ドラえもんのび太の時間運行〜仮面纏った運行人〜   作:焔崩し

3 / 3
焔崩し「で、電王が先に出来ましたので投稿いたします」

のび太「長…こんな駄文ですがよろしくお願いします」


第三話 ガオウ、現る

 のび太達の住む町の空き地で二つの人影が激しい戦いを繰り広げていた。

 

 一人は電王、もう一人はガオウと呼ばれる戦士である。

 

 先程の歩き出したのがきっかけとなってから数分、幾度となく剣での衝突が繰り返されている。互いに剣を受け止め斬りかかり、それを受け止め斬り返す、その繰り返しである。

 

「おりゃあ!」

 

 電王はこのままでは体力が無くなると判断し、背を斜めに逸らしながらデンガッシャーを下から切り上げた。

 

 目標はガオウの手元。

 

 電王の狙い通り、デンガッシャーはうまい具合にガオウの手元にあたりガオウガッシャーを弾いた。

 

 ガオウガッシャーは地面に転がり落ちた。電王はそれをチャンスと思い、デンガッシャーを勢い良く斜めに振り、乱れ斬りを行った。

 

 ガオウの切り裂かれた部分からは火花が舞うように散った。電王は右足を勢い良く突き出し、ガオウの腹部を蹴りつけた。

 

 腹部を蹴られたガオウは地面を転がり、倒れた。だが彼は直ぐに左膝をつき、ふらつきながら立ち上がった。

 

 ガオウのスーツからは時折ビリビリと鳴りながら小さく電撃が飛び散っている。

 

 どうやら報告にあった通りスーツの調整はすんでいないようで、スーツのフリーエネルギーが安定しないようだ。

 

「さっさと終わりにするか」

 

 電王は逆転される前に必殺技を繰り出そうと、ライダーパスを取り出した。ライダーパスを翳し、必殺技のエクストリームスラッシュを繰りだそうとした。

 

 その瞬間、ガオウが地面を蹴る様に跳び、一瞬で電王(ソード)に近づいた。

 

 距離にして約七歩から九歩。

 

 その距離を一瞬にして近づいて来た為、電王は仮面で表情は分からないが、驚いた。

 

 しかし直ぐに落ち着きを取り戻しパスを翳そうとしたが、ガオウがその前に電王の腹部に五発、拳を打ち込んだ。

 

 拳は全て、適格に電王の腹部を捉えていた。腹部へと命中した拳は電王(ソード)に大きなダメージを与えたらしく、電王は後ろに蹌踉めいた。

 

 ガオウは電王に休息の暇を与える気は無いらしく、一度着地すると一瞬でハンドスプリングの様な体制をとり、両腕をバネとして飛び蹴りを放った。

 

 ガオウの勢いは先程の、一瞬で距離を追い詰めて来た速度から落ちていない。

 

 ガオウは一瞬で距離を詰めてきた時と同じ勢いで電王を蹴ったのだ。

 

 当然威力は高い。電王はその事を瞬時に理解し、腕をクロスさせてガードの体制になった。

 

 ガオウの飛び蹴りは電王に命中した。電王は蹴りが命中すると同時にアニメの様に飛んだ。ガオウに吹き飛ばされた電王は空き地の地面を何回かバウンドし、土管の近くまで転がった。

 

 電王が立ち上がりながら地面を見るとバウンドした所に小さい陥没が出来ていた。それを見ればどれだけ威力が強いのか理解出来る。

 

「こいつ、剣より素手のが強いじゃねえか」

 

 電王は飛び蹴りで攻撃された腹部を抑えながらか分析した。

 

 ガオウが放った全ての攻撃は電王腹部、それも特定の範囲を集中して攻撃して来た。

 

 その事から攻撃が適格なのかが理解できる。更に前言の通り、集中して腹部の特定範囲を攻撃してくるので電王の腹部のダメージは限界を迎えていた。

 

「ばれてるよな…しゃあない。どっちかってと剣ならロングかバスターのがいいしなぁ」

 

(あれ?絶対戦意ないよね?)

