乙女はアイドルになる   作:s.s.t

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夜中にこっそり更新。誰も見てないよね?

今回の話は過去最長かもしれません。
いつにも増してサブタイトルがてきとうです。



どうあがいてもカリスマ

「有さんはブラのサイズいくつなの?」

「ブラのサイズ? 胸のサイズとは違うん?」

 

とうとう今日最も来たくなかった場所ランジェリーショップに到着してしまったが、さっそく答えられない質問が来た。

 

(助けてPえもんー)

(有ちゃん、きみはじつにばかだな)

 

なんかトップとアンダーだとかカップ数だとか色々あるのは教えてもらったけど全然覚えてないわ。

どうせスリーサイズとかは非公表だと思って油断してた。

 

「有ちゃんのブラはA65ね。たしか莉嘉ちゃんとみりあちゃんも同じサイズだったかしら」

「そうだったんだ。じゃあ有ちゃんアタシたちと一緒に選ぼ!」

「いっぱい種類あるから有さんの好きなブラも見つかるよ!」

「勘弁してくれよおふたりさーん。そもそもブラとか着けたくないんだよー」

「えーそんなのおかしいよ! アタシなんて早くおねえちゃんみたいなブラほしいのにまだダメって我慢してるんだよ!」

「莉嘉ちゃんには莉嘉ちゃんの良さがあるから姉ヶ崎さんもそんなこと言ったんだよ」

「そーかなー」

「つまり私にも私の良さがあるってことだからブラを着けなくてもおかしくない」

 

1つとして同じものはないから元々特別なオンリーワン。人には人の良さがある。そういう風に、できている。だからブラ着用を拒否しても俺は悪くねぇ!

 

 

「往生際の悪い子ねー。みりあちゃんちょっといい?」

「なーに? …………有さんにそう言えばいいの?」

「お願いね」

 

世の中に1人くらいノーブラのアイドルがいたってええやん。人間だもの。

 

「ねーねー有さん」

「なにかなみりあちゃん。お姉さんは今現実逃避で忙しいのです」

「有さんはブラを着けてない方が気持ちよくなっちゃう変態さんなの?」

「おーっとまさかのキラーパスが来たぞー」

 

みりあちゃんを中継にしたP選手の鮮やかなゲームメイク! ボールを託されたのは小鳥遊選手、生かすも殺すも全てはお前の手にかかっているー!

 

 

「え、有さんそうだったの……?」

「さすがにアタシもドン引きしちゃうかも……」

「そこの姉妹ウェイト! 違うから! 変態じゃないから!」

 

たとえ変態だとしても女装という名の変態だから!

女なのにブラ着けない変態じゃなくて、男なのにブラ着けるか着けないかで迷ってる変態だから!

どっちにしろ変態か。

 

「わ、私は有さんが変態さんじゃないって信じてるよ」

「そもそもみりあちゃんが変態疑惑をかけてきたんですがそれは」

「だって、増田さんに頼まれたから……」

「有ちゃんだってブラしてないせいで乳首透けちゃったりしたら嫌でしょ?」

「いや別にその程度…………た、たしかにそれは、困るかなー」

「ならこれ以上文句言うのはやめましょ」

 

くっ、もし困らないと答えていたらさらに上の変態扱いをされていたところだった。

 

でもこれどうしよーもないじゃん。キラーパスが相手じゃなくて俺をキルしにきてたよ。自軍のゴール前にいる俺に向かって味方がシュートしてきたようなもんだよ。

 

ボールをスルーしたらオウンゴールなのに強烈なシュートを止める技量がない。最初から負け確定だった。

生かすも殺すも俺じゃなくてPさんの手のひらの上だったわ。

 

 

「じゃあ有さんもうブラジャー着けるの嫌じゃない?」

「ああ、みりあちゃんの一言のおかげで目が覚めたよ」

 

現実逃避から復帰できますた。

 

「じゃあ今度こそアタシたちと一緒にブラ選びに行こーね☆」

「あははははこうなったらとことんまで付き合ってやるぜー」

 

もうどうにでもなーれ。

こんなの靴下とかハンカチを選ぶのと同じだって。実用性があって嫌いなデザインじゃなければオッケーみたいな?

