今回は後半から地の文が少ないかもしれません。
と言うか後半のトール視点がそれです。
とにかく本編どうぞ!
「なぁ……ユーカ」
「どうしたの?トール?」
リオレイア希少種が移動した直後、トールが深刻な表情でユーカを呼び止めた。
「なんでリオレウス希少種は来なかったんだ?」
「あ……」
「……ユーカ。ここからは俺の憶測だが、この渓流に他にモンスターがいる。それもリオレウスと同等の強さを持っているであろうモンスターだ」
「……」
ユーカはいつも以上に真剣なトールの考えを聴いてなにも返すことが出来なかった。
それはトールの考えが少なからず真実であると思ったからである。
「ごめんな、急にこんな話して」
「いいの、トールの言ってる事がもし本当なら……って考えてたの」
「そうか……とにかくリオレイアを追うぞ」
そう言うとトールはリオレイア希少種が向かったであろうエリア6に走っていく。
「……わかってるわよ」
トールには聞こえない程小さな声でユーカは呟くとトールの後を追うようにエリア6に走っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「もうこのエリアにはいないみたいだな」
二人がエリア6についた時にはリオレイア希少種についたペイントボールの臭いは別のエリアから香っていた。
「どうやらこのエリアの上を通りすぎただけ……みたいだな」
「そうみたいね。この臭いの方向だとエリア8辺りが正解かしら」
「かもしれないな。確かエリア8は飛竜の巣があるからな 行ってみるか」
トールとユーカはエリア8に続く滝の中の洞窟を目指し足を進める。
滝の前に差し掛かった時だった。
(何かの視線を感じる……?)
背後から感じる謎の視線が気になりそれを確認するためにトールは足を止めた。
ユーカはそれを気にせず一人エリア8に入っていく。
ユーカが行った後トールは後ろを振り向くがそこにはなにもいない。
(気のせいか?)
そう思いながらトールはエリア8に入っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうやら寝てるようだな」
エリア8の巣で寝ているリオレイア希少種を確認したトールは小声でユーカと状況の確認をする。
「……ねぇトール、このリオレイアは捕獲しない?」
「なっ!?」
ユーカの一言に驚きトールは大声をあげてしまう。トールは一度咳払いをし、ユーカに問う。
「……どういう事だ?ユーカ?」
「別に深い意味はないけどただ繁殖期のリオレイアを他の場所に連れて行けないか……って考えたの」
「……ったく……わかったよなら捕獲用麻酔玉用意しておいてくれ」
そう言うとトールはゆっくりとリオレイア希少種に近付き、寝ているリオレイア希少種の足元にシビレ罠を設置し、シビレ罠に刺激を与え装置を作動させる。
シビレ罠の作動を確認したユーカはリオレイア希少種の元に駆けつける。
『グォァアッ!?』
シビレ罠の作動により目を覚ましたリオレイア希少種にユーカは捕獲用麻酔玉を投げつける。
捕獲用麻酔玉を受けたリオレイア希少種は力尽きたようにその場に倒れ込み眠り始めた。
「あとはリオレウスだけだな」
「そうね、無茶言ってごめんねトール」
「良いってことだ、さっさと終わらせてフレイさんを探しに行くぞ」
トールはそう言い、ふとエリア6に続く道を見た。
「な……」
「トール、何かいるの?」
トールのその声に反応しユーカも同じ場所を見る。
「嘘……でしょ……」
二人の視線の先にいたのは
◇◆◇◆◇◆◇◆
(なんで渓流にイビルジョーがいるんだ!?)
俺は横にいるユーカが気になりユーカの様子を確認した。
「あ……あぁ……」
「ユーカ?どうした?」
ユーカの様子がおかしい。指先は震え、顔は青ざめている。
「ユーカ!しっかりしろ!」
俺の声が聞こえていないのかユーカから反応はない。
非常に不味い。このままでは全滅してしまう。そう思った俺はアイテムポーチから閃光玉を取りだしイビルジョーの顔目掛けて投げつけた。
投げつけた閃光玉はイビルジョーの眼前で眩い閃光を放つとイビルジョーの視界を奪った。
「ユーカ!しっかりしろ!今のうちに逃げるぞ!」
ユーカの肩を揺さぶるがやはりユーカから反応はない。
「あぁ!もう埒が明かねぇ!」
俺はユーカを抱えあげるとエリア9を目指し駆け出した。
エリア9についた俺はユーカを降ろすと、もう一度ユーカに声をかけたが、返事はなくユーカはずっと放心状態のままだった。
「ユーカ!いい加減目を覚ませ!」
俺はユーカにそう言うとユーカの頬を平手で叩いた。
その一撃で正気に戻ったのかユーカは涙目で俺を睨んできた。
「な、なんで叩かれないといけないのよ!」
「はぁ……やっと正気に戻ったか」
「まるで私がさっきまで正気じゃなかったみたいな言い方じゃない」
……まさか気付いてないのか?これは説明しないと面倒になりそうだな……
「さっきエリア8にいたイビルジョーを見た後から放心状態になってたんだぞ?」
「あ……」
「だから俺がここまでユーカを抱えて来たんだぞ?感謝しろよ?」
「……え?トールが私を抱えて来た?」
「ん?そうだけ……『パァン!』痛っ!なんで叩くんだよ!」
ユーカは顔を赤く染めながら答えた。
「う……うるさい!トールが反省しろ!」
「えー……」
それから数分間俺とユーカの口喧嘩は続いた。まぁ、一方的だったけど。
「で、ユーカ。イビルジョーだけど……」
「ごめん、トール私は戦えない……」
俺の問いにユーカは俯きながら答えた。
「まぁ予想してたけどな……ならユーカはフレイさんを探してくれるか?」
「トールはどうするの?まさか一人でイビルジョーと戦うって言うの?」
「その通りだ」
「リオレウスもいるかも知れないのに一人で戦うの!?」
「……なぁユーカ、リオレイアと戦っているときにリオレウスが来なかっただろ?」
「確かに来なかったけど……」
「イビルジョーの存在でわかった。リオレウスはもう倒されている。イビルジョーにな
とにかくかだ、ユーカはフレイさんを頼む。フレイさんを見つけたら俺には構わず一度村に帰ってくれ」
「でも!」
「頼む」
「……わかったわよ……」
確かに俺の頼みは無理があるかも知れない。なんせあのイビルジョーを一人で相手にするのだ。心配されて当然だ。
「ねぇ……トール」
「ん?どうした?」
「これ」
そう言うとユーカは俺に落とし穴とシビレ罠を渡してきた。
「これいいのか?」
「イビルジョーと戦うのに罠がなかったら致命的でしょ?」
「……ありがとよ、ユーカ」
「ただし、絶対に倒しなさいよ?」
「わかってる」
「じゃあ頑張ってね?」
ユーカはそう言うとエリア3に続く橋を渡っていった。
ユーカが橋を渡り終えるのを確認するとポーチから砥石を取り出し王ヶ刀【伏雷】の刃を研いでいく。
俺は刃を研ぎ終え、王ヶ刀【伏雷】を鞘に戻しエリア8に向かっていった。
「さて……一狩り行こうか」
次回で渓流での戦闘は終わると思います。
さて、ユーカがイビルジョーが苦手なのは1話の中で説明しましたね。今回はなぜ苦手なのか……ユーカは昔、イビルジョーに瀕死の重症を負わされトラウマになっちゃったのです。
ユーカ「なに人のこと勝手に説明してるわけ?」
箱 「さてユーカ、皆さんに一言どうぞ」
ユーカ「えっ!?次回もお楽しみに!」
箱 「お楽しみにー!」