 

 余りにも気が抜けた言葉。先程の様な気迫は感じられず、少しやる気の無い学生の様な雰囲気が漂っている。

 

 まるで先程の殺気が演技とまで感じられる程だ。

 

 ガオウは近くに落ちていたガオウガッシャーを拾い上げると、手慣れた手つきでそれを解体し、双剣の様な物に組み替えた。

 

 剣先は先程の様な牙の形ではなく、爪の様な形になっている。

 

 まるで双剣と言うよりは鉤爪のようだ。

 

「さて…我流の物でしかないが何処までいけるかね」

 

 ガオウは両手に持った鉤爪状態のガオウガッシャーの先端を地面に突き刺し、腰を落とした。

 

 その姿は恐竜と言うよりは獲物を狩ろうとしている獣。

 

 先程の瞬発力なども見れば狼と言われたほうが納得する。

 

 現代ガオウは先代ガオウの様な力で押してくスタイルとは真逆の、スピードで押していくスタイルになっているのだ。

 

 ガオウは右足で地面を蹴り、前に飛び上がった。その高さは電王の丁度頭上。

 

 電王から見ればそれは一瞬の出来事であった。急に目の前で砂埃が舞ったかと思えばガオウが自身の頭上に居たのだ。

 

 電王はデンガッシャーて突きを放とうとしたが時遅し。ガオウは体を勢い良く左に捻り、左手のガオウガッシャーで引っ掻くように切り裂いた。

 

 切り裂かれた電王は後ろに蹌踉めく。当然、ガオウは攻撃の手を緩めず、前に走りながみだれひっかきの様にガオウガッシャーを使って電王を切り裂いた。

 

 それは某有名なロボアニメの黒獅子がゲームで繰り出す格闘コンボにも見えた。

 

(これ完全に格ゲーのあれだよね…)

 

「動きはそれだな。だが舐めない方がいいぞ!」

 

 ガオウはそれだけ言い、電王の方へと駆け出した。

 

 腕はダランとしており、走っている影響で正面から来る風で後ろになびくようになっている。

 

 まるで腕がぶら下がっているだけの肉の塊の様に。

 

 ガオウは電王との距離が目と鼻の先になるまで近づくと右手にあったガオウガッシャーを空中で離し、右の掌を電王の胸部にそえ、発勁を叩き込んだ。

 

 すると発勁によって発せられたのか、恐竜の頭部を模した物が右の掌から飛び出した。

 

 その恐竜の頭部が透けている事から電王であるのび太はこれがフリーエネルギーで出来ていると瞬時に判断した。これは彼が変身するフォームに似た物がある事から判断できた。

 

 その恐竜の頭部は電王に噛み付き、口に咥えながら地面に引きずり、土管へと突進して行った。

 

 電王はそのまま土管へと叩きつけられた。土管はかなりの音を辺りに響かせ、文字通り粉砕された。

 

「チッ…痛え〜」

 

 電王は瓦礫に埋もれてはいたがなんとか無事であり、後頭部を抑えながら立ち上がった。

 

 電王は仮面越しにガオウを注意してみながら彼の行った攻撃に対して疑問を持っていた。

 

 どのような攻撃をされたのかは理解している。だがその攻撃方法と原理については理解出来ていなかった。必死に思考を巡らせるが答えはでない。

 

 変身しているのび太は普段よりも精神が落ち着いており、身体能力も高くなっている。だが知識量こそは普通の小学生より多い程度である。 

 

 更に言うならば変身している時は基本的にイマジンが自分に取り憑いている。そのおかげで身体能力とは別で戦闘能力も高くなっている。のび太単体ではイマジン達が取り憑いている時程強くはなく、丁度鍛えている真っ最中である。

 

 そんなのび太だが相手の解析等に関しての事はイマジン達よりずば抜けている。その為大体はのび太が指示、アドバイス等を担当し、イマジンがのび太の体を使って相手を倒す。といった具合である。

 

 今、のび太が抱いている疑問は今のフリーエネルギーの運用についてである。自分達電王はフリーエネルギーを使う際は基本的に必殺技を発動する時でありフリーエネルギーをチャージする為にライダーパスをデンオウベルトに翳している。

 

 パスを翳す事でエネルギーを携行武器であるデンガッシャーにチャージしているのだ。理由としてはライダーパスを中継回路とする事で初めてデンガッシャーにエネルギーが行き渡る。

 

 恐らくそれはガオウも同じ筈だ。なのに彼はチャージを行わず、フリーエネルギーの塊を叩き込んできた。更にガオウはフリーエネルギーの形、この場合は恐竜の頭だが、それをどのようにして形成したのかも気になっている。

 

(ほんと、一体どんな改良したらここまでのエネルギの運用が出来るんだろう)

 

 どうしても分からなくなったのび太は思わず呟いた。ガオウはそれが聞こえたのかのび太の疑問に答え始めた。

 

「簡単な事だ。先代がゼロノス…だったか。それと戦った時にやっていたみたいだが足元にフリーエネルギーを貯めて蹴りで直接叩き込む。

 

