当方小五ロリ   作:真暇 日間

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 たまにはこんなお茶目なさとりんもいいと思います。


31.3 私はこうして仕返しをする

 

 ふと、昔のことに突然腹が立ってきた。具体的には、私のペットに勝手に変な病気のようなものを植え付けた上にそのことについて本人が謝りにくることもなく、なあなあで済ませた上に悪びれもしない。そんな輩がいることに突然無性に腹が立ったのだ。この精神状態は普段の私に比べて少々どころではなく奇妙なのだけれど、今だけはそんな状態にも乗ってしまいたくなっている。中々に強力な能力だと褒めてあげましょう。天邪鬼さん。

 

 と、天邪鬼への『お返し』についてはまた今度考えるとして……今は守矢の軍神への『返礼』について考えるとしましょうか。

 

 ――――――――――――――――――ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……♪

 

 ……と言っても、本格的な呪詛系統は洩矢の祟り神に防がれてしまうでしょうし……やはりここは軽く夢を見させる程度にしておきましょう。

 内容は……『八坂刀売神』や『建御名方』としての名前より『ガンキャノン』として奉られた時の方が得られる信仰が多くてすっっっっっごく複雑な思いを抱きつつそれを誰もが当然と思っているため誰かに相談もできず、洩矢の祟り神が相談に乗ってくれて解決したかと思いきや夜遅くに風祝にそのことについて話をしていて話に混ざろうと思ったら「神奈子の奴、大丈夫かな……?」とか本気で心配そうな声が聞こえて混ざるに混ざれなくなってそれから本当に誰にも相談できなくなって悶々と過ごし続けている間にも『ガンキャノン信仰』がかつての自分の最盛期の三倍以上に膨れ上がって辞めるに辞められなくなり、そしてある日ふと『ガンキャナコ様』と呼ばれて当たり前のようにそれを受け入れている自分に気付いてしまって愕然とした……と言う感じでいいですかね。

 ちょっと神としての存在が揺らぐかもしれませんが、そのくらいなら祟り神の方がカウンセリングなりなんなりをしてガンキャノン化を防ぐでしょう。やらなかったとしても背負う御柱から砲撃できるようになったりする程度の変化くらいしかないでしょうし、問題ない問題ない。

 

 ……あるいは、巷でよくある『プチキャラ化』なるものをさせてみるのも面白そうだ。

 精神状態が体格などにも影響を与える神格。ならば、その信仰の形を全世界の人間規模まで広げてやれば守矢の軍神の体格を自在に変動させるくらいのことは簡単にできてしまう。

 身長30cm、2.5頭身の守矢の軍神……きっと人気が出ると思われますよ? 可愛らしさで。

 ただし、体格が急に変わることから間違いなく転びやすくなっていると思われるため『ドジキャラ』も一緒に付加されることになることでしょうが……起こした異変の内容から見てドジなのは変わりないため大きな問題にはならないでしょう。実際のところがどんなものかは知りませんが。

 

 または、洩矢の祟り神と体を入れ替えさせたり、洩矢の祟り神、あるいは風祝と一時的に合成させてみるというのはいかがでしょう。なかなか面白いことになりそうだ。

 けれど、その場合出来上がりがどうなるかによって被害が大きくなったりすることだろう。

 性格はほぼ軍神のまま、能力が祟り神の物を基本としてさらに強化されていたりした場合、私は出来上がった彼女を止める事はできない。祟り神相手では精神攻撃が聞きにくいのだけれど、それがさらに強化されてしまっていては。本当にどうしようもない。

 元々彼女たちの片方だけで幻想郷のパワーバランスの一角を担える程度の実力があるというのに、それをさらに強化してしまっては面倒なことになる。混ぜるのが風祝だったとしても、元人間の現人神程度の実力であれだけの奇跡を起こせる能力を神としてのポテンシャルで振るわれたりしては本当に目も当てられない。しかも使う性格がガンキャナコ……絶対に渡してはならない者にその能力が渡ることになるわけだ。

 もしも『奇跡を起こす程度の能力』が祟り神の方に行ったら、祟り神は恐らく平穏で自分たちが消滅しない程度の信仰を永続的に得られる状況を作り出してのんびりと生活することだろう。

