「今のうちだ・・!
(こ・・・こいつはかなわんぜッ!俺ひとりじゃ、完璧不利!
ここは逃げて次の機会を待つぜ!俺は誰かとコンビを組んで初めて実力を発揮するタイプだからな。
相方が戦闘不能じゃあ、コンビの定義が崩れる!
1番よりNO.2!これがホル・ホースの人生哲学。文句あっか!
このチャンスを逃すわけには行かねえ。
J・ガイルの旦那は後で・・・助けられるのか?
だが、こっちも新手のスタンド使いのせいで、脱水症状だ。
しかも、継続して奪われてやがる!
向こうも知らんようだし、どうなってやがるんだ、まったく!
・・喉が乾く・・・・・)」
水分が抜けて、ミイラに近付きながらも逃走しようとするホルホース。
俺たちの様子から、チャンスだと考えたらしい。
「逃すと思っていたのか?」
「・・!うっげぇええええ!?」
「【マジシャンズレッド】!【レッドバインド】!」
いつの間にか、背後に回っていたアヴドゥルがホルホースを止める。
状況の悪さと弱まってる事が相俟って、驚愕が止まらないホルホース。
そのまま、発現したマジシャンズレッドによる炎の輪に縛られて、手を使えない形で拘束される。
エンペラー、使用不可能。
アブドゥルさんのマジシャンズレッドは本当に自由自在だなぁ、これが。
「大亜、君の追求は後にしよう。
君が裏切っているのは、タイミング的にも、今までの行動からも有り得ないからな。
まず、この男から情報を吐かせたいところだが。
このままだと死ぬな・・・」
「くぅ・・(不味いぜ、水分不足で死ぬ!
J・ガイルの事を気にかける余裕どころか俺が危うい!)」
アヴドゥルがホルホースを掴み、焦りを抱くホルホース。
実際に詰む一歩手前の状況なので無理もない。
【ぎにやあああああああ!?!?】
「・・!(マジかよ、J・ガイルの旦那!?)」
「アヴドゥルさん・・・わかりました。
ポルナレフはやれたようだな、これが」
J・ガイルの断末魔にホルホースは絶望した。
詰んでしまったからだ。
大樹はソレを上手くいって安堵した表情で聞き、鍋から手を離す。
絶体絶命なホルホース。
「ポルナレフが居ないから、代わりに俺が判決をいうぜ、これが。
DIOに関する情報を吐かなきゃあ、死刑!
(嫌いなキャラじゃないけど、こいつの女性の扱いは尊敬できる部分があれば、反吐が出る部分もある。
そして、命を狙ってきた敵だからな・・・。
見逃せないね、これが)
なにっ!?」
「お逃げください!ホルホース様!」
「な!なんだあーッ!この女性はッ!
(ここで来るのが、こいつかッ!)」
「ぬおっ!!しまった!マジシャンズレッドが!?」
ステッペンウルフを発現して脅しをかける大樹に、馬に乗った、褐色肌の美しい女性がホルホースを呼びながら、突っ込んできた!
地面の鍋が蹴り飛ばされ、アヴドゥルに直撃、馬がホルホースの傍に立ち止まる。
褐色肌の女は馬から飛び降りて、大樹に乗りかかってきた!
動きを封じてくる為にスタンドの発動を解除せざるを得ない。
飛んだ鍋の不意の衝撃でマジシャンズレッドが解除されて、拘束が解けた!
ちくしょうめ!この女の情報は俺しか知らないから、疑いが俺にある今、強制的に振りほどくわけにもいかない。
こいつも刺客だってのに・・・。
「ホル・ホース様!わたくしには、事情はよくわかりませぬが、あなたの身をいつも案じておりまする。
それがわたくしの生きがい!お逃げください、早く!」
「こ、この、離せ!なに考えてんだ、あんたは!
アヴドゥルさん、ホルホースを逃がしてはッ!」
「駄目だ、もう遅い・・・」
「え?(ま、まさか・・・)」
女性の言葉に反論しながら、アヴドゥルに訴える大樹。
だが、アヴドゥルの苦い顔に素で驚く大樹。
「よく言ってくれたベイビー!おめーの気持ちありがたく受け取って生きのびるぜ!
逃げるのはおめーを愛してるからだぜベイビー!永遠にな!」
「野郎!逃すと思ってるのかッ!ステッペン・・!?」
「ああ・・・」
ホルホースは弱々しくも、馬に跨って意気揚々にクズい、スケコマシ振りを見せながら逃走する。
それを許さないためにステッペンウルフを発現して、追撃に移りたかったが、また女性に邪魔をされた。
その間にホルホースは、もう目の届かない所へ・・・。
明らかに、この女は俺のスタンドが機動力に優れてるのに気づいて、無知を装い身を持って封じに掛かってやがる!