ユクモ村の狩人録   作:箱の中の世界

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どうも、箱です
遅くなってすみません。
どうも最後の文が納得いかなくて……一応納得する感じになったので投稿します。
もしかしたら修正する場合があります。ご了承下さい。

それでは本編どうぞ


番外編:トールと変人と弓使い

 

「はぁー……やっぱり温泉は素晴らしいなぁ」

 

皆で孤島に遊びに行ってから数日が経過しており、俺――トール――はいつものように浴場の温泉に浸かっていた。

 

「だね。ここの温泉は最高だよ」

 

と、俺の後ろの方から声がしたので振り向くとそこにはマギュルの頭装備だけ被った男性がいた。

 

「んにゃっ!?」

 

急すぎて変な声が出てしまった……いや、なんで頭装備だけしているんですか……ここは注意した方がいいかもしれないな。

 

「あ、あのこの浴場は装備着けたままの入浴は禁止してますよ?」

「ん?あぁ、これのことかい?実は私は素顔を見られるのがあまり好きではなくてね」

 

そう言いマギュルの男性は浴場を後にしていった。

 

「……俺の事言えないけどあの人変な人だったなぁ……」

 

≡≡≡≡

 

マギュルの男性が浴場を去ってから数分後、黒い髪をマゲの様に結った男性が入ってきた。年齢は俺の父さんと同じ位だろう。

ただ、右腕にあるモンスターに付けられたであろう傷痕が物凄く痛々しい。

俺がその傷痕を見つめていたとき、その男性と目が合ってしまった。

 

「フフ……この傷痕が気になるかい?この傷は仲間を庇って受けた傷でな?大したことはないさ」

 

「そうなんですか」

 

この人は仲間を助けるために傷を負ったのか……自分より仲間を大切に思っている証拠だな。そう思っているとき、

 

「君は見たところハンターのようだね」

 

と、男性が話しかけてきた。

 

「あ、はい。この村のハンターのトールって言います」

 

「ふむ、トール君か。ご親切に自己紹介までしてくれて有難う。私はムフィフィと言う。これも何かの縁だな、よろしく」

 

そう言いムフィフィさんは俺に右手を突き出してきた。その意味を理解し俺も右手を出し、握手を交わす。

 

 

「なぁ、トール君。出会って早々こんな頼み事をするのは少々無神経だがドボルベルクと言うモンスターを狩るのを手伝ってくれないか?」

 

◇◆◇◆

 

ムフィフィさんから頼まれたのはドボルベルクの狩猟の手伝いだった。俺は二つ返事で了承し、一度自宅に帰り防具の準備をしていた。

 

「ドボルベルクかぁ……一度渓流の木を尻尾で無差別に殴り倒しているのを狩猟して以来だな」

 

そう思いながら準備を終えた俺は壁に立て掛けてある飛竜刀【銀】を持ち集会浴場に向かっていった。

 

≡≡≡≡

 

集会浴場に着くとムフィフィさんがあのマギュルの男性と会話をしているところだった。マギュルの男性はよくみると夜天連刃【黒翼】を背負っており、ムフィフィさんはあの古龍ジエンモーランの防具を身に纏っており、武器は鹿角ノ剛弾弓である。

 

「来たね、トール君。彼に話をしたところ彼も手伝ってくれることになってね」

 

「どうも……っと君は先程浴場でお会いしたね

そう言えば自己紹介がまだだったね。私の名前はシマ、と言う。気兼ねなく『シマさん』と呼んでくれればいいよ」

 

「よろしくお願いいたします。シマさん」

 

「お二人とも挨拶は済んだかい?そうだ、二人にはこれを渡しておこう。私のギルドカードだ」

 

そう言ったムフィフィさんは俺たちにギルドカードを渡してきた。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「ムフィフィさん感謝します」

「さ、出発しようか」

 

◇◆◇◆

 

渓流に着いてからはドボルベルクに経験のないムフィフィさんは援護に回ってもらい、俺とシマさんでドボルベルクを攻撃するという事になった。

 