元々ファッションセンスとかないんだからテキトーテキトー。

 

 

「あのー、ところで増田さん。有さんって大学生くらいに見えますけど何歳なんですか?」

「22歳よ。美嘉ちゃんの言う通り大学生で来年の3月に卒業。それがどうしたの?」

「その年でまだブラ着けたことないってさすがにおかしい気がするんですけど」

「胸がないから困らなかったんじゃない? 普段からひきこもってて外出しなかったみたいだし」

「でもA65もあれば服にこすれて痛く感じるんじゃないですか?」

「ああ、そういうことね。本当は絶壁だけどちょっとサバ読みしてるの。他事務所にもう第一人者がいるから貧乳キャラはウリにならないのよね」

「うわあ……その発言はヤバイよ。敵に回しちゃいけないところにケンカ売ってる」

「大丈夫よ。表向きは反応してないけど向こうのプロデューサーさんも貧乳いじりに乗っかってる所があるもの」

 

 

なんか不穏な会話が聞こえるけど知ーらないっと。

スリーサイズ決めたとき72cmは超えてないといけないってPさん言ってたけどそういう理由があったんか。

ネットだともうひどいネタ扱いだからねー。ネットの話をリアルに持ち込んではいけない(戒め)

 

「有ちゃん、これとかどーかな? 黒いレースで大人っぽい感じでしょ☆」

「こっちのピンクのやつの方がカワイイよ!」

「いやーどっちもハードル高いってゆーか。せめてこの辺のスポーツブラ? みたいなやつの方が抵抗少ないかなーって」

 

なーんでナチュラルに自分好みのブラをすすめてきますかねこのロリっ子たちは。

そもそもホック式のやつは着け方からしてわからんし。

デザインってやっぱ派手なのよりシンプルな方が良くない? ラブソングとかでも「飾らない君が好き」みたいな歌詞がよく出てくるじゃん?

 

自分を飾るのは新しいクラスで自己紹介を無難に流す時だけでいい。この時ばかりは変に素を出すと1年間撤回不能なレッテルを貼られるから定型句だけ言っとくのが吉。

ソースは高校で同じクラスだった木下君。

 

そもそも自己紹介の役割なんて知己になることをお互い了承することくらいで、そこに相手を知る趣旨なんて含まれてない。

自己紹介してる側は「自分をこう見てほしい」って考えて本性を隠してるし、される側も少ない情報から判断しようとはしないでしょ。もし初対面の印象だけで相手の性格を読み取れたとしてもそれは気のせいで実際はただの偏見だから。

 

つまり「第一印象から決めてました」とか一目惚れ宣言する人間にロクなやつはいない。ま、今どきそんな言い回し使うやつがいたら逆に見てみたいけどねー。

 

 

「あら有ちゃん、そんなに悩んじゃうほど迷ってるならいっそ全部試着してみたらいいじゃない」

「いやPさん? 別にどのブラにするか迷ってたわけじゃないよ?」

「試着したらアタシたちにも見せてね★」

「い や で す 。というかわざわざ試着する必要ないよねどうせ何着か要るんだし全部買えば問題ないよね」

「実際着けてみたら体に合わないかもしれないでしょ。さあさあ着け方は私が教えてあげるから試着室に入りましょ」

 

この人絶対ワザとでしょ! 俺が嫌がってるの気づいてるくせに!

あーもうほんとに勝手だなー。

 

 

 

 

 

「で、3人の目の届かない所に移動して何がしたいんですか?」

「ちょっとした有ちゃんの意識調査かしら? もちろんブラも着けてもらうけど」

「前者だけでオナシャス」

「だーめ。何個か質問するから服を脱ぎながら聞きなさい」

「山田さんの一件以来人前で脱ぐのに抵抗が生まれたんですよねー。まあPさんには抵抗するだけムダですけど」

「恥じらいがあってなによりじゃない。あ、最初は簡単なスポーツブラからいきましょうか」

 

わかってたけど山田さんのことは一切反省してないのね。悪いことしたとも思ってなさそう。

 

しかし意識調査って今度は何を考えているのやら。最初の頃も似たようなことあったけど、またプロデュース方針決めるのに必要なのかな?

 

「スポーツブラは普通に上からかぶってね。腕を動かしてブラが擦れたり肩ヒモが食い込んでなければ大丈夫よ」

「スポブラって見た目は水着とあんまり変わらないですよね。こりゃラクチンだわ」

「運動する時に胸がゆれないよう守るためのものなんだけど、有ちゃんには関係ないわね」

 

当たり前だよなぁ? むしろゆれたら怖い。

 

「それじゃあ質問1。女性物の下着を見て有ちゃんは興奮した?」

「なんなんその質問。いや、下着だけ見ても特に興奮はしないですけど」

 

だってただの布だし。

 

「着用されてる下着だったら?」

「シチュエーションによりますかね。好きな人相手とかだったら興奮するんじゃないですか?」

「美嘉ちゃん、莉嘉ちゃん、みりあちゃんの3人だったら?」

「ロリ2人は犯罪でしょ。JKも守備範囲外かなー」

 

大学生から見た高校生なんてそんなもんじゃない? 世代が違うって頭のどこかで認識してんだろーね。

ぼっちは学校以外の集団に属さないから特にその基準で判断する傾向が強いかも。

 

「なるほどね。ブラの着け心地はどう?」

「やっぱり空洞ができてますねー。もっと小さいサイズないんですか?」

「諸般の事情で極端な貧乳にはしたくないの」

 

その事情はさっき聞こえましたけどね。

でもそれじゃあどーすんの?