 もしも幽香さんがその能力を得れば、大好きな花たちに囲まれた幸せな世界を作り出すことだろう。

 もしも白蓮和尚がその能力を得れば、彼女は自分が救いたいと思った相手のためにその能力を使い、ひたすらに祈り続けるだろう。

 もしも八雲紫にその能力があれば、愛する幻想郷がずっと楽園でいられるようにと願うことだろう。

 ……もしも私にその能力があれば、地霊殿に住むみんなが平穏であることを望んで能力を使うだろう。

 妖怪である者、あるいは性質的に妖怪に近いものに能力が渡ればこうして『自分の大切な誰かのために』その能力は使われるだろう。

 しかし、もしもこれがガンキャ……八坂の軍神に渡ればどれだけ世界が混乱する使われ方をされるかわからない。同じように世界の端末である妖精たちや、自然を切り取った形で存在する神にこの力があれば……結果が見えないほど混沌とする。やはり神に渡すべき能力ではない。

 ……実のところ、神ならば『奇跡を起こす』くらいのことはできて当然なのだ。しかし、守矢の風祝のそれは奇跡を起こすことに特化した能力。時に自分の身の丈に合わない奇跡すらも起こせてしまう能力なのだ。

 だからこそ、もともと奇跡と言う形で大きなことを起こせる神にそんな能力を与えてしまっては世界がまずい。と言うことで、この案は没と言うことにしよう。

 

 では次。守矢の軍神の性別を入れ変えてみるというのも面白そうだ。

 今の守矢の軍神は女性神である。しかし、建御名方と言う神は男性神だ。これはどういうことかと言われれば……恐らくだが、『建御名方は両腕を切り落とされている』と言う伝承のせいだと思われる。

 両腕を建御雷に切り落とされた建御名方。しかしその存在を建御名方と同じ場に奉じられていた『八坂刀売神』と同一視されることによって切り落とされた腕を元の形に戻しているのだと思われる。

 ならば、この状態でまた性別を男性に入れ替えてみれば……再び男性神となった建御名方の両腕はどうなることだろう。

『八坂刀売神』と言う神が男性化したものとして、それと婚姻を結んだ建御名方がホモ扱いされることになるなら笑い話で済む。と言うか済ませる。

 だが、『八坂刀売神』が建御名方と完全に同一視されるようになり、その状態でも腕を切り落とされた形になれば笑い話ではおそらく済まない。流石にそうなれば洩矢の祟り神との戦争になる。そんな面倒ごとはご免被りたい。

 そう言う訳なので、別の物を考えてみた。例えば、洩矢の祟り神の伝承を書き変えて『戦争で負けた腹いせに男神に化けて建御名方から八坂刀売神を寝取った』とかそんな一文を書き加えるとしよう。

 そうなった場合、『八坂刀売神』と洩矢の祟り神はある意味では夫婦のような関係になるわけだ。そして洩矢の祟り神の子孫にはあの常識を投げ捨てた風祝がいるわけで……あの風祝が洩矢の祟り神だけでなく、八坂刀売神、つまり八坂神奈子であり八坂刀売神であり建御名方でもある彼女との間にも血縁関係が生まれる事になるだろう。

 ……さて、面白くなってきた。世界の多くの存在の認識を書き換えるのは多少骨の折れる作業ではあるが、できない訳ではない。朝起きたら自分と言う存在への認識がかなり変わってしまっているという恐怖を味あわせてやろう!

 

 ……ついでに私はそうして生み出された神の恐怖で飯が美味い、と。実に効果的で実に生産性のある報復だ。私にしては中々考えられた復讐だと思う。

 

 と言うことで、これを実行する前に―――私に向けて能力で干渉してきた天邪鬼に仕掛け返そうか。能力で男女くらいなら反転させてしまいそうだから、まずは能力を封じ、それから性別を変え、ついでに近くにいるお仲間と親交を深める形にしてしまおう。先に仕掛けてきたのはあちらなのだし、文句は言わせない。言ってきたとしても黙らせよう。

『確かにお前がそうなったのは私の責任だ。だが私は謝らない』……と。初めからそちらが何もしてこなければ私がわざわざそんなことをする必要もなかったのだから、当たり前と言えば当たり前のことなのだけれどね。

 ああ、そう言えば、洩矢の祟り神にはしっかりと決められた性別と言うものがなかったような気もする。何しろ古代の神だ。男であり女である、と言う矛盾も矛盾としてではなく『そう言うもの』として受け入れられたとしても何らおかしいことはない。男と男でいける口な建御名方とならどちらでもいけるだろう。よかったよかった。では実行、と。

 

 


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