ユクモ村の狩人録   作:箱の中の世界

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まずは謝罪から……
27日に予約投稿をしていたのですがどうやら年数を間違えていたらしく、先程まで全く気づいていませんでした。誠に申し訳ありません。
投稿を終えたと思ってモンハンクロスばかりやっていました。本当に申し訳ありません。
……さ!気を取り直して本編どうぞ!


異形の雷狼竜

「……シ、シマさん。あんなジンオウガ見たことありませんよ……」

 

 トールが震えた声で口に出す。確かにトールの言う通り、渓流のモンスターを熟知しているシマでさえあのような個体のジンオウガの事は知らなかった。

 

「どうやら突然変異の個体……と言ったところかな……。新しい発見だけど流石に嬉しくはないね……」

 

 トールと小声で会話をしながらシマは内心この狩りにトールを巻き込んでしまったことを後悔していた。

 

(……どうやら面倒な事にトールくんを巻き込んでしまったようだね……)

 

 しかしその事を口に出すよりも今、目の前にいるあの異形のジンオウガを倒さなければいけない。

 

(……どうやら謝るのはこの狩りの後になりそうだね)

「トールくん。私が時間を稼ぐから君は一度ベースキャンプに戻ってニャン次郎さんに村に緊急の要請を出すように言ってくれ」

「そ、そんな……シマさん一人でアイツと戦うっていうんですか!?」

「あぁ、だからこそ君にしか頼めないんだ。

……頼んだよ」

 

 シマは自身に活を入れると黄金に輝くジンオウガに向けて走り出した。

 そして、トールはシマを一人残す事に罪悪感を覚えながらシマに言われた通り、ベースキャンプに向かう事にした。

 

◇◆◇◆

 

「ハァッ!!」

 

 ジンオウガに攻撃を繰り出したシマだったが、シマが向かって来ることに気付いたジンオウガも半身を反らしショルダータックルを繰り出す。

 

「ぐっ……」

 

 武器を振り始めていたシマはその攻撃を避けれるはずもなく、直撃し弾き飛ばされてしまう。

 シマはすぐ体勢を立て直し、立ち上がるがそのシマに向けジンオウガの右前脚が迫ってきていた。

 

「ッ!」

 

 寸での所で避けたシマは少しでも距離を取ろうと走ってその場から離れる。

 シマは今までの経験からジンオウガは距離を取ると雷光虫弾を放つ事を知っていた。

 

(雷光虫弾を放ったその隙に接近して連撃をくらわせるしかない……)

 

 しかし、シマが予想していた雷光虫弾とはこのジンオウガの軌道は全く別のものであった。

 

(なっ……!? 確実にこちらを狙っている!?)

 

 雷光虫弾の軌道は直進し途中で曲がるものだと思っていたシマは空中で曲線を描きながらこちらに向かって来る雷光虫弾に驚き、反応が遅れてしまった。

 雷光虫弾が直撃し、全身に雷が走ったような感覚がシマを襲った。雷光虫弾を受けたことにより、雷属性やられ状態になったシマは体が痺れる事により上手く手に力が入らない。

 

(予想以上の強さだね……。ここはモドリ玉で一時的に撤退するしかないね……)

 

 シマがアイテムポーチからモドリ玉を取り出し使おうと地面に叩きつけたその時、ジンオウガが咆哮をあげその咆哮に怯んでしまったシマはその場から離れることが出来なかった。

 

「……どうやらコイツは相当厄介な相手になりそうだね」

 

 

◇◆◇◆

 

「はぁ……はぁ……」

 

 シマに言われベースキャンプの目前まで走ってきたトールは息を整えるため一度足を止めた。

 

「…………ふぅ。行こう」

 

 呼吸が整ったトールはベースキャンプのニャン次郎の下に駆けていった。

 

 

 

 

