「なにッ!見ただと?両手とも右手の男を確かに見たのか?
どこでだッ?」
「あれぇ?おかしいな・・・。
ひ・・・ひとり見失っただ。今そこにいたのに。」
「なにッ!」
「ほれ、その男と一緒に居た・・・」
道を歩くポルナレフは人々に話を聞き、情報収集すると老人から目撃した事を告げられる。
しかし、一瞬の後に2人から1人に減ってしまい、カウボーイルックの男の背が見えるだけだ。
見失った事に、迂闊さを後悔するが直ぐに周りを警戒する。
目の前にはカウボーイが止まる。
「銃は剣より強し。んっんー、名言だなこれは」
「あーん?」
突然、諺を言い出すカウボーイ。
対して、眉間に皺を寄せて、怪訝なポルナレフ。
「なんだぁ、てめえは?」
「フッ、ホルホース。俺の名前だぜ、エンペラーのカードを暗示するスタンド使いってわけよ」
ポルナレフの問いに帰ってきたのは、名前とタロットの暗示。
【エンペラー】。
権威、安定、未熟、横暴。
タロットで5番目のカード。
それは統治・堅固さ、同盟する事を意味する支配の暗示!
「あんたらを始末して来いと、DIO様に金で雇われたって事さぁ」
「はぁー・・・。おい、田舎もん!てめーの自己紹介は必要ないぜ。
両右手の男を知っているのか?」
目的を告げるホルホースに、溜息を吐くポルナレフ。
呆れか、気分を落ち着ける為かは定かでない。
逆に自身の目的が居るか問う。
「かってなヤローだ、あんたがきいたから答えたんだ・・・。
フッ、まあいい。奴とは一緒に来た。近くに居るぜ」
「なに!どいつだ!?」
「それこそ、言う必要のねえー事だぜ。
このホルホースがあんさんを始末するからなぁ」
ホルホースの返答に周りを探すポルナレフだが、両右手の男は見つからない。
やれやれと言いたげなジェスチャーで、ポルナレフを煽る。
「おめーのようなカスは皆、そう言うぜ。
そして、いつも逆にやられる」
「ニッヒヒヒヒ」
「ほーう、おかしいか?」
ポルナレフの煽り返しに、おかしいとばかりに腹を抱え、笑うホルホース。
その様子に問う、ポルナレフ。
「DIO様が言ってたぜぇ。ポルナレフって野郎は、人を甘く見る性格してるから、俺になら簡単に倒せるってな」
「っ!」
「その通りなんで、思わず笑っちまったぜ。
ヒッヒヒ」
滑稽さに笑ったらしい。
DIOに見透かされてる様な不気味さに、思わず怯むポルナレフ。
「貴様を先に倒さなきゃ、奴に会えねーんなら、そうしてやる。
かかってこい」
「軍人将棋ってあるよな?戦車は兵隊より強いし、戦車は地雷に弱いんだ。
ま、戦いの原則ってやつよのぉ」
表情を抑えて、嘲笑う様に煽り出すポルナレフ。
それに対して、説明をし出すホルホース。
「このホル・ホースの皇帝は、あんさんより強いから、おれのスタンドの能力を戦う前に教えといてやるぜ・・・。
銃は剣よりも強し、名言だなこれは・・・」
「さっきから何が言いてえんだ?」
ホルホースのしつこい説明に、不信げなポルナレフ。
「おれのスタンドはハジキだ。ハジキに剣では勝てねえ!」
「なに?おハジキだあ~?ワッハハハハハハハハ!」
「ニッヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
その答えに馬鹿にしたような顔で、手を耳に当て、聞き間違いのジェスチャーをするポルナレフ。
明らかに、わざと侮っている。
そして、お互いに笑い出す。
その様子に通行人が、好奇心の目を向ける。
「「てめー、ぶっ殺す!」」
道路の水たまりから、水滴の音が鳴ると同時に、笑いが止む。
お互いが睨み合う。