ダンジョンで死に場所を求めるのはまちがっている 作:不屈の根性
ある女がいた。その女は片手に赤い槍を持ち、赤紫のような色の髪をストレートに腰の辺りまで伸ばしている。
だが、その女がいる場所は普通ではなかった。
女がいる場所は暗くジメジメしていて、人が近づくような所ではなかった。足元には、現代にはいないであろう異形の者の死骸が女を囲むように転がっていた。
「あぁ、俺を
女は独り言を残して、自分を殺せる存在を求め、女はその場から姿を消した。
そして、女が消えた場所に残された死骸はどこにもなく、あるのはただの綺麗な石だった。
■■■■
俺は普通の学生だった。普通に学校に行って、家に帰ってアニメを見て寝るというのが日課だった。
その日も普通に学校に行き、アニメを見ていた。俺が好きなアニメ『fate』が終わり、俺は満足感と共に寝落ちした。
そして、目が覚めると見たこともない場所で寝ていた。
「……は?ここ何処だよ?俺って家で寝てたよな」
訳も分からず立ち上がり声を出してみたところ、違和感を覚えた。
先ず、声が変わっている。俺は女声ではなかった。そして、目に入った自分の髪の毛の色が黒から赤紫になっていた。というか、俺の髪はそこまで長くないので髪の毛が見える筈がない。そして何よりも変わっているところそれは……
「
股を触ってみたが、息子は姿を消し、胸が大きくなっていた。……完全に女性ですね。
「……ありえない。ふざけんじゃねぇよ」
俺はあまりの出来事に怒りを覚えた。無理ないだろう。起きたら知らない場所で女になってたんだから。しかしそれ以上に
「俺……まだ彼女もいたことも無いのに……」
絶望した。息子を一度も使うこともなく、おさらばしなければいけないなんて、夢にも思わなかったのだから。
「あぁ、死にたい。誰か俺を殺してくれ」
しかし、俺の周りには誰もいない。
「夢だよな?夢であってくれ!」
俺は初めて心から神に祈ったかもしれない。夢ならばどれだけ俺の心が救われるか……。しかし、現実は残酷だった。
「……歩くか」
こんな所にいても仕方がないので、歩き出した。俺の足取りはとても重かった。俺の人生で一番重く感じた。
■■■■
どのくらい歩いただろう?十分?一時間?いや、それ以上かもしれない。もしかしたら十分以下かもしれないが、絶望していた俺にはどうでも良かった。
俺が洞窟のような場所を歩いていると突然、俺の周りの壁から穴が複数開いた。
「……は?何これ?穴何かなかったよな!?しかも何か出てくるんだけど!?」
急な展開に全く付いていけてない……。俺が慌てていると穴から出てきた者の全体像がハッキリと分かった。
アリだ。だが、その大きさがおかしい。下手したら人間の子供よりも大きいかもしれない。そんな複数のアリが俺の周りを囲んだ。