「……と言うことなんです。村長さんに伝えて頂けませんか?」

「ふむ……シマがそう言うなら確かに危険ニャ可能性があるニャ。

 わかったニャ。この事を確りと村長さんに伝えさせて頂やすニャ」

「頼みます! それと村にいるユーカってハンターにも声をかけて頂けませんか?」

「? 了解したニャ。それじゃぁ、ご免くだせぇ。」

 

 そう言ってニャン次郎は脱兎の如くの速さで村に向かって行った。

 

「さて……」

 

 トールは自分の頬を軽く叩くとシマがいるであろうエリアに向かって行った。

 

◇◆◇◆

 

 

「……ふむ。コイツの攻撃は下手をしたら数発で意識を持っていかれそうだね

 

っと、冷静に観察してる場合じゃないね」

 

 あれからシマはあのジンオウガの行動を出来るだけ探ろうと攻撃はせず避けることに専念していた。

 しかし、無傷で済むはずもなくシマの身に纏う装備(マギュルSシリーズ)にはあちこち鎧の割れ等が目立っていた。そして右腕を護っている防具は完全に壊れており、インナーが見えている。

 それほどあのジンオウガの攻撃が凄まじい事を語っていた。

 

「しかし、アイツが自身の帯電を放ってきたときは驚いたね。とっさに右腕で顔を庇ったら防具が粉々になるなんてね……」

 

 そう言ってシマは自分の右腕を見る。インナーが見えている右腕はこのまま攻撃を受けてしまえば二度と使い物にならなくなってしまうだろう。そうなればハンター業を辞めることになるだろう。しかし、それだけは避けたい。シマがそう考えていると轟音と共にエリア内にあった廃屋が崩れていく。

 

「ふむ。鬼ごっこはここまでのようだね」

 

 シマは武器を構えるが、先程までの影響か体にあまり力が入らない。

 

 ジンオウガが前脚をシマに向け振り下ろそうとしたとき、角笛の音色が聴こえてきた。

 

「っ……まさか!」

 

 音のする方に目をやるとそこにはトールが角笛を持って立っていた。

 角笛の音色を聴き、標的をトールに変えたジンオウガはトールに迫っていく。

 

「トールくん! 危ない! 早く逃げるんだ!」

 

 シマは大声で叫ぶがトールはその場から全く動かない。そしてジンオウガがトールの目前に迫った時、ジンオウガが地面に埋まったのだ。

 

 そして無防備になったジンオウガにトールは気刃斬りを繰り出していく。

 

「ッ! ……ハァッ!!」

 

 トールは一旦下がったのち前方のジンオウガ目掛け太刀を回して切り抜けていく。そして時間をおいてからトールが切りつけた場所の傷口が一斉に開き血が吹き出した。

 

 しかし、それでも致命傷にならなかったのか落とし穴から這い出てきたジンオウガはまだ疲れた様子も見せなかった。しかし、先程の技で折れたのだろう、あの立派な角が折れていた。

 トールは太刀を納めると急いでその場を離れシマの下に向かった。

 

 

 

 

「シマさん、大丈夫で……って右腕の防具はどうしたんですか!?」

「はは……、まぁ後で話そう。とりあえず今はアイツをどう対処するか、だ」

 

 疲れも治まってきたシマは再び武器を握るとジンオウガの方に目を向ける。

 

「トールくん。アイツの攻撃は普通のジンオウガとは格が違う。下手に攻撃を受ければ私の鎧の様になるだろう。気を付けながら立ち回るんだ」

「分かりました。……それとシマさん、無理なさらないでください」

 

 そう言ってトールはシマに秘薬を渡すとジンオウガに向かって行った。

 

 

 シマはトールから渡された秘薬を見て呟いた。

 

「年下に心配されるようじゃまだまだのようだね……!」

 

 シマは秘薬を飲み干すとトールを追うようにジンオウガに向かって行った。

 




……はい。まだ続きます。
とりあえず投稿ペースは月2程に落ちるかもしれません。それでも失踪はしませんので。絶対に。


これからも狩人録を宜しくお願いします!

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