ようこそ、新しい外史へ。
この蜂蜜水はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このタイトルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このSSを投稿したんだ。
じゃあ、始めようか。
第一話 恋姫の世界にこんにちは
・・・・・・あ、ども単福です。姓が単、名が福です。字はまだありません。
こう見えても実は転生者です。テンプレですね、はい。
前世では一身上の都合で大学を中退、就職難で日雇い派遣社員という名のフリーター生活、少ない貯金を切り崩しつつボロアパート暮らし、最後は暴走トラックに吹っ飛ばされ、気付いた時にはこの世に生まれ変わっていたというこれまたテンプレを絵に描いた様な展開です。
残念ながら真っ白な世界で神様に会うことはありませんでしたが、もしいるのであれば声を大にして言いたいです、もう少し捻ってください、と。
まあ、それはともかく僕が今いる世界についてなんですが、どうやら中国の後漢末期辺りみたいです。
後漢末期というと、もろ三国志の世界ですね。ここから漢の権威が落ちに落ちて、群雄割拠の時代になるはずです。
そんな時代ゆえか、はっきり言って治安はあまりよろしくないです。
前世の日本に比べたら治安が良いなんてことはありえないとは思ってましたが、さすがに人の死体が普通に転がってるのを見たときはちょっとビビりました。
賊とかも普通にヒャッハーしていて、半分世紀末状態ですね。実際今は2世紀の末ですし。
ところで、僕の「単福」という名前に関してですが、これ、厳密には私の本名ではありません。
というのも実は僕孤児でして、姓はおろか名も分からぬ子だったんです。
さすがにいつまでも名称不明のままというわけにはいかなかったため、育ての親に「単福」と仮の姓名付けてもらったというわけです。
しかし、三国志の世界で単福というと、演義において徐庶が使っていた偽名である事を思い浮かべます。
となると僕は、もしかして徐庶の生まれ変わり?いやいやそんなまさか・・・。
そもそも徐庶というと正史では若い頃は撃剣(投げナイフ的な物)を使ってやんちゃしてたんですが、官軍に捕まった事を機に勉学に目覚め、劉備に初めて仕える軍師になったり、劉備に諸葛亮の存在を教えて巡り合わせたりと、何気に重要な人物な筈なんですよ?
それに、徐庶って曹操に母親人質に取られて仕方なく魏に降るという、とっても儒教チックなイベントが有るんです、が・・・
僕の育ての親、「司馬徽」先生なんですけど?
もし僕が本当に徐庶だとしたら、曹操さん司馬徽先生を人質に取っちゃうんでしょうか?
それはそれで確かめてみたいと思わなくもないですけど。
・・・まあ、仮に僕が徐庶だったとしても、歴史通りに動くつもりは更々ないですし、この際、誰かの生まれ変わりかどうかなんて置いておきましょう。
そんなことよりも三国志ですよ三国志!
こう見えても僕、古代中国史の話は大好物でして、三国志についてもそれなりに知識があると自負しています。
ふっふっふ、これは僕の未来予知よろしく歴史知識無双が始まる予感ですね!
・・・なんて思っていた時期も僕にはありました。
どうやらこの世界は大まかな流れは「演義」に近いようですが、年表は微妙に異なってますし、何故か存在しない人も居るみたいですし、
有名な人のほとんどが何故か女性ですし・・・。
ちなみに僕の育ての親の司馬徽先生も女性です。
霊帝こと時の帝の劉宏も女性だそうです。
文献では項羽と劉邦ももれなく女性だったそうです。
・・・僕の知ってる知識と違う。
こんなの真剣ゼミで出たことないよ・・・。
他の違いに関しては、「僕」という異物が存在した事によるバタフライ効果だと無理やり納得出来なくもないですが、さすがに本来男性の人物が軒並み女性に変わってる事に関しては、無理が有りまくりです。
果たして僕の好きな三国志キャラ第一位の張任さんも女性なのかめちゃくちゃ気になります。
ちなみに二位は太史慈、三位はカク昭です。
激しくどうでもいいですね。
とにかくこの世界が史実の後漢末期とは異なる可能性がある以上、前世での歴史知識は参考程度に治めた方が良さそうです。
あまり過信し過ぎてチートぶってると痛い目見そうですし。
とは言え、細部はともかく大まかな流れは変わって無さそうですし、現状のこの国の治安を鑑みても、数年以内に黄巾の乱の発生することはほぼ確定かと思われます。
せめて自分の身は自分で護れるくらいには強くなっておきたいです。死にたくないし。
そこで、物心ついてからと言うもの、体力作りから武器の扱いまで毎日欠かさず行う事にしました。
ちなみに得物は撃剣を使っています。
・・・いや、あれですよ?別に自分が単福だからって徐庶を意識して撃剣使っちゃったわけじゃないですよ?
ただ、なんというか・・・色々使ってみて肌に合ったていうか・・・たまたまこれが一番使いやすかっただけですよ?
ホントダヨ?チュウゴクジン、ウソツカナイアルヨ。
ちなみに武器そのものは鍛冶屋のおっちゃんと適当に世間話してたら、何故か作ってくれました。
なんか作って貰ったのはこっちなのに、めちゃくちゃお礼言ってたのは何だったんだろう?
とにかく、その武器を持って自己流ながら鍛錬に明け暮れたお蔭か、だいぶ扱いに慣れてきました。
とはいえ、実戦の経験はほぼ皆無なため、どの程度通用するのか些か不安です。
どこかで良い機会が有ればいいのですが。
体力作り以外の時間は何をしているのかと言うと、先生に文字やその他もろもろの勉強を教えて貰ったりしています。
ただ、先ほども申した通り元々僕は漢文とかが大好きでしたので、ぶっちゃけ論語とか有名どころなら原文ほぼ丸暗記してます。
四書五経も武経七書もほとんど頭に入ってます。あれ結構面白いんですよね。
文字やら歴史やら学問やら、先生が教えてくれたことの大抵は既に知ってるような知識ばかりでしたし、計算も・・・さすがに四則計算くらいは余裕で答えられますので、正直おさらいにもならなかったです。
ただ、あまりに物覚えが良過ぎたせいで、先生に少し引かれたのがつらいです・・・。
年頃の子供らしく少しは態と間違えたりした方が良かったでしょうか?
唯でさえ孤児である自分の立場はあまり宜しくないというのに、よけい気味の悪い子だと思われてたらどうしましょう?
そんな感じで日々を過ごしていましたが、12歳になったある日、司馬徽先生から重要な話を申しつけられました。
なんでも、明日から僕は水鏡女学院に入り、より高度な勉強を学ばして貰えるそうです。
・・・・・・ん?
いやいやちょっと待って?今先生なんて言いました?
水鏡「女学院」に入るんですよね?
僕、男なんですけど?
初投稿ということで二本立ての投稿となっています。
続いて第一話・裏をどうぞ。