「トール君、君はその場でハンターを見極める素質があるようだね。昔の仲間を思い出すよ」

 

「仲間……ですか?一体どんな人だったんですか?」

 

「そうだね……君のように状況でそのハンターの得意不得意を見極め指令を与える事ができるハンターだったね。今はどうしてるかわからないけどね」

 

「へぇ……そんな人みたいだなんてちょっと照れますね」

 

ムフィフィさんに誉められると何だか妙に懐かしい気分になった。――まるで父さんに誉められているようなそんな感じがした。

 

 

「おーい!二人とも置いていきますよ?」

 

「あぁ、悪いねシマ君。さ、トール君シマ君を待たせるのはあまり良くないから行くぞ」

 

「はい!」

 

≡≡≡≡

 

「やはりエリア5にいましたね。お二人さん、ここは少し私に任せてくれませんか?」

 

「ふむ、ならシマ君に任せよう。いいかな?トール君」

 

「え……あっ はい。罠師のスキルがあるので良いかと思います」

 

「それでは任せてくれ」

 

そう言うとシマさんはアイテムポーチから落とし穴を取りだし、ドボルベルクにバレないように近付き、足元に落とし穴を設置し、こちらに合図を送ってきた。その合図を受け、ムフィフィさんがドボルベルクに向け剛弾弓の鉄球を放つ。

 

「よし、これでアイツがこちらに気が付きましたよ。ではムフィフィさんは作戦通り援護を頼みます」

 

「あぁ、わかったよ」

 

こちらに気付いたドボルベルクが一歩動いた瞬間、シマさんが設置した落とし穴に落下する。

 

「さぁ、本気を出させて頂きますよ」

 

シマさんはそう言うと夜天連刃を構え、乱舞による連撃でドボルベルクのコブ近くの部位に斬撃を与え続けている。

 

「ハァッ!」

 

俺は鬼刃斬りでドボルベルクの側面を攻め続ける。

――とそんな時

 

  『ヒュンッ!』

 

俺の顔の近くを剛弾弓の鉄球が通過していった。

ムフィフィさんの方に目をやると、ムフィフィさんが右腕に抑え踞っている。

 

「!? ムフィフィさん!」

 

俺は武器を納めるとムフィフィさんの元に駆け出した。

 

「ムフィフィさん! 大丈夫ですか!?」

 

「ッ……すまないねトール君。私は君に嘘を吐いていた」

 

「嘘……ですか」

 

「あぁ、君に腕の傷を説明したとき大したことない、と言ったね。実はあの傷を負ってから手の痙攣が止まらなくてね……」

 

ムフィフィさんから告げられた言葉を聞いて俺は驚きが隠せなかった。

 

「はは……驚いてるね。この腕の痙攣が出てから私は仲間を傷つけたくないがために一度ハンターを辞めようとまで思ったよ」

 

ムフィフィさんは震える腕を抑えながら話を続ける。

 

「でも、かつての仲間達はこんな俺でも必要としてくれた。だから俺はハンターとしてやっていくことが出来たのさ。

……まぁ、そのパーティーも数年前に解散したけどね。君をこの狩りに誘ったのは私のハンターとしての最期の狩りにしたかったからさ」

 

「そうだったんですか……」

 

「君には悪いことをしたね。すまなかった。さぁ、腕の震えも治まったようだ。狩りを続けよう」

 

「無理はしないでくださいよ?何かあったら近くのエリアやモドリ玉で逃げてください」

 

「あぁ、了解だ」

 

ムフィフィさんが再び剛弾弓を構えるのを確認した俺は一人で戦っているだろうシマさんの方に向かっていった。

 

≡≡≡≡

 

ムフィフィさんに異変が起きてから数十分程経った。あれからムフィフィさんは自分の異変に気付くと隣のエリアに退避したり等、俺の指事通り行動してくれた。

シマさんはドボルベルクが怒ったり、危険な行動を始めると誰よりも早くモドリ玉を取りだしベースキャンプに帰っていくが戻ってから数分もたたない内にそのエリアに帰ってくる。

