ゼロの使い魔で転生記 作:鴉鷺
第三話 魔法
ついに魔法が使えるようになる5歳の誕生日の日。来年からは誕生日は社交も兼ねるとか何とか。
「レイジ、杖の契約をしなさい」
父であるグスタフ・ザール・フォン・ザクセスが、20サントほどの杖を渡しながらそういう。
「分かりました。因みにどのくらいかかるものなのでしょう」
「そうだな、私は確か一月ほどかかったかな。まぁ気長にやりなさい。ティナもいることだ」
「分かりました。では、」
そう言いオレは父の部屋から踵を返して出る。なるほど一月ね。まぁ気長に行こうか。
「ねぇレイちゃん。杖貰ったの?」
廊下を歩いていたらそこにティナ…フィーが現れた。
「ああ、ほらこれだよ。」
そういいフィーに杖を見せる。
「これが杖かかぁ」
「ま、フィーも一月後くらいには貰えるさ。そんときオレはもう杖との契約は終わってるだろうがね」
そう言いフィーの頭をなでる。
「むぅー。フィーも早く杖ほしいなー」
「こればっかりはオレにはどうしようもできないな。我慢だ」
フィーのだだを頭をなでつつ苦笑いで聞く。
「それより、今日はどうするんだ?」
「レイちゃん絵本読んで」
「了解、なら部屋に行きますか」
フィーはまだ字がしっかり読めない。ある程度なら読めるのだが…。
◇◆◇◆◇◆◇◆
杖の契約を始めること二週間。杖との契約ができた。魔法はユリアさんが家庭教師が来るまで教えてくれるそうだ。因みにユリアさんは水のラインである。父は風のトライアングルだそうだ。
「レイジ、杖の契約はできましたね?」
「はい」
「では初めに基本であるコモンマジックを覚えましょう」
「分かりました」
ついに魔法をこの目で見ることができるのか。あかりのつけ消しは一応魔法だがリモコンみたいだから実感がない。
「では、まずはじめにレビテーションから、レビテーション」
レビテーションからそう言い庭の小石を30程の高さに浮かせてとどめる。
「おおー」
「おおー」
感嘆の声を上げる。オレのまねをしてよこにいたフィーも感嘆の声を上げた。
「ではやってみなさい」
「わかりました。レビテーション!」
若干りきみつつもレビテーションと口にする。すると、先ほどの小石がユリアさんが上げた30サント程の所まで上がった。
「おおーすごい」
素直に驚きである。魔法をはじめてつかった時の感動。
「あら、一回で成功ですか。グスタフと同じトライアングルにはなりそうですね。では次に…」
それから一週間ですべてのコモンマジックを修得することに成功。魔法の練習のせいでフィーのことをほおっておいてしまったので、虚無の日にユリアさんとフィー、オレで街に買い物に行くことで納得してもらった。涙目で見られたら嫌なんて絶対に言えない。
「レイジ、コモンマジックを覚えたらしいな。ん?ティナが涙目なのは…あぁ」
そこに父登場。フィーの涙目に目が行ったが何やら納得したらしい。
「はい。父上、拙いですがなんとかすべてをしっかり発動できるようになりました」
「ほほぉ、私なぞ、一月かかったぞ?」
「そ、そうなんですか」
「ユリアからみて、レイジはそうだ?」
「何年かに一人の神童ではないかしら」
「神童か…私も鼻が高いな!!」
といい、笑う。神童ね…。そりゃそうか…。
「それより、ユリアさん虚無の日はまだですから、系統魔法の適正を見ませんか?」
魔法と言えばこれ、系統魔法。
「そうね。ではまず、風のウィンドから唱えてみなさい」
「分かりました。…『ウィンド』」
風が吹くイメージをして呪文をつぶやくすると、ビューっとなかなかの風が吹いた。
「おお、私と同じで風に適性があるな」
「次は火です」
「…『発火』」
今回もしっかりとイメージをし、唱える。すると火が出た。頼りないと感じてしまったのはここだけの話。
「火にもありか…。次は水だな」
「…『コンデンセイション』」
水の魔法のイメージはやはり空気中の水蒸気を凝結させる感じか。結構大きな水玉ができた。おお、なかなかだな…。サバイバルでも水には困らないな。
「水は風並みに適性がありそうだ…」
「レイちゃんすごいね」
純粋にほめてくれるフィーは水球をツンツンつついている。なんだこのかわいすぎる動物は!!父親は何か難しい顔になりだした。
「次は土だから…。『錬金』」
これは石が金属光沢をはなつ。青銅だろう。
「これって一応全部に適性あるんですね?」
そういいつつ、二人を振りむく。
「あ、ああ。すごいなレイジ」
「すばらしい。しかし、全体的に伸ばすか否か。どうします?」
手札は多いほうがいい。よって
「全体的に伸ばします。一応風中心で」
なぜ風中心かといわれると、偏在があるからである。スクエアになれば偏在を使える。
「なるほど、分かりました。
今日は終わりです。明日か明後日には講師が来るそうです」
「わかりました。ありがとうございました。フィー、今日は時間あいたから、なにかしようか」
「んーとね。」
考え始めるフィーを見つつ今後の方針を考える。魔法もそうだが、オレはモヤシにはなりたくないから体も鍛えなきゃいけない。明日あたりから早朝ランニングとかするか?筋肉はまだつける必要はない。身長が伸びなくなっちまうからな。よし、軽くランニング位するか。結論が出たところでもう一度フィーをみる。まだ愛らしい顔を真剣そのものの顔にして考えているようだ。頬がゆるんでしまう。そんなオレたちを見てどう思ったか父親たちは、
「おい、レイジなんだその娘を見るような目は」
「え?」
「グスタフ、今に始まったことではないわよ」
「いや、まぁそうなんだが…」
どうやら、おっさんの目になっていたらしい。まぁいいかどうせ精神は25だ。25でおっさんとは言えないだろうが。そう思いつつも親には苦笑いを返しておく。