 早い話がそれの応用だ。後は試験的な段階ではあるがフリーエネルギーを思考で操るシステムを積んだ。

 

 それを使えば先程の様な事も出来る。まあ…まだ試験的だからシステムが限界みたいだがな」

 

 ガオウは自分の頭を抑えながらそう話す。どうやら話にあったシステムは、ガオウの装着者の脳に負担をかけるようだ。

 

 その一方でのび太は何故、自分にその様な解説をしたのかが分からなかった。

 

 それを敵である自分に教えた所でガオウ側にはメリットが無い。

 

 にも関わらず彼は普通に話してきた。のび太の疑問はひとつ解消されると同時にひとつ増えた。

 

「さて、解説と準備運動も済んだところだ。そろそろ全力で…ん?」

 

 ふと、何かに気づいたのガオウは電王とは違う方向を見た。その視線に釣られ、電王もそちらに視線を向けると、そこにはモグラの様な赤いイマジン、モールイマジンがそこに居た。

 

「なるほど…気に食わねぇな。それじゃあこっちと同じじゃないか!」

 

「「「「「(ツッコミ入れるのそっち!?)」」」」」

 

 余りにも外れているツッコミに思わずドラえもん達が、更にはモモタロスまでもがツッコミを入れてしまった。確かに何処かずれている様にしか思えない。

 

「何でガオウが居るんだ…電王だけだって言う話じゃなかったのか!あの人間は…」

 

 対し、ガオウ達の目の前に居るモールイマジンは独り言をブツブツと言い始めた。電王は余り聞こえてないらしい。

 

 ガオウはモールイマジンの独り言をある程度聞くと一人で何かを理解したのか、なるほどと呟いた。

 

 ガオウは軽くため息をつくと自身とベルトの右側にある黄色いボタンを押し込んだ。するとガオウベルトからは何処か映画に出てくる様な恐竜の鳴き声と、和太鼓の音が流れた。

 

「ふう…これは本来なら今日は使わない気だったが…まあ、面白い情報を聞けた分のサービスとしておこう。改めて刮目しな。変身!」

 

 ガオウはマスターパスをベルトの真ん中に翳した。

 

《バキロスフォーム》

 

 ベルトから電子音が鳴り、ガオウの体は電王と同じプラットフォームの物に変化する。それと同時に周囲に黄色いアーマーが展開される。

 

 それらがプラットフォームのガオウに装着されると、ガオウの頭部のレールを辿り、黄色いパキケファロサウルスを模した電仮面が展開される。電仮面が展開されると、その存在を証明するかの様に周囲に強い風が巻き起こった。

 

 先程、黒かったスーツ部分は白く変わっており、アーマーは薄い黄色へと変わっている。

 

 胸部の装甲はガオウフォーム時の物から打って変わり、鋭利な見た目の物から別世界で活躍していた黒いマツボックリライダーを思い出させる様な見た目になっている。

 

 両手甲にはパキケファロサウルスの頭部を模した篭手、バキロスブレイカーが、両足には恐竜の爪を元にしたパワージョッキが追加されている。

 

 電仮面は白いフレームとなっており、頭部に丸く輝く緑色の宝石の様な物が埋め込まれており、そこに角の様な物が付いている。ガオウフォームとは違う、黄色い複眼が輝いている。

 

 ガオウは名の通りバキロスフォームとなり、ここに新たな姿を披露した。

 

「おいおい…こんなんなかったぞ!」

 

 思わず電王は声を上げた。そもそも前のガオウには強化フォームすらなかったので当然と言えば当然だが。

 

 ガオウはボクシングの様な構えをとった。右手を前に、左手を後ろ。足を手とは逆で構え、いつでも動ける様な体制とった。

 

「そんなもの見掛け倒しだ!」

 

 モールイマジンは右手の爪を構え、ガオウに向かって行った。ガオウはモールイマジンが向かって来るのに対し、右拳を握り、ただ構えたまま向かって来るのを待った。

 

 モールイマジンは右手の爪を縦に思い切り振るう。ガオウは瞬時に右手を前に突き出した。

 

 それと同時に篭手となっているバキロスブレイカーのサイズが変化した。変化したバキロスブレイカーは右手全体を覆い尽くした。

 

 バキロスブレイカーそのものと化した右手は振りかざされたモールイマジンの鉤爪と同時に当たった。その状態は長く続き、鍔迫り合いへと発展した。

 

 鍔迫り合いから先に動いたのはガオウだ。左手を引き絞り、上に突き上げアッパーを繰り出した。拳は人間で言うみぞおちにあたる部分に突き刺さった。 

 

