次からちゃんと本編に行きます。
そして、連日投稿。
理由は何となくです。
ではどうぞ。
パート6
◇
「はぁはぁ」
テイルレッドは肩で息を切らしながらも膝を着く。
ドラグザレディとの戦闘が始まって結構経ったように感じるし、そんなに経っていないようにも感じる。
ブレイザーブレイドを杖代わりにし立ち上がる。
友奈やあかねは現場まだ戦っている。
友奈の拳やあかねのネイキッド・ラングを避け、大剣で反撃、そして蹴りや拳での追撃を行うドラグザレディ。
それは単純な強さの領域である。
ドラグギルディとの戦闘においてテイルレッドは相手の剣技を見定められるようにまで成長していた。それは相手がどんな属性か剣を交えば何となくだがわかる程度に。
しかし、ドラグザレディと剣を交えてわかったことは属性を持たず、力のみで振るう剣の威力だった。
エレメリアンとの戦いばかりだったテイルレッドには初めてに等しい相手。
別の意味でも友奈とあかねは苦戦していた。
友奈もあかねも人形の敵と戦うのに馴れていなかった。友奈自身は武術の心得があるため何とか立ち回っているがあかねは初めて戦う人形の敵に苦戦していた。
ネイキッド・ラングはブーメランのように飛道具として扱えるし、剣としても使える。
だが、ドラグザレディに対して投げても弾かれ、剣として攻撃しても防がれてしまう。
友奈の攻撃に対してはドラグザレディは器用に避け、大振りした大剣で牽制からの蹴り等で攻撃し、常に警戒を怠らない。
お互いに互角…と言いたいがドラグザレディの方がまだ優勢であった。何故なら、ドラグザレディはまだ疲れてすらいないのだ。
ドラグザレディの特性は疲れない事。それは永遠に攻撃が行え、更に追撃も可能。
そう、テイルレッドが膝を着いたのは疲労が貯まったため。
前線で戦うのはテイルレッドであり、友奈は奇襲、あかねがサポートをする感じで戦っていた。しかし、間近でドラグザレディとの戦闘を行えばその単純な暴力に等しい力がテイルレッドの体力の消費を激しくさせ、今の状態になってしまったのだ。
ブレイザーブレイドを構えたテイルレッドは空に右手を翳す。
「オーロラピラー!!」
赤い閃光が空に走る。
「友奈!あかね!離れて!」
テイルレッドの言葉に反応して二人がドラグザレディから距離を置く。
ドラグザレディは何が来るのかと身構えた瞬間、頭上から赤い閃光が降り注ぎドラグザレディの身体の自由を奪っていく。
「ぐぉぉぉぉぉぉ!?」
「ブレイクレリース!」
テイルレッドのブレイザーブレイドから迸る炎が吹き上がる。腰のスラスターから青い炎を上げ一気にドラグザレディに接近し炎の剣で頭上から真っ二つにしようとする。
「グランドブレイザー!!」
しかし
「グァァァァァァ!」
拘束されている両手を無理矢理動かし、剣を構えるドラグザレディ。そしてドラグザレディの大剣から黒炎が吹き出し、テイルレッドの必殺の一撃を黒炎の炎を纏った大剣で受け止めたのだ。
「な!?グランドブレイザーが!?」
「ハァ!!」
ドラグザレディの声と共に衝撃波が走りにより赤い結界は破壊され、その余波をまともに喰らったテイルレッドは吹き飛び甲板に何度も身体を打ち付ける。
「ぐぅ…」
「レッド!?」
「テイルレッド!!」
あかねと友奈が急いでテイルレッドに駆け付ける。そして何とか起き上がるテイルレッドではあるがダメージが大きく、立ち上がろうとしても足に力が入らない。
「よくも…貴様ら!」
黒炎の大剣を持ったその黒き竜は先程出していた殺気なんか比にもならないほどの殺気を出し、三人を睨んでいた。
「殺してやる!殺してやるぞ!人間!!」
怒りと殺気に反応してなのか、大剣から黒いの炎は更に燃え上がる。
「…テイルレッド、提案があるの」
あかねの言葉に耳を貸すテイルレッドと友奈。
「私とドッキングして」
その言葉の意味がわからない二人は反応に困るが、あかねの行動で二人は慌て始める。
