噂を広める事が出来たら、成果が無くても帰ってきて良いからね。」

 「うん、分かってる。また皆でバーベキューしようね。」

 「そうだね。その時はお肉やお酒も皆で楽しもう。」

 

 そう言って、工廠艦隊一同は指揮官殺しの時雨を見送った。

 

 

 そして、一ヵ月と経たず、徐々にブラック鎮守府から離脱したという艦娘達が島の近海までやってくるようになった。

 彼女達は皆疲弊し、ボロボロの状態だったが、提督殺しの時雨から直接、或は噂で間接的にこの島の話を聞く事で、この島を一縷の希望と共に目指してきた者達だった。

 それを工廠艦隊は快く迎え入れ、回復次第労働を対価として島に受け入れた。

 この頃、深海工廠鬼は時雨の流したであろう噂を聞く事となった。

 

 (極楽て…そんな大層なものじゃないんだけどなぁ。)

 

 しかし、時雨と同じ様に行き場を無くした艦娘達にとって、深海棲艦だが人類の敵ではなく、自分達を快く受け入れてくれるこの島は確かに現世での極楽だった。

 しかし、所詮は小島、深海棲艦と艦娘の人数が200を超える頃には随分手狭に感じるようになった。

 

 「しゃーない。周辺諸島も開発しよう。」

 

 幸いと言うべきか、駆逐艦から重巡を中心に既に200を超える人員がいるため、人手不足は解消されていた。

 この人員を生かし、周辺の10余りの小さな諸島の制圧を開始した。

 とは言え、いるのは駆逐艦から軽巡だけの小艦隊程度で、後は時折前線である日本近海を目指して移動する有力な艦隊が通りがかるだけで、制圧自体は艦娘らのおかげもあってあっさり済んだ。

 そして、今まで艦娘らにも秘匿していた工廠鬼の白鯨型大型艤装(約500m)を海面にあげ、各種工具や資材等の運搬を即日開始、日没の頃には全ての搬出を終えて、また海底に戻っていった。

 

 翌日から始まったのは、岩礁よりも多少マシ程度の小島の開発だった。

 本島を守るための支城とするため、各島はコンクリートで補強され、前線拠点としての機能を付与されていく。

 武装としては漂着した艦娘の艤装を利用した各種砲台があり、大和級とはいかないが、比較的数のある金剛級、扶桑級の主砲と多数の10cm連装高角砲を改良して深海棲艦側の妖精達で運用可能としたものを設置した。

 更に回収した軽空母の飛行甲板を利用し、艦娘や深海棲艦によらず、妖精達だけで航空機を運用可能とした。

 外見は可動式の台座の上に艤装の一部だった飛行甲板が据え付けられ、その上に小さいながらも巻き糸式のボーガンを設置したもので、艦娘の艦載機だけでなく、深海棲艦の艦載機もパチンコの要領で発艦させる事が出来、普段は哨戒任務のみだが、敵が来れば各島の制空権防衛の任に就く。

 他にも地下には弾薬や燃料を始めとした各種物資の貯蔵庫を設け、他の島々との連携が途絶えてもある程度持ち堪えられるようになっている。

 これに本島との間に地下通路を掘削する予定もあったが、地下の熱水やトンネル内への海水流入の可能性が高いため、却下されてしまった。

 

 

 ともあれ、何とか人員を確保した工廠艦隊は順調にその規模を拡大させていった。

 

 しかし、今度は拡大したが故に通信量の増大と制海・制空権確保の成功から、深海棲艦の注目を集める事となってしまった。

 

 

 

 


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