ゼロの使い魔で転生記   作:鴉鷺

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第二十二話 親と子

三兄弟が撲滅を遂行すること腹時計で10分くらい。

 

ワイバーンは全体駆逐されたようで洞窟の奥からは声は聞こえない。

 

念のためもう一度ルビーが『フレイムボール』を放つが依然反応なし。

 

次の情報のもとさらに森へ分け入っていく、

 

することもないのでオレとフィルもついて行く。

 

「ボウズ、さっきのワイバーンはどうやって倒したんだよ」

 

サファイアが気になっていたのか聞いてくる。

 

「あぁ、魔法で倒した」

 

抽象的に答えておく。

 

「そんなことじゃない。それは見てた。ブレイドで倒したんだろ?」

 

そこまで見たなら答えはブレイドだ。

 

「じゃぁ、ブレイドで倒した」

 

「いや、ちがうって。倒し方だって!」

 

「落ち着けって、牛の乳でも飲んで落ち着け」

 

カルシウムは大事だぞ。元気のもとだ。多分。

 

「ファイ、やめろ。仕事中だ」

 

そこでダイヤのおっちゃん(自称20代)がファイ――サファイアのことを止める。

 

「了解。」

 

それに渋々従うサファイア。やはり、リーダーはダイヤ君か。

 

思えばオレも精神年齢だけなら、三十路まっしぐらだな。29だもの…。

 

「レイジ、どうしたんだい。そんなしぶい顔して」

 

オレは現実逃避するために渋い顔をしていたようだ。

 

「いや。なんでも」

 

曖昧に反しとく、精神年齢29と言って誰が信じるかっての…。

 

案外フィルは合点が言ったなどと言いそうだが。

 

「ま、そういうならいいよ」

 

歩くこと幾ばくか。またも目的の場所に到着。

 

時刻は既に昼に差しかかるかというところ。

 

ちょうど太陽は南中だろうか。昼飯はこの戦いが終わってからのようだ。

 

またもルビーが洞窟、今回は天然のに『フレイムボール』を撃つ。

 

洞穴の奥からまたも数匹の鳴き声が聞こえてくる。

 

数秒後ものすごい勢いで洞窟から空に飛び出してこちらを見下ろす。

 

先ほどの個体よりもかなり大ぶりである。それが1体と他5体。

 

「いつも通りだ」

 

「承知」「了解」

 

オレとフィルは見物しようかを思っていたら、

 

一番大ぶりの奴がオレ達は弱者と思ったようでこちらに急降下からの口をあけ…。

 

ブレスを放つ。

 

しょうがないのでオレも『エアシールド』でフィルと自分を守るように展開。

 

ブレスを後方へ受け流そうと思ったが、山火事が起きると思い受け止める。

 

着弾炸裂音が響き、続いて上空を飛翔音が駆け抜ける。

 

「おっさん、オレこいつ、潰すからあとよろしくぅ」

 

そう言い右手の短剣を構える。

 

さてさて、リーダーさん運がなかったな。そう思い顔の筋肉が弛緩する。

 

ワイバーンの位置は上空30メイルほど、まずほとんど魔法もかわされてしまう。

 

しかし、『ウィンドアクセル』と『マテリアルエア』を詠唱。

 

ワイバーンめがけ翔ける。一気に三度の連続跳躍。その直後に、

 

右腰だめで剣を、

 

ブレイドを構え右下から左上に胴体から首を切り飛ばすよう剣をふるう。

 

が、すんでのところで相手は羽ばたいてさらに上方にかわす。

 

ブレイドのリーチをもっと伸ばせばよかった。

 

そう思考しつつも相手のブレス攻撃を空気の塊を足場に跳躍してかわし。

 

『エアカッター・マルチ』を詠唱し、

 

ワイバーンの前方上下左右に逃げ道をふさぐように、一斉発射。

 

流石にこれは避けれずに翼膜が切り裂かれバランスを崩し落下してくる。

 

しかし、ワイバーンはまだあきらめていないようで口をあけ火をちらつかせる。

 

ブレスの兆候気付くと、前方に空気の壁を展開。

 

『マテリアルエア』を壁に使っただけである。そこに着弾。爆発。

 

ワイバーンに連射機能はないようでそれでおしまい。

 

インターバルが若干だがいるらしい。

 