あかねはゆっくりとテイルレッドの額に唇を近付けたのだ。
慌てるテイルレッド。
「何をしようとしてるだ!あかね!」
「ドッキングするの!それには額にキスしないと!」
「イヤイヤイヤ!あかねちゃん!女の子同士でそれは…」
「え?」
「俺…男なんだけど…」
「あ!そっか!」
「なら大丈夫だよ」
「余計な事言っちまった!?」
あかねは無理矢理でもテイルレッドの額にキスをした。
その瞬間、あかねとテイルレッドが赤い光に包まれ二人は一つとなり始めていた。
それを見た友奈も決心をしたのか、友奈も別な色の光に包まれた。
俺とディケイドは空を飛びながら戦艦に向かっていた。飛んでくる砲弾を俺(翼)で弾き、凄いスピードで接近する。
その間、戦艦の上で何やら様々な光が飛び交っていたように見えた。
ディケイドと俺が何とか甲板にたどり着く。そこには…
「「ダブルレッドオペレーション!!」」
あかねとレッドの声が響き、赤い光の中からまるでテイルレッドの大人バージョン(ソーラ)とあかねちゃんの大人バージョンが合体したような女性(格好はテイルレッドに似ているが胸の部分や各種あかねが変身している時の服装になっている)が長く、美しいツインテールを靡かせながら立っており、隣にはナックルアームを着けた巫女服ぽい服装の友奈ちゃんが立っていた。
向かい合うように真っ黒な炎の大剣を持っているドラグギルディモドキ(多分〇〇ザレディとかいう奴らだからドラグザレディかな?)
「合体したからなんだ!増えたからなんだ!全員殺す!」
果てし無い殺気をドラグザレディ(仮)から感じる。
『ディケイド!一気に必殺技で決めよう』
「あぁ。めんどくさそうだしな」
「え!?そのウィングが喋った!?あれ?もしかしてエアー?」
『そうだよ、友奈ちゃん。詳しい説明は後だけど、ディケイドにこの姿にされちまった』
「おいおい、人を悪者みたく言うな。それに悪者は目の前の奴だろ」
「「ディケイド、友奈、エアー、一緒に決めよう!」」
そう言って飛び上がる成長版ダブルレッド(あかねとテイルレッドの合体だから二人のレッドでダブルレッド)。それを追うように俺も飛び、友奈ちゃんも飛ぶ。
どれくらい飛んだかわからないが、地平線が見え、宇宙空間ギリギリって所まで飛ぶ。(多分成層圏)
真っ青な地球に三人(本当は五人)は落下し始める。
ディケイドはまたあのカードを腰のドライバーに入れる。
《ファイナルアタックライド・エアー》
「勇者パーンチ!!」
『「ディケイドフォース!!」』
「「ダブルレッドパーンチ!!」」
五人の拳と蹴りが合わさり流星になる。
甲板の上のドラグザレディは黒い炎を巻き上げ、大剣へそれを宿し、迎え撃つ。
黒い炎の剣と友奈ちゃんとダブルレッドの拳、ディケイドの蹴りがぶつかり合う。
しかし、黒い炎の支えとなる大剣にひびが入り始め砕けて行く。それと同時に黒炎の力が無くなっていく。
友奈とダブルレッドの拳とディケイドの蹴りはドラグザレディの大剣を砕き、ドラグザレディの懐へと入る。身体一つで止めようとするドラグザレディだが、五人の合体技を止める事は出来ず、ドラグザレディの身体を貫通する。
だが、それでは威力を消すには足りず、一つの流星はドラグザレディの身体と奴等の戦艦に大きな風穴を作りだし、ドラグザレディと戦艦は大きな爆発を起こし海に沈んでいった…。
俺と総二は現在銀色のドアの前に立っていた。
「本当に今回はありがとう」
カワウソのぬいぐるみこと一色博士にお礼を言われる。どうやらあの戦艦が奴らの母艦であり、あのドラグザレディが頭領で、頭所か全て無くなったミドルギアスは全滅したとのこと。
「いいえ。いいですよ」
「やれることをやったまでですから」
俺も総二も遠慮がちに言う。
現在俺と総二の格好はこの世界に来たときの格好。ぶかぶかの夏着だ。
現在、見送りにあかねちゃん、れいちゃん、ももちゃん、友奈ちゃん、士さん、一色博士がいた。
そう、元の世界に戻れるのだ。