 そこから両腕で無数のパンチを目にも止まらぬ早さで打ち込んだ。そして右手を腹部にめり込ませると右手に力を込めた。

 

「オラァ!吹っ飛べ!」

 

「グッフォ!!」

 

 力が込められたバキロスブレイカーから、パキケファロサウルスが【分厚い頭のトカゲ】と呼ばれるきっかけとなった頭頂部を模した部分が伸びた。

 

 モールイマジンは小さく声を出し、苦しんだ。そして理解した。このままでは勝てない。

 

 そこでモールイマジンは先に生身の人間、スネ夫達を先に殺し、絶望した所を倒そうと考えた。

 

 モールイマジンは再度、ガオウに向かって行った。

 

 ガオウはもう一度右手で殴ろうと、腕を引き絞った。しかし、モールイマジンはガオウを見もせず通り過ぎた。

 

 ガオウもそれを無言で見過ごした。だがモールイマジンは以外にもマヌケだったのか電王の存在を忘れていた。

 

 電王はデンガッシャーを振るってモールイマジンを斬り、胴体の中心を突いた。突きをくらったモールイマジンは斬りつけられた部分から火花を散らしながら転がった。

 

 そしてモールイマジンは嫌な物を見てしまった。空中に跳んでいるガオウだ。

 

 両足のパワージョッキを利用して天高く跳んだガオウは空中で前に回転しながらマスターパスをベルトに翳した。

 

《フルチャージ》

 

 電子音が鳴るとベルトからエネルギーが右足元とパワージョッキに送られる。モールイマジンは立ち上がって逃げようとするが遅い。

 

 ガオウはそこから右足を前に出し蹴りの体制に入った。右足がモールイマジンに命中すると同時にパキケファロサウルスの幻影を纏ったパワージョッキがモールイマジンを飛ばす。

 

 飛ばされたモールイマジンは空中で爆発した。

 

 ガオウは必殺技【バキロスストライク】によりモールイマジンが倒される爆発音を聞くと改めて電王の方を向いた。

 

 電王はデンガッシャーを構え、警戒していたがガオウは変身を解いた。電王はそれに驚くが先の様な戦意や殺気は感じないので自分も変身を解いた。

 

「あ、あの〜貴方は敵なんですか?」

 

 ドラえもんは変身を解いたガオウ(仮)に尋ねた。先程の事を見れば敵に見えるがモールイマジンを倒したのもガオウ(仮)だ。

 

「一応敵ではないさ。さっきのは興味本位さ。電王、いや野比のび太。急に悪かったな。お詫びと言っちゃなんだがそこの友人連れて今から家でごちそうでも奢ろう」

 

 ガオウ(仮)は早く来いとだけ言い先に行こうとする。のび太は待って!と叫びガオウ(仮)を引き止める。ガオウ(仮)はそれに答えるように歩みを止め、のび太を見ている。

 

「貴方の名前は?」

 

「名乗ってないよな…騎龍秋人だ。好きに呼んでくれ。あ、後さっきは先代がどうとか言ったが別になんとも思ってないからな〜。ま、仲良くいこうぜ」

 

 ガオウ改めて、騎龍秋人と名乗った青年は軽く笑いながら再び歩み始める。他の者達も秋人に続く様に歩いている。のび太は秋人のノリについていけなかったが、ドラえもんに急かされ前に進んだ。黒い目玉に監視されている事に気づかず。

 




焔崩し「後書き入りました〜」

のび太「うん、やっぱ秋人さんなんだ」

秋人「おう!ということでこっちでも頼むわ!で、なんだあのフォーム」

焔崩し「バキロスフォーム。武器の元ネタはアバレンのバキケロナグルス。そこから戦闘スタイルはボクシングにした。んでパワージョッキはシンフォギアのガングニールから」

秋人「なんでまたガングニール?てかそれならそれにしとけや」

焔崩し「だってガオウって原作じゃワニモチーフ(?)らしいけど個人的に恐竜じゃん。んで、恐竜活かしたい→武器恐竜でスタイルシンフォギアに置き換えればいけるかな?となった」

のび太「だからなんでシンフォギア…」

焔崩し「当時の気分。だけど余り他作品武器多いとオリジナル性皆無だから参考にしようと。まあ大体の元ネタはアニメ+特撮だし」

のび太「あ…そう…」

秋人「で、予告やるか?」

焔崩し「おう、ただタイトルは(仮)で。また変わりそう」

秋人「了解。俺に飯に誘われ着いて行ったのび太達。食事で語られる事は一体、そして少しずつ見える敵の影。次回、ライダー達、話し合う」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。