 

「テッテレテッテテーテテーン。346科学班謹製パッド〜」

「なんすかこれ」

「その名の通りウチのアイドルの科学班に作ってもらったパッドよ。本物ばりの触り心地と耐久性を兼ね備えた一点物だから大事にしてね」

「事務所じゃなくてアイドルの科学班とはこれいかに」

 

事務所の科学班があったとしてもおかしな話だけどさ。なんでアイドルがそんな技術持ってんの。

 

「不思議な吸着剤によって剥離剤を使わない限り絶対に取れない! 有ちゃんのためにあるような素敵アイテムよ。これからは常に装着してね」

「現代科学で実現可能なのこれ?」

 

微妙に世界観崩れてない? 大丈夫?

実は未来技術で作られたひみつ道具だったりしないよね?

 

「パッドを付けたら他のブラも試してみましょう。はい、このピンクのやつを1人で着けてみて」

「また女装の手間が増えるなあ……」

 

Pさんに手順を教えてもらいながらみりあちゃんがすすめてくれたブラを着けてみる。

えーとまずは上半身を前に倒して、胸の輪郭にブラのカップを合わせるっと。後ろのホックが留めにくいなー。

片手で押さえながら胸(パッドだけど)を寄せてブラに収めたら、体を起こして肩ヒモを固定する。反対側も同じようにして完成。

つーかこのパッド本当に肌にくっついてるよ。小さいパッドだから軽いけど重さもちゃんと再現されてるっぽい。触り心地は本物触ったことないから知らんけど。

見た目も肌色だからぱっと見じゃわからんかも。

 

「意外と器用ねー。どうせ偽物のバストだから少しズレてても問題ないんだけど、正しく着用できてるわ。有ちゃん偉い!」

「こんなにうれしくない褒め言葉があったことに驚きです」

「そろそろ2つ目の質問しましょうか。事務所の中で有ちゃんの気になる子はいる?」

「気になる子ですか?」

「恋愛的な意味でね」

「いやいるわけないでしょう。知り合いは基本年下の子ばかりですし大人組もあんなんですし」

「でもアイドルだから容姿は抜群よ?」

「容姿どころか性格も良い人ばっかですけどそれとこれとは関係ないでしょ」

 

そもそも俺が女装してる時点で恋愛に発展する可能性はゼロだから最初からそういう対象として見ていない。

ついでに言うならぼっちで誰かと深い関わりを持つこと自体なかったから身近な女性を恋愛対象として見たことがない。身近になるほどの女性がいなかったとも言い換えられる。

 

「つまりは恋愛経験ゼロってことです」

「そう? ならこの質問は終わりましょ」

「これなんの意味があったんですか」

「有ちゃんも将来的には誰かとユニット組んだり一緒にお仕事するようになるから、その参考ね」

「ライクじゃなくてラブの子がいたらどうなってたことやら」

「その場合は手が出せないように何かしらの対処が必要かしら。物理的にか精神的にかはわからないけど」

「罰が重すぎる。まあアイドルなんて元から恋愛禁止の職業ですから心配しなくても大丈夫です」

「私としてはアイドルの子にさえ手を出さなきゃ干渉するつもりはないわ。職員との恋愛なら男性でも女性でも問題無しよ」

「いや、そのりくつはおかしい」

 

男性との恋愛は明らかに問題あるでしょ!