攻撃が打ち止めされ、ただ落下してくるワイバーンの首をブレイドで切る。

 

数拍後にドシャッという音が響き、ワイバーンは死体へとなった。

 

オレも着地し、翼爪がいかがなものか点検、異常なし。

 

ワイバーンの親玉的なやつがやられたので、

 

他の兄弟と闘うワイバーンたちは取り乱し、兄弟の連携の前に崩れ去っていった。

 

「任務完了」

 

そう、口にするダイヤ。

 

「もう、ワイバーンはいないのか?」

 

もう終わりなのか、案外簡単だった。

 

やはり『ウィンドジャベリン』など使わなくても楽に行くもんだ。

 

あれは切り札的ものだからな。

 

「ああ、情報はこの二つだ。なので帰投する」

 

「そっすか。なら帰るか」

 

そういい歩きだす。

 

「金を貰うまでが仕事である」

 

迷言をスルーして帰りの道を、きた道をそのまま引き返していく。

 

 

 

 

帰りの道は、特に何をするでもなく。

 

フィルと雑談を時たまして、川のほとりで飯を食い。

 

なにもイベントが起きることなく村につくことができた。

 

村で兄弟にオレの翼爪を渡し、明日の朝、

 

今日を同じ時刻に来ることを言われ、村長宅で夕飯にありつく。

 

あいつらは金にはルーズそうじゃないから。

 

ちゃんと持ってきてくれるだろうことを信じて。

 

村長はしきりにお口に合うかどうか。

 

などと言っていたが、まずくなんてないので、気にするな。と言っておく。

 

一応は村の産業の危機を救ったのだから飯くらいもらってもいいだろう。

 

まぁ、今日は、そこそこ疲れたので早めになるか。と思い布団に入ろうとした矢先。

 

またも昨日と同じでフィルに話を振られる。

 

「レイジ、君は親のために子は何かをやるべきだと思うか?」

 

「なんだ、突然藪から棒に」

 

そう言いつつも聞く体勢を整える。

 

「昨日思ったんだ。両親は大事にしなくちゃいけない。

 だから子は親のために生きなければならないのかと」

 

「やけに、思いつめているが、そんなことはないだろ。

 なんで親のために生きなきゃいけない。確かにこの命は親に貰ったものだろう。

 だが、貰ったもんはどう使おうが子供の勝手だとオレは思う。

 悪いことなんてどこにもねぇよ。人生生きて6、70だ。

 それを自身のために使わないなんてありえない。

 ま、親孝行の一つや二つは必要だけどな」

 

そう最後に肩をすくめて見せた。

 

「そういう考え方もあるのか。君の考えは独創的だ。

 普通の貴族なら一族のためと言い頑張る。

 けれど、君は自身のしたいように生きている。君を見てるといつも感じるよ」

 

「そんなことはない。オレだっていっぱしの貴族さ。

 一族のためと言ってやることはあるだろう」

 

「そうかも知れない。けど、君は自分に嘘を言わない。嫌なことは口にする」

 

なんだか重い話だぞ。

 

「まぁ、嫌なもんは嫌と言いたいお年頃なのさ」

 

「それに比べボクは、今まで父のために頑張ってきた。親の願いをかなえる。

 それが、子の使命だとね。ホントの気持ちは言わない。

 親にも嘘を吐き、他人にも嘘を吐き、そして、自分にも嘘を吐いて生きてきた」

 

「おいおい、今ここで言ってることは嘘なのか?」

 

その言葉で一瞬虚を突かれたような顔になるフィル。

 

「……いや、これはホントの気持ちさ」

 

「ならいいじゃねぇか。過去より未来を見ようぜ? 変わろうと思ってるんだろ?」

 

「どうして」

 

「だって、今本当の気持ちを話してくれたじゃねーか。

 それなら変われるさ。オレが保証してやんよ」

 

そういい、にぃっと笑う。

 

「君は何時もそうだ」

 

小さな声でぽつりとつぶやく。

 

「何がいつもだよ」

 

「いや、何でもない。ありがとう」

 

何でもないならいいか。まぁフィルの顔もよくなったしな。

 

つーか、オレ年下なのに何言ってんだよ。はたから見たら変だな。

 

ま、いいか。フィルが納得したなら。そう思い布団にもぐりこむ。




『エアカッター・マルチ』ですが、四枚刃になりました。
別に髭はそりません。

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