遅くなってしまいまことに申し訳ありません。
高校三年生として、卒業課題がありましてそれをある程度終わらせないといけなかったのです。
一ヶ月も間を開けてしまったことは本当に申し訳ないと思っています。これからもユクモ村の狩人録をお願いします。
――渓流
「ん?やけに雷光虫が多いな……」
「そうかニャ? 別にいつもとかわらニャい気がするニャよ?」
いつも通り渓流にて鍛練をしていたシマは微かな渓流の違和感に気付いた。
「これは村長に報告しておいた方がいいかもしれないな。よし、イーシャ。今日は少し早いが引き上げるぞ」
「? シマがそう言うニャら別に問題はないニャ」
シマは渓流から引き上げる為ベースキャンプに向かっていく。
(この雷光虫の量……ジンオウガか。準備をしてからもう一度ここに戻ってくるか。それまで被害が出ないことを祈るしかないな)
……
…………
シマが渓流を離れ村に着いた頃、まるでシマが渓流から出ていくのを待っていたかのように雷狼竜――ジンオウガは渓流に現れた。
ジンオウガは辺りに誰もいないことを感じとると、渓流内に響き渡る程の咆哮をあげた。
ジンオウガが咆哮をするとそれに呼応するかのように辺りに浮遊していた雷光虫がジンオウガに集まっていく。その行動は自身に電気 を蓄え身体能力を飛躍的に上昇させる。
そして、一定以上の電気を蓄えたジンオウガは全身の毛を逆立て超帯電状態となった。
超帯電状態となったジンオウガは再び咆哮をあげる。
『――ッ』
その咆哮から数秒後。
まるでその咆哮に返事をするかのように遠方からも咆哮が返ってきた。
それを確認したジンオウガは、また渓流の奥に消えていった。
……
…………
「と言うことで村長さん。渓流に雷光虫が異常発生しているので気を付けて下さい。私は準備を終えてからもう一度渓流に向かいます」
「……はい、わかりましたわ。十分気を付けて下さい」
「はい。それでは失礼します」
シマは村長に軽く礼をするとその場を立ち去り自室に向かっていった。
……
…………
「さて、今回の相手はおそらく――いや、絶対ジンオウガだろうな。前回のドスジャギィと言い変わった個体が確認されている以上回復薬は多く持っていって損はない」
シマはアイテムポーチに回復薬などを詰め込むと、いつも愛用している『夜天連刃【黒翼】』ではなく『旋風連刃【裏黒翼】』を取り出した。
そしてそれを背負うと自室から出ていった。
「悪い、イーシャ。待たせたな」
「遅かったニャ……ってやっぱり狩りに行くのかニャ?」
「あぁ、その通りだ。相手はジンオウガだ。無理せずに危険を感じたらすぐ撤退するんだぞ」
「わかったニャ」
……
…………
「ねぇ、トール? あれってシマさんじゃない?」
「本当だ。あのマギュル姿はシマさんだよ。でも、なんかいつもとは違う雰囲気だったような……」
「そうかしら?」
「「うーん……」」
……
…………
「ニャんかさっきより空気がピリピリしてるニャ?」
「さっさと片を付けないと被害が出そうだな。行くぞ、イーシャ」
渓流の中を進んでいくとエリア4から5に続く道にかけて雷光虫が大量に浮遊していた。
それはジンオウガ自身がそこにいるという証拠にもなる。だが、罠である可能性も無いわけではない。
シマは気を引き締めると少しずつエリア5に足を踏み入れていく。
ドスジャギィ以来、シマは上方にも注意を払うようになっていた。注意を向ける場所は増えてしまうが、その代わり危険になる可能性は減ってきていた。
そして、エリア5に完全に侵入したシマの目の前にはジンオウガの姿はない。
シマは自然と回避の姿勢をとる。
「ということは……」
シマは上方に視線を向ける。そこにはこちらに向け飛びかかってきているジンオウガの姿があった。
「避けろ! イーシャ!」
掛け声とともにその場を回避したシマは背負っていた武器を取ると戦闘態勢に入った。
シマは旋風連刃【裏黒翼】を構えると向かってくるジンオウガの攻撃を自身に当たる寸前に避ける。
そしてカウンターを当てるかのようにジンオウガに刃による連撃を喰らわせる。
「フッ!」
シマはジンオウガが攻撃の動作に入ると先程と同じようにギリギリで避けると旋風連刃【裏黒翼】による乱舞を喰らわせていった。
……
…………
少し離れた場所でジンオウガとシマの戦いを退避し、見ているイーシャは違和感を感じていた。
(なんニャ? あのジンオウガまるで雷光虫をばらまいているように見えるニャ……)
そして、イーシャの感じた違和感は最悪の事態を招いた。
シマばかりを意識して見ていたイーシャはエリア5の入り口に現れたもう一匹のジンオウガに気付くのが遅れてしまった。
「ニャッ!?」
シマの様子を見るがまるで気付いていない様子である。
イーシャはなぜジンオウガが雷光虫をばらまいているかのように見えるのか理解した。
電気を操るジンオウガが何処から現れても気付かせない為である――と。辺りに雷光虫を浮遊させることでその事に気付くことを鈍らせるのだ、と。
「……後でマタタビを買って貰うニャッ!!」
……
…………
「チッ……ちょこまかと逃げやがって!」
突如、ジンオウガが足を止めた。
それを絶好のチャンスとみたシマは武器を握りしめて攻撃の態勢に入ろうとした。
その時、イーシャが何かを叫んでいることに気が付いた。
「――ろ――ニャ!!」
「何を言って――ッ!」
シマはイーシャの忠告を無視して武器を振り続ける。
するとイーシャが先程より近付いてきた。
「シマ! 後ろニャ!」
「後ろ?――ッ!?」
シマが後ろにいたジンオウガに気付いた時にはすでにジンオウガはその鋭い爪の生えた前足を振り上げているところであった。
「クッ!」
シマは腕で顔を守ろうとした時、自分の腹部に何かが当たった。
「なっ!? イーシャ!!」
イーシャがぶつかった衝撃でその場から軽く弾き飛ばされたシマがイーシャの方に目を向けると――
「嘘……だろ」
ジンオウガの爪による一撃を受け、力尽きているかのように倒れているイーシャの姿であった。
お読みいただきありがとうございます。
遅くなってしまいましたが、前話の後書きで報告していたようにアンケートを行いたいと思います。
活動報告の方で実施していますので興味があればお願いします。
最後に……
誤字脱字などがありましたら報告してくださると大変助かります。それではまた次回の狩人録もよろしくお願いします。