 

「有ちゃんには女装で負担を強いているから、せめてそれくらいの自由は認めてあげたいという親心よ」

「自分の子どもが同性愛に目覚めて平然と受け入れる親がいてたまるか!」

「そういえばピンクのブラも結構似合うわね。あえて子供っぽさを残すことで内面の幼さが引き出され、有ちゃんの外見と中和されることで大人でありながら少女らしさも感じさせる奇跡的なバランスがーー」

「ツッコミスルー!? 真顔で見ないで!」

「俄然黒のブラへの期待も高まるわね。早く着替えて着替えて」

「はいはい着替えりゃいいんでしょ!」

 

何が悲しくて女装ブラジャー姿を晒した上にガチで評価されなきゃあかんのか。

あんなに嫌だったのにもう着け方も覚えちゃったし、いったいどこに向かってるんだ俺は。

 

「着けてる間に質問その3。恋愛感情は抜きでいいからとにかく誰かもっと仲良くなりたいと思った子はいる?」

「え? 武Pさんの話?」

「男女問わずで、って言おうとしたんだけど即答ね」

「ちゃうねん。純粋に仲良くなりたいだけやねん」

「偽りのない純粋な想いなのね。有ちゃんの気持ちはよくわかったわ」

 

本当にわかってる? 誤解されてる気がしてならないんですけど。

まあ武Pさんとなら誤解されても……あ、もちろん冗談だけどね? ジョークジョーク(棒読み)

 

「黒も似合ってるわね。一歩間違えば下品になりかねない色だけど上手く着こなせているところが高ポイントよ。莉嘉ちゃんのチョイスも良かったわ」

「まあピンクのよりはおとなしいデザインなんでマシですけど」

 

Pさんが渡してくる服にはフリフリのやつもあったからレース付きのブラくらいじゃ今更動揺しないし。

普段使いがこれでダンスレッスンとかで汗かくときはスポブラかなー。

 

 

『有さーん今どんな感じ? アタシたちはだいたい買うもの決めたんだけどー?』

「あら、美嘉ちゃんたち来ちゃったわね。私は出て行くから有ちゃんも着替えなさい」

「うぃー」

 

はぁー結局今日もPさんに散々振り回されたわー。

これでお仕事じゃなくて休日に遊びにきただけっていうんだからたまんないぜ。休日とはなんだったのか。

 

『えー? 有ちゃんもう着替えちゃってるの! アタシが選んであげたブラ見たいのに!』

『あ、ダメだよ!』

「有ちゃんストーップ! アタシにも着けてるところ見せて!」

「ちょっと待って莉嘉ちゃん! 試着室のぞいちゃだめだよ!」

「こらこら莉嘉ちゃん。親しき中にも礼儀ありって言葉もあるんだからマナーは守りなさい」

「あ……ごめんね。怒ってる?」

「いや、怒ってはないけどいきなり入って来られると心臓に悪い」

 

外から声が聞こえてたからなんとか急いで着替えて間に合ったけど、女装バレしかねないからもうやらないでほしい。

 

「あの、私も試着室入っちゃって……ごめんなさい」

「みりあちゃんは莉嘉ちゃん止めようとしてくれただけみたいだけど。まあ、2人とも次から気をつけてくれればオッケー★」

「あはは、おねえちゃんとおんなじ言い方だね☆」

「うん、もうしないからね!」

 

ほんとにアイドル生命失うどころか社会的に死ぬ危険もあるからよろしく頼むよ?

そこまでがっしりした体格でもないけど、見る人が見れば男って気づく可能性は十分あるんだから。

 

「それじゃ私は身だしなみチェックしてから行くから2人は外で待っててつかーさい」

「はーい」

「出てきたらどのブラ買うことにしたか教えてね☆」

 

ふぃーなんとかなったぜ。地味に女装バレの危険を感じたのは初めてかもしれない。なんだかんだ今まではPさんが守ってくれてたんだなー。

 

ほんの少しだけPさんに感謝していると姉ヶ崎さんがカーテンの隙間から顔をのぞかせてきた。

 

「あー有さん、ウチの莉嘉が迷惑かけちゃったみたいでごめんね?」

「きゃー! ノミカさんのエッチ!」

「なんでアタシだけそんな反応!? ノミカさんって誰!? てゆーかもう着替えてるじゃん!」

「いやーちびっ子たちじゃこのネタ通じないかなーって。あと姉ヶ崎さんなら良い反応してくれそうだし」

「その姉ヶ崎さんっていうのもいいかげんツッコミ我慢するの限界なんだけど!?」

 

新声優陣になってからアニメ見てないけど今は規制が厳しくてお風呂シーン流せないんじゃないかなー。

姉ヶ崎さんはちょっと他に良い呼び方思いつかなくて。

 

とりあえず身だしなみ整えたし試着室から出ましょ。

 

 