れいちゃんと一色博士が頑張ってくれて早い段階で元の世界に戻れる装置を作ってくれたのだ。だが、そう易々と別世界に行ったり来たりしては世界が崩壊するとか何とかでこの装置は一回切りの使い捨て装置にしたのだとか。
「でも、れいちゃん、本当に来なくていいの?トゥアールは…」
「いいの。私の居場所はここ。姉さんとは会いたいけど友達と別れたくは無いの」
そう言ってれいちゃんはあかねちゃんを見て、二人で手を繋ぐ。うん、いい友情だね。
「俺は暫くしたら別の世界に行く」
「士さん、今度僕らの世界に来てくださいよ」
「考えとく」
そうだけ言って士さんはどこかに行ってしまう。
「お二人ともありがとうございます」
頭を下げるツインテール…じゃ無くてももちゃん。
思えばこの子のツインテールを見て俺達は戦うことにしたんだよな。
「いいよ。それに、俺達はただこの世界のツインテールを守っただけだもんな。な、輝跡」
「それを言われると否定出来ない…。まあ、結果的に世界が守られたから良かったってことで」
俺と総二は友奈とあかねの方を見る。
「輝跡君またね」
「じゃあね、友奈ちゃん」
「また、会えたら、会おうね!総二君!」
「おう!じゃあな!あかね!」
別れを言い、俺と総二は銀色のドアを開けてくぐった。
蝉の無く声とじめじめとした湿気とムシムシとする暑さで目が覚める。
隣には高校生の良く見知ったツインテール馬鹿でツインテールの戦士に変身するモテ男、観束総二が倒れていた。
「おーい、総二、起きろー」
俺は総二を揺さぶる。するとムクッと起き上がった。
「あれ?輝跡…ここは?」
「…多分元の世界だと思う」
俺と総二はゆっくりと立ち上り回りを見渡す。見覚えのある道で、俺達は黒い渦に巻き込まれた場所だと気が付く。
「帰って来れたのか?」
「あぁ。多分な」
そうこう言っているのも何なので総二の実家、アドレシェンツァに向かおうと歩き出していた。
「あれって夢…だったのかな?」
「いや。ほら、見てみろ」
俺はトゥアールフォンを取り出して日にちを見せる。昨日が8月7日だったのに対しては今は8月8日の午後。まる一日経っているのだ。
そして、俺と総二は日にちを見て慌てて走ってアドレシェンツァに向かった。
今日は愛香の誕生日会だ!
アドレシェンツァに着いて俺と総二はドアを思いっきり開く。そこでは既に愛香の誕生日が行われていた。
「そーじ…輝跡…」
「総二様…輝跡さん…」
愛香が涙ながらに此方を向き、総二に抱きついた。
「ちょ!愛香さん!その役目は普通胸のある私の仕事ですよ!」
「…」
トゥアールに嫌みを言われているがそれでも愛香は総二の胸に収まり動こうとしない。それを総二は優しく撫でる。ツインテールを。
「馬鹿…心配したんだから…」
愛香の一言にごめんと呟く総二。
その後、総二から愛香が離れて誕生日会が再開。愛香が拾ってくれた僕らの誕生日プレゼントをそのまま渡して喜ばれたり、トゥアールが馬鹿やって愛香の攻撃を喰らったり、愛香のお姉さんの恋香さんを紹介して貰ったり、尊先生が婚姻届を俺や総二に渡そうとしてきたりした。中二病のお客さん達も一緒に盛り上がっていた。
今まで誕生日会なんて誘われた事の無かった俺にとってはとても楽しい時間になった。
俺はそっと、トゥアールの隣に座る。
「なぁ、トゥアール、少しいいか?」
「なんですか?因みに私は貴方に好意は持ってませんから」
そう言うトゥアールに手紙を渡す。
「なんですか?これは」
「いいから。この会終ったら一人で読みな」
そう言って俺はまた席を立つ。
誕生日会が終わる頃
「あの…お二人は今までどこに…」
と慧理那先輩から質問が飛んだ。それに対して俺と総二は
「「ちょっと悲しんでるツインテールを助けに行ってた」」
と胸をはって言いきったのだった。
いやー、長かった。
番外編終了です。
次からはちゃんと本編行きますんで、よろしくお願いいたします。
では!