ユクモ村の狩人録   作:箱の中の世界

9 / 25
どうも箱です。
対にイビルジョー戦終結です。
長かったです……途中でのプロット改変で色々ありましたが……

前書きはこれくらいにしておいて……本編どうぞ!


異変の終結

 

 まさかユーカが来るなんて――トールはユーカに助けられた際にそう思った。

彼女は昔まだ上位に上がりたての頃クエストに乱入してきたイビルジョーに襲われ、重症を負った。その時の俺は採取ツアーに行っており村に帰ってきてからユーカがイビルジョーに襲われた事を知った。

それ以来ユーカはイビルジョーに対して恐怖を抱くようになった。

だが、そのユーカが自分から過去と決別するためにイビルジョーと戦うのだ。

 

 

 

「ユーカ! 今の奴は空腹で動きが鈍い! 今のうちにいくぞ!」

 

「ったく……わかってるわよ!」

 

 ユーカはそう言いイビルジョーに走って近付き 抜刀斬りを喰らわせる。

その一撃でイビルジョーはユーカを攻撃の標的にするが、それを読んでいたかのようにトールは最後の閃光玉を投げつける。

 

「これが最後の閃光玉だっ!」

 

視界を奪われたイビルジョーに二人は攻撃を与えていく。

 

(三度目の閃光玉だ……効果は長くはないな……)

 

トールの思惑通り、イビルジョーの視界はすぐ回復した。

 

「チッ……視力は回復したが構わずいくぞ!」

 

トールは再びイビルジョーに攻撃を与える。だが、イビルジョーも受け続けるだけではなく、体を旋回させ、尻尾で辺りを薙ぎ払うように攻撃を行った。

 

「おっと!」

 

トールはイビルジョーの足元に潜り込む事で回避し、ユーカは大剣でその攻撃を防いだ。

二人に痛手を与えられなかったイビルジョーはエリア5に脚を引きずり逃げていく。

 

「ユーカ、もう奴の体力も少しのハズだ。罠を仕掛けてそれで仕留めるぞ!」

 

「分かったわ」

 

ユーカはそう言うと早足でイビルジョーを追いかけようとするが、トールはそのユーカの肩を掴みユーカの進行を止めた。

 

「ちょっと! トール、なんで止めるわけ!?」

 

「あのイビルジョーが完全に寝るまで待つんだ。奴が寝たのを確認したら最大威力の溜め斬りを頭に喰らわせるんだ」

 

「ちょっと納得できないけどトールに従うわ」

 

そしてイビルジョーがエリア5に向かってから1、2分が経った時、トールが

 

「よし、行くぞ」

 

と言うと二人はエリア5に向かっていった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「……どうやら寝ているようだな」

 

「……らしいわね」

 

二人はエリア5の中心にある切り株の前で眠っているイビルジョーを起こさないように近付き、ユーカはイビルジョーの顔の前で大剣を溜め始め、トールはイビルジョーの近くにシビレ罠を仕掛ける。

二人は互いに顔を見合せ確認するとユーカがイビルジョーに向け最大威力の溜め斬りを喰らわせる。

 

『グォォォッ!』

 

溜め斬りによって起こされたイビルジョーは数歩後退する。そして――

 

「当たりだ」

 

トールが仕掛けていたシビレ罠に見事引っ掛かった。

 

 

「「行っけぇえええ!!」」

 

そして二人はイビルジョーにどんどん攻撃を喰らわせていく。

トールの王牙刀は肉を断ちその雷により肉を焦がしていく。

ユーカの暴砂剣は属性は無いにせよその鋭利な刃でイビルジョーの肉を削いでいく。

 

そして――

 

 

  ズドォォォン……

 

大きな音をたて、イビルジョーの巨体が地面に倒れ、そして動かなくなった。

 

「やっと……終わったな……」

 

「そうね……」

 

 

 

 

そして二人は一度ベースキャンプに戻ると、ベットで寝ていたフレイを起こし、待機させていたガーグァ荷車でユクモ村に帰っていった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「ふむ……渓流にイビルジョー……か」

 

二人は渓流で起きた事を全てギルドマスターに報告し、渓流に置いてあるイビルジョーの死体を回収するため村の男達が向かっていった。勿論、対象を狩猟して渓流が安全になったとは限らないので二人も護衛兼回収として行くことになった。

 

回収を終え再び村に帰ってきた二人は温泉に浸かりながら渓流での出来事を語っていた。

 

「ねぇトール」

 

ふとユーカが呟く。

 

「私って成長出来たのかな……」

 

ユーカは浴場の天井を見ながら呟いた。

 

「んぁ?あぁ、少なくとも成長出来たと思うぞ?」

 

トールはユーカの問いに笑顔で返す。

 

「フフッ……ありがと、トール」

 

「お互いs……

 

――お互い様、トールがそう言おうとした瞬間温泉に水飛沫が舞った。

その正体は……

 

「いやぁ~、最高だな。キャラメル!」

 

「ハイ!最高ですニャ!」

 

フレイとオトモのキャラメルであった。

その一人と一匹は互いに笑いあっているのだがその一人に近付く二つの影があった。

 

「「フレイさん……?」」

 

トールとユーカの声色に怒りが混ざっている。

 

「お、トールにユーカじゃないか!君たちも温泉に入っていたのか! ここの温泉は本当に素晴らしい……な?」

 

フレイは二人が手に持つものを見ると対応に困ったような表情をした。

 

「なぁ、君たち。その手に持っているものはなんだい?」

 

二人が持っていたもの……それはガーグァのおもちゃであった。そして二人は深呼吸をすると大きな声で

 

「「温泉で遊ぶな!!」」

 

と叫びフレイに向けガーグァのおもちゃをフレイ目掛けて投げつけたのであった。




はい、と言うことでイビルジョー戦は終了です。
疲れましたよ……と言うか閃光玉使いすぎです(書いたのは自分ですけど……)
そしてUAが600を突破しました!
実は500越えたときに投稿しようかな……と思ってたのですが色々訂正してる間に600……箱は感激です!
さて、次回から2話は番外編です。お楽しみに!


フレイ「いてて……二人とも酷いよ……」
トール&ユーカ「フレイさんが悪い」
フレイ「ちょっ!?箱さん!助けて!」
箱「あなたが悪い(書いたの自分だけど……)」
フレイ「なんて理不尽な!?」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。