「普通に美嘉でいいよ。みんなそう呼ぶし」

「いきなり下の名前はちょっと」

「莉嘉とみりあちゃんは名前で呼んでるじゃん!」

「ちっちゃい子相手ならなんとかなるから……」

「どういう基準なのそれ」

「根がぼっちの有ちゃんは人の呼び方程度でも一喜一憂するほどコミュニケーション能力が低いのよ。察してあげなさい」

「増田さん。さすがにそれは言いすぎじゃないですか?」

「いいやPさんの言う通りだー。世の中の人はもっとぼっちを気遣えー」

「あ、それでいいんだ……」

 

運動会で手をつないでゴールしたり勉強ができないことも個性だとか言われる昨今、世間はコミュ力が低いぼっちのことも個性だと認めるべきである。

まあ競争社会を否定するからこそ手を取り合うためにコミュ力が求められてるんだろうけどさ。

ちなみに根がぼっちとゆーかネガティヴぼっちだから俺がコミュ力上げるのはムリ。

 

 

「ねえねえ、有ちゃんってこの後も時間ある?」

「私もっと有さんと仲良くなりたいな」

「莉嘉たちもこう言ってるし、どうですか増田さん? お仕事とか入ってなければ付き合ってもらいたいんですけど」

「もともと今日はお休みだから大丈夫よ。下着だけじゃなくて有ちゃんの服も買う予定だったからできればそっちもお願いね」

「よかった。有さんもいいかな?」

「まあここまで来たらもうとことん付き合うんで好きにして」

「やったー☆」

「早くお会計すませて行こー!」

 

 

その後は試着した3点をそのまま買ってから一日中ショッピングを続けた。

服や雑貨やアクセサリーなんかを見て回って、どれがカワイイとか誰に似合ってるという話をずっとしていた。

買わずに品物を見るだけでも楽しいというのはあんまり共感できないけど、俺自身はそこそこの数を(主にPさんによって)買わされたしまあファッションの勉強だと思えば暇はしなかった。

 

個人的な買い物もできたから最終的には満足のいく休日になったんじゃないかな。

途中莉嘉ちゃんの希望でゲーセンに寄って遊んだりもしたし、けっこう親睦を深められたと思う。

 

 

 

 

 

「そういえば試着室の中で話してたんだけど、有ちゃんって全然恋愛の経験も興味もないみたいなのよ」

「そーなの有さん?」

「あ、それならおねえちゃんに恋愛のこと教えてもらったらいいよ! なんたってカリスマギャルだから、お仕事でもよく恋愛相談とかしてるもんね☆」

「エ゛!?」

「ほほー姉ヶ崎さんにそんな特技があったとは。是が非でも教えを請いたいねー」

「ア、アタシなんかまだ高校生だし、大人の有さんに何か教えられるほどじゃないかなーって」

「そんなこと言わずにお願いカリスマ!」

「いやだから」

「カリスマ! カリスマ! カリスマ!」

「ちょっとやめ」

「カリスマ! カリスマ! カリスマ!」

「なになにおもしろそう☆ カリスマ!」

「私もやるー! カリスマ!」

「ゆ、許して」

「私も乗っておこうかしら。カリスマ!」

 

 

「「「「カリスマ! カリスマ! カリスマ!」」」」

 

 

「もうやめてーー!!」

 

 

うん、親睦を深められたと思う。

 

 




平穏無事に話が終わりそうだったんだけどそういえば姉ヶ崎さんメインの回だよなーって思い出したところで最後にオチを追加。
元々どこかでカリスマネタは使おうと思ってたのでどうあがいてもカリスマ、みたいな感じ。


人物紹介のコーナー。

●城ヶ崎美嘉(じょうがさきみか)
城ヶ崎姉妹のカブトムシが苦手な方。ティーンの間で絶大な人気を誇るカリスマJKギャル。

髪色が派手、露出が多いなどの特徴に反してウブな一面があり、実は今まで一度も彼氏ができたことはない。これは公式設定。

他にも「みりあちゃんふひひ★」のせいでロリコン疑惑あり。この設定が嫌いなファンもいるけど発言自体は公式からだから扱いに困る。

妹が姉と似ている口調な上に一人称も同じだから差別化が大変だった。語尾が☆で主人公の呼び方がちゃん付けなのが妹、語尾が★でさん付けなのが姉ということで一応書き分けたけどちゃんとできてるか心配。

昔やんちゃをして怒られて以来増田Pを恐れているが、真相は本人たちしか知らない。「露出があまりにも過剰になってしまった説」「担当Pのコートの匂いを嗅いでいる現場を見つかった説」「年下の子に怪しげな視線を送っていた説」などが候補として挙げられている。

カリスマギャルという主人公とは対極の位置にいるが、恋愛経験がないところとPさんに逆らえないところが2人の共通点。


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