本人曰く、「ヒットアンドアウェイだ」らしい。回避すれば良いものを何故モドリ玉で戻るかはわからない。やはり変な人だなと思うが、双剣の使い方はとても上手である。後で教えて貰おうかな。

 

「トール君! ドボルベルクが足を引きずっているぞ、捕獲するか?」

 

「はい、捕獲しましょう! シマさん罠の設置頼めますか?」

 

「大丈夫だ。問題ない(キリッ)」

 

「了解しました、お願いします」

 

「あぁ、私に任せてくれ!」

 

シマさんは自慢の脚力でドボルベルクと距離を詰めるとドボルベルクが通過するであろう足場にシビレ罠を設置し、見事ドボルベルクが罠に引っ掛かり、そのドボルベルク目掛けて捕獲用麻酔玉を投げつけていく。

二発目がドボルベルクの顔に当たった瞬間 ドボルベルクはその場に崩れるように倒れ、眠り始めた。

 

「終わり……ましたね」

 

「ああ、悔いはないな。ありがとう」

 

「え?」

 

ムフィフィさんがいた場所を見るがそこにはムフィフィさんの姿はない。

 

「ムフィフィさん?」

 

その問いに答える者はおらず、渓流にはシマさんの喜びの叫びが木霊するだけだった。

 

◇◆◇◆

 

「――って事があったんだよ」

 

「ふーん、トール暑さでどうかしてたんじゃないの?」

 

「いや、そんな事はないと思うんだけどな……」

 

確かに俺はあのときムフィフィさん達と狩りに行った筈なんだよな……だけどクエストが終わった後、受付嬢に聞いてもクエストは俺とシマさんの二人が受けた、って言ってたし一体どうなってるんだ?

 

「おう、トール。どうした? そんな深刻な顔して」

 

「あ、父さん。ねぇ父さんはムフィフィさんって知ってる?」

 

俺がそう問うと父さんは目を丸くしたような表情をし、

 

「知ってるも何もムフィフィは俺がポッケ村のハンターだった頃の狩り仲間だ。だがトール、どうして急にムフィフィのことを?」

 

「それはムフィフィさんと狩りに行ったからだよ。俺は確かにムフィフィさん達と狩りに行った筈なのに誰も信じてくれないんだよ。ギルドカードだって貰ったのに……ほら」

 

俺がムフィフィさんのギルドカードを見せると父さんは驚いたような表情に変わった。

 

「……なぁトール。落ち着いて聞いてくれ。ムフィフィはもう生きてない筈なんだ。ムフィフィはある狩りの途中、仲間を庇い命を落としたんだ」

 

「え?でもムフィフィさんは仲間を庇って傷を負ったって……」

 

「あぁ、確かにその通りだ。ムフィフィは傷を負ったさ。だが命を落としたのはその狩りじゃない。その狩りのもっと後の狩りだよ」

 

「じゃあ俺が出会ったムフィフィさんは一体……」

 

「もしかして幽霊だったのかもな。なあトール、このギルドカードちょっと確認したいことがあるから少しの間借りるぞ」

 

「あ、うん。わかったよ」

 

父さんは俺の手からギルドカードを取ると、何処かに行ってしまった。

 

「幽霊……だったのかな……」

 

≡≡≡≡

 

トールからムフィフィのギルドカードを借りた父親――オルド――はムフィフィのギルドカードを眺めながら昔を思い出すように呟いた。

 

「お前が亡くなってから20年経つのか……お前は最高の仲間だったよ。どんなときも自分より仲間優先でよ……

お前が死んだときは信じられなかったよ……

 

お前は最期まで仲間がいるから……なんて言ってたよな

 

 

仲間がいるから……か」

 

 

――オルドがその言葉を呟くと彼の目から一筋の涙がこぼれていったのであった。




うーむ……少々納得がいきません……
なんというかオルドさんの描写が頭の中では出来上がってるんですけど上手く書けないジレンマというものが……
納得のいく文が思い付いたら修正するのでそれまではこのままでお願いしますね

それでは番外編二本が終了したので次回からは本編になります。それではまた次回。

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